「GMARCH (ジーマーチ)」や「SMART(スマート)」といった言葉、大学受験を考えたことがある人なら、一度は聞いたことがあるかもしれませんね。
これらの言葉は何を意味しているのかというと、受験生に人気の首都圏私立大学の頭文字から作られた言葉で、偏差値や難易度が似た学校を一つのグループにまとめて指したものになります。
今回はGMARCHとSMARTについて詳しく解説します。
それぞれどの大学を指すのか
「GMARCH (ジーマーチ)」は、学習院大学(G)、明治大学(M)、青山学院大学(A)、立教大学(R)、中央大学(C)、法政大学(H)を一つのグループとした言葉、「SMART(スマート)」は、上智大学(S)、明治大学(M)、青山学院大学(A)、立教大学(R)、東京理科大学(T)の5つの大学のことを指しています。
それでは、GMARCHとSMARTを具体的に説明してまいります。
GMARCH(ジーマーチ)とは
「GMARCH (ジーマーチ)」は、学習院大学(G)、明治大学(M)、青山学院大学(A)、立教大学(R)、中央大学(C)、法政大学(H)を一つのグループとした言葉です。
もともとは、学習院大学を除く「MARCH (マーチ)」という言葉が使われていたのですが、いつしかMARCH各大学に偏差値的にも地理的にも近い位置にある学習院大学を加え、「GMARCH (ジーマーチ)」と、ひとくくりにされるようになりました。
首都圏の私立大学の中の最難関ともいえるのが、早稲田大学、慶應義塾大学があげられますが、偏差値的に頭一つ抜けている早稲田大学、慶應義塾大学とGMARCHを区分けする意味もあり、予備校などで受験生の受験対策用語として使われるようになったのが始まりです。
SMART(スマート)とは
「SMART(スマート)」は、GMARCH (ジーマーチ)と同じく首都圏の私立大学を一つのグループにして作られた言葉で、上智大学(S)、明治大学(M)、青山学院大学(A)、立教大学(R)、東京理科大学(T)の5つの大学の頭文字から由来しています。
ちなみになぜ上智大学が「S」なのかというと、上智大学の別名はソフィア(SOPHIA)・ユニバーシティといい、その頭文字の「S」に由来しています。
SOPHIA Univ.という学校名は上智大学を指し、海外では一般的に認知されているのだそうです。
首都圏の私立大学グループであるGMARCH (ジーマーチ)という言葉が使われ始めた当初は、各大学とも難易度的にそれほど大差のない、同じ偏差値帯の大学グループと言える状態でした。
ところがGMARCH (ジーマーチ)の言葉が広く認知されるようなってから数十年経過し、その大学ごとの難易度にも変化が表れ始めるようになりました。
ここ最近、難易度、人気ともに大幅に上昇しているのが明治大学です。
学部によっては、早稲田大学や慶應義塾大学と遜色のない偏差値、難易度となりつつあります。
また、上智大学(S)や青山学院大学(A)、立教大学(R)は同じキリスト教ミッションスクールの大学で、特に女子学生や語学系学部に根強い人気があります。
この4つの大学に、理系の名門大学である東京理科大学(T)を加え、新たに首都圏人気難関大学とカテゴライズされたものを、SMART(スマート)と呼ぶようになりました。
各大学の特徴
漠然と受験や就職などで、何かと同じくくりで語られることが多い「GMARCH (ジーマーチ)」や、「SMART(スマート)」ですが、それぞれの大学ごとに特徴や個性があります。
受験生の皆さんはそれらを理解した上で志望校を考えたり、受験対策をすると良いでしょう。
ここでは各大学について、特徴や難易度などについてご紹介したいと思います。
学習院大学(G)
学習院大学は天皇家や皇族のためにつくられた教育機関が元となっていることは有名で、現在までも皇族の多くの方々がそこで学ばれています。
人文科学系、社会科学系、自然科学系の全てが集結した総合大学であるにもかかわらず、少人数アットホームな雰囲気であることが特徴としてあげられます。
東京都心にある「目白キャンパス」にて5学部17学科、大学院まで全ての学生が学んでいます。
そのため、専門分野の垣根を越えて学べるだけでなく、課外活動などでも学生同士の交流が盛んです。
学習院大学の偏差値は、55.0~60.0です。
法学部、経済学部、国際社会学部は偏差値が60.0、文学部は偏差値57.5~60.0、理学部は偏差値55.0~57.5となっています。
※参考:河合塾 第2回全統記述模試
明治大学(M)
明治大学は1881年に創立され、約140年の歴史を持つ総合大学です。
建学の精神は、「権利自由」「独立自治」。時代の変化や社会の要請を先取りし、自立した「個」を持ちながら他者とも共創できるグローバル人材の育成に力を入れています。
特徴としては、多くのキャンパスを抱え持つ総合大学ながらも、1・2年次から少人数教育に力を入れている点です。
主体的な学びを育むためのゼミナール教育が充実しています。
国際教育も重点を置いており、ネイティブスピーカーによる「外国語教育」や、グローバル人材を育成する「国際化プログラム」などの試みを行っています。
文部科学省スーパーグローバル大学等事業「スーパーグローバル大学創成支援」に明治大学の取り組みが採択されるなど、一定の評価を得ています。
明治大学には都内とその周辺に、あわせて4か所のキャンパスがあります。
法学部・商学部・政治経済学部・文学部・経営学部・情報コミュニケーション学部の3・4年生が通うのが、御茶ノ水にある駿河台キャンパス。
新宿・渋谷まで電車で約10分と、好立地でありながら、郊外の落ち着いた環境にある和泉キャンパスには、法学部・商学部・政治経済学部・文学部・経営学部・情報コミュニケーション学部の1・2年生が通うことになります。
また、理工学部・農学部は、緑豊かな多摩丘陵の高台に位置する生田キャンパスに、国際日本学部・総合数理学部は中野キャンパスにそれぞれの拠点があります。
明治大学の偏差値は57.5~65.0です。
商学部、政治経済学部、経営学部、情報コミュニケーション学部は偏差値が62.5~65.0、文学部は偏差値60.0~65.0、国際日本学部は偏差値62.5、法学部、農学部は偏差値60.0~62.5、理工学部、総合数理学部は偏差値57.5~62.5となっています。
※参考:河合塾 第2回全統記述模試
青山学院大学(A)
青山学院大学は、キリスト教宣教師によって設立された学校をルーツに持つことから、伝統的に外国語教育や外国語研究に力を入れている点が特徴で、全学部で独自の外国語教育プログラムなどを展開しており、国際感覚を養うことができます。
世界各国から多くの留学生を受け入れており、学内での国際交流も盛んです。
キャンパスは2か所あり、国際色豊かな渋谷・表参道エリアの「青山キャンパス」には、人文、社会科学系7学部が拠点としています。
また、「相模原キャンパス」には、国内外トップレベルの研究施設や設備が充実しており、理工、社会情報、地球社会共生、コミュニティ人間科学部の4学部が拠点としています。
どちらのキャンパスでも、学生は4年間を通じ同じキャンパスで学ぶため、年次を超えた交流や、大学・大学院での連携教育や研究がしやすい環境にあります。
クラブ・サークル活動などの課外活動も活発で、豊かなキャンパスライフを謳歌することができます。
キャンパスは二つに分かれていますが、学部・学科の枠を越え、全学部生が共通して学ぶことができる教養科目「青山スタンダード」を導入しているのも特徴です。
この独自のカリキュラムでは、青学生ならではの教養、それぞれの専門分野の基礎力や実社会での課題に取り組む力を身につけることを目的としています。
青山学院大学の偏差値は55.0~67.5です。
文学部は偏差値60.0~67.5、法学部、経営学部、国際政治経済学部、総合文化政策学部は偏差値62.5~65.0、教育人間科学部、経済学部、地球社会共生学部は偏差値62.5、社会情報学部は偏差値60.0~62.5、コミュニティ人間学部は偏差値60.0、理工学部は偏差値55.0~60.0となっています。
※参考:河合塾 第2回全統記述模試
立教大学(R)
立教大学では、開学以来「自由な精神」に基づく教育の実践に力を注いできました。
なかでもその土台となるのが、リベラルアーツです。幅広い分野の教養を身に付けることで、広い視野をもち未来に向けた総合的な判断力を発揮する人物を育成することを目指しています。
また、創立150周年の2024年に向けた国際化戦略「Rikkyo Global 24」を基盤とした構想は、文部科学省「スーパーグローバル大学創成支援(グローバル化索引型)」に採択されました。
アジアの教育・研究をリードし、世界水準のカリキュラムによる将来のグローバルリーダーの輩出を目指しています。
キャンパスは2拠点あり、伝統を感じさせる落ち着いた建物が立ち並ぶ池袋キャンパスには、立教大学のシンボル的存在である、ツタに覆われた赤レンガ造りの本館やタッカーホール、チャペルなどが建ち並び、都会的でありながらも落ち着いた空間を作り出しています。
対照的に郊外に位置する新座キャンパスでは、キャンパス全体が緑にあふれ、広々とした明るく開放的な雰囲気です。
立教大学の偏差値は55.0~65.0です。
異文化コミュニケーション学部、経営学部は偏差値65.0、社会学部は偏差値62.5~65.0、経済学部は偏差値60.0~62.5、文学部、現代心理学部は偏差値57.5~62.5、観光学部は偏差値57.5~60.0、理学部は偏差値57.5、コミュニティ福祉学部は偏差値55.0~57.5となっています。
※参考:河合塾 第2回全統記述模試
中央大学(C)
中央大学では、創立以来、実社会に役立つ「実学」を重視している点が特徴で、伝統的に難関資格試験において多くの合格者を送り出しています。
司法試験(法科大学院進学)、公認会計士試験、日商簿記検定試験、公務員試験、教員採用試験など各種対策講座を開講し、高い目標を持つ学生をサポートしています。
創立当時から、時流に迎合しない批判精神、経験と実際を重んじる学風や、品性の陶冶を重視する全人的教育の理念、そして自由な話し合いによる民主的合議制などは今でも受け継がれている貴重な伝統です。
八王子市にある多摩キャンパスは、文系6学部(法・経済・商・文・総合政策・国際経営)の拠点となっています。
広大な敷地には、教育・研究施設のほか、サークル棟、図書館、屋外・屋内スポーツ施設、難関国家資格をめざす学生のための施設「炎の塔」などが整備されています。
東京ドームを見下ろす高台にある後楽園キャンパスには、理工学部10学科のキャンパスがあり、最新の研究設備のなかで最先端の研究を行っています。
緑の多い閑静な周辺環境で交通アクセスも良いため、夜遅くまで研究に専念することができます。
人と情報が行き交う都心の市ヶ谷田町キャンパスには、国際情報学部があります。
また、2023年度から、多摩キャンパスの法学部が文京区・茗荷谷駅前の新校地に移転予定です。
中央大学の偏差値は55.0~65.0です。
法学部は偏差値57.5~65.0、経済学部、総合政策学部、国際経営学部、国際情報学部は偏差値60.0~62.5、商学部、文学部は偏差値57.5~60.0、理工学部は偏差値55.0~60.0、などとなっています。
※参考:河合塾 第2回全統記述模試
法政大学(H)
法政大学では、国際社会で活躍するために必要な語学力の強化や異文化理解、グローバル実践力の強化などを目的とした、多彩な語学プログラムを展開しているのが特徴です。
また、文部科学省平成26年度スーパーグローバル大学等事業「スーパーグローバル大学創成支援に採択され、日本だからこそなし得る「日本発」サステイナブル教育の確立と発信を通じ、今後日本のグローバル化を牽引する大学を目指しています。
他にも、学生が学生を支援する「ピア(Peer:仲間)・サポート」活動を積極的に行っていて、授業やそれ以外のさまざまな場面にて、学生ならではの視点やアイデア、活力を生かした学生支援活動を実践しています。
現在ではさらにプログラムを充実させ、「ピアネット」という組織に発展しました。
学生スタッフは、プログラムの企画や立案だけでなく、教職員との話し合いや、外部機関との折衝など、主体的に運営を担い、その活動の中でチームワークやコミュニケーション能力を身につけています。
都市型のキャンパス・市ケ谷キャンパスでは、シンボルである超高層の地上27階建て、地下4階建てのボアソナード・タワーや、地上6階・地下2階建てで大きな開口部が特徴的な富士見ゲートなどを再構築中です。
四季の変化に彩られ、豊かな自然と調和した開放的な多摩キャンパスには、経済学部、社会学部、現代福祉学部、スポーツ健康学部、それぞれに学部の専用棟があり、学ぶ内容に沿った施設も充実しています。
閑静で落ち着いた町並みの一角にある小金井キャンパスは、最先端の科学・技術を学ぶ学生が集うIT時代のインテリジェント・キャンパスとして、情報・研究設備が充実しています。
法政大学の偏差値は55.0~65.0です。
グローバル教養学部は偏差値62.5~65.0、国際文化学部は偏差値62.5、経営学部は偏差値60.0~65.0、法学部、キャリアデザイン学部は偏差値60.0~62.5、人間環境学部は偏差値60.0、文学部は偏差値57.5~65.0、経済学部、社会学部、スポーツ健康学部は偏差値57.5~62.5、デザイン工学部は偏差値55.0~62.5、現代福祉学部、理工学部は偏差値55.0~60.0、情報科学部、生命科学部は偏差値55.0~57.5、となっています。
※参考:河合塾 第2回全統記述模試
上智大学(S)
上智大学は、明治44年にキリスト教の世界観に基づき開学されて以来、日本での最高の教育・研究機関としての使命を果たしています。
80か国以上の国からの留学生2000人以上や、多くの外国人教授が在籍しており、まさに東西文化交流のかけ橋としての位置を占めているといえます。
キャンパスのあちこちで、留学生と日本人学生や留学生同士が、談笑するシーンがみられ、日常的に多数の異文化に触れることができます。
上智大学では、世界76か国・地域368の学術交流や、交換留学協定校があります(2020年1月現在)。
また、目的や留学期間の異なるさまざまな留学プログラムを用意しており、例年300人以上の学生を交換留学生として派遣する制度や、夏・春季休暇に2~6週間開催される短期研修講座もあり、国際交流体制が充実しています。
ほとんどの学部学科の学生が、4年間を通じて同じ四谷キャンパスにて学ぶので学生同士の交流も盛んで、学部や学科の垣根を越えて履修できる体制も整っています。
上智大学の偏差値は55.0~67.5です。
文学部、総合グローバル学部は偏差値65.0~67.5、総合人間学部は偏差値57.5~67.5、法学部は偏差値67.5、経済学部、外国語学部は偏差値62.5~67.5、理工学部は偏差値62.5~65.0神学部は偏差値55.0、神学部は偏差値55.0となっています。
※参考:河合塾 第2回全統記述模試
東京理科大学(T)
東京理科大学の前身は、夏目漱石の「坊っちゃん」でも知られる東京物理学校で、明治14年に創設されました。
約380研究室を擁し、私学随一の規模を誇る理工系総合大学です。
高度な教育で知られており、卒業生には2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智氏がいます(大学院修了)。
東京理科大学では、創立当時から「真に実力を身に付けた学生のみを卒業させる」という実力主義の伝統を堅持しています。
その象徴として、指定科目の単位取得をしなければ進級できないという「関門制度」があります。
これは、「専門的な研究を行うためには、しっかりとした基礎知識が必須である」との考えの上、学生を真剣に育てる制度です。
学生を振り落とすための制度ではないので、普段の予習復習等の習慣を身につければ過度に心配するものではありません。
ほかにも多様なカリキュラムや制度などがあり、最適な学びが実現できる環境のなかで研究力の高い教員が学生に懇切丁寧な教育を行っているのが特徴です。
このように、基礎学力と実力主義を重視した学びで「真の実力」を身に付けた学生は、社会からも高い評価を受けています。
2020年の実就職率ランキングでは全国1位となり、卒業生たちの高い実力が認められています(卒業生3,000人以上の大学・大学院生含む 2020年大学通信調べ)。
東京理科大学生により制作されている、学生の「リアルな今」が詰まったキャンパスマガジン「RikaRika WEB 」は、理科大のおもしろさを学生目線で発見、表現したWEBサイトです。
充実したキャンパスライフが伝わってくる内容になっています。
東京理科大学の偏差値は45.0~62.5です。
理学部第一部、工学部、薬学部は偏差値57.5~62.5、経営学部は偏差値57.5~60.0、理工学部は偏差値55.0~62.5、先進工学部は偏差値55.0~60.0、理科部第二部は偏差値45.0となっています。
まとめ
「GMARCH (ジーマーチ)」「SMART(スマート)」の各大学の特徴について、簡単ではありますが今回ご紹介しました。
首都圏にあり、有名難関大学ということで「GMARCH (ジーマーチ)」「SMART(スマート)」と一つのグループでまとめられていますが、それぞれの大学ごとに個性があるということがおわかりいただけたでしょうか。
学内や学生の雰囲気、重視している点、学びの姿勢、創立時の建学の理念に基づいた伝統などをしっかりと理解したうえで、自分の考えや将来の目標、学びたいことと志望校の特徴を照らし合わせてみる作業は、志望校選びにはとても重要かもしれません。
偏差値や知名度だけで志望校を決定するのではなく、各大学や学部の特徴を十分に研究し理解したうえで、未来に向けた大切な進路を熟考してみてください。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。