発達障害のお子さんは年々増えています。
文部科学省による調査では、平成5年から平成25年までの20年間に発達障害を患う児童生徒数は約1万人から約7万人へと急増しています。
また、海外でも増加傾向がみられており、アメリカでは2004年から2018年の間に発達障害のひとつである「自閉症スペクトラム」の発生率は0.6%から1.7%と約3倍に増えています。
こうしたことから、社会的にも認知が高まり、対処すべき課題だと捉える風潮が高まっているようです。
今春発売された週刊誌においても、発達障害のお子さんとどう向き合い、どう育てれば良いかという観点から特集が組まれています(『発達障害の子と向き合って』AERA 2021年5月24日増大号)。
このような状況とは裏腹に、現実にはお子さんの両親が専門的な知見をもっていることは極めて稀です。
仮にそうであった場合でも、共働きがこれだけ一般化してくると、仕事との育児の両立はいっそう厳しいものです。
片手間の時間を使い、ハンデを背負ったお子さんにしつけを施し、導き、さらに学業的にも伸ばすことは、現実的に大変困難な状況が待ち受けていると言わざるを得ません。
発達障害のお子さんの場合、民間の学習サービスにお任せして解決、というわけには大抵の場合いかないものです。
頼みの民間サービスでさえ、一般のお子さんがいない発達障害専門の学習サービスがご近所にあるかどうかは運頼みといえます。
このような中で一筋の希望の光となっているのはオンラインを利用した、新たな形の学習支援サービスです。
ここでは特にマンツーマンの安心した教育を受講できる、発達障害のお子さん専門のオンライン家庭教師サービスについてご紹介します。
発達障害とは?
発達障害というのは、そもそもどういった障害なのでしょうか?
厚生労働省のホームページによると、発達障害は「生まれつきみられる脳の働き方の違いにより、幼児のうちから行動面や情緒面に特徴がある状態」と定義されています。
より具体的には「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されます。
端的に言うと、発達障害は「脳の違い」に原因があるわけです。
ところが、他の身体的な障害と違い、脳の違いははっきりと目に見えるわけではありません。
そのため、「うちの子は他の子と少し違う…」と仮に気づいても、症状の本当の原因がわかりづらく、養育者が育児の悩みを抱えたり、お子さんが生きづらさを感じたりすることもあります。
そもそも、発達障害は比較的最近になって明らかになり、認知度が高まってきた障害です。
ゆえに、その実態や機序のメカニズムが完全に解明され、理解されているわけではありません。
したがって、養育者である親御さん当人からすると、お子さんの障害に伴う実際の苦労だけでなく、原因がしばらく分からなかったり、悩みが打ち明けられる人が少なかったり、あらぬ誤解を受けてしまったりなど、気苦労が耐えないことは想像に難くありません。
そうしたことからも、親御さんの物理的・精神的負担を軽減する発達障害の教育サービスのニーズは高まっているといえます。
発達障害のひとつ、自閉症
発達障害は知的な障害から対人障害まで、ひとくちにはいえない程、さまざまな種類の障害があることが知られています。
また「発達」という言葉のイメージにとどまらず、”アダルトチルドレン”の言葉で知られているように、昨今は大人に対しても発達障害という言葉が使われるようになってきています。
また、発達障害は、他のさまざまな病気と同じように、症状の重さによっても区分けされています。
たとえば、発達障害のひとつである、対人障害の自閉症の場合、障害かどうかは単純に1か0ではなく、その中間に複数の状態があると理解されています。
これは「自閉症スペクトラム」と呼ばれています。
したがって、ひとくちに発達障害といっても症状の軽重は基本的にはケースバイケースです。
どのようなタイプの教育を行うにしても、発達障害の種類やその度合いに合わせたきめ細かな対応が必要になることにまず注意が必要です。
学習に関わるタイプの発達障害
数ある発達障害のうち、直接的に子どもの学習に支障をきたすものとしては、主に以下のものが知られています。
学習障害(LD)
知的な能力には発達の遅れはありませんが、聞く・話す・読む・書く・計算する・推理するなど特定のことが困難な特性がみられます。
主に、読字障害(ディスレクシア)、書字障害(ディスグラフィア)、算数障害(ディスカリキュリア)の3つのタイプに分類されています。
知的な遅れがない分、はっきりと気づかれないことが多く、周りから「真面目にやっていない」「努力が足りない」などと思われがちなタイプの障害です。
注意欠陥・多動性障害(ADHD)
不注意(集中力がない・気が散りやすい)、多動性(落ち着きがない・じっとしていられない)、衝動性 (考える前に実行してしまう・順番を待てない)の3つの要素がみられます。
何度も同じことを繰り返し注意されたり、授業態度を問題視されたり、周囲から怠けていると思われることがあります。
また、発達障害のなかには、世間の表面的なイメージとは逆に、特定の分野において平均的な子どもよりも高い学力を示すものもあります。
それが、先述した自閉症のひとつ、アスペルガー症候群です。
ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)
人とのコミュニケーションが苦手、こだわりが強いなどの特徴がある「自閉症」「アスペルガー症候群」を総称して「自閉スペクトラム症」と言います。
自閉症は、言葉の遅れ・知的障害を伴います。
アスペルガー症候群は知的障害がなく、人とのコミュニケーションは苦手ですが、人によって優れた才能を発揮することもあります。
このように、ひとくちに発達障害といっても、発達障害の種類によって症状はさまざまです。
そのため、いっけん学習が進まないケースでも一概には原因を特定できず、どのタイプの障害であるか、専門家による診断が必要です。
なかには、お子さんの学力への影響はときに正反対の様相を呈することもあります。
したがって、オンライン家庭教師サービスを利用する場合は、「お子さんにピッタリの講師を選べるか」「講師の教育実績とマッチしているか」などについて注意する必要があります。
発達障害を引き起こす原因とは?
次に、発達障害が引き起こされる原因についてですが、発達障害のなかには先天的要因を持つものもありますが、必ずしも遺伝的要因などの生まれつき要因によって起こるものではありません。
遺伝的要因がなくても発達障害になることはありますし、逆に遺伝的要因を抱えていたとしても、発達の経過次第で発達障害にならない(社会的困難を呈するほど、ひどくならない)場合もあります。
つまり、発達障害は環境要因も大きいということです。
「環境」というのはとても広い概念で、国や地域、住む場所といった物理的な生育環境を指すだけではありません。
人間関係ひとつとっても、家族構成やきょうだい構成、家族形態(三世代同居、各家族、共働き、シングルマザー)、友人関係、通園の有無、保育士や教師との関係、などが影響するとされています。
他にも、行動や食事など、子供の発達を取り巻くあらゆる要因が環境となって表れます。
家庭教師となると、集団教育を施す学校や塾と違い、オンラインとはいえマンツーマンで行うため、単なる教師以上の深い関係性になる場合もあります。
したがって、お子さんの発育に良好な経過をもたらすよう、教師の能力だけでなく人格面の豊かさも併せもつ講師が理想だといえるでしょう。
歴史に残る家庭教師
家庭教師というと、思い起こされるのは歴史上の偉大な人物です。
盲目・聾唖・緘黙(かんもく) の三重苦に苦しんだヘレン・ケラーの家庭教師アン・サリバンはヘレンの献身的なサポートに捧げ、ヘレンの精神や生き方に多大な影響をもたらしました。
ヘレンは後年、サリバン先生の功績について詳述した『先生』を書き残しています。
ヘレンは発達障害ではなかったものの、健常者と異なるという点では発達障害と同じです。
そんなヘレンに難解極まりない教育を施し、立派な人物に成長するよう導いたサリバンは発達障害の家庭教師として、その足跡やプロセスを学ぶところが非常に大きな存在です。
他には人類史上に残る家庭教師というと、中近東アジアを制圧した古代マケドニアの大王アレキサンダーを育て上げた、古代ギリシャを代表する哲学者のアリストテレスが知られています。
家庭教師といえば、大学生のアルバイトというような現代とは違い、学校のない古来よりにおいては、家庭教師はとても大事な職業でした。
昔の皇族や貴族は、優れた人物を家庭教師に据えるのが通例だったのです。
これらの史実からも分かるように、家庭教師にどのような方を選ぶかは、大事なお子さんの健全な成長を支える上で、ときに非常に大きな役割を果たします。
可能な範囲で、お子さんにふさわしく、相性の良い講師の方を探すのが賢明です。
発達障害のための支援「療育」
発達障害、いわゆる学習障害やそれに近い特徴のあるお子さんには、ひとりひとりの個性に合わせた指導や適切な支援をすることでその困難が解消、もしくは軽減することが可能です。
今日、学校教育の現場でも発達障害に対応する塾や家庭教師等の習い事を推奨しており、療育という支援もあります。
療育(発達支援)とは、障害を持つ子どもが自立した生活を送れるようにするための支援のことです。
「日常生活に必要な能力が身に着く」「社会性やコミュニケーション能力が身に着く」などの効果があると言われており、児童福祉法に定められた公的に効果が認められている手法です。
療育は専門性を伴い、その種類として認知行動療法や生活技能訓練、箱庭療法などがあります。
発達障害のお子さんは、一般的な保育園とは別に、土日などを利用して療育施設に通うことがあります。
療育では、大人の日頃の接し方が子どもの成長に大きく影響します。
せっかく子どもの問題に応じた最適な療育を行っても、大人の接し方によって、効果が薄くなるケースは少なくありません。
たとえば、お子さんに何かを伝える際に、否定的ではなく肯定的な表現を使います。
肯定的な表現を使うことで、子どもは前向きな気持ちで物事に取り組めるようになります。
また、お子さんが何かに失敗した際に、前向きな言葉をかけることもポイントです。
療育が必要なお子さんは、もともとの自己肯定感が低い傾向にあるからです。
したがって、オンライン家庭教師を選ぶ際にも通常の家庭教師と違い、療育の専門性をもった家庭教師の在籍するサービスを選ぶことが大きなポイントになります。
発達障害の有資格者が指導をバックアップ
家庭教師の良いところとしては、塾と違ってマンツーマン指導であることが挙げられます。
数あるオンライン家庭教師サービスのなかには、講師が「発達障害コミュニケーション指導者」の資格を取得しているものもあります。
また、お子さんの個性に合わせる観点から、指導カリキュラムの監修や家庭教師への指導を行っています。
専任スタッフが生徒さんの状況に合わせ、家庭教師の選抜~指導カリキュラムの相談まで、トータルでバックアップするため、不安の解消につながることでしょう。
オンライン家庭教師のメリット
発達障害のお子さんが学習を進めるうえで、「オンライン家庭教師」のメリットはどんなところにあるのでしょうか?
オンライン家庭教師サービスは基本的に双方向のマンツーマン指導になっています。
そのため、教師と生徒が互いに会話しながら授業を進めることができ、質の高い授業がいつでもどこでも受けられます。
一人ひとりの個性をしっかりと把握し、よりお子様に合った指導で生徒さんの学習をサポートします。
また、専任の教師による指導が行われるため、発達障害特有の不明点や疑問点に対しても、きめ細かい対処ができます。
さらに、曜日や時間帯、受講回数、教師、受講する教科などを、子どものタイプに合わせて選ぶことができます。
この自由度の高さはなんといっても魅力で、教師の質も高く、難関大学の大学生からプロの家庭教師まで、レパートリーが揃っています。
現在の浸透率を調べた2021年のある調査では、オンライン家庭教師をはじめて利用する家庭は全体の82%だそうです。
コロナ禍前にもオンライン家庭教師のサービスはありましたが、コロナ禍によって自宅学習の需要が増したことがうかがえます。
発達障害のお子さんに対応するサービスも増えてきている現在、安心して自宅でマイペースで、かつ質の高い授業を受けることができる良い時代になったといえるでしょう。
おすすめのオンライン家庭教師はコチラ!
名門・難関校への高い合格実績を誇る学習塾「大成会」が運営するオンライン家庭教師です。
オンライン家庭教師のデメリット
このように一見メリットだらけのオンライン家庭教師ですが、もちろんデメリットもあります。
オンライン家庭教師のデメリットはどんなところにあるのでしょうか?
従来多くの現場で指摘されていたのは、意思の疎通や感情の共有が十分にできないことだそうです。
特に、教師のオンライン授業に対するリテラシーによって、授業の質が大きく左右されることが問題視されていました。
これらのデメリットを鑑みると、オンライン家庭教師を選ぶ際には
- 講師がいかにオンライン授業のポイントを熟知しているか
- 講師がオンライン授業経験を豊富に持っているか
もポイントになるでしょう。
発達障害の子どもを対象にしたオンライン家庭教師サービス
以上、発達障害のお子さんに適したオンライン家庭教師サービスを探すうえでのポイントをいくつかお伝えしてきました。
以下に、おすすめのオンライン家庭教師サービスをいくつか紹介していきましょう。
①家庭教師ファースト
家庭教師サービスのファーストには「発達障害サポートコース」というコースが設けられています。
「発達障害コミュニケーション指導者」の資格を取得しており、より子どもの個性に合わせる観点から、指導カリキュラムの監修や家庭教師への指導を行って います。
- 1コマあたりの分数:45分、90分
- 料金(税込):
1コマ45分 2,500円台~(月4回 10,395円)
1コマ90分 2,500円台~(月4回 19,800円)
※不登校の場合
1コマ45分 2,500円台~(月4回 16,500円)
1コマ90分 2,500円台~(月4回 33,000円) - 対応する学年:小学生・中学生・高校生
- 対応する教科:5教科(国・数・英・理・社)
- 特筆すべき特徴:「発達障害コミュニケーション指導者」の有資格
②家庭教師のゴーイング
勉強が苦手な子専門の家庭教師サービスとして25年の実績を誇ります。
13万人以上の大学生の勉強法を分析し、「今まで何をやってもダメ…」そんな子を26年に渡って大逆転に導いてきた自慢の『カンタン家勉法』を3時間たっぷりかけて研修しています。
- 1コマあたりの分数:30分
- 料金(税込):1コマ30分 1,000円~
- 対応する学年:小学生・中学生・高校生
- 対応する教科:5教科(国・数・英・理・社)
- 特筆すべき特徴:学習が苦手な子に対する指導歴、料金の安さ
③オンライン家庭教師GIPS
図書館や学校のような自習室をオンライン上で提供しており、365日・オンライン自習室で自習をサポートします。
また、LINEで質問チャットを提供し、24時間サポートしています。
- 1コマあたりの分数:30分、60分、90分
- 料金(税込):
1コマ 900円~
月90分4コマ 10,000円台~ - 対応する学年:小学生・中学生・高校生
- 対応する教科:5教科(国・数・英・理・社)
- 特筆すべき特徴:学習が苦手な子に対する指導歴、料金の安さ
④あすなろのオンライン家庭教師
勉強が苦手な子や不登校や発達障害でも短期間で成績をUPできます。
471人の生徒がオンラインの効果を実感しています。
- 1コマあたりの分数:30分
- 料金(税込):1コマ30分 1,000円~(月14,000~25,000円)
- 対応する学年:小学生・中学生・高校生
- 対応する教科:5教科(国・数・英・理・社)
- 特筆すべき特徴:学習が苦手な子に対する指導歴、料金の安さ
このように発達障害のお子さんを対象にしたオンライン家庭教師サービスは大手企業から中小規模の企業までさまざまで、それぞれ特徴ある内容が取り揃っています。
1コマ1000円からと、比較的リーズナブルな価格で提供されているため、ご検討されてみてはいかがでしょうか。
まとめ
リモートワークやオンライン授業が進んだ今の時代、従来型教育にかかっていた負担を軽くすべく、最新のテクノロジーを活かした新たなサービスが立ち現れてきています。
その一つが今回紹介した、発達障害をもつお子さんを対象にした専門のオンライン家庭教師サービスです。
きめ細かいケアが必要なお子さんのサポートにふさわしいマンツーマン形式を備えた、優れた学習サービスとなっています。
自宅で行えるため、対人関係の問題を抱えているお子さんにとっても、利用しやすいのが特徴です。
こうした新たな形の教育サービスを積極的に利用することで、日常的な負担が少しでも軽くすれば幸いです。
興味を持たれた方は、ぜひご利用を検討してみてください。