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文部科学省が「通信制高校の改革」に取り組んでいる

通信制高校の改革とは?

文部科学省が通信制高校の改革に取り組んでいます。
同省内に、教育の専門家でつくる「広域通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議」(以下、調査会議)を設置して、2016年にはガイドラインをつくり、翌年の2017年には、通信制高校の質を向上させる方策を取りまとめました。

文部科学省が通信制高校改革に取り組むのは、これまでの仕組みに欠陥があり「事件」が起きたためです。
また、同省は通信制高校だけでなく、高校制度全体を見直そうとしています。

この記事は、通信制高校改革そのものに注目するとともに、文部科学省が考える「通信制高校のあるべき姿」を探っていきます。

また、そもそも通信制高校とはどのようなものであるのか、その概要について後段で解説します。

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なぜ通信制高校に改革が必要なのか「不正受給事件とは」

キーボードに伸びる手の影まず、通信制高校に改革が必要になった背景を紹介します。

通信制高校は、生徒がほとんど学校と接触せずに教育を受けられるところに利点がありますが、「この事件」では、それが盲点になってしまいました。

また、極力勉強をせずに卒業証書だけほしい生徒と、極力勉強を教えずに楽して卒業証書だけ渡して終わらせたい学校が存在したとき、利害が一致してしまいます。

さらに高校制度には多額の税金が投入されているため、悪意がある者にとって「お金を盗りやすい場所」になります。

この事件とは、2015年に発覚した「ウィッツ青山学園高校」事件のことです。
この事件では、通信制高校制度の盲点が突かれてしまいました。

ウィッツ青山学園高校は、政府から特別に許可された株式会社が、三重県で始めた正式な通信制高校でした。
事件後、同校は消滅し、生徒と通信制高校事業は別の学校法人に引継がれました。

高校には、国から就学支援金というお金が支給されています。
高校事業は儲かる仕事ではないので、運営費を税金で補填しているわけです。

ウィッツ青山学園高校の運営会社は、生徒14人分の就学支援金をだまし取っていました。

さらに、生徒たちをテーマパークに連れていき、そこで釣り銭計算をさせて「数学の授業」としたり、生徒にカルチャースクールに行かせて、それで卒業に必要な単位を与えたりしていました。

到底「授業」と呼べないようないい加減な教育を行ない、そのうえお金までだまし取っていたのです。

公教育をいわば「食い物」にしたウィッツ青山学園高校の行為は許されるものではありませんが、ただ、この事件後に文部科学省が通知した「通信教育運営指針の改定」の内容をみると、通信制高校の制度にも欠陥があったことがわかります。

ウィッツ青山学園高校事件後に出された文部科学省の「通信教育運営指針の改定」

・添削指導において、正誤のみの指摘は不適切である

・単なる体験活動の実施を単位認定するのは不適切である

改定でこれらを不適切としたことから、事件前は、こうしたことが「不適切であると明言されていなかった」ことがわかります。

つまり、生徒が提出したレポートや解答用紙を添削するとき、正誤しか指摘しないことがあったわけです。
単なる体験活動を卒業に必要な単位として認定していたことがあったわけです。

通信教育運営指針の改定はいわば応急処置でしかないので、文部科学省は「調査会議」を設置して、通信制高校の抜本的な質向上に取り組み始めました。

文部科学省の資料を読み解く「通信制高校の未来とは」

それでは調査会議が2017年に策定した「高等学校通信教育の質の確保・向上方策」と2016年にできあがった「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」をみていきましょう。

このなかに「通信制高校の未来」があります。

「高等学校通信教育の質の確保・向上方策」の内容

ディスカッション高等学校通信教育の質の確保・向上方策 」(以下、向上方策)を読み解くと、やはりまだ、通信制高校には問題が多いことがわかります。

例えば、「学校教育法や学習指導要領等の関係法令を遵守し、ガイドライン等に基づいて、適切な学校運営を行う」必要がある、と指摘しています。

つまり、法律やガイドラインを守って学校運営させることが「いまだに」課題になっているのです。

さらにこのような表現もありました。

「サポート施設等との連携で学校教育を安易に外部化することは不適切」

ここからは、ウィッツ青山学園高校のような「授業の安易な外部化」が、他の通信制高校でも行われていることを推測させます。
外部化とは、通信制高校が自分たちで授業を行なわず、よその機関に生徒の教育を任せることをいいます。

この向上方策では、すべての通信制高校が「なすべきこと」を7項目挙げています。

  1. 添削指導の充実
  2. 面接指導およびメディア学習の充実
  3. 学校設定教科・科目などの適正化
  4. 「カリキュラム・マネジメント」の実現
  5. 「主体的・対話的で深い学び」の視点からの教育改善
  6. 生徒指導、教育相談、進路指導等の充実
  7. 教員研修の充実

1367は、極めて基本的なことであり、かつ当然のことであり、「改革」というほどのことではないような気がします。
このような基本的なことは、早期に実現してほしいものです。

ただし、2の「メディア学習の充実」や5の「主体的・対話的で深い学び」はとても期待できます。
インターネットを使った教育が充実すれば、通信制高校の生徒たちは、普通高校の生徒より上質で高度な授業を受けられるようになるかもしれません。

そして主体的かつ対話的な深い学びができれば、ますます通信制高校の魅力が向上するはずです。

現在の通信制高校はまだ、普通高校に行けない生徒が行く場所と認識されています。
しかし、「メディア学習の充実」や「主体的・対話的で深い学び」が実現すれば、通信制高校と普通高校が同質の選択肢になるかもしれません。

この向上方策では、行政機関の「なすべきこと」も定めています。
通信制高校に「しなさい」と指示するだけでなく、行政機関がしっかり指導、管理、監督していくわけです。

行政機関の「なすべきこと」は次のとおりです。

  • 通信制高校が持つサテライト施設を積極的に把握する
  • 所轄庁における指導監督体制を充実させて強化する
  • 積極的に情報公開を推進させる
  • 学校評価を充実させる
  • 広域通信制高校の経常費補助を見直す

文部科学省や地方自治体の教育機関が「監視の目」を光らせて、「評価」をして、「お金(経常費補助)」を管理する、ということです。

ガイドラインの内容

文部科学省文部科学省が作成するガイドラインは、法律のようなものと考えることができます。
法律は国会がつくりますが、ガイドラインは文部科学省が独自につくります。

法律ほどの強制力はありませんが、通信制高校がこの「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン 」に反することをすると、文部科学省から「おとがめ」を受けることになります。
おとがめを受ける通信制高校は、社会から「よくない教育」をしていると認知されるので、生徒が集まらず存続できなくなります。

このガイドラインでは、ルールが細かく定められていますので、重要なものをいくつか紹介します。

・不登校経験や中途退学その他多様な課題を抱える生徒一人一人の事情に寄り添ったきめ細かな指導を行うことができるよう、教員配置の充実を図ること

・通信制の課程においても高等学校教育として、教育基本法、学校教育法、高等学校学習指導要領などの教育課程に関する法令に従い、適切な教育課程を編成すること

・添削指導およびその評価は、各教科の教員免許状を取得している実施校の教員が行うこと

・試験は実施校の教職員の監督下で適切に実施し、その採点基準の作成及び評価は各教科の教員免許状を取得している実施校の教員が行うこと

・不登校経験や中途退学その他多様な課題を抱える生徒の実態等を踏まえ、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを配置するなど、きめ細かな支援の充実に努めること

・進学・就職支援を担当する教職員やキャリアカウンセラーを配置するなど、 生徒の社会的・職業的自立に向けた支援の充実に努めること

普通の高校で行なっている教育・進学支援・就職支援を通信制高校でも行うよう、厳格に指示しています。

通信制高校には、不登校経験者や中途退学者といった、より手厚いサポートを必要としている子供たちが通学しています。
通信制高校がガイドラインを厳守しなければならないのは当然です。

高校改革の全体のなかでの位置づけとは

アイデア高校教育は今、25年ぶりの大きな転換期を迎えようとしています。
政府は「ソサイエティ5.0」という目標を掲げています。
ソサイエティ5.0とは「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会」のことです(※1)。

これを「ものすごくざっくり」説明すると、世界的にみてもすごい社会を日本で構築する、という構想です。

すごい社会をつくるには、その担い手である子供たちの教育を「すごいもの」にしていく必要があります。

そこで、文部科学省の組織である中央教育審議会(以下、中教審)は20197月に、高校改革を進める「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ」(以下、高校改革WG)をスタートさせました。

この高校改革WGでは、次の3つを検討していきます。

  1. 普通科改革など学科の在り方
  2. 地域社会や高等教育機関との協働による教育の在り方
  3. 定時制・通信制課程の在り方

3の通信制課程とは、通信制高校のことを指しています。

高校改革WGではすでに「通信制高校を希望する生徒が増えているのは、やりたいことをどんどん追究できるから。そういう環境を整えることが必要だ」といった意見が出ています(※2)。

通信制高校は、新しい学び方として注目されているので、今後劇的に改善されるようになるかもしれません。

※参考1https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html

※参考2https://www.kyobun.co.jp/news/20190725_03/

通信制高校の概要

ポーズをとる女性通信制高校の概要を紹介します。

いわゆる「普通の高校」は全日制といいます。
全日制高校では、昼間に授業を行ない、生徒は毎日学校に通う必要があります。

いわゆる「夜間高校」は定時制といいます。
定時制高校では、夜間に授業を行ない、生徒はやはり学校に毎日通います。

これに対して通信制の高校は、毎日学校に通う必要がありません。
学校から課題が出され、それを自宅学習でこなしていきます。
ただ、試験やスクーリングのときは学校に行きます。
学校に行く日数は通信制高校によって異なり、1年で1030日ほどです。

通信制高校や夜間高校を卒業しても、普通の高校を卒業した人と同じ「高卒の資格」が与えられます。
つまり、大学や専門学校に進学することもできます。

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まとめ~ポテンシャルが大きいだけに期待大

この記事は、通信制高校改革について解説する目的があったため、改革の必要性を生んだ問題点に注目しました。
しかし、現行でも「しっかりした教育」や「普通高校に負けない教育」をしている通信制高校はあります。

問題点はネガティブなことですが、「改善するきっかけ」と考えると、ポジティブに行動できます。
通信制高校には、新しい教育をつくるポテンシャルがあるだけに、改革の行方に期待したいところです。

この記事を監修した人

チーム個別指導塾
「大成会」代表:池端 祐次

2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。


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公開日:2020年1月4日
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