大学四年間は長いようで短く、あっという間です。
一生に一度しかないキャンパスライフを充実させるために、まず必要となるのはスケジュールの作成です。
実行できる無理ないスケジュールを策定し、毎日忠実に守ることで大学生活はより満足いくものになり、かけがえのない青春の日々を過ごせるでしょう。
そのためには与えられた貴重な時間を主体的に管理し、有効に活用することがカギになります。
「遊びも勉強も捗る」、理想のスケジュール作成について以下に解説していきましょう。
時間に振り回される生活から脱却しよう
「時間はあり余っているけど、何に使っていいかわからない…」
「サークルにバイト…忙しすぎて毎日振り回されている…」
「友だちと飲み会続きですべきことが全然できない…」
どれもこれも昔からどこにでもある典型的な日本の大学生の悩みです。
最近は新型コロナの事情で以下のような新たな悩みも増えました。
「オンラインばかりで友だちや知り合いが一向にできない…」
高校までのガチガチに固められた生活と違い、大学では裁量のきく自由な時間はとても多くなります。
ひとり暮らしならなおさらでしょう。
逆に言えば、その生活は堕落と隣合わせでもあります。
人間は管理されないと、やりたいことしかやらなくなってしまうものです。
気がついたら留年していたり、やりたいことも十分に果たせないまま卒業の時期を迎えていた…というのはしばしば見かける光景です。
スケジューリングの重要性
こうした最悪の結末を避けるにはどうすればよいでしょうか?
高校までの生活と違い、自分の代わりにスケジュールを設定してくれる担任の先生や親は基本的に存在しません。
また、大学では目的や地理的環境、在籍する学部・学科などにより、最適な時間配分は変わってきます。
これは大学生活の良い点であると同時に難しい点でもあります。
誰にとっても最適なスケジュールというものは存在せず、人によってそれは違うということです。
つまり、スケジュールを自分自身で管理する必要があります。
タイムスケジューリングがいかに大事か、まず自覚することが大切です。
「自分の面倒は自分でみる」ことに気づくことが、大人としての生活の第一歩になるでしょう。
スケジュールの作成は”荷造り”と同じ
大学生の本分は言うまでもなく学業ですが、それだけに費やすのは勿体ないことです。
学業と私生活を可能な限り両立することが望ましいでしょう。
では、どのようにスケジュールを作ればよいのでしょうか?
たとえるなら、大きさの違う積み木をケースに入れる作業に似ています。
引越し作業でいえば、ダンボールに異なるサイズの荷物を詰めることにあたります。
手順としてはサイズが大きい物から順に入れるとうまく入りますが、順番を間違うと全ての物が入らなくなりますよね。
また、たとえサイズが小さくても大事な荷物は先に詰める必要があります。
引越し先にダンボールを送ったものの、マンガやゲームばかり詰めてあって、掃除用品や調理用品がなくては話になりません。
バケットリストから「大きな予定」を決める
時間は有限なので、このたとえからわかるように、スケジュールを組むときも「大きな予定」「重要な予定」から詰めていくことが肝心です。
大きな予定とは、「夏休みや春休みなどの長期休暇に入れるべき予定」です。
大きな予定を選ぶうえでは”バケットリスト”という言葉が参考になります。
”バケット”の言葉通り、やりたいことを自分の”バケツ”に入れておくのです。
バケットリストは「死ぬまでにしたい100のこと」 と定義されています。
ここでは例として「大学4年間にやりたい〇〇のこと」(〇〇=数字)とし、全部書き出してみましょう。
これまであまり経験できなかったこと、たとえば国内旅行や海外旅行、帰省、インターンシップ、部活やサークルの合宿、短期海外留学、長期のアルバイト、家族行事などになるでしょうか。
目的達成のための「重要な予定」
たっぷり書き出したら、バケットリストの各項目を大学4年間の長期休暇のスケジュールに詰め込んでいきましょう。
その際、個々の予定を大学の何年次に行い、どのような日程にするか計画を立て、そのために必要な予算なども心づもりしておきましょう。
こうすることで、卒業時に「しまった、あれをやってなかった…!」と後悔することがなくなります。
大きな予定リストが埋まったら、次は外せない「重要な予定」です。
重要な予定とは「目的達成に必須な予定」のことです。
大学生の場合、卒業単位に必要な講義、卒論発表を含むゼミや研究室の活動、部活やサークルの大会なども含まれますね。
大きな予定と重要な予定を埋め終わったら、年間スケジュールを再度、俯瞰してみましょう。
年間にどのくらい本当の空き日程があるか、みえてきたのではないでしょうか。
何をしたいか自問自答しつつ、残った枠に細々した他の小さな予定を入れていきましょう。
タイムスケジュールの策定
こうして年間の長期スケジュールが決まったら、いよいよ1日のタイムスケジュールの策定です。
四年間の1日1日はどれも一様ではありません。
少なくとも「授業のある期間の平日」「授業のある期間の休祭日」「授業のない長期休暇」の3種類があります。
また、部活やサークルに加入している場合、活動がある日とない日でも大きく違うことでしょう。
個別のキャンパスライフに合わせたタイムスケジュールを作る必要があります。
1日のタイムスケジュール
あなたの行動を客観的に管理してくれるのは時計だけですが、1日=24時間のタイムスケジュールを作るうえでも、やはり先ほどの荷造りのたとえが役立ちます。
まずは、「重要な予定」「長時間の予定」から先に埋めていきましょう。
1日の中で重要な予定といえばもちろん、睡眠・食事・入浴等の基本的生活習慣です。
これらをしっかり満たさないと、タイトなスケジュールをこなすだけの十分な体力・気力が望めません。
次に重要なのは、学業にあてる時間帯です。
高校の授業とは違い、日中の講義の時間割だけでなく、ゼミや研究室などで夜までかかる場合もあります。
さらに、調査やフィールドワークなども含むと、週末や長期休暇にかかる講義もあります。
必要な単位をとるのにどれくらい時間が必要か、前もって予測しておきましょう。
長時間の予定には、部活やサークル活動、アルバイトなどを書き入れましょう。
細切れ時間を有効に活用しよう
こうして生活時間帯を含む「重要な予定」と「長時間の予定」でスケジュールが埋まると、最後に細切れになった時間が残されます。
「授業のある期間の平日」であれば、それはいっけん短い時間に思えるかもしれません。
仮に生活時間(睡眠+食事+入浴等)を12時間、講義の時間を6時間、部活・サークル・アルバイトなどの課外活動を3時間、大学や活動場所への移動時間を1時間、とすると、残る”細切れ時間”はたったの計2時間ほどです。
意識しないと時間というのはたちまち無意義になります。
SNSやスマホをみたり、ゲームをしたり、テレビをみたりしていると、あっという間に2時間くらい経ってしまうでしょう。
ところが、この細切れの2時間は非常に重要です。
時間の有効な使い方はこの”2時間”をどう上手くつかえるかにかかっています。
皆さんの将来を大きく左右するといっても過言ではありません。
ちりも積もれば…あなたを成長させます
たかが2時間と思われるかもしれませんが、これを年間でトータルしてみましょう。
2時間x 365 日= 730時間にもなるのです!
1日8時間としても、730÷8=約90日=約3ヶ月分の差になります。
この時間をどう有効に使うかで、1年後・2年後…はおろか、10年後には大きな差になることでしょう。
この貴重な空白の2時間に当てはめるべきことはズバリ、「将来あなたがなりたいものになるための時間」です。
専門の勉強、資格の勉強、語学の勉強、プレゼンテーションの練習、体力づくりやトレーニング、楽器の練習、ボランティア活動、なんでも構いません。
大事なことほど得てして面倒くさく、苦痛を伴うためついつい先延ばしにしがちなもの。
そうした”緊急ではないけれど重要な事項”を空白の時間に当てはめ、毎日忠実に実行してみてください。
継続すれば長いスパンでみたときに成果が着実に表れ、自分を大いに成長させてくれることでしょう。
【実例】男女別・大学生のスケジュール
では、実際に大学生のスケジュールを男女別にみてみましょう。
ある男子大学生の1日のスケジュール(1)
5:30 | 起床 |
9:00〜18:00 | 講義 |
18:00〜21:00 | サークル |
24:00 | 帰宅 |
26:00 | 就寝 |
サークル活動に勤しむ男子大学生の授業期間中のスケジュールです。
講義がびっしりと夕方まで入っており、大変そうです。
サークル活動に夜まで打ち込んでいるのはいいですが、睡眠時間が3時間半と非常に短いのが気になりますね。
ある男子大学生の1日のスケジュール(2)
8:00 | 起床 |
9:00〜18:00 | 講義 |
19:00〜22:00 | 飲み会 |
23:00〜26:00 | 課題 |
27:00 | 就寝 |
こちらはインターンに通っている、就職活動を控えた大学生のスケジュールです。
日中はしっかりと講義を受けており、インターンの課題に深夜までかかっていますね。
飲み会の時間が少し長いので、もう少し控えるか、オンライン飲み会に切り替えると時間が節約できて有効利用になるでしょう。
ある女子大学生の1日のスケジュール(1)
6:00 | 起床 |
6:50 | 大学に向かう |
9:00〜14:20 | 講義 |
15:30〜17:00 | 部活 |
17:00〜18:00 | 友人と過ごす |
19:00 | 帰宅 |
19:00〜25:00 | お風呂、ご飯、読書など |
25:00 | 就寝 |
続いて、ある女子学生のスケジュールをみてみましょう。
女性らしく、時間を細切れに有効活用していることがわかります。
おおむね標準的ですが、夜ふかしが長いのが気になりますね。
睡眠時間が5時間だと結局は長続きせず、休日は寝溜めになるなど、かえって時間をロスすることになりかねません。
スケジュールを詰め込みすぎないように気をつけましょう。
ある女子大学生の1日のスケジュール(2)
12:00 | 起床 |
12:00〜17:00 | 漫画やゲーム |
17:00〜24:00 | 飲み会 |
25:00 | 就寝 |
別の女子学生の休日のスケジュールです。
休日はついダラダラしがちですが、この方も起きるのが遅く、貴重な時間をマンガやゲームにほとんど費やしています。
飲み会もかなり長いですね。
休日に趣味に没頭するのは結構ですが、過度は禁物。
平日にしわ寄せが来かねないので、やるべきことを休日にもバランスよく入れるとより効率的になるでしょう。
(将来の仕事にできる)バイトとは?
大学生といえば、アルバイト!
そう思っている方は多いのではないでしょうか?
アルバイトとひとくちにいっても、その種類はさまざま。
定番の飲食店や接客業のほか、引越しなどの肉体作業、家庭教師・塾講師などの頭脳系、コンサートや展示会などのイベント系、海やスキー場など季節によるリゾート系など、業種や形態はたくさんあります。
どんなものであれ、自分の労働が対価になる経験や、バイト先で得られる仲間との出会いは喜びになります。
辛いバイトだったり、思うようにいかなくても、短期だからこそ得られる気づきもあり、それらは全て貴重な経験になるでしょう。
でも、それが一生を貫く将来の仕事につながるでしょうか?
場合にもよりますが、必ずしもそうとはいえないケースが大半です。
インターンのすすめ
ここでは、将来の仕事になる可能性の高いアルバイトについてご紹介しましょう。
それは、アルバイトの代わりに長期インターンを経験することです。
企業や自治体は規模にかかわらず、さまざまな形で学生インターンを求めています。
募集団体は名前のよく知られた大企業から、慢性的な人手不足に陥っている中小企業、立ち上がったばかりのベンチャー企業やスタートアップまで多岐にわたります。
頭の中で想像して描いている世界と、実際の仕事の現場には往々にして大きな乖離があるもの。
その差を理解しておくことは、就職活動や実際に就職したあとにも強みになります。
短期のインターンだからこそ、そのような乖離を目の当たりにすることで、本当に自分に適性があるかよく吟味する機会にもなります。
また、社内の方と懇意になれば、内部事情をある程度教えてもらうことも可能です。
そうすることで最近急増中の、就職後すぐに退職してしまういわゆる”ミスマッチ”を防げるのです。
インターン研修後に実際にその企業に入社する学生は少なくありません。
働きぶりがよければ人事の方の目に止まり、就職試験の際もきっとプラスにはたらくことでしょう。
自分の興味・関心のある企業や業種・職種があれば、思い切って応募してみましょう。
理想のスケジュール管理方法
スケジュール管理の実際についてですが、基本中の基本は「手帳」を使うことです。
いまどきアナログな…と思われるかもしれませんが、使い勝手は決して悪いものではありません。
特に、スケジュールのつけ方がわからない初心者にはおすすめです。
簡便で充電の必要もなく、好きなように書き込みや消去ができ、シールや写真も思いのままで、年季が入ると味も出てきます。
また、デジタルデータの場合、年数がたつと何故かデータが消えていたり、データの取り出し方や保存場所を意外に忘れていたりするものです。
その点、アナログの手帳は将来にわたり、思い出代わりになるでしょう。
スケジュール管理のおすすめツール
一方、デジタルツールで便利なのは、Google カレンダーやEvernoteといったカレンダーアプリです。
Google カレンダーで予定を記入しておくと、スマホやタブレットなど異なる端末からアクセスできるため便利です。
友人・知人と予定を共有することもできます。
また、Evernoteはメモ帳代わりに手軽に使えるほか、画像や手書きの保管にも対応しています。
デジタルツールのよいところは、端末さえあればいつでもどこからでもアクセスできるところです。
忙しいあなたにとって、心強い味方になってくれることでしょう。
余裕のあるスケジュール計画を!
最後に、スケジュール作成のコツをお教えします。
深夜までのアルバイトや、激しい運動をした翌日にもスケジュールを詰め込んでいませんか?
スケジュール作成において非常にやりがちなのは、予定を詰め込みすぎてしまうことです。
どうしてそうなってしまうのでしょうか?
その理由は「予定は思っていたとおりに進まない」ことが常だからです。
どんなプランであれ、余裕をもって計画したつもりでも「気がつけば時間がない…」という状況に追い込まれるものです。
理由としては「人生は往々にして予定外のことが起きる」からです。
新型コロナ感染拡大はその最たる例でしょう。
昨年の新入生のうち誰が、1年間もオンライン授業を余儀なくされると思ったでしょうか?
友人・知人が作りにくい年になる、と予想した人は誰もいなかったでしょう。
他にも、病気やケガ、人間関係のトラブル、突発的なアクシデント、計画見通しの甘さ、家庭の事情など、大学四年間だけでもいろいろなことが起こるものです。
その都度、あなたが立てた完璧な計画は狂わされることでしょう。
つまり、年間計画にしろ、1日の計画にしろ、たっぷり余裕のあるスケジュール計画が大切になります。
何もしない休養日を多めに設定するなど、いまいちどスケジュールを見直しましょう。
まとめ
大学生活の4年間はたったの「1460日」しかありません。
その短期間のうちに高校生気分から抜け出して自立し、社会人となる準備を整える必要があります。
学業のほかに遊びも充実させ、キャンパスライフを満喫しようと思ったら、やるべきことは膨大にあるのです。
与えられた時間は皆平等なので、1日1日を無駄にせず、悔いのないように過ごすことが大切です。
タイムスケジュールを自分の味方につけて、貴重な時間を大切に過ごしてくださいね。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。