駅弁大学という言葉について、聞いたことがあるという人もいれば、そうでないという人もいます。
聞いたことがあっても、具体的に正確に説明できる人は少ないです。
今回は、この駅弁大学について、そもそも何なのかを説明します。
さらに駅弁大学の序列やメリットとデメリット、費用、就職先などについてみていきます。
駅弁大学とは
駅弁大学は、旧帝国大学以外の地方国立大学を揶揄して呼びます。
旧帝国大学は、1800年代に設立されました。
一方で、駅弁大学は1900年代の半ばから量産されます。
同じ国立でも旧帝とは格が異なる、といった意味合いで呼びます。
新幹線で地方に行くと、停車駅では駅弁が売られています。
そしてそこにはすべからく旧帝ではない地方国立大学があることから、また駅弁大学があるぜ、という感じで使われました。
旧帝国大学以外が駅弁大学
駅弁大学を理解するには、旧帝国大学を知るのが早いです。
旧帝国大学は7つしかなく、それ以外が全て駅弁大学だからです。
旧帝国大学
以上が7つしかない旧帝国大学です。
■旧帝国大学にも序列がある
旧帝のなかにも格が存在します。
東大京大は言わずもがなで、日本を代表するツートップです。
ついで東北大学、大阪大学が続きます。
九州大学、名古屋大学、北海道大学は横並びです。
・早慶との比較
序列をより具体的に知るために、早慶を交えて比較します。
東大京大は、早慶よりも上です。
早慶に受かっても、東大か京大に受かればそちらにいきます。
では、大阪大学や東北大学はどうでしょうか。
自宅からの距離や学費など事情はそれぞれですが、やはり早慶を選ぶのが一般的です。
・上智との比較
上智と大阪大学だったら、微妙なところです。
女子で語学力をアップしたい場合、迷わず上智、という可能性もあります。
九州大学、名古屋大学、北海道大学は、やはり上智と迷うケースがあります。
早慶であれば迷いはないですが、上智だとやはりどちらの選択肢もあり得ます。
ただ、早慶上智というネームバリューがあり、さらに早慶上智以上が一流大学として就職でも明確に有利になる(こと東京での就職は特に)ことから、上智を選ぶ人もいます。
・MARCH上位との比較
さらに自宅からの距離や東京という立地などを加味して、MARCHの上位校を天秤にかける例もあります。
たとば、九州大学の法学部と中央の法学部だったら、後者を選ぶという人も多いです。
また、青学との天秤でも同じです。
特に青学は全国的に知名度が上がっていて、都心のおしゃれなミッション系の大学に通いたいという高校生が大勢います。
九州大学は確かに旧帝で良い大学ですが、キラキラした都心のキャンパスライフ、という絵に描いたような大学生像とは異なります。
京都大学であればたとえ東京に住んでいる人でもほとんどの人が上智や青学、さらに早慶を蹴って進学します。
しかし九州大学や名古屋大学となると、わざわざ一人暮らししてまで行く価値あるのかな?と思ってしまうのが現実的なところです。
駅弁大学の序列
駅弁大学についてみていきます。
駅弁大学は、旧帝に増して序列が激しいです。
つまり、上位校と下位校の偏差値の差が大きくなります。
上位校は、旧帝のなかでは下のほう、九州大学や名古屋大学と変わらない評価を受けているところがあります。
一橋大学と東京工業大学は別格
まず一橋大学ですが、この大学は完全に別格です。
旧帝ではありませんが、東京にあるので、歴史的に見ても一橋大学が駅弁大学と揶揄されるなどということは一度たりともありません。
さらに文系最強と呼ばれるのが一橋大学です。
そして理系最強と呼ばれるのが東京工業大学です。
この大学もまた、当然に東京にあるので駅弁大学ではありません。
上記二大学は、偏差値的にみると、東大に次ぐ名門です。
ほとんど偏差値に違いはなく、東大、京大と並んで東京一工と並び称されます。
早慶を完全に凌駕する数少ない大学が、この東京一工です。
その他東京の旧帝以外の大学
さらに東京にある旧帝以外としては、お茶の水女子大学や東京外国語大学があります。
どちらも名門で非常に良い国立大学ですが、東京一工と比べるとだいぶブランドが下がります。
早慶とダブル合格した場合、やはり金銭的な事情がなければ早慶のネームバリューを取る人が多いです。
■厳しい経営を強いられるお茶の水女子大学
特にお茶の水女子大ですが、全国的に女子大は以前よりも評価が厳しくなっています。
たとえばお茶の水以外に私大の名門で津田塾大学があります。
こちらも女子大で、かつてはMARCHレベルで人気を博していましたが、今では成成明学、あるいは日東駒専レベルまで偏差値や評判を落としています。
今の高校生に聞いても、津田塾って頭いいの?そもそも共学なの?といったように、そのレベルや女子大かどうかすら知らないという人が多いです。
全体的に女子大の人気が低迷していて、これはお茶の水女子大も例外ではありません。
反対に、私立総合大学の文系が女子からの人気が高まっています。
上智、立教、青学は御三家で、駅弁大学など田舎臭くて嫌だ、と考える女子の嗜好を映しています。
駅弁大学の最高峰は神戸大学
駅弁大学のなかで最もレベルが高いのが、神戸大学です。
そのレベルの高さから、もはや神戸大を駅弁大学などと呼んで揶揄する人はいないほどです。
レベル的には、それこそ九州大学、名古屋大学、北海道大学といった旧帝と遜色ありません。
スタディサプリが公表しているデータを元に、前期入試の偏差値をみてみます。
神戸大学文学部の偏差値は60です。
法学部が62.5、経済、経営もともに62.5となっています。
次に旧帝の九州大学と比較します。
文学部は60、経済学部、法学部もともに60です。
文学部は同等ですが、法学部や経済学部では、神戸大学のほうが高い偏差値を記録しています。
このように、駅弁大学のなかでも特に上位校は揶揄できないほどの偏差値を誇っています。
そこをネガティブに言ってしまえば、そこより偏差値の低い九大はどうなの?という話になってしまいます。
今では、単に旧帝だから別格、とは評価されません。
就職においても、神戸大学より九州大学が格上だから有利になる、という話も聞いたことがありません。
つまるところ、神戸大学は旧帝の下位大学に匹敵するか、それ以上の偏差値があることが、世間的にも認められています。
■神戸大と同列の筑波大学
神戸大学と似たレベルで評価されるところに、茨城県の筑波大学があります。
筑波は東京の北千住からつくばエクスプレスで一本ということもあって、かつてから首都圏の学生にも人気があります。
こちらも、旧帝の下位とほぼ変わらない評価を受けているといえます。
私立との関係なら、早慶と比較したら劣るけれど、上智と比べたらどちらに進学するか迷ってしまう、というレベルです。
筑波大学の特徴として、学部学科ではなく、学群学類の体系になっていることが挙げられます。
学部学科よりも横断的に視座を高めた学びを実現するためです。
社会・国際学群の社会学類の偏差値は、なんと65です。
社会学類では法律を学ぶことができ、法学部を希望する人はこちらの学類を選びます。
通常の文学部にあたる人文文化学群の人文学類が62.5、教育学部にあたる人間学群の教育学類が62.5です。
・旧帝国大学との比較
このように、神戸大学とほぼ変わらない偏差値です。
北海道大学の文学部は偏差値65、法学部は60、教育学部は62.5です。
北海道大学とも同レベルの偏差値です。
旧帝上位の大阪大学と比べてみると、阪大の法学部が65、文学部も65、人間科学部も65です。
額面どおりアベレージ65で揃えています。
総合的に見て、やはり大阪大学のほうが一枚上手です。
ただ、筑波の社会学類は偏差値65ですから、学類によっては全く遜色ない学力レベルだといえます。
■第3位は横浜国立大学
駅弁大学の第3位は、やはり横浜国立大学を挙げる人が大勢です。
横浜の駅弁といえば、崎陽軒のシウマイ弁当を想起される方が多いです。
旧帝ではなく、さらに都内にあるわけでもなく、まさに新興大学といった様相ですから、駅弁大学の条件は限りなく満たしています。
ただ、やはり他の多くの駅弁大学に比べると、偏差値の高さから、横浜国大を駅弁大学といって揶揄する人はあまりいません。
・神戸大や筑波大と肩を並べる偏差値
それこそ、レベル的には筑波とほぼ同等と考えられています。
それこそ私立との関係では、早慶と横国なら早慶を選ぶけれど、上智と比べると迷う、という人が多いです。
つまり、早慶とMARCHの間にいる国立大学という認識が的を得ています。
横国の看板学部は経済学部です。
経済学の偏差値は62.5です。
都市科学部という珍しい学部があります。
横浜中華街や山手の洋館地区、みなとみらい地区など全国的に知名度の高い観光名所を有するのが横浜市です。
だからこそ都市計画や景観整備に注力する横浜にあってそこを代表する国立大学らしい学部です。
都市科学部の都市社会共生学科の偏差値は60です。
このように、横浜国立大学も神戸大学、筑波大学と肩を並べる高い偏差値を有しています。
金岡千広(かねおかちひろ)
駅弁大学の定義に当てはまるけれど、その高い偏差値やブランドから同呼称は用いられない、それが上記三大学です。
以下からは、まさに歴史的に駅弁大学と呼ばれ、今でもそう呼ぶ人がいる大学になります。
40近い大学があり、全ては紹介しきれないので、なかでも知名度の比較的高いところをピックアップします。
金岡千広(かねおかちひろ)という大学群があります。
金沢大学、岡山大学、千葉大学、広島大学の四校です。
これが駅弁上位校として位置づけられます。
国立全体でみると、中堅校として認識されています。
現実的な受験でみると、GMARCHと悩むというレベルです。
なかでも千葉大学は、首都圏からアクセスができる範囲なので、GMARCHとの併願者がよくいます。
ただネームバリューという点では、明治や青学、立教といったMARCHのほうがあります。
特に文系の場合、後述する駅弁大学のデメリットと相俟って、金岡千広よりもMARCHが良いと考える高校生がよくいます。
■金沢大学
この大学の名を聞いて、ああ確かに駅弁大学と言われるのも分かるな、と感じた人がいるはずです。
このように、特に地方の名前を冠している大学は、駅弁感が強いです。
金沢大学も筑波大学と似て、学部学科の体系ではありません。
こちらは、学域学類の組織です。
法学部に相当する人間社会学域法学類の偏差値は57.5、文学部に相当する人間社会学域人文学類は55、教育学部に相当する人間社会学域学校教育学類は55です。
このように、軒並み偏差値60未満の学類が並んでいます。
もともと駅弁大学という呼び名は、旧帝のような高い偏差値を誇る大学の学生において、金沢大学のような明らかに偏差値が劣る地方の新興大学と同じ国立というだけで同じ評価をされたくない、という差別化の視点が根底にあります。
・偏差値60未満の地方国立こそ駅弁大学
このことから、偏差値60に満たない地方国立という条件こそ、駅弁大学の現実的な必要条件といえます。
金沢大学と同レベルの地方国立に広島大学があります。
広島大学の文学部は57.5、法学部が55、教育学部の初等教育学科が55と、綺麗に金沢大学と同じ偏差値を刻んでいます。
5S
金沢大学や広島大学のラインから少し落ちたところにいるのが、新潟大学や埼玉大学です。
このラインは5Sと称されます。
すなわち、埼玉大学、信州大学、静岡大学、滋賀大学、新潟大学の5つです。
お気づきの通り、Sとは大学名の音で表しています。
このうち、あれ新潟大学で違うじゃないか、と初めて聞いたときは思います。
勘の良い方は気づくかもしれませんが、新潟大学は略して新大(しんだい)と呼びます。
「にいだい」では響きが良くありません。そのため5Sに含まれています。
5Sは駅弁大学の中堅~下位といった位置づけです。
私立大学でいうと、成成明学と似たような偏差値です。
実際、埼玉大学と成蹊大学にW合格した場合、迷うという人が多いです。
新潟大学人文学部の偏差値は55、法学部が50、教育学部の学校教育学科が52.5です。
埼玉大学の教養学部が55、経済学部が57.5、教育学部の小学-文系学科が55です。
埼玉大学の偏差値が一般的な評価より高く、金沢大学や広島大学と変わらないことが分かります。
長崎大学や熊本大学
新潟大学や埼玉大学よりも序列的に下にいるのが、長崎大学や熊本大学です。
長崎大学は看板の多文化社会学部が偏差値52.5、経済学部が50、教育学部の小学校教育学科が50です。
熊本大学の文学部文学科は57.5、法学部が55、教育学部の小学校教員養成学科が52.5です。
熊本大学が一般的に考えられている序列よりも、偏差値が高いことが分かります。
金沢大学や広島大学のラインと遜色ありません。
STARS
駅弁大学のなかでも一番下のラインをみていきます。
秋田大学や茨城大学などが当てはまります。
さらにこのラインには、STARSという大学群があります。
響きとしてはスターが集まっているかのように眩くポジティブですが、実際には駅弁大学のなかでも特に入りやすい大学を集めたもので、良い意味で使われることはありません。
STARSは、佐賀大学、鳥取大学、秋田大学、琉球大学、島根大学の5つです。
同じレベルには、他に上掲の茨城大学や、大分大学、和歌山大学、福島大学などが当てはまります。
秋田大学の教育文化学部教育実践学科の偏差値は50、国際資源学部資源製作学科の偏差値は47.5です。
茨城大学の人文社会科学部現代社会学科の偏差値は52.5、教育学部の英語学科も52.5です。
駅弁大学の序列は世間で認知されていない
以上みてきたように、同じ駅弁大学でも神戸大学や筑波大学、横浜国立大学といった偏差値60以上を記録する旧帝レベルの大学がある一方で、確かにそれに比べると明確に差があり駅弁大学と呼ばれることもあり得そうな偏差値50以下の秋田大学などの地方国立が存在します。
先述したように、偏差値60を下回る地方国立が、現実的なところでの駅弁大学です。
そして、その駅弁大学となれば、確かに偏差値の差はあれど、世間的な評価はほぼ変わらないといって良いです。
それこそ、金沢大学であろうと新潟大学であろうと秋田大学であろうと、地方の国立だな、と思うだけです。
さらにネガティブに表現する人は、どこも同じ駅弁大学、といいます。
駅弁大学のメリットとデメリット
では、駅弁大学は具体的に首都圏の有名な国立、それこそ旧帝国大学や、知名度の高い難関私立と比べて、どのようなメリットやデメリットがあるでしょうか。
この項目では、駅弁大学特有のメリットやデメリットについてみていきます。
都心の就活に不利
駅弁大学最大のデメリットは、就活に不利だということです。
茨城大学や千葉大学などの比較的に都心に近い大学であればデメリットは小さいです。
しかし、金沢大学や広島大学となるとつらくなってきますし、STARSのような秋田大学や琉球大学となれば、空路を考える人も出てきます。
企業の合同説明会など、大きなイベントはやはり首都圏で行われることが多いです。
面接段階では、1次は距離を考慮してスカイプなどでOKとされても、やはり内定の確度が高まってくると、実際に企業まで行く必要があります。
複数の企業について、面接の日時をまとめるのはやはり先方の都合もあることから難しいです。
第一志望の企業が明確にあって、それにつき早い段階で内定をもらえれば負担は少なくて済みます。
ただ、そう就活が上手くいく人は少ないのが現状です。
学歴フィルターにかかるトップ企業を受ける人がいる
先の就活のコストの話と相まって、さらにそのリスクを増幅する要因となるのが、大学としてのネームバリューの低さです。
ここで、体感との乖離が問題になります。
■地元の良い評価で錯覚しやすい
地元で一番の公立高校に通っている場合とほとんどパラレルに考えられます。
つまり、その地域では、あの高校に通っているんだすごいね、といわれても、ひとたびその地域を出て、たとえば隣の県にいってその高校の名前をいっても、そこは頭いいの?という感じで、そもそもその名を知らない、知っていても学力までは知らないということがほとんどです。
たとえば信州大学の場合、長野では高い評価を得ていたとしても、東京の人からしたらそもそも国立なのか私立なのかさえ分からない、ということがあります。
つまり、日々の生活のなかで街の人に信州大学に通っているなんてすごい、と言われていると、東京でもそう評価されるのかな、と考えやすいです。
■エントリーシート通過でコスト倍増
より具体的にいうと、現実には学歴フィルターにかかる可能性が高いトップ企業にエントリーします。
エントリーをしてもすぐに書類審査で落とされればダメージは少ないですが、下手に一次、二次と進むほうが移動など体力的な負担が大きくなります。
結局は他の候補者と天秤にかけられて学歴的なところで落とされるなら、書類の時点で落としてよ、と思うのが普通です。
しかし、現実にはそう合理的に選考をしていません。
このように、周囲の評価が高いものだから有名企業を受けて、しかし現実には学歴フィルターによって大きなコストを払う、というのが駅弁大学において陥りやすい事態です。
地元の公務員なら有利
メリットは、地元の県庁や県内の市役所、町役場であれば比較的に就職しやすいことです。
都内の大手企業を受ける場合のような学歴フィルターはありません。
どころか、実際に働いている人のなかに相当数、地元の駅弁大学出身者がいて、地元のなかではトップの学歴であるために、むしろ採用段階で有利に働きます。
金沢市役所の例
金沢市役所を例に取ります。
平成30年度の市全体の職員採用者数は66名です。
うち事務職が39名でした。
このうち金沢大学出身者の割合は、全体で37名(56.1%)、事務職で28名(71.8%)です(※)。
※参考:金沢大学 公務員合格実績
このように、金沢市役所職員の合格者のうち全体で半分以上、事務職に限っていえば7割以上が地元の駅弁大学出身者です。
県庁だと、他の都道府県からも多く志願者がいます。
しかし地元の役所であれば、そういった横槍も少なく、よりアドバンテージを感じやすいです。
もちろん、これは地元の公務員に限った話です。
特に首都圏の地方公務員だとメリットもデメリットもなく、国家公務員になって霞ヶ関で、という場合にはハンデになります。
地元企業でもアドバンテージ
地元の公務員ばかりではなく、地元の企業を受ける場合にも、面接で良い印象を持ってもらえる例が多いです。
これは、公務員のシーンと同じ理由です。
地方で一生過ごすなら駅弁大学が良い
駅弁大学の場合、のんびりとキャンパスライフを過ごして、さらにその後のキャリアとしても、その地方で安穏として地元の方たちと同じように仕事をしながら生きていく、というビジョンであれば、特に不自由はなくむしろ良い大学を出て仕事も真面目にして立派だね、と思われながら人生を過ごせます。
デメリットとなるのは、駅弁大学に進学しておきながら、それでもその地域で職を見つけ一生を過ごすのが嫌で、都会に出て最先端の環境において一線で働きたいと考える場合です。
■都内で働きたいなら進学段階で決断するべき
このときは、そもそもその道を考えて、やはり革新的な教育を展開して最新の設備で彩られた都内の有名大学に進学した人に大きく遅れを取るのは、いわば当然のこととも思えます。
同じように金沢にいて、将来はトップ企業でバリバリ働きたいという思いを持ちながら、それでも通いやすい金沢大学を選ぶのか、親元を離れることになるけれど勇気を持って早稲田で一人暮らしをするのか、その差はやはり高いキャリアを築こうと思ったときに出てきます。
都心で仕事のできるOLになりたい、快活に働く商社マンになりたい、こういった思いがある人は、たとえ地方で良い評価があるとしても、駅弁大学ではなく都内の難関大学に行くべきです。
教授との距離が近い
大学にもよりますが、学生の規模が都内の総合大学に比べると少ないです。
そのため、より教授との距離が近いです。
好きな教授に色々な相談をして、親しくなれるのがメリットです。
華やかなキャンパスライフにはならない
駅弁大学はその名の由来の通り、駅弁が売られているような有名な都市、基本的には政令指定都市にあります。
そのため、遊び場が全くないということはありません。
しかし、やはり都内の大学に比べれば雲泥の差です。
比べる相手が悪いですが、たとえば青山学院大学の場合、キャンパスから少し歩けば表参道があり、ハイブランドの路面店や、雑誌に登場するお洒落なカフェが並んでいます。
さらに少し歩けば、竹下通りがあって若者で賑わい、喧騒が苦手なら裏原や、それこそ青山なら大人のショッピングやランチを楽しめます。
駅弁大学だと、このような都会的で華やかなプライベートを過ごしづらく、傍目に見ればどうしても田舎感、地元感が否めません。
都心から少し離れただけで田舎扱い
駅弁大学からすれば、東京都の八王子市は充分に都会に感じるかもしれません。
しかし、実際には法政大学や中央大学など八王子の山の上にあるというだけで田舎扱いされ、大学の経営、具体的にいえば偏差値の維持について厳しい戦いを強いられています。
法政や中央がマーチ下位とされ、明治や青学、立教と溝を空けて見られるのは、この立地による偏差値の低迷、不人気が大きな要素となっています。
要は都心から少し離れただけで、一気に人気が低迷するということです。
その理屈からすると、駅弁大学となればどれだけその性格が顕著になるのか、想像に難くありません。
駅弁大学は学費が安い
学費が安いのも魅力です。
金沢大学と青山学院大学の学費を比較
先に例に挙げたので、金沢大学と青山学院大学の比較でみていきます。
金沢大学の入学金は282,000円で、年間の授業料は535,800円、合計で817,800円です(※)。
※参考:金沢大学 学生納付金等
青山学院大学の入学金は200,000円で、入学金こそ金沢大学より安いですが、授業料を含めた諸経費で1261,200円がかかります(※)。
※参考:青山学院大学 学生納付金
入学初年度で40万円以上差があります。
2年次以降は、金沢大学は先の授業料が年額で約53万円かかります。
青山学院大学は、授業料含めた諸経費が年額で約105万程度でかかります。
結局、大学4年間で200万円程度の学費の差が生まれます。
上京して一人暮らしならさらに費用がかかる
このように、都内の有名私立大学に通うのと比べると、学費が格段に安く済みます。
さらに駅弁大学なら実家から通えて、都内の私大だと一人暮らし、となれば学費以外の費用も大きな負担になります。
また、一人暮らしどうしで比べても、家賃や食費など物価の影響で都内のほうがかさみます。
兄弟がいるから、など経済的な事情がある場合、やむなく駅弁大学、という選択肢がありえます。
旧帝国大学なら学費は同じ
物価の問題は払拭できませんが、こと学費という点では、都内の有名大学でも問題をなくすことが可能です。
いわずもがな、都内の旧帝国大学に受かることです。
都内の旧帝といえば、もはや東京大学しかありません。
旧帝国大学だから田舎の駅弁大学に比べて学費が高いということはありません。
金沢大学も東京大学も学費は同じです。
都内の私立大学は学費が高くて反対する親御さんでも、東大に受かったとなれば手の平を返して進学を薦めるケースが少なくありません。
特に東大は、全国から優秀な学生が集まるために、学生宿舎の設備が充実しています。
たとえば、三鷹国際学生宿舎は、月額11,500円とリーズナブルな料金で入れます(※)。
駅弁大学のデメリットを克服しながら、さらにそれ以上のメリットを得られる大学となると、やはり旧帝国大学ということになります。
駅弁大学についてまとめ
駅弁大学は、厳密にいえば偏差値60未満のところを指します。
神戸、筑波、横国は偏差値的に駅弁と揶揄されることはなく、金岡千広以下が、現実的にそういわれます。
駅弁大学は、地元で評価が高いのが最大のメリットです。
つまり、地元市役所の公務員や、やはり地元企業の就職では有利です。
ただ、その調子で都内でも通用はしません。
都内ではメリットになるような学歴ではなく、むしろ足を引っ張られるケースがあります。
都内での就職を考えるのか、それとも地元で一生を過ごすのか、その将来のビジョンが、駅弁に進学するのが有利かどうかの判断材料になります。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。