大学に進学することを決め、気持ちの準備も整い、参考書と問題集も買いそろえたとします。
しかしそれだけで直ちに受験生活に突入できるわけではありません。
心置きなく集中して勉強できる場所は確保していますでしょうか。
自宅に個室があり、冷暖房が完備されていれば場所の心配をする必要はありませんが、きょうだいと同じ部屋を使っていたり、その他の集中を妨げる要因があったりすると、勉強がはかどりません。
そうかといって自宅の外で勉強しようとすると、場所探しは意外に難航するかもしれません。
北海道・札幌の受験生たちの勉強スポットになりそうな場所を考えてみました。
最良スポットは塾や予備校の自習室
最良の勉強スポットは、塾や予備校の自習室です。
塾などの自習室には、受験生か学校の成績を上げたい人しかいません。
自習室は塾などの職員が管理しているので、そこでふざける子供はいません。
静かな環境が保たれているうえに独特の緊張感があるので、学習効果が高まるでしょう。
さらに、勉強に煮詰まったときや大学の情報を得たいとき、塾などの職員に相談したり助言をもらったりすることもできます。
もし塾などに通っているのであれば、自習室の利用時間をベースにして生活サイクルを組み立てていってもいいくらいです。
多くの大学合格者たちが、塾や予備校の自習室をフル活用しています。
図書館を利用するときの注意点
塾などの自習室ほどではありませんが、図書館も静かに学べる空間を提供しています。
しかも無料で利用できます。
ただ図書館によっては受験生の勉強を禁止しているところもあります。
もしくは、受験生が勉強できる空間は自習室に限られ、それ以外の場所で参考書や問題集を広げていると注意されることもあります。
それは、図書館は元来、所蔵する本を快適に読んでもらう場所だからです。
もし静かで快適な空間を求めて街中の受験生が図書館に殺到してしまったら、図書館の本を閲覧したい住民が迷惑を被ります。
したがって図書館で受験勉強をする場合は、自習室があるかどうか確かめて、さらにそこで数時間以上受験勉強をしてもいいものなのか問い合わせてください。
札幌、函館、旭川、釧路、帯広の図書館の自習室の有無について紹介します。
札幌市中央図書館は?
札幌市中央図書館には3カ所も自習室があります。
2階読書室に72席、2階図書室・窓側カウンター席に50席、2階図書室・吹き抜け側閲覧席に7席があります。
ここは「受験勉強禁止」と書かれていないので、容認されていると考えてよさそうです。
また札幌市中央図書館にはインターネット閲覧用パソコンが6台あります。
受験勉強をしているなかで調べものをしたくなったときに便利です。
ただしこのパソコンでは、メール・ソフトの利用やSNSへの書き込み、オンラインゲーム、チャットなどはできません。
また1人1回60分という制限もあります。
札幌市中央図書館は札幌市中央区南22条西13丁目1-1にあります。
開館時間は、月~金曜日は9:15~20:00、土日祝日は9:15~17:00。
休館日は第2、4水曜日、年末年始(12月29日から1月3日)などとなっています。
函館市中央図書館は?
函館市中央図書館には自習室はありません。
研究個室という部屋はありますが、「自習はできない」と明確に否定されています。
念のため住所を紹介しておきます。
函館市中央図書館は函館市五稜郭町26番1号にあり、開館時間は9:30~20:00、休館日は毎週水曜日と毎月最終金曜日です。
旭川市中央図書館は?
旭川市中央図書館には自習室はありません。
ただ図書館側は「読書および図書館資料を使用した学習・調査研究のために閲覧デスク、読書室等をご用意しております」と案内しています。
微妙な文章表現といえるでしょう。
受験勉強を完全に容認しているわけではありませんが、明確に受験勉強を否定しているわけでもありません。
節度ある使い方をしていれば、受験用の参考書を広げているだけで注意されることはなさそうです。
「節度ある使い方」とは例えば、長居をしない、席をキープしない、一般利用者が増えてきたら使用を控える、といった行動になるでしょう。
旭川市中央図書館は旭川市常磐公園にあり、開館時間は火~金曜日は9:30~19:00、土日祝日は9:30~18:00となっています。
休館日は毎週月曜と毎月月末です。
釧路市中央図書館は?
釧路市中央図書館には個人学習室があります。
特に利用制限はないので、受験勉強も容認されているようです。
釧路市中央図書館は2018年2月に移転新設したばかりで、建物も設備も新しくとても快適です。
住所は釧路市北大通10丁目2-1新釧路道銀ビル3~7階(全10階のうち)です。
開館時間は9:30~19:30で、休館日は祝日を除く毎週月曜日と毎月最終金曜日、そして年末年始(12月29日~1月3日)となっています。
帯広市図書館は?
帯広市図書館には学習室があり「読書や学習などに利用できる席」としています。
したがって受験勉強を禁じているわけではなさそうです。
こちらも受験生は節度を守った行動が必要でしょう。
例えば、多くの受験仲間と一緒に学習室に押し寄せて多くの席を占有するといったマナー違反をすると、例え静かに受験勉強をしていても、一般利用者から図書館に苦情が寄せられるでしょう。
そうなれば図書館側も明確に「受験生お断り」と掲げなければならなくなります。
帯広市図書館は帯広市西2条南14丁目3番地1にあります。
開館時間は火~金曜日は10:00~20:00、土日祝日は10:00~18:00です。
休館日は祝日以外の毎週月曜日と年末年始(12月29日~1月3日)です。
公共施設の会議室を借り切って自習会を開く
図書館は受験生にとって、少し肩身の狭い思いをするかもしれません。
図書館は蔵書を使って勉強する人の場所だからです。
そこで思う存分、誰に遠慮することなく受験勉強に取り組みたい人は、地域の会館などの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
例えば札幌市には「札幌市若者支援施設Youth+」という施設が、中央区(センター)、東区(アカシア)、白石区(ポプラ)、豊平区(豊平)、西区(宮の沢)にあります。
ここには自習室はないのですが、ただ活動室を有料で貸してくれます。
例えばアカシアであれば、長机や椅子などがある約30平方メートルの活動室を、1日(10:00~22:00)1,900円で借りることができます。
受験仲間4人で借りれば、1人500円足らずで12時間も勉強することができます。
しかも仲間で独占できるので会話は自由です。
勉強を教え合うこともできます。
受験仲間とこういった場所で自習会や勉強会を開けば、息抜きをしながら学習効果を維持することができます。
札幌市以外の地域にも公共施設があり、そういった場所は格安で会議室を借りられるので検討してみてください。
喫茶店などの飲食店で長居するときの注意点
喫茶店などの飲食店は原則、受験勉強をすることを嫌がります。
もちろん、参考書1冊だけを持ち込んで、コーヒーを飲みながら1~2時間それを読みながら過ごすことは問題ありませんが、テーブル全体に本や文房具を広げたら、店の人から注意されるかもしれません。
ただ、喫茶店やドーナツ店によっては「混雑時は勉強や自習はしないでください」と張り出しているところもあります。
これは「空いているときは自由に利用してください」と読み替えることもできます。
店側としても他に客がいなければ、受験生に使ってもらいたいと考えるでしょう。
したがってここでもやはり、節度ある行動が求められます。
喫茶店などでは必ず飲み物やスイーツなどを注文しましょう。
例えば数人で飲食店に入って、1人だけが飲み物を注文して、他の友人たちが何も頼まないという使い方は完全なマナー違反です。
ネットカフェを利用するときの注意点
ネットカフェは個室が確保でき、利用方法も制限がありません。
飲み物もフリードリンクのところが多いので快適です。
ただここで紹介している勉強スポットのなかでは最も料金が高くなります。
高校生や浪人生の小遣いのなかで、週に何度も通うことは難しいでしょう。
またネットカフェやマンガやゲームといった「誘惑グッズ」が多く、勉強の妨げになってしまうかもしれません。
自宅は緊張感を維持できるかが鍵
自宅ももちろん受験勉強スポットになります。
家族の協力が得られれば、外に出かける手間が省けるので、その時間を学習に充てることができます。
ただし、自宅はあくまで快適空間なので、受験勉強の、いい意味でのあの緊張感を維持できるかどうかが鍵となるでしょう。
もし家に空き部屋などがあって自由に使えるのであれば、受験仲間を招いて一緒に勉強をしてもいいでしょう。
1人で勉強をしていると学習ペースをつかむことが難しくなりますが、受験仲間がいれば「あと1時間勉強したらキャッチボールでもしようか」と決めることができます。
受験勉強は自分との闘いなので、せめて勉強空間には、同じ志を持つ人たちが居たほうがいいと思います。
友人の真剣な姿をみれば「負けてられない」と自分を鼓舞することができます。
まとめ~場所は重要、早期に相談を
受験生活に突入する前に、勉強できる場所を確保しておきましょう。
例えば高校1、2年生の段階で先輩の3年生に主にどこで勉強しているのか尋ねてみてください。
意外な穴場を教えてもらえるかもしれません。
また、塾や予備校に通ってなく、自宅で集中して勉強できず、地域の図書館も「受験生お断り」だった場合、高校の先生に相談してみてください。
勉強場所がないことは受験生には大きなハンデになってしまうので、1日も早くその状態を解消したほうがいいからです。
高校の先生ならきっと妙案を授けてくれるでしょう。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。