いじめの発見と親御さんや教員の対処法について

いじめの発見と親御さんや教員の対処法について

近年、学校でのいじめ問題は教育界を大きく揺るがしています。
今や教員採用試験の面接でも必ず質問され、教員としての使命感や倫理観を持っているかを確かめるなど国は全力でいじめの根絶に向けて取り組んでいます。

本記事ではいじめの定義や学校ではどのようにいじめの早期発見に取り組んでいるのかを明確にしています。
更に保護者としていじめを対処するにはどうすればいいのか等を解説します。

本記事では、情報の確実性・中立性を担保するため、主に文部科学省が公表している情報を元に構成しております。
その他の情報については筆者が学んだことや体験したことを元に記しています。

いじめの定義と認知件数について

学校のイメージ写真

いじめの定義は時代に沿って変化しています。

文部科学省によると昭和61年に定義されたいじめとは「自分より弱いものに対して一方的に身体的・精神的な苦痛を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの」のうち学校がその事実を確認したものとされていました。

その後、平成6年と平成18年にいじめの定義が改められましたが、現在は「いじめ対策推進法」が制定されており、以下のようにいじめが定義されています。

「いじめ」とは、「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。」とする。

昭和61年のものと比較するといじめの定義は以下のように変化しました。

  • 生徒間の力の差(強い、弱い)は考慮されなくなった
  • 苦痛を感じている期間に関係なく心身の苦痛を感じ始めた瞬間からいじめであるとされた
  • インターネット上での行為もいじめに該当するとされた
  • 学校が事実確認を行う以前からいじめが始まっているとされた

昭和61年の文部省(現:文部科学省)が発表したいじめの定義と比較してみると、現在のいじめの定義はより子どもの視点に立ったものであり時代の変化にも対応しています。

文部科学省の見解としていじめは「どの学校にも、どの児童生徒にも」起こりうる問題であるとしています。

特定の子どもに偏って起こるものではなく、ある日突然、今まで何もなかった子どもがいじめの対象となる場合もありえます。

また総務省行政評価局の調査 によると、平成28年度の児童生徒1,000人当たりのいじめの認知件数は、全国平均で23.8件です。

いじめの1000人当たりの認知件数グラフ

いじめの認知件数が一番多い都道府県は京都府(1,000人あたり96.8人=9.68%)
逆に一番少ない都道府県は香川県(1,000人あたり5人=0.5%)です。

この事についてインターネット上では「京都府は陰湿な人が多いからいじめが多発しているんだ」という意見が見受けられましたがこちらは間違いです。

京都府は現在いじめの根絶に向けての取り組みを行っており、些細ないじめでも教育委員会に報告するという方針が取られているため、いじめの認知件数が全国最多という結果となっています。

総務省行政評価局の報告によると、いじめの認知件数が低いことは一見良いことであると思われがちだが、教員がいじめを認知していないという可能性も懸念しているとの見方を示しています。

いじめが完全に解消された学校がある可能性はありますが、教員によっていじめの見方が様々であることも影響しています。

体育座りをする子供

2016年度のいじめ認知件数調査では小学校1年生~高校3年生までを対象にいじめの実態について調査しています。

この調査によるといじめの認知件数が一番多いのは意外にも小学校2年生という結果が出ています(45,546件) 小学校3年生、小学校1年生が続くなど現在はいじめの低年齢化が進行しています。

原因としては幼稚園や保育所から小学校に進学した時に学校生活に馴染むことが出来ないことが原因でいじめが発生するようです。

学校の教員はどのようにしていじめを発見するのか

学校の教員はどうやって子どものいじめに気づくのでしょうか。

教員は子どもと一日のほとんどを一緒に過ごします、そのため子どもの些細な変化にも気づかないといけません。
常日頃から子どもを注意深く観察し、いじめの芽を摘み取る必要があります。

しかし、いじめは大人の目が届かない場所で行われている事も多く、ふざけを装ったものもあり大人がいじめを認知することが困難な場合もあります。

そのために行われているいじめの早期発見方法は以下のふたつです。

  • 定期的なアンケート調査
  • 個人面談

ほかの子どもに知られることなく教員にいじめの事実を知らせることができるアンケート調査は効果が高く、その後の個人面談でいじめの詳細を被害者である子どもから聞き取るという流れが一般的です。

その他、明らかにいじめの被害者であると教員が判断した場合は定期的なアンケート調査を行わずに直接面談を行う場合もあります。

文部科学省の調査によるとアンケートでいじめが発覚したケースは全体の52.8%であり、本人からの訴えによる発覚が全体の18%でアンケート調査の効果が大きいことが伺えます

(参考:平成29年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について 文部科学省初等中等教育局 児童生徒課)

いじめの告発を受けた教員はほかの教職員と連携していじめの解決に向かいます。

加害者の子どもへの事実確認、保護者の方への連絡、教育委員会への報告を行い、事件性のある重大ないじめである場合は警察への連絡も行います。

いじめが犯罪行為として刑罰法規に抵触するケースについては「いじめが犯罪に該当するケース」にて詳しく解説しています。

指でバツ印を作る教員

いじめは当事者のみではなく傍観している第三者もいじめの加害者として扱います。

クラス全体として「いじめは許さない」という雰囲気を作り出すために子ども一人ひとりの意識が大切なので、学校の教員は意識して学級経営を行っています。

また教職員の間では「いじめ問題についてはチームとして解決に向けて取り組む」事が絶対とされています。
一人の教員で抱え込むといじめの効果的な解決は期待できないからです。

教職員は密な情報共有と連携でいじめの迅速な解決に尽力しています。

保護者が子どものいじめに気づくために

学校では先述の通りいじめの早期発見に向けて取り組んでいますが、家庭での様子からいじめの前兆を掴み取ることも可能です。

SOSと書く手

その判断材料の一つとして文部科学省では「いじめのサイン発見シート 」を文部科学省HPで無料配布しています。

このシートには保護者の方でも比較的容易にいじめのサインを発見できるようにチェック項目が設定されています。

特に気をつけていただきたい項目は以下の三点です。

  • 朝になると体の具合が悪いと言い、学校を休みたがる
  • 家からお金を持ち出したり、必要以上のお金をほしがる
  • 学校で使う持ち物がなくなったり、こわれている

これらに該当する場合はいじめが行われている可能性が特に高いです。

他の項目も重大なものばかりではありますが、判断に困ったらまずはこの項目に当てはまるものがあるかを確認して下さい。
少しでもいじめの可能性があるのであれば学校へなるべく早く連絡することが望ましいです。

特に中学生の場合、反抗期に差し掛かる場合もあり判断が難しいです。
家庭での様子だけで判断できない場合は学校に相談することが最善策です。

教員と情報共有をする事により、家庭での様子と学校での様子の両方を考慮していじめかどうかを判断することが出来ます。
特に子どもは自分からいじめの被害を言い出しにくいので大人が率先して動くことが大切です。

スマホを操作する少女

またインターネット上でのいじめは更に発見が困難となります。
匿名性が高く発見しづらいという特性もあり、情報が一瞬にして拡散してしまうリスクも抱えています。
普段から子どもと話し合ってスマートフォン等の使用ルールを決めるだけでなく、子どもが利用しているSNSなどを把握しておくことも大切です。

もしインターネット上で行われるいじめが発覚し、それが権利侵害に該当するものなどは発信者情報の開示を請求できます。
インターネットに関するトラブルは法務局等で助言を受けることが出来ますが、まずは学校との情報共有を行うことが望ましいです。

その他、教育委員会によってはネットパトロールを行っているところもあるので気になる方は一度、お住まいの地域の教育委員会に問い合わせてみることをお勧めします。

いじめが犯罪に該当するケース

いじめは子どもの学ぶ権利を侵害する重大な問題行動ですが、特に事件性の高いものに関しては学校と警察が連携して解決に取り組む必要があります。

いじめが犯罪となるケースについては文部科学省が通知を出していますので一部抜粋して紹介します。

◆暴行罪や傷害罪の可能性がある事例
・ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする場合
・遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする場合

◆強要罪や強制わいせつ罪の可能性がある事例
・嫌なことや危険なことをさせされる場合
・恥ずかしいことをさせられる場合

◆恐喝罪の可能性がある事例
・金品をたかられる

◆窃盗罪や器物破損罪の可能性がある場合
・金品を隠されたり盗まれたりする場合
・金品を壊されたり捨てられたりする場合

その他、上記に示している文部科学省のホームページでは名誉毀損罪や侮辱罪にあたるケースなども掲載されています。子どもの行った事とはいえ、その行為が犯罪となる場合もあります。

まとめ~些細な変化も見逃さないように

いじめは「どの学校にも、どの生徒にも」起こりうる重大な問題です。

保護者の方は子どもの些細な変化にも気づけるよう常にアンテナを張り、いじめの前兆が見られたときには本人からの訴えがなくても学校に相談することが望ましいです。
判断が難しい場合は文部科学省から配布されている「いじめのサイン発見シート」を参考にしながら判断することをお勧めします。

また、他の生徒からとみられる暴力痕を発見した場合は暴行罪として警察との連携のもとで解決にあたる必要があります。

お金を必要以上に要求したり、保護者の方の財布から抜き出す行為がある場合は恐喝など金品をたかられている場合もあり重大な問題ですので少しでも怪しいなと感じたらすぐに学校へ連絡する必要があります。

最後になりますが、学校は子どもや保護者の方の味方です。
些細なことでも大きないじめに発展するケースもあるので異変を感じたら確信がなくても学校へ一度相談して下さい。

それをきっかけに子どもの人生は大きく変わります。

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