旧帝大とはどのような大学?
旧帝大(旧帝国大学)とは日本が大日本帝国だった頃の明治時代、1886年(明治19年)に公布された帝国大学令によって設立された旧制高等教育機関(大学)です。
現在では、北海道大学・東北大学・東京大学・名古屋大学・京都大学・大阪大学・九州大学の7つの国立大学のことを指します。
いずれも大学院をもつ総合大学であり、歴史ある複数のキャンパスをもち、政令指定都市の中心部に所在しているのが特徴です。
よって、幅広く専門分野を修めたり、充実した環境で研究を深めたい人には最適な進路だといえます。
旧帝大は一般的に入学難易度が高いとされています。
以下にそれぞれの大学の特徴と卒業後の進路、及び最新の受験情報となる偏差値と受験難度(一般入試(前期日程) 、法学部・経済学部・文学部・工学部・理学部・医学部(旧帝大すべてに共通して存在する学部))について解説します。
※受験情報・卒業生就職ランキングともに2019年度のデータを採用しています(一部は2018年度のもの)。
北海道大学
北海道札幌市にあり、1918年に設置されました。シンボルとなる時計台のほか、演習や研究のための施設や広大な森林など、キャンパス以外の施設の面積も広いため、その広さは日本の国土の約570分の1の面積(東京ドーム38個分)に及ぶほど広大なキャンパスを有しています。
獣医学部・水産学部があり、設置学部数が全国一位なのも特徴です。
北海道大学の起源は日本最初の近代的大学として1876年に設立された札幌農学校にさかのぼります。
帝国大学を経て新制大学に至る長い歴史のなかで、「フロンティア精神」「国際性の涵養」「全人教育」及び「実学の重視」という教育研究に関わる基本理念を掲げています。
とりわけ、フロンティア精神は学生及び教職員がそれぞれの時代の課題を引き受け、敢然として新しい道を切り拓いていくべきとする理想主義を意味します。
札幌農学校の開校式にあたってアメリカ人の教育者ウィリアム・スミス・クラーク博士が唱えた”lofty ambition”(高邁なる大志)を端緒として、世紀を超えて支えてきた基本理念となっています。
卒業生の進路としては、一般企業への就職(ランキング上位はニトリ、三菱電機、日立製作所)のほか、獣医師や第一次産業(農業、畜産業、水産業)関連の人材も多く輩出しています。
法学部・基礎情報偏差値 64
センター受験科目数 5教科8科目
二次試験 3教科
二次試験配点比率 60%
倍率 3.1
合格最低点得点率 66%
経済学部・基礎情報偏差値 64
センター受験科目数 5教科8科目
二次試験 3教科
二次試験配点比率 60%
倍率 2
合格最低点得点率 67%
文学部・基礎情報偏差値 66
センター受験科目数 5教科8科目
二次試験 3教科
二次試験配点比率 60%
倍率 2.7
合格最低点得点率 70%
工学部・基礎情報偏差値 63
センター受験科目数 5教科7科目
二次試験 3教科
二次試験配点比率 60%
倍率 2.6
合格最低点得点率 67%
理学部・基礎情報偏差値 63
センター受験科目数 5教科7科目
二次試験 3教科
二次試験配点比率 60%
倍率 2.6
合格最低点得点率 67%
医学部・基礎情報偏差値 70
センター受験科目数 5教科7科目
二次試験 3教科+面接
二次試験配点比率 60%
倍率 3.3
合格最低点得点率 77%
東北大学
宮城県仙台市に所在し、1907年に設置されました。
市内4箇所にキャンパスが設置されています。
「門戸開放」「実学尊重」を理念としています。
旧帝大としては東京大学、京都大学に次いて3番目に文系学部が設置されました。
ロゴマークは”creativity” “global” “tradition” をキーコンセプトに、昔から宮城野や仙台を象徴する植物とされ、種々のマークに用いられた「萩」をモチーフにし、品格をもって、世界に大きく広がっていく動きを表現しています。
また萩はロゴマーク以外にも学友会の名前などに使われています。
卒業生の進路としては、公務員や一般企業への就職(ランキング上位は三菱電機、日立製作所、東北電力)が多いようです。
法学部・基礎情報偏差値 65
センター受験科目数 5教科7-8科目
二次試験 3教科
二次試験配点比率 67%
倍率 3.1
合格最低点得点率 66%
経済学部・基礎情報偏差値 64
センター受験科目数 5教科7-8科目
二次試験 3教科
二次試験配点比率 80%
倍率 3.1
合格最低点得点率 61%
文学部・基礎情報偏差値 64
センター受験科目数 5教科7-8科目
二次試験 3教科
二次試験配点比率 63%
倍率 2.7
合格最低点得点率 69%
工学部・基礎情報偏差値 65
センター受験科目数 5教科7科目
二次試験 3教科
二次試験配点比率 64%
倍率 2.5
合格最低点得点率 69%
理学部・基礎情報偏差値 66
センター受験科目数 5教科7科目
二次試験 3教科
二次試験配点比率 64%
倍率 2.8
合格最低点得点率 68%
医学部・基礎情報偏差値 72
センター受験科目数 5教科7科目
二次試験 3教科+面接/小論文
二次試験配点比率 79%
倍率 2.6
合格最低点得点率 78%
東京大学
東京都文京区に所在し、1877年に設置されました。
明治維新直後に旧幕府直轄だった昌平坂学問所、開成所、医学所を統合して大学校を建設されました。
学士の学位を授与する機関としては1876年(明治9年)設置の札幌農学校(現在の北海道大学)に次ぐ2番目に古い高等教育機関とされます。
学生運動の象徴となった安田講堂や赤門が有名です。
学部教育の基礎としてリベラル・アーツ教育(教養教育)を重視することを謳っています。
主に教養課程を実施する駒場キャンパス、専門教育を行う本郷キャンパス、主に大学院課程の教育を行う柏キャンパスに分けられています。
近年ではゆかりのあるノーベル賞受賞者も増えてきています。
進学選択(進振り)制度があり、最初の2年間で進路をじっくり選べる反面、専門教育を学ぶことができないのも特徴となっています。
官僚育成機関の名のとおり、卒業後の進路としては大学院進学や官公庁のほか、近年では一般企業への就職(ランキング上位は日立製作所、アクセンチュア、リクルートグループ)も多いようです。
法学部・基礎情報偏差値 73
センター受験科目数 5教科7-8科目
二次試験 4教科
二次試験配点比率 80%
倍率 3.5
合格最低点得点率 63%
経済学部・基礎情報偏差値 73
センター受験科目数 5教科8科目
二次試験 4教科
二次試験配点比率 80%
倍率 3.1
合格最低点得点率 61%
文学部・基礎情報偏差値 72
センター受験科目数 5教科7-8科目
二次試験 4教科
二次試験配点比率 80%
倍率 3.1
合格最低点得点率 62%
工学部・基礎情報偏差値 72
センター受験科目数 5教科7科目
二次試験 4教科
二次試験配点比率 68%
倍率 2.6
合格最低点得点率 58%
理学部・基礎情報偏差値 72
センター受験科目数 5教科7科目
二次試験 4教科
二次試験配点比率 80%
倍率 3.7
合格最低点得点率 57%
医学部・基礎情報偏差値 76
センター受験科目数 5教科7科目
二次試験 4教科+面接
二次試験配点比率 80%
倍率 4.3
合格最低点得点率 70%
名古屋大学
愛知県名古屋市に所在し、旧帝大の中では最後の1939年に設置されました。
旧帝大のなかで唯一、都市名がついている大学です。
名古屋という立地だけに、東海地方だけでなく関東や近畿からも多くの受験生が集まるのが特徴です。
最近ではノーベル賞受賞者の出身者も増えています。
情報学部があるのも特徴的です。
自発性・創造性・先進性・国際性などの重視が示されており、「勇気ある知識人を育てる」ことが目標に掲げられています。
施設が東山地区に統合されたのが1950年代のため、他の旧帝大に見られるような戦前に建てられた歴史的建造物がキャンパス内にほとんど存在しないのが特徴です。
卒業後の進路としては、地場産業が強い土地であるため、他の旧帝大に比べて一般企業への就職(ランキング上位はトヨタ自動車、デンソー、三菱電機)、特に愛知県内の企業への就職が多いようです。
法学部・基礎情報偏差値 63
センター受験科目数 5教科7-8科目
二次試験 2教科+小論文
二次試験配点比率 40%
倍率 2.1
合格最低点得点率 66%
経済学部・基礎情報偏差値 66
センター受験科目数 5教科7-8科目
二次試験 3教科
二次試験配点比率 63%
倍率 2.6
合格最低点得点率 61%
文学部・基礎情報偏差値 64
センター受験科目数 5教科7-8科目
二次試験 4教科
二次試験配点比率 57%
倍率 2.1
合格最低点得点率 66%
工学部・基礎情報偏差値 65
センター受験科目数 5教科7科目
二次試験 3教科
二次試験配点比率 68%
倍率 2.5
合格最低点得点率 57%
理学部・基礎情報偏差値 64
センター受験科目数 5教科7科目
二次試験 4教科
二次試験配点比率 62%
倍率 2.4
合格最低点得点率 61%
医学部・基礎情報偏差値 72
センター受験科目数 5教科7科目
二次試験 4教科+面接
二次試験配点比率 65%
倍率 3.2
合格最低点得点率 71%
京都大学
京都府京都市に所在し、1897年に設置されました。
時計台と楠の木がシンボルです。
創立以来「自由の学風」を建学の精神としています。
京都市内の繁華街から離れた古都の風情を残す落ち着いた環境の中にあり、何事も学生の自主性に任せられています。
西部講堂のロックコンサートなどに代表される京都地区における文化発信地としての役割も担ってきました。
また、多くのノーベル賞受賞者を輩出しています。
卒業後の進路としては官公庁や関西圏の一般企業就職(ランキング上位はパナソニック、三井住友銀行、関西電力)が多いようです。
法学部・基礎情報偏差値 72
センター受験科目数 5教科8科目
二次試験 4教科
二次試験配点比率 67%
倍率 2.6
合格最低点得点率 62%
経済学部・基礎情報偏差値 72
センター受験科目数 5教科8科目
二次試験 4教科
二次試験配点比率 69%
倍率 3.3
合格最低点得点率 61%
文学部・基礎情報偏差値 71
センター受験科目数 5教科8科目
二次試験 4教科
二次試験配点比率 67%
倍率 3.3
合格最低点得点率 63%
工学部・基礎情報偏差値 70
センター受験科目数 5教科7科目
二次試験 4教科
二次試験配点比率 80%
倍率 2.8
合格最低点得点率 54%
理学部・基礎情報偏差値 71
センター受験科目数 5教科7科目
二次試験 4教科
二次試験配点比率 81%
倍率 2.5
合格最低点得点率 52%
医学部・基礎情報偏差値 75
センター受験科目数 5教科7科目
二次試験 4教科+面接
二次試験配点比率 80%
倍率 2.9
合格最低点得点率 63%
大阪大学
大阪府吹田市と豊中市に所在し、1931年に設置されました。
緒方洪庵が開いた適塾という江戸時代の私塾を起源としています。
初代総長は物理学者の長岡半太郎です。
帝国大学としては比較的新しく、開学当初は医学部と理学部のみで創設されました。
文理5学部(文学部、法経学部、理学部、医学部、工学部)体制となったのは第二次世界大戦後の1949年です。
私塾・学問所の流れを汲む、「地域に生き世界に伸びる(Live Locally, Grow Globally)」をモットーとしています。
2007年からは箕面キャンパスも設置されました。
卒業後の進路としては大学院進学のほか、官公庁や関西圏の一般企業への就職(ランキング上位はパナソニック、三菱電機、ダイキン工業)が多いようです。
法学部・基礎情報偏差値 69
センター受験科目数 5教科8科目
二次試験 3教科
二次試験配点比率 50%
倍率 1.9
合格最低点得点率 75%
経済学部・基礎情報偏差値 70
センター受験科目数 5教科7-8科目
二次試験 3教科
二次試験配点比率 A10% B90%
倍率 3.1
合格最低点得点率 80%
文学部・基礎情報偏差値 69
センター受験科目数 5教科8科目
二次試験 3教科
二次試験配点比率 62%
倍率 2.9
合格最低点得点率 71%
工学部・基礎情報偏差値 64
センター受験科目数 5教科7科目
二次試験 3教科
二次試験配点比率 65%
倍率 2.5
合格最低点得点率 62%
理学部・基礎情報偏差値 67
センター受験科目数 5教科7科目
二次試験 3教科
二次試験配点比率 70%
倍率 3
合格最低点得点率 62%
医学部・基礎情報偏差値 74
センター受験科目数 5教科7科目
二次試験 3教科+面接
二次試験配点比率 75%
倍率 2.4
合格最低点得点率 78%
九州大学
福岡県福岡市にあり、1911年に設置されました。
1867年(慶応3年)に設立された賛生館を起源とする九州帝国大学を直接の母体としています。
自律的に改革を続け、教育の質を国際的に保証するとともに常に未来の課題に挑戦する活力に満ちた最高水準の研究教育拠点を目指しています。
平成30年4月には『共創学部』が開設されています。
卒業後の進路としては一般企業への就職(ランキング上位は九州電力、富士通、日産自動車)が多いようです。
法学部・基礎情報偏差値 64
センター受験科目数 5教科8科目
二次試験 3教科
二次試験配点比率 67%
倍率 2.1
合格最低点得点率 62%
経済学部・基礎情報偏差値 67
センター受験科目数 5教科8科目
二次試験 3教科
二次試験配点比率 57%
倍率 3.1
合格最低点得点率 65%
文学部・基礎情報偏差値 65
センター受験科目数 5教科8科目
二次試験 3教科
二次試験配点比率 62%
倍率 2.9
合格最低点得点率 63%
工学部・基礎情報偏差値 63
センター受験科目数 5教科7科目
二次試験 3教科
二次試験配点比率 61%
倍率 2
合格最低点得点率 58%
理学部・基礎情報偏差値 64
センター受験科目数 5教科7科目
二次試験 3教科
二次試験配点比率 61%
倍率 2.5
合格最低点得点率 61%
医学部・基礎情報偏差値 71
センター受験科目数 5教科7科目
二次試験 3教科+面接
二次試験配点比率 61%
倍率 2.5
合格最低点得点率 77%
旧帝大の入試傾向と対策
以上みてきたように、旧帝大の入学試験は大学や希望する学部によって科目数・受験難度(偏差値と最低点)・傾向に若干の違いはありますが、共通しているのは主要科目においてまんべんなく安定した高い学力が求められるということです。
学部によって差はあるものの、およそでいうと東京大学・京都大学>大阪大学>北海道大学・東北大学・名古屋大学・九州大学という受験難度の傾向にあるようです。
また、前期入試に比べ、後期入試ではさらに倍率が高くなる傾向にあります。
私立大学の受験を併願する場合は、さらに準備する時間に余裕をもつことが大事です。
旧帝大では1次試験となる大学入学共通テスト(旧センター試験)は足切りに使われることが多く、入試における配分比率もそれほど高くないことが多いです。
その一方で、大学ごとの個別の2次試験の配点が高い傾向にあります。
したがって、試験対策としては大学入学共通テスト用の準備をできるだけ早めにすませ、基礎の学力をしっかり固めてから、応用力が問われる2次試験対策に移るとよいでしょう。
文系であっても理系科目、理系であっても文系科目の基礎知識の習得を怠らないことが2次試験の高得点につながります。
大学入学共通テストについては、2021年度入学者選抜から導入されるため未知数の部分も多くありますが、会話文を題材とした問題や複数テキスト問題などの導入されます。
また、国語・数学での記述問題の導入や、英語での民間試験の活用も検討されています(2020年現在では延期が決定)。
旧センター試験のような暗記型学習や画一的な学習はもはや通用しません。
したがって、従来以上に基礎力を身につけたうえでの思考力・論述力など応用力が試されることになります。
科目としては、大学入学共通テストではまんべんなく主要5教科の学力が問われますが、2次試験ではほとんどの場合3教科(文系:英語、国語、社会、理系:英語、数学、理科)の学力が問われることになります。
教科数が一般に少ない私立大学と比べると、「旧帝大受験はバランス重視の総合力、私立受験は少ない科目に特化した力」が必要だといえます。
また、問われる範囲も広範になってきます。
ここでは英語を含めた主要科目の基礎固めを行ったうえで、文系なら文系、理系なら理系の科目において、難易度の高い問題対策に取り組むとよいでしょう。
東京大学・京都大学では2次試験でも4教科を課しているため、より早く堅実な対策が求められるでしょう。
1次試験では苦手科目の克服、2次試験では得意科目でしっかり得点できることが大切です。
また、1次試験で思うような結果が出せなかった場合でも、旧帝大では2次試験で逆転することは往々にしてあります。
2次試験で試される思考力・論理力重視の記述試験に慣れておきましょう。
国語では一般に差がつきにくいですが、英語・数学がカギを握ることが多いため、1次試験後も気を抜かずしっかり準備しておくことが大事です。
まとめ~受験対策は万全に~
いかがでしたでしょうか。
準備を万全にしておくことで晴れて合格の道筋が見えてくることでしょう。
旧帝大では入学後も卒業要件として高い学力に裏打ちされたパフォーマンスを要求されます。
大学入学後にハードな専門教育過程についていけるように、大学受験を良い機会に高い基礎力と教養を身につけておきましょう。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。