みなさん英語は得意ですか?
英語は、現代のグローバル社会には欠かせないツールとして習得すべき科目であり、大学生になると英語の他に、第二外国語としてもう一つ語学を履修することになります。
これは、実社会での必要性というよりは、むしろ教養として学ぶといった意義のほうが大きいですが、今回のコラムでは…
- 英語以外にはどんな言語が世界で使われているのか
- 日本人にとって覚えやすい言語は何か
- 将来役に立ちそうな言語は何か
…ということについてご紹介したいと思います。
大学での第二外国語履修の時や、新しく語学を始める際の参考になれば幸いです。
日本人は英語を習得しづらい?
英語は、日本に住む誰もが学校で一度は学ぶ言語です。
今現在、英語学習で苦労している人も多いかもしれませんね。
英語は世界的に見ても、取得しやすい部類の言語といわれています。
日本語に比べて語彙も少なく、文法構造もそれほど複雑でないにもかかわらず、日本人の私たちにとっては、お世辞にも簡単に習得できる言語とはいいがたいのはなぜでしょうか。
ある調査機関によると、日本人が英語をゼロから学ぶ際に、初級レベルに到達する時間は、約500時間が必要であるという調査結果が出ています。
ここでの初級レベルとは、最低限の日常会話や社交上のコミュニケーションができるレベル。
プロの語学講師による適切な指導と、本人の高いモチベーションがあり、効果的な自己学習が可能であった場合に限ります。
ところが、同じ初級レベルの習得時間でも、韓国語やインドネシア語では、約250時間で済むと言われています。
これは、英語習得時間に比べると、約半分以下ということになります。
同じ「言語」であるにもかかわらず、この違いは一体何が原因なのでしょうか。
発音が表記通りではない
日本人が英語を苦手とする理由の一つに、「発音」があげられます。
みなさんも英語を勉強していて、同じアルファベットの文字なのに、発音がいくつもあることに苦労させられたのではないでしょうか。
英語は、もとは現在のイギリスで生まれた言語です。
しかし、イギリスは過去にローマ帝国やフランスなどの国に支配されたことがあるため、そのたびに別の国の、さまざまな言葉が使われていました。
諸説ありますが、現在の英語の発音の中で、もともとの英語の発音を保っているといわれるのは、4分の1程度。
あとの残りはフランス語などのラテン系や、ギリシャ系言語の発音に由来しているようです。
そのため、英単語を表記するときに使用されるアルファベットは、表音文字であるにもかかわらず、表記通りの発音にならないことが多くあるのが特徴です。
例えば、「a」という母音一つ取り上げても、複数の発音方法がありますね。
ラテン語など他のヨーロッパの言語は、ほぼルール通りの発音なので、表記どおりに読みます。
ところが英語はイレギュラーな発音が多く、これが英語学習のハードルの一つとなるようです。
文法構造の違い
英語の文法構造は、動詞が先に来るSVO(主語・動詞・目的語)型、それに対し日本語は、動詞が最後に来るSOV(主語・目的語・動詞)型です。
さらには、名詞や動詞を形容する言葉が先に来るか、後に繋げるか、また、否定や疑問を文章のどの位置で示すか、といった構造も英語と日本語では異なります。
日本語も含め、多くの言語では、基本的な語順は存在するものの、単語の順序は比較的自由に入れ替えることができます。
日本語やロシア語などでは、主語、目的語、副詞の順序を入れ替えたとしても、全く同じ内容の文章を作ることができます。
それに比べると、英語は語順に関してはとても厳密です。
ちなみに、韓国語は日本語とほぼ同じ語順で、トルコ語もかなり日本語と近い語順であると言われています。
この語順の違いというのは、かなり大きな違いで、日本人が英語を流暢に使いこなせない、最大の原因にあたるのではないかと考えられます。
語順は、人間の思考回路を反映していて、ものの考え方に大きな影響を与えます。
語順が異なると、考える順序も変わってくるので、慣れるまではとても大変です。
英会話では、言葉を言葉のまま理解して受け取り、操ることが大切です。
相手の話す言葉の順番どおりに意味を飲み込まなければ、理解が追いつなくなります。
いちいち英語から日本語に翻訳しながらでは会話が成り立ちません。
また、話すときにも文法がめちゃくちゃになってしまいがちです。
英会話では、英語は英語のまま理解する英語脳が大切、と言われるのはそのためです。
話すスピードが速い
日本語では、1分間の通常の会話の中で120単語程度を使っています。
ところが、英語はその1.5倍くらいの単語を使っているといわれており、そのため、日本人にとって英語は話すスピードが早いと感じてしまうようです。
また英語では、一つの単語が持っている「音素」が圧倒的に多いということが言えます。
たとえば、日本語で「人格」ならば3つの音素を持っています。
それが英語になると、パー/ソ/ナ/リ/ティと5つの音素が必要で、同じ情報を伝える際には、それだけ早く話す必要があるのです。
日本人が英語のリスニングやスピーキングを苦手と感じるのは、普段は使わない能力を求められるからではないでしょうか。
日本人が習得しやすい言語
英語が日本人にとって、ややハードルが高い言語であることは先述した通りです。
それでは日本人にとって、比較的習得しやすい言語は何があるでしょうか。
言語学研究では、習得難易度別に様々な言語を4段階のランクに分けています。
そのなかでも、日本人にとっての習得難易度ランキングとしては、以下のようになるようです。
グループ1 易しい韓国語 インドネシア語 スワヒリ語 マレーシア
グループ2 比較的易しいトルコ語 スペイン語 中国語 ベトナム語 ポルトガル
グループ3 比較的難しい英語 フランス語 ドイツ語 タイ語 ギリシャ語 ハンガリー
グループ4 難しいロシア語 ポーランド語 ヒンディー語 アラビア語 チェコ
ここからいえることは、ヨーロッパ系の言葉は全体的に難しく、なかでも特に難しいのは、ロシア語などのスラブ系言語ということが言えます。
しかしながら、同じヨーロッパ系の言語の中でも、スペイン語は比較的習得しやすいようです。
同じ漢字を使用する言語の、中国語、韓国語は、類似する語彙も多いので、習得がしやすいといえます。
古く中国から言葉を輸入していた韓国語は、日本語と同じような音の単語が多く存在します。
また、音こそ現代ではかなり違いがあるものの、中国語と日本語は、文字としてはほとんど同じです。
日本人ならば、学習しなくても理解できる言葉が多くあります。
また、語順が同じであるトルコ語、韓国語や、文法が易しいインドネシア語も日本人が習得しやすい言語のようです。
一方、外国人からみて日本語が難しいとされる理由が、その文字の多さにあります。
常用される漢字だけでも何千種類もの数になります。
それらをすべて覚えなければならないということは、非漢字圏の国にとっては至難の業のようです。
逆にいうと日本人は、外国語習得の際に文字で苦戦するということは、ほとんどないといえます。
どんな言語の文字でも覚えられるでしょう。
英語で使うアルファベットは26種類、大文字小文字をあわせても52種類です。
ギリシャ文字やヒンディー文字などでも、アルファベットはたったの数十種類、一番難しいとされるアラビア語でさえも真面目に取り組めば、覚えられない数ではありません。
学校に通う間、膨大な数の新しい漢字を覚える訓練を積んできているため、日本人は、新しい文字を習うのには、かなりのアドバンテージを持っているといえますね。
将来のために、今後注目すべき言語は?
これからの将来を考えた時に、英語が必須言語であることは疑いのない事実ですが、英語以外で、注目すべき言語があるとすれば、何があるでしょうか。
様々な言語が考えられますが、ここでは、世界の言語話者人口に注目してみたいと思います。
その言語を使用する人口が少なければ、いくら言語を習得しても、活躍する機会がなく終わってしまいます。
逆に、その言語を使う人が世界で多いほど、活躍の幅が広がります。
今後も多くの人々によって、世界中で使い続けられる言語は何でしょうか。
こうした観点から見ると、いくつかの候補が上がります。
さらに、それらのなかから大学の語学の授業などで履修しやすく、現在学ぶ環境が比較的整っている言語についてフォーカスしたいと思います。
中国語
現在、中国の人口は13億人。
中国は、文化的にもビジネスの面でも、日本と関わりがとても深い国です。
企業で働くビジネスパーソンへの調査で、「今後、日本での需要が高くなると思う外国語は何だと思いますか」との問いには、「中国語」と答える人が、最も多かったという結果が出ています。
また、「今後、世界的にビジネス面での需要が高くなると思う外国語は何ですか?」というアンケートにも、「中国語」と答える人が最も多くいました。
実際にビジネスシーンで、中国企業とやり取りすることが以前よりも増え、必要に迫られている人もいるようです。
現在中国語人口は、13億9000万人(2017年現在)。
2位のヒンディー語、3位の英語人口に比べても、ダントツのトップを維持しています。
中国の経済の伸びが現在のペースで続けば、その影響力はますます大きくなり、中国マーケットへの注目は今後も高まることが予想されます。
しかしフランス語やスペイン語とは異なり、今のところ中国語は世界的に見ると、まだ国際言語とはなっていないようです。
科学論文などで使用される言語としても、中国語は向いていないようです。
それ以外の政治・経済面で、今後影響力を強めていくだろうと言われています。
また、同じ中国語でも北京語や広東語など地域による違いがあるため、学ぶ際には注意が必要です。
中国で現代版シルクロードとして構想が進む「一帯一路」を聞いたことがある人はいますか。
中国がアフリカのインフラを整え、政情を安定させ、この「一帯一路」を完成させれば、周辺国との物流が容易になり、人の流れが変わります。
具体的には、中国とパキスタンをつなぐ道路が整備され、中東との間のパイプラインが完成して、天然ガスや石油資源がシンガポールのマラッカ海峡を通る必要がなくなれば、周辺国の中で中国は、ますます今後影響力を強めていくのではと考えられます。
中国語の存在感は、日本ではもちろんのこと、今後は東南アジアや中東・ヨーロッパ・アフリカの国々で高まりつつあるといえるでしょう。
スペイン語
日本ではあまりなじみがないスペイン語ですが、実は世界でのスペイン語人口は3億8900万人(2017年現在)と、世界第5位の多さです。
現在の世界でも多くの人々に使われていますが、とりわけ、アメリカ合衆国でスペイン語人口の割合が、年々増加傾向にあることが、注目すべき点です。
2050年には、アメリカでは1億3800万人がスペイン語を使用することになると予想されています。
これは、日本の人口以上の人々が、アメリカでスペイン語を話すようになる、といえばイメージしやすいでしょうか。
ちなみに、2050年の日本の人口は、約1億人と予想されています。
さらに、将来北米・中米・南米をすべて合わせたアメリカ大陸では、英語人口よりもスペイン語人口の比率が最も高くなります。
将来はアメリカ大陸=スペイン語になっている可能性が高いようです。
また、そのころには、メキシコと日本のGDPは同じくらいになっているとの予想があり、中南米で経済的に豊かになる国が現れる可能性もあります。
こうした点からも、スペイン語のニーズは、今後ますます高まるのではないかと考えられます。
スペイン語は、北米・中米・南米エリアの多くの国で公用語とされているため、政治関係の仕事に就く際などには、有利になる言語といえます。
これらの国で将来活躍したい人、また関わるビジネスがしたいという人には、スペイン語はおすすめの言語です。
フランス語
フランス語人口は、2017年現在では1億1800万人で世界11位。
10位で1億2300万人の日本語人口よりも少ないくらいです。
しかし、日本語を話す人は、ほぼ日本という限られたエリアの中だけであるのに対して、フランス語を話す人たちは世界中に散らばっています。
特に今後急成長が予想されるアフリカ大陸に多く存在しています。
今後、アフリカで人口爆発が起きれば、フランス語人口がスペイン語人口を抜き、中国語の次に多く話される言語になるという予測があるくらいです。
かつてのフランスの植民地である、モロッコ、チュニジア、アルジェリアなどは急速に経済成長を遂げています。
他にもフランス語は、アフリカ北部のマリ、サハラ以南のギニア、チャド、コンゴ民主共和国などで公用語とされています。
このように、アフリカ諸国の人口爆発の波に乗り、世界のフランス語人口の割合は、今日の3%から2050年までに8%の2億2000万人~ 7億5000万人になるともいわれています。
今後、アフリカ諸国が今よりも政治的に安定し、魅力的な経済圏へと発展すれば、フランス語の影響力が高まる可能性があります。
アラビア語
日本人にとって、習得が困難な言語のうちの一つと言われているアラビア語。
2017年現在のアラビア語人口は4億6700万人で、世界第4位と、実は世界中で多くの人々に使われている言語です。
日本にいるとあまり実感できませんが、将来イスラム教人口は世界最多となる予想がされています。
そのため、世界でもアラビア語の注目度は高まりつつあります。
特に、アラビア語が公用語ではない、インドネシアや南アジアのパキスタン、バングラデッシュなどでも影響力が強い言語です。
またインドはヒンズー教の国ですが、少数ながらもイスラム教徒が数パーセント存在します。
また、ブリティッシュ・カウンシル発表の「イギリスで将来、重要になる外国語 TOP10」では、アラビア語がイギリスで将来重要となる言語の第2位に選ばれていました。
さらに、アメリカの政府機関で働く際、アラビア語が堪能であれば、とても重宝されます。
それほど英語圏では、需要の高い言語なのですが、アラビア語ができる人や、やりたい人が少ないため、人材は常に不足しています。
日本人にとっては習得するのが難しい言語ですが、英語や中国語と異なり、国内では稀少性のある言語です。
つねに需要があり、競合が少ない点で、マスターのしがいがある言語ではないでしょうか。
まとめ
日本人が覚えやすいという観点や、今後の需要を考慮すると、次のような言語がおすすめではないかと思います。
習得のしやすさでいえば、韓国語、インドネシア語。
また、中国語やスペイン語も、比較的習得がしやすく、今後のニーズの高まりも期待できるため、おすすめといえます。
フランス語やアラビア語は、日本人にとってやや難しい言語ではあるものの、国内での希少性や、国際的なニーズの高まりが予想されるので、一度学ぶことを挑戦してみてもいいかもしれません。
外国の言語を学ぶことで、新たなものの考え方や世界の様々な国の文化を知ることができます。
好奇心も刺激され、世界が広がります。
ぜひ皆さんも様々な国に興味を持って、いろいろな言語を学んでみることをおすすめします。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。