PTA活動とは?【やめたい】と思ったらやめられるの?

PTA活動とは?
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今回は保護者の皆さんにとって頭を抱える問題であるPTAについてです。
どの学校でも当たり前のように存在するPTAと呼ばれる団体。
学校の内部事情のようで活動内容やPTAの学校内での立ち位置そのものが分からない保護者の方も多く居られます。
そこでPTAについての情報を記事にすることにしました。
中にはPTAが負担で今すぐにでも辞めたいと考えている保護者の方も居られると思いますので参考にして頂ければと思います。

PTAについて

まずはPTAについての解説を行います。
PTAとはParent-Teacher Association (保護者と教員のための組織) が正式名称です。
その名の通り会員は教員と保護者のみで構成され、通常年度初めに役職が振り分けられます。
希望者が居ない場合はくじ引きやじゃんけん等の方法で役職が決められ、決定に対する拒否は不可能である場合が多いです。

元々はアメリカの制度

アメリカと日本PTAという制度は1890年代後半のアメリカで成立しました。
当時参政権のなかった女性2名によるスタートで児童福祉などの整備や助言などの活動を行っています。
加入は任意で会費を徴収される事は日本と変わりません。
日本の
PTAにあたるものはPTO (Parent-Teacher Organization)と呼ばれており、PTOは学校単位で活動しています。
アメリカにおける
PTAはもう少し活動範囲が広がり学区、州、国と数段ごとの階層的構造になっている大きな団体となっています。
日本の
PTA制度よりも発達し、また巨大な存在であることがわかります。

アメリカのPTA制度を日本に輸入しようと考えたのは大戦後、GHQによる統治時代の事です。
GHQの視察団が導入を積極的に呼びかけ、全国の学校にPTAが普及した経緯をもちます。
ちなみに当時は父母と先生の会とも呼ばれていました。
戦前の軍国主義から民主主義への転換を図る際、身近なシーンで民主的な要素を取り入れようとしたものと考えられています。
その後の日本では地域の見守りをPTAと連携したり、学校行事の運営を共同で行ったりと、現在の日本の教育現場では不可欠な存在となっています。

また現代では開かれた学校づくりの一環としてPTAとの連携が行われています。
PTAと協力し学校の設備を開放したり、地域のイベントを学校で開催したりとなるべく学校をオープンな場所にしようという試みがあります。
このように学校とPTAは現代の学校制度には無くてはならない存在となりました。

日本のPTAとアメリカのPTAの違い

疑問と理解アメリカではPTAの制度が発達しており、現在は州や国単位でPTAが結成されています。
当然学校単位でのPTAも結成されていますが、こちらはPTOとされる場合が多いようです。
対する日本では学校ごとにPTAが設置されている事しか知られていません。
実は学区ごと、地域ごとに連合PTAと呼ばれる団体が結成されていますがPTA役員でも無い限り知ることは無いでしょう。

そもそもアメリカでPTAが発達した経緯に関してですが、これは自発的なボランティア精神によるものです。
アメリカのPTAは様々な活動をしており、番組やゲームのレーティング(年齢制限)や各種コンテストなど子どもの成長に関わる実に様々な事を行っています。
また日本のPTAと違うところは保護者が最も輝けるポジションで活動しているという事です。
絵が得意であれば芸術指導を行ったり、図書の整理を行ったりという風に「出来る範囲でやる」という事が徹底されています。
日本では大量のPTA業務を少人数の保護者で請け負う事から、問題となったり不満の声が上がったりしています。

そもそもアメリカはキリスト教徒の国でボランティア精神が盛んな国民性を持ちます。
誰かが困っていたら喜んで手を差し伸べる聖書の教えを守っているため、任意であっても積極的に参加するようになります。
対する日本は五人組を敷いていた時代からも分かるように連帯感を重視します。
和を乱さないように右へ倣う事で円滑に物事を進めようとする考え方が受け継がれて現代に至ります。
その中で「PTAを拒否できない」という空気感が生まれるのでしょう。
ただしこれは日本人の欠点ではなく、単なる文化である事を同時にお伝えしておきます。
良くも悪くも連帯意識が強い国民性であるという事に過ぎません。

加入は原則任意

制服を着た女子高生アメリカでPTAが誕生した経緯からもお分かり頂ける様に、加入は原則任意です。
都市部では完全任意である事がほとんどですが、地方の自治体によっては未だ「ほぼ強制加入」という地域も存在します。

そもそもPTAは法律や憲法で定められている団体ではなく、慣例的に生き残ってきた団体です。
つまり部活動やサークルと
(法令上は)同じレベルの団体という事です。
これは日本国憲法で保証されている結社の自由に該当し、つまり
PTAは任意加入の団体である事がお分かり頂けるかと思います。
社会教育法における社会教育関係団体に相当するとの見方もありますが、どちらにせよ社会教育法では
PTAは自主性による加入・運営とされています。

またPTAに加入しない家庭の生徒に不利益を与えることも禁止されており、日本が批准している子どもの権利条約第二条には親の地位や活動によって子どもを差別してはならないと明記されています。
集団登校班を外される、行事に参加させない等の行為は全て上記の条約を根拠に主張が可能です。
なお条約は憲法の下位、法律の上位であるとの見方が強いことも知っておくと便利です。

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PTAに加入するメリットとデメリット

世論では悪いイメージしかつかないPTAですが、加入する事のメリットはあります。
個人的な感性に頼る部分ではありますが、参考までにご確認頂ければと思います。

メリットは地域と触れ合う機会が増えること

歩く人々子どもが通っている学校地域の社会と触れ合う事が出来るのはPTAのメリットと言えます。
特に最近では開かれた学校運動の関係上、
BBQ大会など学校関係者との交流イベントが盛んであるため近所付き合いには最も手っ取り早い方法となります。
イベントの運営に携わることが好きな方やボランティアに積極的な方にとっては嬉しい制度です。

他の家庭の保護者と仲の良い関係を築き上げておくと、子育ての相談やママ会が開きやすくなり人脈づくりに便利です。
保護者同士のコミュニティはご近所さんでも無い限りそうそう生まれるものではありません。
学区内でも少し離れている地域の保護者と仲良くなれば、学区内でより子どもを認知してもらえる可能性が高まりますし、有事の際は自宅まで送り届けてあげると名乗り出る親切な方と出会うこともできるでしょう。
学校の教員とも仲良くなれるため、より詳細に我が子の様子を知ることが出来たり、教員の性格、職員間の雰囲気なども把握できます。
もし皆さんが教育熱心を自負しているのであればPTAに参加するとメリットが大きいです。
実際PTAが盛んなアメリカでは教育熱心な家庭ほどPTAの加入率が高いと言われています。

加えてここ数年、子どもは地域で育てるものという見方が強まってきています。
部活動を民間のクラブチームに外注化したり、ボランティアを募るなどの動きは都市部を中心に見られるようになっています。
負担が大きいことに限らず、協力できる事は強力したいものです。

デメリットは負担が大きい事と組織が複雑であること

腕を組む女性現状ではPTA役員の負担が大きすぎるというデメリットがあります。
PTA発祥の地アメリカでは保護者個人が出来ることから気軽に参加することが出来るという良さがありましたが、日本のPTAでは組織化が必要以上に強く少人数で多くの仕事を受け持つことになっています。
そのため役員一人ひとりの負担が大変大きく、PTA活動のために退職を余儀なくされる「PTA退職」を余儀なくされるケースもあります。
また連帯意識の強い日本人の性格が悪く作用して「あの人はずるい」「私の時代からこのルールだから」と同調圧力を掛けられる事も少なくありません。
法より空気という雰囲気がまだ残っている日本では肩身の狭さを感じることもあるでしょう。
ただし若い保護者を中心に合理的な行動をする動きも出始めているので、日本のPTA制度にも全面改革が来るかもしれません。

PTA役員を拒否すると起こりうること

上記ではPTAに加入した場合のメリットとデメリットです。
それではPTA役員を拒否したり脱会するとどのような事が起こりうるのでしょうか。
メリットは言わずもがなPTAの業務を行わなくても良いこと、年会費を節約できることです。
デメリットは理論上はありません。
PTA役員を拒否したからと言って罰則があるわけではありませんが、別の問題が生じてきます。

思い込み子どもが不利益を被ってしまう可能性が挙げられます。
集団登校の班に入れてもらえなかったりPTA会費で賄われる行事への参加を拒否される事が可能性としてありえます。
また他のPTA会員から「あそこの子はPTAに入っていないから悪いおうちだよ」と子どもを利用していじめに発展するケースも考えられます。
子どもは親の言っている事を信じてしまい、知らず識らずのうちにいじめに加担してしまっているという事もありえない話ではありません。
なお付け加えておくとPTAの会費を払わない、入会をしない場合でも学校側はすべての生徒が同じ恩恵を受けられる前提で行動すべきだとされています。
具体的には別途実費を徴収するなどの対策を講じなければなりません。

付け加えておきますが、PTAの会員でかつ役員決めの際に決定された事項は基本的に覆ることはありません。
会員である以上、役員を引き受けなければならない立場にありますし、特別な事情がない限りは役員を引き受けて役目を全うする必要があります。
役員にならなくても良い方法はPTAに加入しない事のみですので、トラブルにならないように注意する必要があります。

以下ではPTAに関する裁判についてをご紹介します。
実際に起った事例を基に紹介していますので御覧ください。

PTAをめぐる裁判について

判決2016年に大阪府堺市で実施された私立中学校の卒業生が卒業飾りのコサージュをもらえなかったとして裁判を起こしました。
私立学校では
PTAという名称を用いることはせず保護者会と名乗っていますが、実態はほとんどPTAと変わりません。
原告の保護者は保護者会を脱退こそしましたが、コサージュなどの実費は支払うと申し出ていましたが、保護者会はそれを拒否したとの事です。
朝日新聞の取材に対し文部科学省は「保護者会は管轄外であるものの、子どもに不平等が起こることは好ましくない」とコメントしています。
尚、この裁判では「保護者会に加入しなかったという事は、保護者会の恩恵を受けられないということを承知の上で行った」と原告の主張は認められず、請求は棄却される事になりました。

また熊本県でもPTAに強制入会させられ退会届も受理されなかったとして2017年に裁判が起きています。
この事件に関しては和解が済んでおり、またこの裁判を受けてからようやく全国各地のPTAにて入退会規則が作成されるようになりました。

裁判になっていないケースではTwitterやYahoo!知恵袋上で「小競り合い」があったという投稿も目立ちました。
裁判には発展しなかったものの、他の役員に不満や迷惑を掛けているものが大半です。
役員に決まったものの、承諾書を提出しなかったり月例会議に出席しないなど、実態はゴネ得である場合が殆どのようです。
褒められたものではありませんが、このようにしてPTAの役員を逃れようとする手口があるという事も知っておくと良いでしょう。
ただしこのような無責任な行動は許される行為では無いことも同時に知っておきましょう。

代表的な裁判は以上のものが挙げられますが、これを機にPTA制度のスリム化が進んだり積極的に入会しない選択肢を取る保護者が増えました。
札幌市立札苗小学校ではPTAを解体し、強制要素をなくしたボランティア組織に改革をした事例も見られるなど保護者とPTAの間にある軋轢は改善しつつあります。

※参考1:毎日新聞アーカイブ『堺・私立中「保護者会退会で娘が疎外」父、賠償求め提訴』

※参考2:NEWSポストセブン『PTA不要論に現役会長「退会者のタダ飯感覚は理解できない」』

※参考3:Yahoo!ニュース「強制をやめても大丈夫? PTA改革から5年、その後見えてきた課題とは」

PTAを辞めたい時に行う事

これまで申し上げたとおりPTAは完全なる任意加入団体です。
保護者が入りたくないと言えば入会する必要はありませんし、参加したいのであれば加入届を提出すれば良いだけの話です。
しかし現状では改革がなされていないPTAもあり、入会拒否や退会には非常に手間が掛かる場合もあります。
そのためPTA退会の手引を作成しました。

校長かPTA会長に直接退会を申し出る

校長こちらが最も手っ取り早い方法です。
校長かPTA会長に直接退会を申し出る方法です。
ただし口頭で申し出るだけでなく文書も持参しましょう。
表題は退会届とし、PTAを退会する旨や保護者氏名、子どもの学年などを記載し、文書を作成した日付、捺印があれば宜しいかと思われます。
またパソコンなどで作成する必要はなく、用紙の様式もありません。
インクの消えないボールペンで作成すれば良いです。
ただし様式が無いからと言ってチラシの裏にピンクのボールペンのような事は避けましょう。

近年都市部の学校を中心に退会届はすんなりと受理される傾向にありますが、学校によっては引き止めがある場合もあります。
そのような場合にもやりたくなければ辞めると伝えましょう。
前例が無いなどの理由をつけられてどうしても受理されない場合は学校の校長宛に内容証明郵便で送付すれば宜しいです。
それでも音沙汰が無い場合は教育委員会に連絡することになります。

不利益を盾に脅されたら

ボイスレコーダーPTAを脱会したら卒業式のコサージュを受け取れなくなる」裁判の例で取り扱った内容ですが、事前に告知してくれるのであれば優しい方です。
不当な扱いを防ぐためにボイスレコーダーを忍ばせておくと良いでしょう。
スマートフォンの録音アプリでも構いません。
これほど情報が世の中に出回っている時代ですので、記録を残されると困るという事は相手方も知っているはずです。

それを逆手に取って「退会によって被る不利益を記載した文書を発行して下さい」と掛け合ってみると良いでしょう。
子どもの差別は冒頭でもお話したとおり「子どもの権利条約」で禁止されておりますので、文書を受け取ることが出来た場合はコピーを教育委員会に提出し対応を仰ぐことになります。
校長はPTAの会員であり学校の長でもありますので責任を持った対応を行って頂けます。

折衷案としては寄付という形で会費を納入する、可能な範囲で手伝いをする等決して敵対せず、穏便に済ませることの出来る方法が宜しいかと思われます。
仲が良いことに越したことはありませんので、多少の負担は覚悟した上で協力できることはするという意思表示を行うことがギスギスした関係を避けるポイントです。

どうしようもない場合は教育委員会に働きかける

教育委員会実際のところはここまでする必要が無いくらい退会届はあっさりと受理されるものですが、進展がない場合は管轄の教育委員会に連絡します。
どの教育委員会に連絡すれば良いかについてですが、子どもの通っている学校の名前を見れば分かります。
例えば子どもが札幌市立はまなす小学校に通っていた場合は札幌市教育委員会に、帯広市立しらかば中学校に通っているのであれば帯広市教育委員会にと言った具合です。
〇〇市立の部分に書かれている自治体の教育委員会に相談しましょう。

「うちの子どもが通っている小学校が退会届を受理してくれない。教育委員会を通して校長に対応してほしい」旨を伝えると教育委員会は必ず行動してくれます。
また要望があるのであれば同時に伝えることが好ましいでしょう。
PTA退会に関しての個人ブログ記事は数多く見つかります。
段取り良く事を進めている保護者のブログも散見されますので参考にして下さい。

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最後に

近年は個人の意見を尊重する風潮が強いためか、従来からの会員とPTAを巡るトラブルが頻発しているようです。
中には役員に任命されたものの、連絡や行事を無視する猛者もいるようです。
PTAは原則加入は任意ですが、加入した上で役員に任命された以上は責任を持って一年間の任期を過ごさなければなりません。
ただしPTAから脱会する事で役員の打診は来なくなります。
その場合はPTA会費を寄付という形で収めたり、PTA予算から捻出される物品については実費負担をする事になります。

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この記事を監修した人

チーム個別指導塾
「大成会」代表
池端 祐次

2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。


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公開日:2020年3月10日 更新日:2024年2月28日
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