大学進学を目指す道内受験生のうち、偏差値60前後の人は、志望大学の選定に悩むでしょう。
ちょうどそのレベルの大学が、道内にないからです。
ただ東京には、その偏差値にぴったりの大学があります。
日東駒専と大東亜帝国です。
道内受験生がこの9私大に挑戦する意義を考えてみましょう。
※早慶(早稲田と慶應義塾)については以下の記事を参考にどうぞ。
偏差値60前後は悩ましい
9の私大は次のとおりです。
- 日東駒専:日本大、東洋、駒沢大学、専修大
- 大東亜帝国:大東文化大、東海大、亜細亜大、帝京大、国士舘大
これらの大学は偏差値60前後の受験生なら十分射程内に入りますが、札幌駅から東京駅まで1,000キロ以上あります。
大学に合格したら、長距離引っ越し、一人暮らし、高額な生活費が必要になります。
日東駒専・大東亜帝国レベルの道内受験生は、次の3つの悩み抱えることになるでしょう。
- 道内私大に物足りなさを感じる
- 「そうまでして行く価値」を明確にしづらい
- 小樽商大と帯広畜産大には「国立の壁」があって挑戦しづらい
ひとつずつみていきましょう。
道内私大に物足りなさを感じる
リサーチ会社によると、道内私大の偏差値は大体40台から50台後半に位置します。
道内私大で偏差値60以上をマークしているのは、北海道医療大(医療技術)60、東京理科大(基礎工)67、酪農学園大(獣医学群)70、天使大(看護栄養)61です。
これらを除くと、北星学園大(文学)58、北海学園大(人文と法学)56、東海大(生物)57、東京農大(生物産業)56などとなっています。
道内私大はこうした偏差値になっているので道内受験生が偏差値60を超え始めると、そろそろ「道内私大ではない大学に行きたい」と考えるようになるでしょう。
道内私大の教育レベルが低いというわけではないのですが、受験生はどうしても大学のブランドが気になります。
そして、偏差値は苦しい受験勉強に耐えてきた「果実」でもあるので、それを有効活用して「名の知れた大学」に入りたいと考えるのは当然です。
そのように考えていくと、50台後半から60台中盤で名の知れた日東駒専・大東亜帝国が魅力的に映ってきます。
しかし道内受験生が日東駒専・大東亜帝国に挑戦するには、次の課題があります。
「そうまでして行く価値」を明確にしづらい
日東駒専・大東亜帝国は全国的に名が知れた大学なので、偏差値の有効活用としてはよい志望先といえます。
しかし私大のブランド力でいうと、早稲田大・慶応大や上智大・東京理科大はもちろんのこと、MARCH(明治、青山、立教、中央、法政)と比較しても見劣り感は否めません。
もちろんここでいう見劣りも教育内容の優劣をいっているのではなく、一般世間的なブランド力の優劣のことをいっています。
そしてMARCHと日東駒専・大東亜帝国の間にも、成蹊大、学習院大、武蔵台、日本女子大、明治学院大、津田塾大、東京農業大などがあります。
そのように考えると、道内の受験生が、道内私大を蹴ってまで日東駒専・大東亜帝国に行く意義があるのか、という疑問がわきます。
ブランドで大学を選ぶことは、問題ないでしょう。
むしろよいことといえるでしょう。
なぜなら日本人は出身大学をとても気にする国民性なので、大学の教育水準や研究レベルより、有名かどうかが注目されるからです。
同じ偏差値であれば、知名度の高い大学を出たほうが社会人生活をスムーズに進めることができます。
ブランドで志望大学を選ぼうとすると、周囲の評価が気になるのは人の情です。
他人の目が気になる人にとっては、日東駒専・大東亜帝国は「微妙なライン」と言わざるを得ません。
例えば、道内高3生が大東文化大に合格し、同級生が明治大に合格したとします。
そして友人たちが2人の東京進出を祝ってくれることになりました。
そのパーティでは、明治大学に合格した友人は「明治大に合格するとはすごいな」と言われるでしょう。
ところが大東文化大の場合、大学受験に興味がない友人は大学名を知らないかもしれません。
受験生にとって日東駒専・大東亜帝国は簡単に入ることができない大学ですが、道内の一般の人の知名度は高くないことを覚悟しなければなりません。
そうなると「そうまでして行く価値」をみつけにくくなるでしょう。
小樽商大と帯広畜産大には「国立の壁」があって挑戦しづらい
小樽商科大の偏差値は58、北海道教育大札幌校は57、帯広畜産大は55と、偏差値60がみえている道内受験生であれば、十分射程内になります。
小樽商科大と帯広畜産大は、知名度こそ高くありませんが、実は「業界」では意外にブランド化されています。
北海道教育大も、北海道内で教員になるのであればしっかり評価されます。
道内私大入試をゆうゆうクリアでき、日東駒専・大東亜帝国に「そうまでして行く価値」を見出せない道内受験生であれば、この3大学は挑戦のし甲斐があります。
しかしこの3大学には「国立大の壁」があります。
国立大は受験科目が多く、これまで道内私大を志望していた受験生は、新たな分野の学習に挑戦しなければなりません。
かろうじて偏差値60に到達した受験生が勉強科目を増やすと、これまで好調だった科目の偏差値が下がってしまう可能性があります。
私大一本で勉強しているライバルは入試の前日まで、少ない科目を磨き上げていくからです。
小樽商大、北海道教育大札幌校、帯広畜産大を追ったばかりに、道内私大すら危うい状態になる可能性があります。
私大から国立大への移行は、偏差値が同レベルであってもリスクが高い挑戦です。
このように偏差値60近辺の私大志向の道内受験生は、志望大学の選定において悩ましい立場に置かれることになります。
日東駒専と大東亜帝国とは
日東駒専と大東亜帝国について概観していきましょう。
偏差値は
日東駒専・大東亜帝国の偏差値は次のとおりです。
65:東洋大(国際観光)、東洋大(国際)、日本大(法)
64:駒澤大(文)、駒澤大(法)、駒澤大(経済)、駒澤大(グローバル・メディア・スタディ)、専修大(法)、東洋大(文)
63:駒澤大(経営)、東洋大(経済)、東洋大(経営)、日本大(経済)、日本大(商)、日本大(文理)
62:国士舘大(政経)、東洋大(法)、東洋大(社会)
61:日本大(国際関係)
60:専修大(国際コミュニケーション)、東洋大(ライフデザイン–健康スポーツ)、日本大(危機管理)
59:帝京大(教育)、東海大(観光)
58:亜細亜大(国際関係)、国士舘大(経営)、日本大(スポーツ科)
57:国士舘大(文)、国士舘大(21世紀アジア)、帝京大(文)、東海大(教養–国際)、日本大(芸術)
56:大東文化大(経営)、東洋大(経営イブニング)、東洋大(ライフデザイン–人間環境デザイン)
55:亜細亜大(法)、亜細亜大(経済)、駒澤大(仏教)、大東文化大(文)、大東文化大(法)、大東文化大(経済)、大東文化大(社会)、帝京大(外国語)、東洋大(経済イブニング)
54:亜細亜大(経営)、国士舘大(法)、国士舘大(体育)、帝京大(法)、帝京大(経済)、東洋大(文イブニング)、東洋大(法イブニング)、東洋大(社会イブニング)、東洋大(国際イブニング)、日本大(法二)
53:亜細亜大(都市創造)、駒澤大(法フレックスB)、大東文化大(外国語)
63:日本大(薬)、法政大(情報科)
62:日本大(歯)、日本大(生物資源科)
61:日本大(理工)
60:駒澤大(医療健康科)帝京大(薬)
59:日本大(松戸歯)
57:帝京平成大(健康メディカル)、帝京大(医療技術)、東洋大(情報連携–情報連携)
55:国士舘大(理工)
52:日本大(工)、日本大(生産工)
51:東海大(情報通信)
※2019/9/27調査当時の偏差値です。
ブランド狙いで低偏差値学部を受ける是非について
日東駒専・大東亜帝国の文系学部の最高65と最低53の差は12でした。
理系学部の最高63と最低51の差も12でした。
例えば偏差値60に12を足した72には、文系なら青山学院大(総合文化政策)、上智大(文)、明治大(政治経済)などが並びます。
理系の72には慶応義塾大(薬)、日本大(医)、早稲田大(基幹理工)と、早慶や医学部が入ってきます。
偏差値12差は「相当大きい」といえ、上中下の3レベルがあるイメージです。
日東駒専・大東亜帝国のなかだけで12差もあると、学部にこだわりがなく、「道内私大より日東駒専・大東亜帝国のほうがブランド力が高い」と感じている道内受験生は、日東駒専・大東亜帝国の低偏差値学部を狙いたくなるかもしれません。
低偏差値学部であれば、勉強量を減らしながら日東駒専・大東亜帝国ブランドを手に入れることができます。
しかし学部にこだわらない受験はおすすめしません。
文系ならせめて「法律政治系または経済ビジネス系」はわけて考えましょう。
理系なら「工学または理学」くらいはこだわってください。
大学で興味のない領域を学ぶことはむなしいからです。
ブランドで大学を選んでも問題ないと思いますが、偏差値だけで学部を選ぶことは考え直したほうがいいでしょう。
「道内受験生は道内私大がベター」という考え方について
ここまでの考察でいえることは、道内受験生が、日東駒専・大東亜帝国に合格できるレベルまで偏差値が上がったとしても、MARCHに届かないのであれば道内私大のほうがよい、ということではないでしょうか。
「東京コスト」を考えると、日東駒専・大東亜帝国は割高な印象があります。
ただ、次の条件に当てはまる場合、道内受験生が日東駒専・大東亜帝国を狙う価値は十分あると考えます。
「道内受験生でも日東駒専・大東亜帝国がよい」という考え方について
大学を卒業したら東京で働きたいと考えている道内受験生は、日東駒専・大東亜帝国を狙えるのであれば、挑戦したほうがいいでしょう。
就職するまで北海道を出たことがない道民が、いきなり東京のビジネスシーンで働き始めると「のんびりしている」と評価されてしまうかもしれません。
道内の競争は、東京ほど激しくないからです。
ビジネスでは常に、人より前に出ることが求められます。
「のんびり」という評価は、社会人としては決して小さくないハンデです。
日東駒専・大東亜帝国に入れば大学時代に東京の荒波に揉まれることになります。
それは東京で働く練習になるでしょう。
東京で大学時代を過ごせば、世界最高峰のビジネスと文化に触れることができますし、土地勘を養うこともできます。
美味しい飲食店や遊びスポットの情報も、地味な知識ながら仕事に役立ちます。
そして道民にとって最大の難関である東京の夏の暑さに慣れることができます。
日東駒専・大東亜帝国の東京での知名度は、道内での知名度よりはるかに高いので、ブランド・マインドを満たすことができます。
室蘭工大と北見工大は意外に狙い目
道内の理系受験生が、道内私大か日東駒専・大東亜帝国かで悩んだら、室蘭工大か北見工大を検討してみてはいかがでしょうか。
室蘭工大の偏差値は50、北見工大は49、室蘭工大の夜間は47です。
ここまで低いと「国立大の壁」もかなり低く薄くなります。
理系私大狙いの受験生が偏差値60をマークしてれば、その壁を超えることは難しくないはずです。
室蘭工大と北見工大は、社会的には「地方の国立大」とくくられるので、それなりのブランド力を持ちます。
私大よりは授業料が安いことも魅力です。
まとめ~メリットの価値をしっかり測ろう
道内受験生が日東駒専・大東亜帝国に入るメリットは「特殊」といっていいでしょう。
早慶やMARCHなら、周囲の人は強く「頑張ってきなさい」と応援してくれるでしょう。
しかし道内受験生が「日東駒専・大東亜帝国を狙っている」というと、保護者などから「なぜ道内私大ではだめなのか」と質問されるかもしれません。
ただ、東京に強い憧れを持っている道内受験生であれば、日東駒専・大東亜帝国はとてもよい選択肢になり得ます。
日東駒専・大東亜帝国に入るメリットが自分にマッチしているかどうか、今一度検証してみてください。
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この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。