「『勉強垢』のアカウントでツイッターやインスタグラムに投稿すると、受験勉強のモチベーションを高めることができます」
一部の中高生には、この説明で十分通用するはずです。
しかし、ツイッターやインスタグラムに興味のない受験生や、ツイッターやインスタグラムをしていても受験勉強に使っていない人には、この説明では理解できないかもしれません。
この説明をもう少し詳しく解説します。
- ツイッターとインスタグラムは受験勉強をモチベーション向上に役立つ
- ツイッターとインスタグラムを受験勉強に使うには、アカウントを工夫する必要がある
- そのアカウントとは「勉強垢」である
- 「垢」は「アカ」と読み、アカウントのことで、ネット用語である
この点を押さえたうえで、受験生向けSNS活用法を紹介します。
「垢」と「SNS」の基礎知識
ツイッターやインスタグラムなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)と、アカウントについて説明します。
すでにツイッターやインスタグラムを使っている人はこの章を飛ばしても大丈夫ですが、アカウントとユーザー名とIDの違いがいまいち理解できていない人には参考になると思います。
アカウントもユーザー名もIDも名前である
SNSは誰でも無料で使うことができますが、使う前に本人登録しなければなりません。
例えば、大成太郎(TAISEI TARO)君が、SNSに登録するとします。
そのとき、「アカウント」と「ユーザー名」と「ID」を登録することになります。
この3つはいずれも本人を特定するもので「名前」と考えてください。
なぜ、SNSには3つも名前があるのでしょうか。
それは3つの名前を付けることで、利便性が向上するからです。
アカウントとユーザー名は、ユーザーが自分で付けることができますが、付け方には次のルールがあります。
- 「アカウント」「@」「ユーザー名」の順につける
- 「アカウント」の文字は自由に設定できる
- 「ユーザー名」の文字は半角英数字、全角英数字などに限られる
このルールにのっとって、アカウントとユーザー名を次のように付けたとします。
この場合、「大成太郎」がアカウントで、@以下の「taiseitaro」がユーザー名になります。
ユーザー名は、同じものを誰かが先に使っていたら、使うことができません。
例えば、誰かがすでに「@taiseitaro」と付けていたら、大成太郎君は例えば「@taiseitaro2」にするといった工夫が必要です。
アカウントは、他の人と同じものを付けることができます。
つまり、以下のようなルールになっています。
- 「大成太郎@taiseitaro」と「大成次郎@taiseitaro」は、ユーザー名が同じだから、先に登録したほうしか存在できません
- 「大成太郎@taiseitaro」と「大成太郎@taiseitaro2」と「大成太郎@taiseitaro3」は、ユーザー名が異なっているので、アカウントが同じでもすべて存在することができます
アカウントもユーザー名も、他の人に検索してもらうのに役立ちます。
「大成太郎」で検索すれば「大成太郎@taiseitaro」や「大成太郎@taiseitaro2」「大成太郎@taiseitaro3」を探すことができます。
しかし「taiseitaro2」で検索すれば「大成太郎@taiseitaro2」しか検索されません。
このように、アカウントとユーザー名の「名前の性質」が異なることで、検索がしやすくなります。
アカウントもユーザー名も、ユーザーが自由に変更することができます。
しかし3つ目の名前である「ID」は、SNSの運営会社が1人のユーザーに1個割り当てる認識番号で、ユーザーはこれを変更することはできません。
そのためIDが「最も強く個人を特定する記号」ということができます。
なぜ「勉強垢」が生まれたのか
「垢」はアカウントを意味するネット用語です。
ではなぜ「勉強垢」が生まれたのでしょうか。
それは受験生のSNSユーザーが「勉強垢」というアカウントを付けた人たちだけで交流したい、と考えたからです。
「勉強垢」はアカウントに「@勉強垢」と入れて使います。
勉強垢始めます!
◯理系 化学
◯得意科目 無い
◯数学、化学、英語
◯高2よろしくお願いします!!#勉強垢#勉強垢さんと繋がりたい
— HARUKI@勉強垢 (@HARUKI10628206)
自己紹介
・文系志望(国公立、今のところ文2か一 橋経済)
・得意科目:数学
・苦手科目:現代文、古典、化学、英語
・好きな科目:世界史、地理
・目標:1月の同日模試で450/600
・運動部所属、キャプテン#勉強垢#勉強垢さんと繋がりたい #勉強垢さんと頑張りたい
— りーくん@勉強垢 (@a1DkOs2je77kqrl) December 14, 2019
ここで「@」が2つ出てくるので混同しないようにしてください。
「@勉強垢」の@は「アカウント」「@」「ユーザー名」で使う@とは異なります。
例えば、自分を「勉強垢」で検索してもらいたいと思った場合、アカウントとユーザー名を次のように付けます。
これは次のように分解することができます。
- アカウントは「大成太郎@勉強垢」
- アカウントとユーザー名の間の「@」
- ユーザー名は「taiseitaro」
アカウントは自由に付けることができますし、他のユーザーとダブルこともできるので、アカウントに「@勉強垢」を含めると、「勉強垢」で検索した人に見つけてもらいやすくなります。
ツイッター版「勉強垢」はいい感じ
勉強垢を付けているツイッター・ユーザーは、どのような投稿をしているのでしょうか。
そして、勉強垢を、どのように受験勉強のモチベーション向上につなげているのでしょうか。
勉強垢さんたちのツイッター活用術を参考にしてみましょう。
(ここで紹介する投稿文は誰でも閲覧できる状態にあるものですが、投稿者を特定しにくくするために、意味が変わらない程度に引用文を少し加工しています)
早稲田大文化構想学部を目指している勉強垢さん
Aさんは、早稲田大文化構想学部を志望している、私立高校2年の女性です。
ある日の投稿に次のようにつづられていました。
昨日、模擬国連に行ってきました。賢い高校から、頭のいい人たちが参加していました。だから私はほとんど何もできませんでした。あの人たちと受験で戦うんだなあ。
模擬国連とは、グローバル・クラスルーム日本委員会という団体が行っているイベントです。
高校生や大学生たちが、「各国の大使」になり、実際の国連の会議を模擬します。
「各国の大使」に扮する生徒は、「自国」の政策や国益を考慮しながら、国際社会との協調を考えた演説や交渉を行います。
この投稿内容から、Aさんは高2生ながら、社会問題や国際問題に高い関心を持っている人であることがわかります。
さらに、模擬国連のようなイベントに参加しているときも、早稲田受験について考えていることもわかります。
Aさんは、模擬国連に参加する高2生は、早稲田を目指す自分のライバルになる、と考えています。
Aさんの別の日の投稿には、次のようなものがありました。
定期試験の結果がそろそろ返却されてきます。全部返ってきたら報告します!
自信のない教科ばっかりなのでほんとドキドキしています。
その2日後、次のような投稿がありました。
定期試験の結果が出ました。
現代文 87点★
古典 89点★
C英 74点☆
英表 93点★
政経 85点★
日本史78点
化学 61点
合計567点
平均81点
★は学年トップで、☆は多分トップです。
日本史と化学が課題ですねえ。励まないと。
「自信がない」といった割に、学年トップまたは学年トップ確実な教科が5つもありました。
しかし、早稲田という超難関大学を狙っているAさんにとって、日本史と化学でトップを獲れなかったことを気にしています。
もし、早稲田を目指している受験生がAさんの勉強垢投稿を読み続ければ、「難関大学を目指す秀才の心理」を理解することができるでしょう。
また、Aさん自身、自分の勉強風景を「さらす」ことで、自分を鼓舞しているわけです。
一度、試験結果を投稿すれば、次も投稿したくなります。
投稿する以上、よい点を報告したいので、勉強を頑張ることができます。
このように勉強垢ツイートは、受験モチベーションを育んでいきます。
つらさを吐露し続ける勉強垢さん
Bさんは勉強垢ツイートを始めた動機について、つぎのように語っています。
国公立大学志望です。理系が本当にできない理系です。本気で頑張っている人とつながりたいです。
得意科目:古典と日本史
苦手科目:英語
目標偏差値:60
志望大学:関西の難関国立大
Bさんは高2で、理系科目の偏差値が上がらず、苦悩しています。
目標偏差値60と関西の難関国立大志望という情報を提供しているので、学力はまだまだ足りないものの、それでも京大や大阪大や神戸大などを目指している人と交信したいと思っていることがわかります。
Bさんの勉強垢投稿の特徴は愚痴です。
例えば次のようなツイートがありました。
10分しか集中力が続かない。でも、それでいい。
自分の集中が切れる時間をタイマーでセットした。タイマーが鳴ったら2、3分休憩する。
徐々に集中できる時間が長くしていこう。
自分は努力しているといえるだろうか。怠惰な生活はしていないだろうか。
使える時間はすべて勉強に。
スマホ触っちゃだめだって思っているのにツイッターから離れられない。
離れてもすぐ戻ってきちゃう。これからはもっと朝の時間大切にしよう。貴重な朝活。
受験生の不安な心理が、手に取るようにわかる文章です。
Bさんは心情を吐露することで受験ストレスを減らそうとしているのでしょう。
勉強垢は、愚痴のはけ口にもなることがわかります。
「10分しか集中できない」という気持ちは、多くの受験生が「自分もそうだ」と感じるのではないでしょうか。
そして「怠惰な生活はしていないだろうか。使える時間はすべて勉強に」という決意表明も、すがすがしいものがあります。
受験はつくづく自分との闘いであることがわかります。
そしてBさんのツイートで注目したいのが、いわゆる「SNS中毒」です。
Bさんは、勉強したいのに「ツイッターから離れられない」状態にあります。
ツイッターで自分を鼓舞するために勉強垢を始めたのに、勉強垢投稿に勉強が阻害されてしまっています。
これから勉強垢を始める人には、よいアドバイスになるでしょう。
そして勉強垢を始める人はさらに、次の章で解説する「SNSリテラシー」についても注意してください。
SNSリテラシーとは
勉強垢でツイッターやインスタグラムを始める人は、SNSリテラシーを守るようにしてください。
リテラシーとは「読解記述力」や「ルールを適切に理解して表現すること」という意味になります。
SNSは便利な反面、炎上や名誉棄損、ストーカー被害、詐欺被害といった問題の引き金になっています。
その多くは、リテラシーを守らなかったことで起きています。
例えば、このような「事件」が起きています。
ある女性がある店でポイントカードをつくったところ、あとでその女性のSNSに「ポイントカードをつくってもらったときに対応した者です。今度会いませんか」という投稿がありました。
店の店員が、ポイントカードの登録用紙に書かれてあった女性の名前で検索をかけ、女性のSNSを探し当てて投稿したのです。
ここには2つのリテラシー違反があります。
1つ目は、店員のリテラシー違反です。
これは明らかです。
もうひとつは、女性がSNSのアカウントやユーザー名に、本人を特定できる記号を入れてしまったことです。
女性が悪いわけではありませんが、SNSリテラシーへの認識が甘いためにこの事件を引き起こしたともいえます。
勉強垢をする場合も、本人が特定されないようにしてください。
例えば、志望大学の名称と、よく行く図書館の名称と、よく行く喫茶店の名称を投稿するだけで、本人が特定できてしまうかもしれません。
アカウントやユーザー名だけでなく、投稿内容や投稿写真についても気を配ってください。
まとめ~SNSを使わない手はない
ちなみに、Instagram(インスタグラム)のほうでも勉強垢は存在しています。
Twetterと同じように勉強のために活用されており、ハッシュタグ「#勉強垢」とつけて投稿していますね。
TwitterもインスタグラムもSNSというツールには無限の可能性があります。
それは、人と無限につながることができるからです。
そのため、SNSで受験モチベーションを高めることは簡単です。
この記事ではツイッター版勉強垢を紹介しましたが、インスタグラムでも勉強垢は人気です。
しかもインスタグラムは画像を多く使うことができるので、「ビジュアル勉強垢」をつくることができます。
リテラシーを守りながら、勉強垢を自分の勉強の武器にしてみてください。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。