多くの学習塾では講師として大学生を雇用しています。
そこで心配となるのは「授業の質が担保されているのか?」についてです。
学校の教員は若くても20歳で教育を専攻してきた専門人です。
対する学習塾では大学生が学業の傍ら働いており本当に知識を授けてくれるのか心配になります。
結論を申し上げますと「殆どの場合は問題ない」です。
本記事ではこの本意について迫ってみましょう。
大学生の塾講師は知識に問題は無いが…
先述の通り、学習塾の講師は大学生が大半を占めており授業の質が懸念されるところです。
一言に大学生と言ってもその中身は様々。
学術研究を修めている方から教職を志している方まで同じ学習塾で働いている事も珍しくありません。
そこで学校の教員にも求められている【知識量】【授業力】【人間性】の3観点から比較しようと思います。
大学生講師の【知識量】について
大学生の塾講師が持っている【知識量】に関してですが、これはほとんどの講師で問題ありません。
根拠は「大学生であること」と「入塾試験」の2つで担保されています。
大学では入学時に試験が行われます。
試験の難易度は大学によって様々ではありますが、一定水準の学力を備えていることは間違いありません。
もし心配であれば塾長に相談すると良いでしょう。
個人情報のため詳細な大学名まで伝えてくれる塾は多くありませんが、少なくとも「公立大に在籍している講師を雇っている」「留学経験のある講師が在籍している」程度は知ることが出来ます。
また塾講師を雇用する際、多くの塾で知識の水準を保障するため講師に入塾試験を課します。
そこで知識の量を測り採否の材料とします。
そのため持っている知識の量はあまり気にする必要はありません。
大学生講師の【授業量】について
次に【授業力】についてお話します。
授業力に関しては特に当たり外れが大きい要素で、豊富な知識を兼ね備えていたとしても、それを子どもに効率的に教授することが出来る講師は実は多くありません。
極端な例ですが国立大学に在籍している講師であっても、持っている知識を適切に子どもに伝える事が出来ない場合もあります。
講師の在籍状況について尋ねる際に「将来的に教職を志している講師は在籍しているか」「教育を専攻している講師は在籍しているか」などと加えて確認を行うと良いでしょう、目安のひとつになります。
教育方法に関しては研究対象とされている学問です。
そのため授業力は教育を専攻している大学生講師と他の大学生講師で大きく差が開く要素です。
ただし、後にもお話しますがフランチャイズ学習塾では指導方法がマニュアル化されており、新人講師であってもある程度の水準を持って授業を行えるようになっています。
進学校を視野に入れているなど特別な理由がない限りは、こちらに関しても考慮する必要はあまり無いでしょう。
大学生講師の【人間性】について
最後に【人間性】についてです。
知識と指導力を兼ね備えていたとしても「この先生の授業を受けたい!」と子どもが思わなければ意味がありません。
いわゆる通塾へのモチベーションに関わる部分です。
こちらに関しても講師による差は大きいです。
人気講師と呼ばれる塾講師は膨大な知識と、それらを効率的にわかりやすく伝えることの出来る指導力に加え、子ども想いで豊かな人間性の3要素を兼ね備えています。
ご自身の学生時代を想像して頂けると共感して頂ける方も多いかと思われます。
どれだけ知識を持っていて効率的な授業術を持ってしても、理不尽であったり無愛想であったりする教師に好感は持てません。
本記事の性質からも人格を否定する意図はありませんが、一方で保護者の方が考慮すべき要素として尊重されるべきでしょう。
つまり、持っている知識の量に関しては考える必要は無いということです。
しかし学問を適切に教えることのできる授業力と、子どもから好かれる人間性に関しては講師に関して差があります。
保護者の方がこれらを知る材料としては「教育を専攻しているのか」「人気講師はいるのか」などの質問が効果的です。
上記の3項目を備えている講師が相手でも「自分と相性が合わない」ということはどうしても起きてしまいます。
そこで以下の記事では講師の見極め方について詳しく解説しています。合わせて読んでみてください。
フランチャイズ学習塾では大学生講師による差は少ない
とは言えフランチャイズ学習塾では指導方法がマニュアル化されており、極力講師間での能力差が出ないようにされています。
具体的にはフランチャイズ独自の教材を用いて授業を進めることで、どの講師が指導しても差が生まれづらいようになっています。
フランチャイズ独自の教材は難易度別に区別されており、子どもの正答率を見て次回に取り組む難易度を選択する事が可能です。
そのため安定して成績を上げる事が可能となっていますが、逆に突出した好成績を残すことは講師の技量に委ねられています。
ここが先述の「指導力」の生きるポイントです。
例えば英文法だと教材に書いてある事項を口頭やノートに書いて指導する場面があります。
この際に説明の要領がいい大学生講師とそうでない大学生講師の差が生まれます。
基本的な成果はどの講師に割り当てられても保証されていますが、それ以上の知識を期待する場合は大学生講師の技量に左右されるという事です。
個人経営の学習塾の場合も多くは大学生講師が雇われていますが、経営者の理念に沿う講師が雇われている場合が多く指導法のバリエーションも豊富な講師が指導にあたっている印象を受けます。
要するに一言で大学生講師と言えども、教員免許取得のために勉強していたり学術研究を主にしていたりと中身は様々です。
塾長への質問などの中で適切な講師に出会う事が子どもの成績を上げる一番の近道です。
塾講師が大学生だとメリットも有る
これまで大学生の塾講師について批判的な視線で述べてきましたが、大学生の塾講師ならではの利点があることも確かです。
本項ではそれについて2点記します。
大学生の塾講師は一見不安な要素が多く見られますが、一番のメリットは『共感力の高さ』です。
学習塾では講師にもよりますが、授業前に短い日常会話を行う事もあります。
内容は学校での出来事や流行っているもの等多岐にわたりますが、そうした会話の中で大学生講師はより深い共感を持つことが出来ます。
アイスブレイク的な日常会話は授業内容とは直接の関係を持たないものの、学習への動機づけに役立ち、その後の学習の流れを決めると言っても過言では無いほどです。
学校の教員と比べても、子どもとの年齢が近いため子どもにとっても話しやすい事も大きなメリットです。
もう一つの大学生講師の利点は『知識の新しさ』です。
大学生は学校の教員と比較しても若いため学校で習った知識も新しいものが多いです。
我々保護者の世代と子どもたちの世代とでは授業の内容も違ってきます。
例えば西暦645年に起こった出来事といえば我々は「大化の改新」と学びましたが、現在の子どもは「乙巳の変(いっしのへん)」と学びます。
教科書から「大化の改新」という言葉が消えたわけではありませんが、本記事の本旨とは異なりますのでこれ以上の説明は控えます。
しかし、このような知識は日本史を専攻している大学生にとってはもはや常識と言えるもので最新の知識を備えているという事は大きなメリットです。
講師の人間性が学習をブーストする材料となる
学習塾の講師を大学生が務めていても、子どもの学習に影響は無いということを今までお伝えしてきました。
知識面では大学生ということもあり、最低でも子どもの学習指導に影響がない程度は持ち合わせています。
また、講師採用の際の試験によって学習塾も講師の学力を保障しています。
指導力の面でも大手フランチャイズの学習塾であればマニュアルが存在し、個人経営の学習塾であっても経営者の理念に沿った教育が行われています。
それでは人間性の面ではいかがでしょうか。
保護者の方は大学生講師の知識面ばかりを重視しがちで大学生講師の人としての魅力にはあまり目を向けません。
しかし、講師の人間としての魅力は間接的ではありますが、子どもの学習にも深く関わってきます。
明るく説明も簡潔でかつ要領を得ている講師と、表情が暗く喋り方も何とか聞き取れるもののボソボソと覇気のない講師では、どちらに授業をして欲しいかは歴然かと思われます。
塾講師の資質として子どもの学習に対するモチベーションを保つということは、知識を授ける事と同じくらい重要です。
「この先生の授業を受けたい、この先生のためにも成績を上げて志望校に合格したい」と思うようになると、子どもも一所懸命に学習に取り組むようになります。
塾長の指導理念に納得して子どもを学習塾に通わせたとしても、所属講師の配置によっては反りの合わない講師に割り当てられる事もあります。
子どもが納得いかない様子で帰宅するなどの特徴が見られたら「今日の先生はどうだった?」と一言かけて様子を伺いましょう。
もし講師との相性が悪い様子が見られたら塾長に相談することをお勧めします。
ほとんどの場合は担当の講師を変更したり、当該講師の出勤日以外に授業日を変更してくれるなど親身に対応してくれます。
塾講師は子どもと接する重要な立場にあります。
知識量のみならず、指導法が簡潔明瞭で学習面以外の教養も兼ね備えている事も求められます。
そのため臆する事無く積極的に交渉していただいても問題ありません。
ただし実際には様々なアルバイト先がある中で自ら選んで塾講師になる大学生は教職を志しており大学で学んだ教育法を実践したいと考えている方も居れば、子どもが好きで自分の知識を授けたいと考えて一所懸命に取り組んでいる方が居たりと様々です。
その中でも話すことが苦手であったり、説明が上手でない方は居られますので子どもと相性の合う講師を見つける事が大切です。
まとめ
塾講師の殆どが大学生と初めて知った時は驚かれたかと思います。
ですが実際、自ら進んで塾講師になる大学生は教職を志していたり子どもが好きといった理由でアルバイトを選ぶ場合が大半です。
大学生の塾講師で特に心配されるポイントは目に見える学力の側面、指導力、そして講師の人間性です。
学力と指導力に関しては塾講師としての勤務に堪える能力を有しています。
ですが、人間性に関しては実際に授業を受けてみないと分かりません。
子どもと接する仕事であることからコミュニケーション能力や字の見やすさも求められています。
自身の子どもが「この講師とは合わない」と訴えてくるのであれば、その旨を塾長に伝えれば出来る限りの措置は取ってくれます。
遠慮すること無く申し出てみてください。
最後に、札幌市内で塾をお探しの方へ。市内の塾・予備校の費用を比較した記事もぜひご覧になってみてください。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。