英語の勉強が進んでくると【前置詞】を覚える時がやってきます。
前置詞は英語を学ぶ上での難関のひとつとされ苦手意識をもってしまう人も多いところですが、考え方さえ分かってしまえば理解は深まります。
というわけで、今回のコラムでは英語の前置詞を覚えるための例文と解説をご紹介します!
前置詞は日本語の「てにをは」?
前置詞は日本語にはないので、なじみが薄くイメージしづらいかもしれません。
一部の前置詞は、日本語でいうと助詞の”てにをは”にあたるでしょうか。
文章の意味を捉えるのにとても重要な要素であるといえるでしょう。
前置詞は単体としてだけではなく、動詞と結びつくことも非常に多いため(「to」を例にとると、今流行りの「Go to~」など)、イディオムを覚えられれば得点源になります。
また、前置詞はコアとなるイメージさえつかめれば、応用的に使われる場合でも意味がわかるようになり、並び替えや長文読解問題でも高得点につながることは間違いありません。
以下、よく使われる代表的な前置詞を徹底解説していきましょう!
1.主に位置関係を表す前置詞
・at「~(の地点)に」
私はそのバス停で待っていました 。
atは状態を表すこともできます。
ジョンは仕事中です。
転じて、「at eight o’clock(8時に)」「at that time(当時)」など、時間を表すのにも使われます。
その列車は8時に到着します。
・in「~(の中)に」
彼は台所にいました。
箱の中にボールがあります。
転じて、「in the morning (朝に)」など、時間帯を表すのにも使われます。
朝は寝ていました。
・inside「~の内側に」
inと似ていますが、insideは境目がはっきりしている内側で、位置関係にしか使えません。
箱の内側にボールがあります。
・out「~の外に」
inの反対の意味になります。
箱の外にボールがあります。
・outside「~の外側に」
outと似ていますが、outsideは境目がはっきりしている外側で、位置関係にしか使えません。
箱の外側にボールがあります。
・within「~の中に」
箱の中にボールがあります。
転じて、「within ten minutes(10分以内に)」など制限時間を表すのにも使われます。
事務所に10分以内に来るように。
・on「~の上に」
箱の上にボールがあります。
転じて、「on Sunday(s)((毎週)日曜日に)」など、曜日を表すのにも使われます。
彼は毎週日曜日に教会に通っています。
・upon「~の上に」
「on」と同じ意味ですが、onがよりカジュアルな口語なのに対して、uponは文語・書き言葉で用いられます。
「Once upon a time(昔々)」のように、「upon」はよりフォーマルな文語体で使用されることが多いです。
昔々美しいお姫さまがいました。
また、文頭に来るuponは「~してすぐに」といった訳になります。
離陸してすぐに飛行機は道路に着陸しました。
・off「~から離れて」
onと逆の意味になります。
電気を消してください。
今日休んでもいいですか?
「take off(離陸する)」のような成句もあります。
その飛行機は定時に離陸しました。
・over「~を超えて」
onは対象となる物の上側に接していますが、overは対象となる物を超えているイメージです。
ボールは箱を飛び越えた。
「go over(渡る、調べる)」のような成句もあります。
彼は配布物を調べました。
・above「~の(真上)上に」
aboveも上の意味がありますが、underと違い、真上でなくても構いません。
自宅はそのレストランの上にあります。
太陽が水平線の上に昇りました。
・beyond「~の彼方に」
beyond には遠く離れて超えていくイメージがあります。
その谷は山々の彼方にあります。
・under「~の(真下)下に」
猫が椅子の下にいます。
「underneath」はunderのよりフォーマルな表現です。
・below「~の下に」
underと違い、belowは真下でなくても構いません。
自宅はそのレストランの下にあります。
太陽が水平線の下に沈みました。
「beneath」はbelowのよりフォーマルな表現です。
・beside「~のそばに」
私はあなたのそばにいるつもりです。
似たような意味をもつものに「next to」があります。
また、besidesと混同しないように注意しましょう。
・near「~の近くに」
駅は自宅の近くにあります。
似た意味をもつものに形容詞/副詞の「nearby」があります。
・in front of「~の前に」
午前9時に駅前で会いましょう。
・behind「~の後ろに」
in front ofの反対の意味になります。
猫が木の後ろに隠れています。
転じて、時間的に「過ぎて」という意味もあります。
クリスマスはもう過ぎました。
・between「~の間に」
betweenは対象となる2つの物の間にあることを表します。
猫が2本の木の間にいます。
2は1と3の間です。
・among「~の間に」
betweenと似ていますが、違いは対象となる物が3つ以上あることです。
木々の間に家があります。
「amongst」はamongのフォーマルな表現です。
また、amongは同質の物に取り囲まれているのに対し、「amid(st)」は異質の物に取り囲まれているときに使われます。
・opposite「~の向かいに」
そのビルは自宅の向かいにあります。
形容詞のoppositeと異なり、前置詞のときは「to」は不要になります。
2.主に動きや方向を表す前置詞
・from「~から」
イメージとしては方向を表します。
私は日本出身です。
ワインはぶどうから作られています。
・to「~へ」
fromの反対のイメージになります。
昨日公園へ行きました。
・toward(s)「~(の方向)へ」
to と異なる点は、「到達」を意味しないところです。
ドアへ向かって歩きました。
アメリカ英語では「toward」がより使用され、イギリス英語では「towards」がより使用されます。
・via「~経由して」
飛行機のフライトなどでよく使われます。
ロサンゼルス経由でニューヨークに飛びました。
・up「~の上へ」
猫は木登りをします。
・into「~の中へ」
猫が家の中に入ってきました。
口語では「~にハマっている」というときにも使える表現です。
私はビデオゲームに熱中しています。
・onto「~の上に」
私は馬の上に乗りました。
・down「~の下へ」
upの反対の意味になります。
猫が階段で転げ落ちました。
・along「~に沿って」
私たちは川沿いを歩きました。
「alongside」は「~の横側に」という意味になります。
・across「~を横切って」
人々が通りを歩いて渡っているのを見ました。
動詞crossにも「横切る」という意味があります。
・around「~のまわりに」
猫が池の周りを歩いています。
私は部屋を見回しました。
・about「~の辺り」「だいたい」
お店はこの辺です。
彼は約10分前に学校に行きました。
転じて、「~について」という意味もあります。
彼女はその事件について何か知っているかもしれません。
・through「~を通して」
猫がその穴を通って走りました。
その電車はトンネルを通り抜けました。
・throughout「~全体を通して、至るところ」
throughと混同しないように注意しましょう。
彼は世界中で有名です。
地震のニュースを一日中お届けします。
3.主に時間関係を表す前置詞
・before「~の前」
beforeは時間的に前の出来事や状態を表します。
秋は冬の前に来ます。
・after「~の後」
afterは時間的に後の出来事や状態を表します。
夕食後はお皿を洗ってください。
・since「~以来」
sinceは現在完了形とともに用いられることが多いです。
子どものときから彼を知っています。
1945年以来、戦争はありません。
・past「~を通り過ぎて」
時刻を表すのによく用いられます。
今は3時15分です。
・by「~までに」「~のそばに」
byは期限・締切りを表す時によく使われます。
その本を今月末までに読み終えるつもりです。
また、「~のそばに」という空間的な意味もあります。
海のそばに家を買いたいです。
・until「~まで」
byと似ていますが、「until night(夜までずっと)」のように、「それまでの間(ずっと)」という意味になります。
私は明日まで日本に滞在する予定です。
・till「~まで」
「till」は「until」の省略形で意味は同じですが、日常会話ではtill、正式な文書では untilを使う傾向があります。
私は明日まで日本に滞在する予定です。
・for「~の間」
forは期間を表します。
「for ten minutes (10分間)」のようにforの後には基本的に数字が入ります。
彼は日本に5年間住みました。
「for the time being(当面の間)」のようなイディオムもあります。
そのレストランはしばらくの間休業する予定です。
・during「~の間」
duringも期間を表しますが、「during summer (夏の間)」のようにduringの後には名称が入ります。
彼は日本滞在中に日本語を勉強しました。
また、意味が同じ「while」は接続詞になります。
4.それ以外の意味を表す前置詞
・of「~の」
猫がその丘の頂上にいます。
その山は日本で最も高い山のひとつです。
「a cup of」「a bottle of」など成句表現もあります。
今朝お茶を一杯飲みました。
・as「~として」
順接の接続詞asと異なり、前置詞のasは「~として」という意味になります。
母は私を子供扱いします。
私たちは彼をリーダーとして尊敬しています。
・against「~に対して」
あなたは彼の意見に反対ですか?
私は喫煙には大反対です。
・with「~と(一緒に)」
withは付帯を表します。
私は家族と時間を過ごすのが好きです。
青い目の少女がいます。
どうかしましたか?
・without「~なしで」
withoutはwithと反対の意味になります。
彼はスマートフォンを持たずに出かけました。
問題がないわけではありませんでした。
・except「~以外」
私は魚以外は何でも食べられます。
・but「~以外」
接続詞but「しかし」とは別に、butには前置詞としての意味もあります。
彼以外は全員出席しました。
ほんの冗談に過ぎません。
・besides「~以外」
besideは「~を横において」という意味から転じて「~以外」という意味をもちます。
私は日本語以外の言語は話しません。
besideと混同しないように注意しましょう。
・unless「~以外に」
接続詞unless「~しない限り」と異なる意味をもちます。
私以外の誰も彼を助けられません。
・like「~のような」
動詞のlike「~が好き」ではないことに注意しましょう。
彼女は姉に似ています。
・unlike「~と違って」
likeと反対の意味になります。
東京と違って北海道の冬は寒いです。
・despite「~にもかかわらず」
雨にもかかわらず散歩に出かけました。
「in spite of」も同じ意味になります。
・notwithstanding「~にもかかわらず」
「~にもかかわらず」のフォーマルな表現です。
我々の合意にもかかわらず、彼は約束を破りました。
・regarding「~に関して」
この件に関しては誰も答えが分かりません。
まとめ~文脈に沿って推測しよう~
いかがでしたでしょうか?
前置詞の意味は複数あることが多いため、上に示した意味は一例に過ぎません。
ただ、各前置詞のもつコアイメージとしては示した通りですので、文脈に沿って意味を推測できるようになれば前置詞の達人といえるでしょう。
簡単なようで奥が深く、複雑な文章においても英文には欠かせない前置詞、ぜひこの機会にまとめて覚えてみてください!
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。