高校【普通科】の見直しが始まる!昭和以来の改革について

【高校】普通科の見直しとは?

高等学校に設置されている普通科の改革が提言されました。
2019年5月に教育再生実行会議と自民党の会議の中でこのような高校改革へ向けた議論が行われた結果、ネットニュースやテレビなどで大々的に報道されました。
ご存知の方も多いでしょう。
そうなると気になる事が普通科での教育の変化。
これまでと全く違う教育が行われるという事であれば、ある程度の情報は知っておきたいものです。

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普通科は普通すぎた?これからは特色ある普通科の時代へ

黒板の前に立つ学生上記のような議論が勃発した理由として、現在の教育は「個性や多様性を重視している」傾向にあるという事が挙げられます。
新学習指導要領においても「主体的・対話的・深い学び」が明記されるなど「個」に対して非常に重点を置いている傾向にあります。

そうすると現在の普通科は無個性という事も出来るでしょう。
どこの高校に進学しても勉強する事は殆ど変わりません。
唯一の違いと言えば周りで一緒に勉強する子どもの学力くらいです。
現在でも国際交流や難関大学進学に特化しているなど特色のある学校づくりを推進している高校はありますが、それでも都市部の一部の地域での普及に留まりまだまだ少ない状況です。

右に倣えが当たり前だった時代

現在の教育は戦後GHQが整備した法律を基準としており、様々な改訂は行われているものの基本的には昭和の雰囲気を引き継いでいます。
当時の日本では右に倣えが当たり前で、出る杭は打たれるという慣用句に代表されるように目立った行為は好しとはされませんでした。
特に役所ではその傾向が強く、教育行政も例外ではありませんでした。

普通科といえば普通教育を行う学科です。
そのため「普通教育」という概念を意識しすぎた結果、無個性・無味無臭の普通教育スタンダードが出来上がったと考えます。
それでは普通教育とは何でしょうか。
高校普通科の一般的な考え方としては「普通の教育。全国どこでも受けることの出来る均一な教育」で間違いではありません。
では何故現在、特色を重視した高校普通科の見直しが求められているのでしょうか。

ポイント一度理解しておきたいポイントとしては「学習指導要領」の存在です。
授業の内容や方針など、子どもに教育を行う際は学習指導要領に記載されている内容に基づいて行われる事になります。
学習指導要領には教科の内容はもちろん、目の届きにくい所では「どのような子どもを育てたいのか」についての記載も存在します。
現行の平成30年改訂・学習指導要領では「生きる力」を育む事を重点に置いています。
若者の自殺率が高いことや自己肯定感の不足が騒がれる中、個性を重視し自己肯定感を高める為のアプローチを推進しています。
特色のある普通科への改革でもこの方針が密接に関係していると考えられます。

高校選びの現状

現在の高校選びの現状は非常にパッシブ(Passive, 受動的)な状態です。
その実態はベネッセが発表している高校受験調査(最新版は2011年調査版。2012年公表)から確認することが出来ます。

調査によると「志望校選びで重視した項目」について以下のような事が読み取れます。

・自分の学力にあっている(94.9%)や通学に便利な場所にある(70.9%)など教育内容とは関係ない項目が上位を占めている。

・一方で特色のある授業・カリキュラムがある(51.3%)や留学や海外への修学旅行の機会がある(18.4%)など教育内容に関する項目を重視している子どもの割合は比較的少ない

・教育方針や校風が良い(61.2%)や生徒の自主性が重視されている(54.9%)など学ぶ環境を気にしている傾向はある

このアンケートでは複数項目の回答が可能です。
それを踏まえた上で考察してみると、ほとんどの中学生は自身の学力に合わせた(身の丈に合った)学校を選択している事が分かります。
こちらに関しては高校普通科改革が行われた後も変わらないでしょう。
現状、高校入試での浪人は一般的ではなく、実質的な一発勝負状態になっている事がその理由です。

一方で教育内容に関する項目は順位と割合を上げることが予想されます。
普通科にも特色ある教育を展開することにより、その学校への志望度は上がりますし、それを目当てに入学してくる子どもの割合は間違いなく上がります。
これは飽く迄も全ての高等学校が普通科に特色をもたせた場合のケースですが、国の方針には逆らえません。
一定数の効果は見込めるでしょう。
この調査の理想は全ての項目が高水準で推移する事です。
複数項目を選べるという性質上、当てはまる項目が多いほど高校に対する愛着が高いという裏付けとなります。

※参考:Benesse 教育研究開発センター「高校受験調査2011

普通科ではどのような特色を持たせるのか?

それでは具体的にどのような特色を持たせるべきなのかについて議論したいと思います。
先述の教育再生実行会議では4つのモデルケースを提言しました。

・予測不可能な社会を生き抜くため自らのキャリアをデザインする力の育成を重視するもの

・グローバルに活躍するリーダーや国内外の課題の解決に向け対応できるリーダーとしての素養の育成を重視するもの

・サイエンスやテクノロジーの分野等において飛躍知を発見するイノベーター等としての素養の育成を重視するもの

・地域課題の解決等を通じて体験と実践を伴った探究的な学びを重視するもの

それぞれ「総合型」「国際重視型」「理数教育型」「地方創生型」と分類する事が出来ます。
どれも現在の日本で特に必要とされている類型の人材です。
AIICTなどテクノロジーが目まぐるしい進歩を遂げ次々と変わってゆく社会において、課題解決力や主体的な視点を持つことが求められます。
国際教養や理数教育に関してはもはや言うまでもありません。
最後に並べた地方創生型ですが、こちらは都市部への一極集中を防ぐ目的で提言したのではないかと予想されます。
地域に根ざした教育で地元への愛着を育み、都市への人材流出を防ぐという目的は否定できません。

現在はオホーツク管内にある紋別高校が地元の漁港と協力して商品の企画・製造・販売を実際に行うPBL授業が行われていたりしますが、今後このような方針をとる高等学校は益々増加すると考えられます。

高校普通科の改革によってもたらされるメリット

メリット高校の普通科が改革される事によってどのようなメリットがあるのでしょうか。
これまで問題なく機能していた高等学校の普通科ですが、改革によって様々なメリットが生まれると見込まれています。
以下ではその一部をご紹介します。
ここでのポイントもやはり「個の重視」にあります。
一人ひとりが独立した思考を持ち活躍する事が出来るという事です。
人によっては「自分勝手」というイメージを持たれがちな言葉ですが、そういった意味では無いことを覚えておいてください。

能動的な学校選びが可能になる

高校の普通科が特徴的になるにつれて子どもの関心はその特色に向きます。
その結果「この高校にやりたい事がある」という具合にその高校を志望する詳細度が上がります。
現在は「偏差値が自分に合っていて家に近いから」などの理由で出願する高校を選んでしまいがちですが、高等学校の普通科に特色を織り交ぜるように提言がなされると「この高校は国際教育に力を入れているから」「この学校では普通科に特進コースを設けて難関大対策をしているから」など「なぜその学校を選んだのか」理由を詳細に説明することが出来るようになります。

「なぜその選択をしたのか」について理由が分かっているとその学校への帰属意識(愛着)が高まり、自分が納得して進学した高校に通っているのだという自己肯定感も得ることが可能です。
自分の行為に理由と責任を持つという事は日常生活や社会生活を送る上では不可欠です。
カリキュラムや授業に特色があるという箇所に目が向きがちですが、このような人間の本質を突く側面は一番大切にしなければなりません。

高校選びの基準となるポイントが増える

志望校選択従来は通いやすさや偏差値帯を高校選択の基準としている中学生が多い状況でしたが、特色あるカリキュラムづくりなど改革が行われる事で学校選びの基準が増えます。
そうする事で偏差値至上主義からの脱却が可能となります。
現在は学校の偏差値が高い=良い学校という価値観が一般的です。
高校の普通科がより特徴的になるよう改革がなされても、それが変わることはありません。
しかし、偏差値以外の軸で学校選びを行うことができるという事は中学生にとって非常に魅力的に映ります。

保護者の皆さんが中学生であった頃を思い出してみてください。
どこの高校も偏差値と立地以外は似たりよったり。
多少制服が違いますが教育方針はどこの高校に進学しても変わらないと感じた方も多いのではないのでしょうか。
これが例えば以下のような3高校で悩んでいるとしましょう。

A高校では国際交流を重視し、第二外国語が学べるようになっている」
B高校では生徒の主体性を伸ばすためにPBL授業を行っている」
C高校ではプレゼンテーション能力を育むため、生徒中心の授業づくりを行っている」

どれも普通科です。
ただし力を入れているポイントはそれぞれ違います。

同じ普通科でもこのように違いがあると、理由を付けて選びやすくなります。

更に子どもの興味関心に沿って適切な教育を受けさせることも可能となります。

そうなると必然的に子どもの満足度も上がり、通いたい高校にすることが出来ます。

不登校になってしまう心配もありません。

よりプロフェッショナルに

挑戦するイメージ一般的な教養を身につける事が出来る普通科に、特色ある教育プログラムを含むように提言しているという事が教育再生実行会議の提言の味噌です。
つまり従来の普通科としての良さは残しつつも、よりその道のプロフェッショナルを目指すことの出来る教育を受けることが出来るという事です。
カリキュラムや教員次第では大学進学前に現在より更に実用的な技術を身につける事も可能になります。

その高校は子どもが意味を持って選んだ高校なので、学ぶ意欲も十分であることが考えられます。
高校と子どものミスマッチを防ぐ効果があるとも言い換える事が出来るでしょう。
それでいて従来の普通科と変わらない教育も受けられますから子どもにとっても社会にとっても良いことです。
後々ご紹介しますが、日本は段階を踏ませるという事を非常に重視していました。
若いうちから専門的な教育を受ける機会が設けられたのは非常に意義のある事です。

海外の高校はどのようなカリキュラム?

ここで海外の教育について見てみましょう。
日本の教育は未だ旧い方法の授業形態をとっている場合も多いです。
その最たる例が英語の授業です。
学校では英語を話さずひたすら訳読法に励む姿がイメージできるかと思います。
本記事では訳読法に関する是非までは言及しませんが、戦後からずっと同じ教育法を続けている事は知っておくと良いと思います。

世界が憧れるフィンランドの教育

フィンランド国旗フィンランドは小国ながら世界最高水準の学力を誇ることで有名です。
20002010年代にかけてフィンランドの教育が日本で大注目されました。
YouTubeにはフィンランドの教育を題材にした番組がアップロードされています。
もし時間に余裕があればご覧いただくことをお薦めします。

細かい学校制度の話は置いておいて、フィンランドでは子ども自身が学習計画を立てて、その計画に沿って学びを進めていく事が大きな特徴です。
大まかな学習目標は政府の機関によって定められてはいるものの、学校現場の裁量によるところが多いことが知られています。
ただ単に子どもに目標を設定させるだけではなく、その目標に対して子どもが責任を持てるようにしなければならないとされています。
そのためフィンランドでは教員育成にも結構な財源を注いでいます。
フィンランドでは大学までの学費が無償ですが、教員を志す学生に対しては1年目から教育実習が設定されていたり修士号(大学院卒)の取得が必須条件であったりします。
フィンランドの教育はこの質の高い教員によってもたらされていると見ることも出来るでしょう。

エリート育成が得意な韓国の教育

韓国国旗日本の隣国である韓国ですが、日本と似ている部分も多いので紹介します。
ここでは日本の教育との相違点に着眼点を置いて見ることにしましょう。
韓国では日本以上に受験競争が熾烈です。
専門学校を含めた大学進学率はほぼ100%です。
日本ではおよそ60%ですので韓国の受験事情の厳しさがお分かりになるでしょうか。

ただし韓国では高校進学の際に入試が実施されることはありません。
中学校の成績を利用して自動的に高校が割り振られるという仕組みになっています。
日本で例えると内申点のみで高校受験を行うという感覚に似ているでしょう。
中学校の平常点が大変重要になってきますので学習塾産業も盛んです。
韓国の子どもは下校後に塾へ通います。
この点も日本と変わらないように思われます。
高校の代わりにインターナショナルスクールを志望する中学生もおり、インターナショナルスクールに進学した生徒は海外大学進学を目標に勉強に励みます。
国全体が教育熱心である事が韓国の教育において最も特徴的なことです。

小さい頃から専門教育が展開されているドイツの教育

ドイツ国旗ドイツでは日本とは違い、複線型の教育体系を採用している国です。
我が国では教育の最終出口は大学のみです。
医者になるにも警察官になるにも教員になるも最終的な出口は大学です。
対するドイツでは将来の進路によって進学する学校も修業年数も変わってきます。
当然出口が違います。
更にその分岐点が10歳であることも大きな特徴です。

ドイツでは3つの学校体型に別れており、どの道からでも大学を目指すことは可能です。
子どもは6歳になると小学校・総合学校・シュタイナー学校のいずれかに通うことになります。
そのうち総合学校とシュタイナー学校は13年制の学校です。
卒業後は大学に進学することになります。
一方小学校は4年制で卒業後の進路は3分されます。
小学校を卒業すると基幹学校・実科学校・ギナジウムのいずれかに進学します。
日本の教育と近い進学ルートはギナジウムでエリートコースに乗れば大学進学が可能となります。
基幹学校と実科学校へ進学した場合は大学進学の道は閉ざされ、職業訓練を受けた上で早ければ15歳で働くこともあります。

こぼれ話「コロナでどうなる2020年の高校受験」

風邪予防新型コロナウイルスの蔓延が長引き、学習進度や受験に大きな影響が及ぶ可能性があります。
現在対新型インフルエンザ薬のアビガンが有効ではないかとの議論が繰り広げられていますが、どちらにせよ次回の受験シーズンまでに収束する保証はありません。
現在明言できる事と言えば「子どもにも危機感を意識させ、いち早く新型コロナウイルスが収束するように気をつける」という事のみです。

一方、萩生田文部科学大臣は「この状況に見合った受験体制をつくりたい」としています。
それがオンライン受験になるのか、ソーシャルディスタンスを設定した受験室での受験になるのかはまだ分かりませんが、何かしらの対策を検討中という状況です。

外出自粛を受けて202056日までは家で勉強をしなければならない状況が続きますが、学校がない時間はどのような勉強をすればよいのでしょうか。
学校が始まってからだと苦手な単位を克服する時間はありません。
そのため現時点で苦手な教科や単元を一度復習しておくと良いでしょう。
学習塾によっては在宅スタディを支援する形で授業動画を無料で公開しています。
中3になった今、学ぶはずだった単元を動画配信で補う事をお薦めします。
どれだけ声を上げても学校は授業が出来ませんので、自衛の手段として在宅学習をお薦めします。

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さいごに

高大接続改革に続き、高校のカリキュラム事態にもメスが入ろうとしています。
日本の教育が諸外国と比較して遅れを取っている訳ではありませんが、諸外国の一歩先を進むための人材育成に努めています。
今回の教育再生実行会議による提言はその一環です。
かつて日本が技術大国と呼ばれていた頃に近づこうという事でしょう。

高校は高校生に「指名買い」してもらうために様々な特色を織り交ぜてくる事が予想されます。
この改革では中学生に入学後のイメージを膨らませ、入学後はその特色通りの教育をすぐに行うことが出来るため非常に効率が良いです。

現在日本の教育は大規模な改革に進もうとしています。
センター試験廃止など混乱が生じている事も事実ですが、一方でこの局面を乗り越えることが出来れば日本人の教育水準は大きく進歩する見込みがあることも事実です。
保護者としては調べる情報が多く大変ですが、ぜひ本記事を参考にして知識を深めてみてください。
私たちが生徒の頃とは学校の様子も制度も全く違います。
変化の激しい世の中だからこそ、保護者も勉強して子どものサポートを行う必要も大いにあるでしょう。

この記事を監修した人

チーム個別指導塾
「大成会」代表:池端 祐次

2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。


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