ひどいいじめに遭ったり、理不尽な教師が担任になったりすれば、保護者としては子供に学校に行かせたくないはずです。
しかし、子供が不登校状態になってしまったら、将来が不安です。
「最低でも中学は卒業させたい(したい)」
「できれば高卒の肩書は与えてあげたい(ほしい)」
「可能ならば大学に行かせてあげたい(行きたい)」
これが保護者と不登校状態になってしまった子供の本心ではないでしょうか。
もちろん不登校になった原因を解決し、再び学校に通い「通常ルート」で進学することが望ましいのですが、どうしても登校するのが難しく長年不登校が続いても、日本の学校制度は学力さえ獲得できれば大学に入ることができます。
その「回避ルート」なら、子供を守りながら大学に通わせることができます。
今回のコラムでは、北海道のいじめの実態とあわせて回避ルートについて紹介します。
北海道のいじめの実態はひどい
不登校になる原因が必ずしも「いじめ」だけとは限りませんが、多くの原因に挙げられます。
まずは北海道のいじめの実態を、北海道教育委員会の資料「北海道のいじめの現状及び防止の取組について」から探ってみましょう。
減るどころか5倍に急増
2014年度1,036件、2016年度5,185件。
わずか2年間で5倍。
これは何の数字かというと、北海道内の公立小学校での、いじめ認知件数です。
「全国でこれだけいじめ問題がクローズアップされているのだから、かなり解消されてきているのではないか」と思っている方もいるでしょう。
しかし実態はそうはなっていません。
中学校のいじめも、2013年度の1,557件から2016年度の1,899件へと22%増
高校のいじめは2013年度の409件から2016年度の456件へと11%増となっています。
教師はいじめを発見できない?
2016年度の道内公立学校のいじめの解消状況は、小学校97.8%、中学校96.9%、高校98.7%と高率です。
上記のグラフを一見すると「多くのいじめが解消できている」と思うかもしれませんが、いじめを受けている小学生の2.2%、中学生の3.1%、高校生の1.3%は、解消されずに苦しんでいます。
さらに残酷な数字があります。
いじめの発見のきっかけについて調べたところ「学級担任による発見」は小学校6.5%、中学校7.3%、高校3.1%にすぎません。
「学級担任以外の教職員による発見」も小学校0.6%、中学校1.6%、高校1.8%でした。
教師のいじめを発見する能力は極めて疑わしい、といわざるを得ません。
本人が訴えるしかない、という残酷さ
では、いじめがどのように発覚するかというと、次のとおりです。
- 「アンケート調査などで発見」
小学校68.1%、中学校52.8%、高校68.4% - 「本人からの訴えで発見」
小学校18.1%、中学校25.9%、高校15.8%
いじめられた本人が訴えないと、いじめはみつからないのです。
しかし、いじめに遭った経験がある方ならご存知だと思いますが、いじめに遭っている子供がいじめの実態を教師たちに報告することは、いじめている者から「密告」や「チクリ」とみなされ、より強力ないじめになる可能性があります。
つまり、いじめの発見をいじめられている側の訴えに頼ることは、とても残酷なことです。
いじめは教師がみつけなければなりませんし、みつけたら100%解消してあげなければならないはずです。
いじめに関する更に詳しい内容は以下をご覧ください。
不登校は自衛策、保護者が支持する必要もある
いじめに遭った子供が不登校状態になった場合、保護者はショックを受けるでしょう。
ただ保護者のなかには、子供が被害を受けたショックより、子供が学校に行かないことのショックのほうが大きくなることがあります。
一部の保護者は、「とにかく学校には行ってほしい」と思ってしまうのです。
そしてなかには「いじめぐらい跳ね返せ」という気持ちで、子供に無理に学校に行かせようとする保護者もいます。
子供の不登校に詳しい医師で臨床心理士の田中茂樹氏は、以下のように警鐘を鳴らしています。
クラスメートや教員からいじめられている場合に子供を再登校させることは危険
田中氏はさらに、不登校の原因がなんであれ、親などの保護者にできることは、子供に家で安心してすごさせることだ、と話しています。
不登校は、子供が自分の命を守るための自衛策でもあります。
保護者はまずは、それを支持してあげましょう。
加害者側に甘い?
なぜ、不登校しか子供の自衛策がないのでしょうか。
それは、学校側の対応が加害者に寛容すぎる部分があるからです。
北海道教育委員会は、児童生徒が不登校になったとき次のような対応を取る、としています。
少し長くなるのですが重要な部分なので、資料から全文を転載します。
1.いじめが原因で不登校となっている場合
学校は、いじめを絶対に許さないき然とした対応をとることが、まずもって大切です。
また、いじめられている児童生徒の緊急避難としての欠席が弾力的に認められてもよく、そのような場合には、その後の学習に支障がないよう配慮が求められます。
そのほか、いじめられた児童生徒又はその保護者が希望する場合には、柔軟に学級替えや転校の措置を活用することが考えられます
2.教員による不適切な言動や指導が不登校の原因となっている場合
教員による体罰や暴言等、不適切な言動や指導が不登校の原因となっている場合は、不適切な言動や指導をめぐる問題の解決に真剣に取り組むとともに、保護者等の意向を踏まえ、十分な教育的配慮の上で学級替えや転校を柔軟に認めていくことが望まれます。
同級生たちがいじめた場合も、教師(教員)がいじめた場合も、いじめられた子供の学級替えや転校を検討する、としています。
そして、いじめられた側から「希望」や「意向」があった場合に、「柔軟に」対応するとしています。
「いじめられた側から何の訴えがなくても、いじめが発覚したら迅速に解決に向けて対策を講じる」とは書かれていません。
つまり、いじめられた子供や保護者が、一定量の労力を払わなければならないということです。
また、いじめた同級生や教師を遠くにやるのではなく、いじめられた子供を遠くにやろうとしています。
さらにこの文章からは、いじめた同級生やいじめた教師を、被害者側に謝罪させたり、罰を与えたりする考えは伺えません。
だから、子供が学校に行かないようになったら、まずは保護者が子供の選択を支持してほしいのです。
文部科学省は「不登校でも小中学校を卒業できる」という見解
保護者が、「子供の不登校を許容してあげたいが、小学校も中学校も卒業できないのは困る」と考えるのは当然です。
また保護者なら、仮に不登校ながら小学校と中学校を卒業できても、「高校に行けなければかわいそう」「大学まで行かせてあげたい」と考えるかもしれません。
「やむを得ない事情」があれば可能
文部科学省は2016年に「小学校等の課程を修了していない者の中学校等入学に関する取扱いについて」という通知を、全国の都道府県教育委員会などに出しました(参考資料はこちら )。
それによると、やむを得ない事情によって小学生が不登校になり、小学校未修了のまま小学校を卒業する年齢に達した場合、中学への入学を認めるとしています。
また、中学生の不登校についても文部科学省は、民間施設などの学校外の機関で指導を受けていれば、出席扱いにすることができるとしています。
不登校期間も出席とみなされるので卒業できます。
中学を卒業できるので、高校の入試をパスすれば高校に通うことができます。
高卒認定試験に合格すれば大学入試を受ける資格が得られる
小学校と中学校は単位制ではないので不登校状態でも卒業できますが、高校は単位制なので、不登校状態のままでは卒業できません。
中学を卒業したものの高校に行かなかったり、高校に行ったものの中退したりしても、大学の入試を受けることができます。
そして入試にパスすれば、大学生になれます。
大学入試を受けるには原則、高校を卒業していなければなりません。
しかし例外として、文部科学省が実施している「高等学校卒業程度認定試験」(高卒認定試験、旧大検)に合格すれば、大学の入試を受ける資格が得られます(参考資料はこちら )。
高卒認定試験は、国語、地理歴史、公民、数学、理科、英語の6教科、8~10科目(選択によって変わる)のすべてで合格点を取得すれば、合格となります。
しかも1回ですべての試験に合格する必要はなく、1回合格した試験は次回受ける必要はありません。
数年かけて合格を積み重ねれば、大学入試を受ける権利が得られるのです。
ただ、高卒認定試験に合格しても、就職のときに使う履歴書には「高卒」とは書けません。
「高卒者と同等以上の学力を有している」と認定されるだけなので、履歴書には「高等学校卒業程度認定試験合格」と書くことになります。
高卒認定試験の試験範囲は高校1年生の教科書レベルなので、あまり難しくはありません。
少なくとも難解といわれる問題は出ません。
大成会は不登校の子供をサポートしています
文部科学省は、不登校のまま大学に進学する道を用意しています。
しかし、大学に入るには、その他の受験生と同じ学力を有していなければなりません。
大学入試をパスできるかどうかは、学力だけで決まります。
そこで大成会では「不登校専門サポートコース 」を用意しています。
学力さえ身につければ、限りなく未来の道が選べるからです。
不登校だった中学生が大成会に通い、北大合格者を何人も輩出している札幌開成高校に入学した事例もあります。
もちろん高卒認定試験のフォローも大成会で行っています。
そして大成会では、学力向上を目指すだけでなく、生徒のメンタル面のサポートもしています。
不登校の子供も、学校ではなく「塾なら」通うことができる場合がありますので、選択肢の一つとして大成会をご検討ください。
大成会では、無料の体験学習も実施していますので「まずは試しに…」という形でも大歓迎です。
不登校でお悩みの保護者の方は、一度「大成会」の問い合わせフォーム からお気軽にご相談ください。
まとめ~理不尽さに抗わず柔軟に乗り切る
学校に行きたくない子供はいないはずです。
しかし、学校に来させないようとする同級生や教師は存在します。
それは北海道教育委員会も文部科学省も認めているところです。
それが原因で不登校状態になることほど、理不尽なこともないでしょう。
しかし、いじめ問題を解決することはとても難しく、闘っているうちに子供の重要な時間がすぎていってしまいます。
保護者としては悔しいでしょうが、子供の将来と教育のことを考えると、あえて理不尽さに抗わず、柔軟に乗り切ったほうがいいでしょう。
子供自身は、「不登校をする」だけで十分闘っています。
もし、いじめなどの不登校の原因がやまなければ、保護者は通常ルートを回避する道を考えてあげたほうがいいでしょう。
大成会では「不登校専門サポートコース」について、無料で相談を受けています。
いつでもお気軽に問い合わせフォーム 、または電話(0120-519-509)でお気軽にご相談ください。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。