頭を良くするサプリとして、アメリカから日本に入って来ているのがスマートドラッグです。
これにより集中力や記憶力が上がったと実感する人がいる一方で、健康被害などのリスクもまた顕在化しています。
今回は、このスマートドラッグに対しての知識や危険について解説していきます。
子どもが自分で海外のサプリを入手できる時代
最近では、小学生や中学生も、気軽にネットで買い物をするようになっています。
クレジットカードはまだ持てなくても、電子マネーがあればクリック1つで購入可能です。
特にそのなかで、ネット広告に踊らされて、いらないものや危険なものを買ってしまうケースがあります。
いらないものであれば、それを教訓に捨てれば良い話ですが、危険なものだとそうもいきません。
危険なものとして、サプリメントがあります。
これを飲むだけで筋肉が増強する、身長が高くなる、といった子どもにも魅力的な文句で売られているサプリがネットには多くあります。
まだ知識や経験が少ない学生である故に、なかには簡単にこういった売り文句に引っかかってぽちっとしてしまう人がいます。
まじめな子も欲しくなるスマートドラッグ
勉強熱心な学生で、そういった類のものには興味がなさそうに見えても、危険はあります。
その代表格が、「頭を良くする」サプリとして売られているスマートドラッグです。
スマートドラッグは、いわば脳の機能向上を標榜するサプリの総称です。
たくさんの種類のものが存在していて、今では簡単にネットで手に入ります。
ネットで海外のスマートドラッグも注文できる
それこそ、amazonのような大手のショッピングサイトでは、よく「並行輸入品」などの言葉で海外商品の取扱いがみられます。
特に麻薬などの禁制品でなければ、薬関係を海外から取り寄せることは容易です。
国内販売のものも海外から発送されるものも、ネットならなんら変わらず買えます。
とりわけ国内のサプリよりも、海外のもののほうが効果が分かりやすい、と感じる方がよくいます。
なんとなく効きそう、というイメージから海外のサプリや薬を積極的に使用する人は多いです。
実は医者の処方箋が必要なものも、ネットから医師の判断なしで手に入れることができます。
子ども向けサプリも日本において盛況です。
数十億の市場が広がっています。
スマートドラッグの場合、特に子ども用というよりは、大人と変わらないものを服用するケースが大半です。
代表的なスマートドラッグ
ピラセタム
スマートドラッグのなかのピラセタムというものは、脳の血流を良くする働きがあります。
神経伝達物質の働きを促進します。
そのため、服用した人のなかには、集中力が劇的に高まった、勉強効率が飛躍的に上がったと感じるケースがあります。
これは1990年頃からアメリカで流行ったドラッグです。
これについては、現在、日本で個人輸入が禁止されています。
しかし現在も買えるものがある
具体的なショップ名は伏せますが、現在でもamazonなどで購入できるショップが溢れています。
海外直送品と明記されていて、送料は無料のものもあり、金額にして千円程度しかかからないので、それこそ子どもがお小遣いのなかで簡単にポチっとすれば購入可能です。
商品に関する口コミには(捏造もあるのか?)好意的なものが溢れています。
「集中力が必要なときに2錠飲んでいます。2時間ほどで覚醒作用はなくなります」、「自分のベストの状態を出し続けられる。ケアレスミスが減った」、「日常のなかで眠気を感じることがなくなった」などです。
こういった口コミを見て安易に試してみようと考えるお子様も少なくはないでしょう。
学生が親に内緒で入手するリスク
学生が勉強の集中力をもっと上げたいと思っていたり、成績が良くないことに悩んでいたりしたときに、上記のような口コミをみたらどのように思うでしょうか。
なかには、お小遣いの範囲だし、これで成績が上がったら親にも褒められる、内緒で買って頭を良くしよう、と考える人がいます。
たとえ自宅に配送されても、amazonの場合、親は中身が何か分かりません。
商品名が書かれていないからです。
変な物を勝手に買わないように、うちは必ず子ども宛に届いたものは中身をチェックするようにしている、という家庭もあります。
コンビニ受取だと親がチェックできない
しかし、amazonではコンビニ受取という方法があります。
これを使えば、荷物はコンビニに届くので、荷物が届いたことを家族にバレないようにすることができます。
少し知恵の働く子であれば、これぐらいのことは小学生でも簡単にします。
コンビニ決済だと親が明細チェックもできない
親が子どものネットショッピングを完全にコントロールするには、与えている電子マネーの決済履歴を定期的にチェックする方法がありえます。
ただ、これも完璧ではありません。
現金でも支払いは可能だからです。
それこそ、コンビニ決済という方法が用意されています。
これであれば、コンビニに行って現金を払えば決済が完了します。
レシートを捨ててしまえば、親がそれを知ることは難しいです。
このように、勉強ができて頭の良い子だからこそ、より高みを目指すために、親にも内緒で密かにスマートドラッグを服用する、という危険がありえます。
スマートドラッグの危険性
でも、別に隠れて使っていても、それで頭が良くなったり、集中力が上がったりして、本人が満足しているのなら良くない? と考える人がたまにいます。
確かに、上記の口コミのように、スマートドラッグの服用がいいことづくめだったら、何も目くじらを立てる必要もないし、それにリスクを感じることもありません。
しかし、現実は異なります。
多くのサプリメントがそうであるように、スマートドラッグもまた、副作用の危険を孕んでいます。
スマートドラッグの大半は国が認めていない
スマートドラッグの多くは、日本ではいまだ承認されていない医薬品です。
つまり、その品質の保証は日本では全くされていませんし、ゆえに有効性も危険性も未知数の部分があります。
常用化
実際に飲んでみて集中できると、それなしでは勉強できない、という状態に陥ることがあります。
そうなれば、薬の常用となって、他の薬物にも手を出す危険を顕在化させます。
副作用
副作用の問題もあります。
実際に健康被害の報告が国民生活センターに寄せられ、厚生労働省が2018年11月に規制の通達を出しています(※)。
これによれば、厚生労働省が脳機能の向上などを標榜している海外の医薬品、ドラッグを独自に調査したとあります。
その結果、日本で医療用医薬品に含まれている成分を多く含んでいることが分かり、医師の処方箋なしでのこれの服用は、危険性が大きいと判断しました。
そこで指定成分を含む上記医薬品の個人輸入を、2019年1月1日より全面的に禁止しています。
指定成分には、アテノールやオキシラセタム、先に例に挙げたピラセタムなどが入っています。
全指定成分は前記の厚生労働省通達に添付されています。
自治体の薬事課においてもスマートドラッグを始めとするサプリの危険について注意喚起をしています(※)。
※参考:静岡県 いわゆる「スマートドラッグ」を個人輸入する場合の取扱いについて
親が子どもにスマートドラッグを与える例も
子どもが隠れてスマートドラッグを入手して利用する危険については既に述べました。
一方で、子どもではなく親が自ら積極的に子どもに与えるケースもみられます。
もちろん、それは善意の行動です。
自分の子どもに頭が良くなって欲しい、将来は東大の文一に行って欲しい、こういった親心から、食事とともにネットで入手したスマートドラッグを飲ませるわけです。
親に良いといわれたものを、子ども自身の判断で拒否するケースはほぼないと言って良いでしょう。
スマートドラッグに限らず、身長サプリメントや本来的に栄養の偏りをなくすサプリなどを、進んで子どもに与える親がいます。
もちろん、それにはリスクが伴い、ことスマートドラッグに関しては前述したように多くが海外の商品ということもあり、より未知な点で危険が大きいです。
国立健康栄養研究所が注意喚起
これについては、国立研究開発法人・健康栄養研究所が独自のリーフレットを作成して、保護者に子どもへサプリを与えないように注意をしています(※)。
リーフレットでは、サプリより普通の食事で栄養を補うべきこと、メリットばかりではなくデメリットもあることが指摘されています。
※参考:国立研究開発法人・健康栄養研究所 幼児にサプリメントは必要ですか?
ネット情報だけを鵜呑みにしない
前述の口コミのように、ネットではとかく、メリットばかりが強調されてデメリットがみえてきづらいです。
しかし、再三指摘したとおり、また国も指摘しているとおり、健康的、精神的なリスクが伴います。
子どもだけではなく、親も正しい知識の元に、やはり基本は日常の食事で頭に良いもの、背が伸びるのに効果的なもの、栄養バランスを考えたものを、子どもに与えてあげるのがベストです。
どうしてもサプリが魅力的に思えるときは、信頼できるかかりつけの医師に相談するなど、自分だけの判断で、あるいはamazonなどの口コミだけを鵜呑みにして、安易に注文をしないようにしましょう。
スマートドラッグの危険性についてまとめ
ネットで簡単に海外の商品を買える時代になった今だからこそ、身体に与える影響の強い海外のスマートドラッグも容易に入手できるようになっています。
それらに入っている成分の多くは、日本では処方箋なしでは服用できないものです。
それを医師の判断もなしに、ネットの口コミだけを信頼して飲み始めては、リスクがあるのは当然のことです。
子どもが親に隠れて注文をしないように教育することはもちろん、もし親自身がスマートドラッグに肝要だとしたら、その危険性について改めて考える必要があります。
我が子の受験に少しでも力になりたい…そう思ったら、こういった危険性の指摘されているスマートドラッグ等ではなく、別の方法でお子様をサポートしてあげてはいかがでしょうか。
例えば、脳を元気にさせる食事なども親ができる受験生へのサポートです。
お子様が自宅での勉強が進まない…という場合には、集中できる勉強場所を提案してあげるのも良いでしょう。
お子様の将来を考え、健全で健康的に受験を支えてあげましょう!
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。