ドラえもんの未来グッズ「暗記パン」をご存知でしょうか。
見た目は普通の食パンなのですが、それに数学の公式を書き写して食べると、その公式を完全に暗記することができるのです。
受験生にとっては夢のようなアイテムですね。
しかし、残念ながら暗記パンはまだ開発されていません…。
ですが実際に、特別な食事をすることで記憶力が向上したり、賢くなったり、大学入試の勉強に効果がある食べ物はあるのでしょうか?
結論を先に紹介すると、答えは次の3つになります。
- そのような都合のよい食事もメニューも食材も存在しない
- しかし食事に気を使わないと受験を乗り切れない
- したがって受験生は健康によい食事を心がけましょう
入試を有利にする食事はなくても、入試に不利に働く食生活は存在します。
よい食事をしましょう。
こういう食事はよいでしょう
受験生におすすめしたい食材や食事方法は次のとおりです。
- 好きな食べ物目
- 朝ごはん
- 脳のエネルギー「ブドウ糖」
- ビタミンB1
- 脳を活性化させるDHAとEPA
- ストレスにはハーブティ
- 「第2の脳」によい乳酸菌
「食事になんてこだわりたくない。勉強に集中したい」という受験生もいるでしょう。
しかしそれは正しい判断とはいえないでしょう。
なぜなら食事は、脳を含む体全体の健康の起源だからです。
記憶力を劇的に向上させる食材はありませんが、勉強に支障を及ぼしかねない悪い食事は存在します。
そういった意味では、適切で快適な食事を摂ることは、とても重要な受験対策のひとつといえます。
好きな食べ物
まず紹介したいのが、好きな食べ物です。
寿司、うな重、ハンバーグ、カレーライス、ステーキ、焼き肉、ポテトチップス、チョコレートパフェ、パンケーキなどなど。
食べ盛りの受験生の好物はたくさんあるでしょう。
好きな食べ物を食べる喜びを、勉強モチベーションの補強に使いましょう。
保護者にお願いして、模試でB判定以上が出たときや参考書を1冊仕上げたとき、生まれて初めて「1日10時間勉強」を実行できたとき、頻出英単語500語を1個も間違えずに和訳できたときに、好物を食卓に出してもらってください。
憧れの食事に向かって勉強に励むことができます。
好きな食べ物にはもうひとつよい効果があるのですが、それは後で紹介します。
朝ごはん
朝ごはんを食べる習慣がない人は、受験期間に突入したこの機会に朝食習慣を身につけてください。
個人差はありますが、一般的には受験勉強は午前中のほうがはかどります。
したがって午前中を、苦手科目を克服する時間にしたり、得意科目を磨き上げる時間にしたりしてください。
そのためには十分なエネルギーが必要なのですが、朝食を摂らない人は、午前中は「ガス欠」状態にあるはずです。
例えば前の日の午後8時に夕食を食べたとしたら、翌日の正午の昼食まで16時間もエネルギー補給していないことになります。
これでは午前中の脳の働きに支障を与えかねません。
空腹を感じながら勉強すれば、集中できないでしょう。
受験生のなかには、夜型に移行してしまった人もいると思います。
そのような人でも朝食は摂ったほうがいいでしょう。
入試が近づけば朝型に戻さなければなりません。
そのときになって急に朝食を摂り始めたら、「胃腸がびっくりする」かもしれません。
脳のエネルギー「ブドウ糖」
脳科学者で浜松医科大名誉教授の高田明和石医師によると、体重の2%にすぎない脳のエネルギー消費量は、全エネルギーの24%にもなります。
「脳は大食い」なのです。
そして脳の唯一のエネルギー源はブドウ糖(α-D-グルコース)です。
他の臓器はたんぱく質や脂肪もエネルギー源にしていますが、脳は大食漢のうえにブドウ糖しか食べない「偏食家」といえます。
ブドウ糖はそのままの状態で普通にスーパーマーケットで販売しています。
もしくは森永製菓のお菓子「ラムネ」は、材料の90%がブドウ糖です。
このことを発見したビジネスパーソンが職場で森永製菓ラムネを食べ始めたことで、「できる会社員は森永製菓ラムネを食べる」といった話が広がりました。
以下の記事にその様子が書かれてあります。
参考:ブドウ糖で疲れが吹っ飛ぶ!? ビジネスマンの間で「森永ラムネ」が流行中ってホント?
ビタミンB1
ビタミンについてはビタミンCやビタミンB群、ビタミンEなども重要ですが、ここでは受験生に意識してほしい成分として、ビタミンB1を紹介します。
食事で摂取する糖質は、そのままではエネルギーに変わりません。
糖質をエネルギーに変えるのが、ビタミンB1です。
またビタミンB1は脳神経系の正常な働きに関係しています。
脳は全身に張り巡らされている神経から情報を収集し、適切な判断を下します。
そして脳が下した命令は、再び神経を経由して全身に伝えられます。
例えば「参考書を読む」「内容を理解する」「よく理解できないから書いて覚えてみる」といった勉強の行動は、神経と脳の連携で成り立っています。
脳を含む全身のエネルギーに深く関与して、勉強に深く関与する脳と神経によい効果をもたらすビタミンB1はまさに「受験成分」といえるでしょう。
ビタミンB1を効率よく摂れる食材は次のとおりです。
最も効率よくビタミンB1を摂取できるのは、豚肉といわれています。
脳を活性化させるDHAとEPA
青魚に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)は、人の体に次のような効果をもたらすとされています。
- ★記憶力と集中力の維持
- 血液をサラサラにする
- 中性脂肪の低下
- アレルギーの予防と改善
- ★目の健康維持
このような効果があるため、DHAとEPAのサプリメントは生活習慣病が気になっている中高年などに人気ですが、★をつけた項目は受験生も大いに関心がある内容ではないでしょうか。
脳や目に直接よい効果をもたらすのはDHAですが、DHAとEPAは互いに相乗効果を与え合う関係にあるので一緒に摂ったほうがいいのです。
EPAは血液をサラサラにする効果が期待できます。
DHAもEPAもかなり有名な存在になったので、ドラッグストアでも簡単に買えるようになりました。
しかし受験生は自然な食事でDHAとEPAを摂りましょう。
サンマやイワシなどの青魚がよいのは先ほど紹介したとおりです。
マグロの刺身もこれらの成分を豊富に含んでいます。
ナッツ類のクルミも効率よくDHAとEPAを補給できます。
ストレスにはハーブティ
夏休みや12月以降になると、勉強してもまったく疲れない、気持ちの高揚を迎えることがあります。
覚えることが楽しくなって、食事や睡眠の時間も惜しくなります。
この状態を迎えると受験生の偏差値がグンッと上昇するので、心置きなく勉強していただきたいのですが、しかし「過ぎる」と体調を崩すことがあります。
気分の高まりを利用した頑張りは本来の力ではなく、「元気の先食い」です。
したがって後からドッと疲れがやってきたり、勉強の気力を失ったりすることもあるかもしれません。
そこで「ちょっと飛ばしすぎているな」と感じたら、温かいハーブティを飲んで気持ちを落ち着かせてください。
また、受験にはストレスがつきものです。
特に、勉強しているのになかなか模試でよい点数が取れないと気分が必要以上に落ちこんでしまいます。
そのようなときは思い切って気分転換をしてみてください。
例えば、模試でB判定以上を獲ったときのご褒美にしようと考えていた好物を食べてしまいましょう。
「先にご褒美を食べてしまったのだから、取り返さなければならない」と思えるようになるかもしれません。
「第2の脳」によい乳酸菌
近年の研究で、大腸の調子が記憶力などの脳の働きに関与していることがわかってきました。
大腸のことを「第2の脳」と呼ぶ医師もいます。
大腸は肛門の手前の管状(くだじょう)の臓器で、大便をつくっています。
大腸内には健康を増進する善玉菌や、逆に健康を損なう悪玉菌などが大量に存在しています。
したがって善玉菌を増やせば大腸の健康が保たれ、脳の働きをよくしてくれるのです。
大腸の菌環境を整えるには、乳酸菌が有効です。
乳酸菌飲料や納豆、みそ、塩こうじといった発酵食品も大腸によい効果をもたらします。
睡眠は食事とセットで考えよう
先ほど夜型の勉強スタイルについて言及しましたが、夜や夜中のほうが集中力が高まる人がいるので、一概に「夜はダメ」とはいえませんが、ただ人に備わっている「体内時計」にはよい効果をもたらさないかもしれません。
体内時計は体の調子を整える役割の担っていて、もちろん脳や大腸の働きにも関与しています。
体内時計は毎朝、朝日を浴びることなどでリセットされます。
体をリセットした後で朝食を摂るのが理想的です。
しかし学習効率を考えると、夜型生活は捨てられないでしょう。
そのような人は、睡眠をしっかり確保するようにしてください。
浪人生などは昼間に睡眠を取ることもあるでしょう。
しかし昼間は明るく騒音も大きいので、眠りが浅くなってしまいます。
もちろん現役生が学校の授業中に居眠りをしても良質な睡眠は取れません。
食事と睡眠はエネルギー補給と休息だけでなく、「体のリズム」や「生活のリズム」にも深く関わっているので、両方とも質を向上させましょう。
まとめ~おいしく楽しく
繰り返しになりますが、「食事なんて空腹を満たすことができれば何でもよい。とにかく勉強に集中したい」という考え方は早めにあらためたほうがいいでしょう。
「食事なんかより勉強」と考えるのではなく、「食事の管理くらいできなくて勉強の管理はできない」と考えてはいかがでしょうか。
物理的にも生理的にも気持ち的にも、食事は重要です。
おいしく楽しく食べましょう。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。