センター試験を受験された皆さん、お疲れさまです。
国公立大学を受験される方はこの後二次試験が行われる事になります。
そこで本記事では二次試験対策の方法や必要性、その方針までを掲載しました。
各大学で大きな差のある二次試験ですが、対策の方法は基本的には同じです。
二次試験とは?
二次試験とは国公立大学を受験した際、センター試験の次に受ける必要のある試験です。
大学によって問題が異なり、更にマークセンス方式ではなく記述式であるなど受験生を困らせる存在です。
私立大学ではセンター試験の点数をそのまま受験に用いるというケースが殆どですが、国公立大学の殆どでは二次試験を課し、更に高い知識や考える力を持った受験生の皆さんを求めています。
二次試験は各大学が独自で行うテスト
そもそもセンター試験は入学が容易な大学の受験生も難関大学の受験生も同じ試験を受けることになります。
そのため難関大学が求めている学生を得られるかと言われると少し不安が残ります。
そこでセンター試験では測れない難易度の高い問題を課すために二次試験が行われるようになりました。
偏差値の高い大学ではセンター試験の成績上位層のみが二次試験を受験することが出来るなどセンター試験が実質的な足切りとして機能しているケースもあり、より優秀な人材の確保に努めています。
特に志望者が殺到する国立大学で足切りが行われている場合が多く、その理由はたいていの場合「採点者の負担軽減」です。
記念受験などで無駄な採点を行っていたら本命受験者の採点時にミスをしてしまうリスクが高まります。
そのために「本当に本学に入学したいと考えている学生」を絞る目的でセンター試験の足切りは実施されているという事です。
ただし多くの公立大学ではセンター試験と二次試験の獲得点数の合計で合否が決まる仕組みとなっています。
東京大学などを受験しない限りは成績を問わず二次試験を受験する必要があることに注意しましょう。
センター試験とは異なる
センター試験では測れない高度な学力をテストする為に課される二次試験はその試験内容もセンター試験とは異なります。
センター試験では採点の効率化および採点基準の明確化の観点からマークセンス方式の回答方法を採用しています。
そのため答えが1つに決まっており不公平感はあまり無いでしょう。
また一度に多くの受験生の答案を採点する事が出来るため、受験生全体で受ける試験としては適切とも言えます。
対する二次試験では多くの場合、記述式の回答方式を取ります。
多くの受験生はセンター試験対策で一問一答式のテスト対策に時間を取られる中、二次試験では自ら文章を考えて回答する記述式の問題対策は忘れがちです。
国公立大学を志望している皆さんは二次試験の対策までしっかりと行っておく必要があります。
具体的には筆記試験対策です。
筆記試験では単に知識を書き連ねるというだけでは攻略できません。
問題に対して向き合っているか、与えられた情報をきちんと分析しているか、採点者に分かりやすく表現しているか等の条件が噛み合うことで初めて正答となる出題形式です。
そのため特別の対策が求められます。
なぜ二次試験が行われるのか?
先程も少し触れましたが二次試験ではセンター試験では測りづらい高度な学力を知る目的で実施されます。
二次試験の大半が筆記式問題である事からもその理由がおわかり頂けるかと思います。
現在、文部科学省が発表している育成したい人材は思考力・判断力・表現力がバランス良く揃っている人材です。
自分の頭でしっかりと考え、解答を精査し、それを言葉という形にするプロセスを効率よく行える人こそが将来活躍する事の出来る人間ですし、皆さんにそれを目指してほしいと考えています。
当然大学も同じ方向を向いて優れた学生を確保しようと入試の形式を変更します。
そのため学習指導要領が改定される度に出題形式や内容が少し変わります。
余裕のある人は学習指導要領を確認してみても良いでしょう。
特に教育学部に進む受験生の皆さんは予習にもなって一石二鳥です。
※参考:文部科学省資料「思考力・判断力・表現力についての整理のイメージ」
センター試験は入学が容易であるとされている大学の受験生から難関大学へ進学したいと考えている受験生、更には大学進学を考えている社会人の方まで実に多くの人が受験します。
センター試験もそのように作ってありますので、採点効率の良いマークセンス方式が解答方法として採用されたという事です。
学力の低い受験生の方でも受験することが出来るように作られていますので必ず天井は存在します。
俗に言う難関大学が求めている人材はセンター試験で測ることの出来るレベルより遥か上を想定していますので、独自の二次試験を受験生に課すという事です。
つまりセンター試験レベルで満足してはいけないという大学側からの挑戦状とも見ることが出来ます。
対策方法の違い
問題に対する答え方が全く違う国公立大学の二次試験ですが、その分だけ対策方法も異なります。
基本的な知識を持っている事は前提とされますので、それに加えて応用力や表現力を軸として問題が構成されている事が多いです。
知識だけではなく表現力も
国公立大学の二次試験は、知識のみを問うセンター試験とは異なり、その知識をどのように使うかという思考力・判断力・表現力を主に試験される事になります。
数学の問題の場合ですと、単に答えを導き出すだけではいけなくて、解答途中のプロセスも重要視されるという事です。
プロセスとは言え、単に頑張りました!という事を伝えるのでは無く、どのように考え、どのようにアウトプットしているのかという所謂考え方を見られているに過ぎませんので、そこは誤解の無いようにお願いいたします。
国公立大学は二次試験で単に答えを求めているのではなく、皆さんがどのように考えているのかを知りたがっています。
加えて正しい日本語を使っているか・文章作成能力があるか・情報をきちんと整理して分かりやすいように解答を進めているかなどが評価ポイントです。
単に知識のみを求めているのではないという性格上、二次試験の配点が高い大学はおしなべて難関大学が揃っています。
東京大学・大阪大学・京都大学など学力の高いとされている大学ではセンター試験 : 二次試験の比率がかなり二次試験寄りです。
裏を返せば「センター試験は出来て当たり前。大学が用意した二次試験に挑む力があるか?」が重要となる事も覚えておきましょう。
受験する大学によって傾向は異なる
先程も少し触れましたが受験する大学によってセンター試験 : 二次試験の得点比率は異なります。
配点比率の高い試験の点数は引き伸ばされ、配点比率の低い試験の点数は圧縮されます。
そのため配点比率の高い試験方式で差をつけることになります。
難関大学が難関大学である理由は「二次試験が難しい事と配点比率が非常に高い」という事にあります。
センター試験で好成績を収める事自体は当たり前。
センター試験レベル以上の学生を集めるためにあえて難問を受験生に課しています。
そのため二次試験の配点比率が高い事に加え難問とされる東京大学や大阪大学は難関校と称されるという事です。
医学部では更に二次試験の比率が高くなり、それに伴い偏差値も高い傾向にあります。
医学部が大学受験の最高峰と呼ばれる所以です。
また二次試験は内容自体も大学ごとに異なります。
ここまで読み進めていただいた皆さんにとっては「当たり前だ」と思われるかもしれませんが明らかに異なります。
受験する学部にも依りますが基本的な科目は文系が国語・社会・英語。理系は数学・理科・英語の3科目です。
この科目の問題の中身が全く違うという事です。
そのため東京大学を受験したいと考えている方は東京大学の赤本を、東北大学を受験したいと考えている方は東北大学の赤本を購入し、しっかり傾向と対策を考えないと二次試験では苦戦を強いられる事になるでしょう。
配点比が低いセンター試験で差を「つけられる」理由
二次試験の方が配点が高いし、対策は二次試験をメインに行おう。
そう考えている方は半分正解、半分不正解です。
センター試験レベルの学力が十分に身についているのであれば話は別ですが、センター試験で8割しか取れないレベルでしたら大変な話です。
ここまで読み進めていただいた皆さんでしたら恐らくお分かりでしょうが、二次試験、とりわけ比率の高い大学は「センター試験は出来て当たり前」として問題を考えています。
そのためセンター試験がしっかりと出来ていない場合は二次試験の点数を余分に稼がないといけません。
センター試験で失った点数分を二次試験で取り戻さないといけないという事です。
比率の高い二次試験では受験生の皆さんが差をつけようと努力するフェーズです。
差をつけようと努力している分、センター試験を落としているレベルでは追いついて追い越して差をつけるという事は不可能に近いことです。
そのため二次試験は差をつけるポイント、センター試験は差をつけられるポイントとして受験対策に取り組んで下さい。
二次試験対策に心がけるポイント
ここからは国公立大学の二次試験対策のポイントを掲載しています。
心がけたいポイントや特に気をつけたい教科などをご紹介していますので注意してご覧頂くと宜しいかと思われます。
いつから始める?二次試験対策
二次試験対策は特に形として対策すべき試験ではありません。
なぜならセンター試験やそれ以前の基礎の学力を基に、それを上手に組み合わせて表現することが出来るかを測っているからです。
強いて言えば文章を作成する力が必要な訳ですが、ともかく二次試験対策はいつから始めれば良いのでしょうか。
本記事でのひとつの目安として「センター試験の過去問題集で8割を超えた辺りもしくは12月を過ぎた辺り」から対策を行うようにすると良いでしょう。
国公立大学の二次試験は基本が出来ていないと解くことは非常に困難です。
それに加えて、その情報を分析・構造化して理論立てる応用力が必要となってくる訳です。
そのためセンター試験で8割をコンスタントに叩き出せるようになり、基礎が出来上がったなと感じた時点からすぐに取り組むようにしましょう。
もしくは12月頃から対策に取り組むという方法も有意義です。
記述式試験の対策は基本的には短期集中型で取り組むべきです。
その理由は
- 日本語の力は普段から使用している為、既に出来上がっている事
- 深入りしすぎて沼にはまってしまう事を避けるため
- センター試験の対策をおろそかにしない為
この三点です。
帰国子女でない限り皆さんは人生の大半を日本語を使用して暮らしています。
多少の文章テクニックはあれど、日本語力の礎はすでに出来上がっているものと考えます。
多数の書籍を読み込んであれこれとテクニックを吸収しすぎた結果、ちぐはぐな文章になってしまう事を避けるようにしましょう。
特に素直な方が陥りがちなケースで、多量の書籍を読み込むにしてもしっかりと自分で考えて情報を取捨選択するように務めると良いです。
また上記と重なる部分はありますが、あまり煮詰まりすぎても筆記試験対策としては良くないです。
マークセンス方式と比較すると複雑な問題形式であるため、どんどん沼にはまってしまいます。
皆さんが身につけた自然な日本語に少しのテクニックを足すだけで記述式問題は形になります。
むしろ大切な事が「与えられた情報を分析するスキル」と「分析した情報を上手に組み合わせて解答を導き出すスキル」です。
まずは基礎的な知識を身につける努力をして下さい。
3点目の「センター試験の対策をおろそかにしない為」についてですが、皆さんご存知センター試験は1月に実施されます。
追い込みをかける受験生の皆さんも多いでしょう。
そのためあまり二次試験の対策が早すぎるとセンター試験対策の時間を十分に確保することが出来ません。
11月ギリギリまではセンター試験対策の勉強を十分に行うようにし、12月の少しの期間を使用して二次試験の対策を行うと良いでしょう。
もちろんセンター試験が終わったら二次試験の対策を再開するようにしましょう。
年末に少しやっておくだけで取り掛かりがスムーズです。
上記はあくまでも一例ですが、同時進行が得意な皆さんは同時進行を行っても良いでしょう。
その方がスムーズで効率が良いです。
しかし現実では綺麗に物事を進めることが出来る人は限られているので、不可能であれば潔く別々に対策計画を立てると良いかと思われます。
無理だけはしないようにご注意下さい。
知識の詰め込みだけでは勝てない
本記事を読み進めていただいた皆さんはお気づきかもしれませんが、記述式問題は詰め込んだ知識のみでは攻略が不可能です。
だからと言って日本語能力を鍛える・作文力を向上させるというアプローチも安直すぎます。
本当に必要な要素は応用力です。
具体的には「問題文を読み取り、分析する力」と「その情報を整理し、これまで学んできたことを総動員して回答を導き出す力」です。
わかり易い文章を書く力はそれらを解答用紙にアウトプットする為のツールでしかありません。
ですのでまずは基礎を応用する力を身につける事にしましょう。
ここで活きてくるものが過去問題集で肝心なことはその使い方です。
過去問題集と言うと、タイマーをセットし本番さながらの問題演習を行うというイメージが先行しがちですが、まずは時間を掛けてじっくりと取り組んでみましょう。
問題を様々な方面から観察し、これまで学んできたことの何が使えるか?使えなかった場合はどこが間違っているのかを徹底分析します。
可能であれば考えたことを紙に書き出しておくと良いでしょう。
そして納得する解答を導き出した時に模範解答と照らし合わせます。
模範解答と異なっている時はどの段階で間違えたのか、正解していた場合も相違点はないか・より効率的な計算方法などが無いかじっくりと観察しましょう。
これを繰り返すうちにアイデアの引き出しが増え、結果的に二次試験対策に繋がります。
また一度答えを見てしまうとその年度の問題は再利用が不可能ですので可能な限り古い年度の問題を利用して考えてみましょう。
ここで大切な事は問題を解くことでは無く、問題を解く上で必要な考え方を身につける事です。
なお最新年度の過去問題は直近の傾向を知るための貴重な資料となります。
そのためしっかりと上記のような問題解答のプロセスを身につけるまでは触れないほうが良いでしょう。
しかし人は忘れる生き物ですので、時間を空けて繰り返し解くという考え方は非常に良いでしょう。
その際も問題に解答するだけでは無く、近年の傾向を理解するようにしましょう。
特に英語は対策をしたほうが良い
英語は文理問わず出題される科目です。
特に文系ではリスニングの対策もしなければなりませんので積極的に取り組むようにしましょう。
二次試験において英語が出題される場合、受験生の皆さんが特に対策に難を示すのが英作文です。
筆記式問題の割合が非常に多い二次試験では英語を書く機会が非常に多くなります。
単語のスペリングは勿論、正しい文法で書けているかや適切なボキャブラリを使用しているかが評価のポイントとなります。
ただし覚えることの出来る単語数には限界があります。
そのため、基本的な言い回しを覚えておくと良いでしょう。
例えば日本語でもわからない単語があったとき、それを説明するような言い回しで表現する事があります。
もしあなたが “vegetarian” という単語を知らないとき、あるいは “r” か “l” かど忘れしてしまった時などに “people who have only vegetables” と表現を変える事でスペルミスも防げますし、受験時の安心感が違います。
少しズルい事を言うと、これだけで文字数が稼げてしまうという副作用も付いています。
そのため困った際の表現の引き出しは余分に用意しておくと良いでしょう。
さいごに:頑張って下さい
本記事をご覧の皆さんの多くは国公立大学に出願される方でしょう。
本記事をご覧の上で対策に取り組んでいただけたら幸いに思います。
勉強が得意だと自負する受験生の皆さんによくある事が「いざ記述式の問題を課すと弱くなる」という事です。
普段から一問一答で知識を身に着けていると、とっさの場面で良い回答を創り上げることは出来ません。
可能であれば友人と対話をする機会や意見交換をする機会などを設けて表現力に磨きを掛けるようにして下さい。
また柔軟な発想のもとで解答を導けるように様々な事にチャレンジしてみることもお薦めです。
皆さんが第一志望の大学に合格できる事を願って本記事を締めくくりたいと思います。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。