受験生なら一度は「ファミレスでがっつり勉強したい」と思ったことがあるのではないでしょうか。
座り心地のよい椅子、広い机、ドリンクバー、もちろん食事もできます。
周囲の客の話し声が少し気になるところですが、うるさいほどではありません。
ファミレスは絶好の勉強スポットといえます。
しかし、ファミレス勉強に挑戦して店員の冷たい視線にさらされた人は、「もう二度と行きたくない」と思っていることでしょう。
ところが、道内で「ガスト」や「バーミヤン」を展開している「すかいらーく」グループのファミレスなら、安心して勉強することができます。
すかいらーくは次のように言ってくれています。
「当社では勉強いただくことを禁止しておりません。当社の料理でパワーをつけていただき、身体に気を付けて是非、受験を頑張ってください!」
もちろん、店の迷惑になるような長居は禁物です。
節度と感謝の気持ちを持って、少しの時間だけ、ガストで勉強させてもらいましょう。
ファミレス各社に質問してみました
ファミレスで勉強してもよいものなのかどうか、国内で名前が知られているファミレスを運営している会社に質問してみました。
質問先は、「ガスト」などを運営している「株式会社すかいらーくホールディングス」を含む7社で、質問内容は次のとおりです。
Q1:店内勉強を許容していますか。それとも黙認していますか。それとも禁じていますか。
例えば、以下のようなご回答でも構いません。
「飲食を注文すれば、何時間でもOK」
「会社では方針を出していない。店長の采配に任せている」
「忙しくない時間の2時間くらいで、節度を守っていれば、受験勉強は黙認している」
「原則禁止、見つけたら注意している」
Q2:店内勉強を許容している場合、受験生たちに「店内でこうしてほしい」ということはありますか。守ってもらいたいマナーはありますか。
Q3:店内勉強を許容している場合、受験生たちに「店内でこれはしてほしくない」ということはありますか。どのような行為がマナー違反になりますか。
Q4:店内勉強を「許容している」または「禁止している」理由を教えてください。
Q5:店内勉強を「許容している」場合、受験生たちに応援エールがありましたら、一言お願いします。受験生の励みになると思います。
この質問は、7社の公式サイトの「お問合せ」のページから送信しました。
7社のうち回答してくれたのは4社です。
4社のうち2社は、やんわりとではありますが「快くは思っていない」考えを示しました。
2社の社名は明かしませんが、これがファミレスの「本音」なのかもしれません。
4社のうち1社は、「OKともNGとも回答しない」という回答をしました。
「OK」とは言えないが「NG」とも言いたくない、ということなのでしょうか。
そしてファミレス7社のなか唯一、ガストのすかいらーくだけが「勉強OK」と回答してくれました。
すかいらーくの回答の詳細をみていきましょう。
ガストは受験生にエールを送っている
すかいらーくの回答を紹介します。
「店内での勉強は禁じていない」
「Q1:店内勉強を許容していますか」への回答は次のとおりです。
●すかいらーくの回答
当社では勉強いただくことを禁止しておりません。
近年さまざまなご利用動機で来店されるお客様が増えており、そのニーズに応じてコンセントやWi-fi環境も整備しております。
忙しい時間帯など、店舗により滞在いただく時間を決めている場合もございます。
すかいらーくは、ガストなどでの勉強を禁止していません。
これで受験生は、安心して勉強できます。
この回答から、すかいらーくの考え方がわかります。
すかいらーくは、受験生による受験勉強と、ビジネスパーソンたちによるちょっとした仕事を、同列に扱っています。
ビジネスパーソンは外出先で急用が発生することがあり、そのようなとき、ファミレスに駆け込んで、処理できる仕事を片付けてしまうのです。
すかいらーくは、そういった利用を歓迎しています。
ビジネスパーソンが資料を広げて仕事をするのと、受験生が参考書を広げて勉強するのは、外見上はほぼ同じなので、受験生の勉強を禁止しないわけです。
ただし、すかいらーくでも、「店舗によっては忙しい時間帯に滞在時間を決めている」ので、勉強中であっても店員に声を掛けられたら、気持ちよくそれに応じましょう。
「他の客の迷惑になってはいけない」
「Q2:受験生たちに『店内でこうしてほしい』ということはありますか」への回答は次のとおりです。
●すかいらーくの回答
特にございません。
受験生の方々に関わらず、他のお客様のご迷惑になる行為があった場合はお声をかけさせていただいております。
「他の客に迷惑をかけない」という指摘はとても重要です。
すかいらーくを除く、その他の多くのファミレスは、受験生による勉強を快く思っていません。
それは、他の客に迷惑がかかるからです。
受験生は「こちらは静かに勉強をしているだけだから、他の客に迷惑がかかるはずがない」と思うかもしれません。
しかし、飲食をするために来店した客のなかには「ここは学習室じゃないはずだ。店員はなぜ注意しないんだ」と不快に感じる人もいます。
そのような客は、二度とその店を訪れないでしょう。
店側はそれを恐れます。
しかし、すかいらーくでは、「飲食目的の人も、勉強する人も、ちょっとした仕事をする人もいるファミレス」を目指しているようです。
「ガスト勉強」をする受験生も、すべての客が快適に「共存」できる空間をつくろうとしているすかいらーくの店づくりに協力しましょう。
とても寛容な対応
「Q3:受験生たちに『店内でこれはしてほしくない』ということはありますか」への回答は次のとおりです。
●すかいらーくの回答
特にございません。
受験生の方々に関わらず、他のお客様のご迷惑になる行為があった場合はお声をかけさせていただいております。
Q2と同じ回答でした。
勉強を許容した以上、特別な注文はつけない、という姿勢はとてもありがたいと思いませんか。
食事目的以外の客を大切にしてくれる
「Q4:店内勉強を許容している理由を教えてください」への回答は次のとおりです。
●すかいらーくの回答
当社のレストランでは、食事をする目的以外にも、ゆったりくつろぎたい、会話を楽しみたい、合間の時間に仕事がしたいなどさまざまなご利用動機でご来店いただくことが増えてまいりました。
そのニーズにきめ細かく対応するため、店舗改装の際はできるだけお客様のプライベート空間を確保したレイアウトを工夫しております。
例えば、ソファの背もたれを目線の高さにして周りからの視線が気にならないようにするなど、です。
ご利用動機の異なるお客様1人おひとりにとって居心地が良い店舗空間づくりを実現できたらと考えております。
この回答で、すかいらーくが、なぜ受験生の勉強を許容しているのかわかります。
「すかいらーくファン」をつくりたいのでしょう。
ガストなどを食事以外で利用する人にも快適にすごしてもらおうとしています。
受験生やビジネスパーソンが、ガストなどで快適に勉強や仕事ができれば、店によい印象を持つでしょう。
そうなれば、お腹が空いたときに、気持ちのよかった記憶のあるガストに行くはずです。
したたかな経営戦略といえるでしょう。
「パワーをつけて頑張って」
すかいらーくから受験生に、エールが届いています。
●すかいらーくの回答
当社の料理でパワーをつけていただき、身体に気を付けて是非受験を頑張ってください!
もし「ガスト勉強」で入試に合格したら、店長さんにお礼に行ってはいかがでしょうか。
どの飲食店でも、店員たちは客のことを注意深く観察しているので、きっと、頻繁に来店している受験生のことも覚えているはずです。
「ガスト勉強で○○大学(または△△高校)に合格できました」と報告すれば、祝福してくれるはずです。
その他のファミレスの本音とは
ファミレス7社に同じ質問をして、受験勉強を容認していたのは、ガストのすかいらーくだけでした。
その他の6社のうち2社は、「拒絶」こそしていませんが、店内での勉強を快く思っていません。
その2社は次のように回答しています。
●ファミレスA社の回答
当店にお越しいただいているお客様は、さまざまな目的でご来店くださっていることと存じます。
当店は、レストランとして営業させていただいており、お食事を楽しみにご来店くださるお客様を最優先と考えております。
混雑の際は、長時間のご利用をご遠慮いただくようお願いすることもございます。
何卒ご理解いただきますようよろしくお願いいたします。
●ファミレスB社の回答
当店はレストランとしてお食事をされる空間やサービスを提供しており、受験生に限らず、勉強の場としてのご利用は想定しておりません。
当店をご利用の他のお客様にご迷惑やご不快な思いをお掛けすると思われた場合、また食事を楽しむレストランとしての雰囲気を損ねると判断した場合には、店長や時間帯責任者が注意させていただくことはございます。
何卒ご理解いただきますようどうぞよろしくお願いいたします。
A社とB社はまったくの別会社ですが、ほとんど同じ内容になっています。
これがファミレスの本音と理解したほうがよさそうです。
すかいらーくの寛容な対応は、例外と考えたほうがよいでしょう。
注目したいのは、B社のコメントの「食事を楽しむレストランとしての雰囲気を損ねると判断した場合には注意させていただく」という部分です。
受験生が必死に勉強している姿は、食事を楽しむ雰囲気を損ねる可能性があることを示唆しています。
ただ、A社もB社も慎重に回答していることがわかります。
「受験勉強絶対NG」とはいっていません。
高級レストランに同じ質問をしたら、「受験勉強絶対NG」を答えるでしょう。
そして受験生もビジネスパーソンも、高級レストランで勉強やちょっとした仕事をしようとは考えません。
しかしファミレスは、そこまで「お堅いこと」はいいません。
例えば、参考書を1冊開いて、食事をしながらそれを読んで1~2時間すごすことは、A社でもB社でも問題ないはずです。
まとめ~ガストに甘えないように
すかいらーくの「ガスト勉強」への寛容な対応は驚くばかりですが、受験生はこれに甘えすぎないようにしたいものです。
例えば、次のようなことはマナーとして守ってください。
- 食事を注文しよう
- 非常識な長居はやめよう
- 多人数で押し寄せるのはやめよう
- 混雑時は避けよう
- 店員から声をかけられたらそれにしたがおう
こうしたことを心がけることで、来年の受験生たちも「ガスト勉強」が可能になります。
よい学習文化を継承できるかどうかは、今の受験生にかかっています。
過去はスタバで勉強することに関しても記事にしています。
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この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。