どうせ観るなら「勉強」になる漫画・アニメを観よう!

勉強になる漫画・アニメ
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勉強にとって、ほとんどの漫画とアニメは「敵」です。
漫画もアニメもとても楽しいうえに、楽しむのに時間がかかります。
勉強の1時間はあれほど長いのに、漫画・アニメの3時間は一瞬で過ぎ去ります。

漫画・アニメを観たいけど勉強をしなければならないという葛藤は、どのように解決したらよいのでしょうか。

答えは簡単です。
勉強につながる漫画・アニメを楽しめばよいのです。

真剣に学力を上げたいと思っている人に、観るだけで学力向上が期待できるのに、エンターテイメント性も高い、おすすめの漫画・アニメを紹介します。

この記事では、漫画・アニメのストーリーや見どころを紹介します。
いわゆる「ネタバレ」の内容になっているので、予備知識なしで作品を楽しみたい方は注意してください。

勉強漫画の金字塔「ドラゴン桜」

勉強系の漫画・アニメで真っ先に紹介しなければならないのは「ドラゴン桜」です。
原作は漫画ですが、ドラマにもなりました。

漫画

ドラゴン桜

三田紀房著、講談社、モーニングコミックス、全121

ドラゴン桜
Amazon ドラゴン桜

なぜこの作品をすすめるのか

受験「ドラゴン桜」をすすめる理由は、受験テクニックが紹介されているからです。
1巻の表紙には「教えてやる! 東大は簡単だ!!」と書いてあります。

「ドラゴン桜」に描いてあることをすべて正確に実行すれば、自動的に東大に合格できるでしょう。

なぜそう言い切れるのかというと、この漫画を担当した講談社の編集者が東大卒だからです。
作者の三田氏は、その編集者から東大合格勉強法を聞き出して、作品に盛り込んでいます。

しかし、受験テクニックが紹介されているだけなら、単なるノウハウ本であり、これほど強く推すことはできません。

「ドラゴン桜」の最大の魅力は、ストーリーです。
主人公はとても熱い人物で、かつ挑発的です。
その言動を追っているうちに、ぐいぐい作品に引き込まれていきます。
主人公が展開する勉強理論は、一見すると邪道な印象を受けるのですが、しばらく読み進めると正攻法であり効率的であることがわかってきます。

その他の登場人物たちの成長ぶりにも目を見張ります。

勉強漫画というくくりがなくても、ドラゴン桜はおすすめの漫画のひとつです。

ストーリーは

「ドラゴン桜」は、元暴走族で弁護士という異色の経歴を持つ桜木建二が、落ちこぼればかり集まる私立龍山高校に赴任するシーンから始まります。

「龍」の高校に「桜」が赴任するので「ドラゴン桜」というわけです。

桜木は当初、この高校を清算するためにやってきました。
清算とは、企業でいえば倒産することです。
龍山高校は経営難に陥っていたのです。 

ところが桜木は、この高校から東大合格者を100人出せば経営が改善すると考えました。

そこで桜木は、受験指導が得意な教師を龍山高校に呼びます。

そして特に落ちこぼれの生徒、水野直美と矢島勇介を選び、厳選した受験教師たちの授業を受けさせます。
この2人が東大に合格すれば話題になるので、龍山高校は生徒を集めやすくなり、経営が改善します。

見どころ

桜木から呼ばれた受験英語のスペシャリスト、川口先生は、水野と矢島に、英語の勉強では「辞書を引くな」「いい加減に学べ」と教えます。

例えば問題集に「cultivate」という単語で出てきて、意味がわからなかったとします。
その場合でも、辞書を引かず、いい加減に推測しろ、と教えます。

なぜなら英語は、言語を学ぶ科目だからです。

川口先生は「いい加減な英語勉強法」を解説する前に、水野と矢島に、日本語の「推断」という言葉の意味はわかるかと問います。

日常生活でほとんど使わない言葉ですが、「なんとなく」意味はわかります。
中学生以上なら、「推断」はなんとなく「推測して断定する」という意味だろうと考えます。

正解は「事態をおしはかり、判断を下すこと」なので、なんとなく思いついた内容で大体合っています。

英語辞書英語も、これくらいいい加減に勉強していいのです。

cultivate」であれば「冒頭のculはカルチャー(culture)のカルかもしれない」と想像することができるでしょう。
cultureの意味ならすぐに「文化」と出てくるはずです。

cultivate」の正式な意味は「耕す」です。

「文化とは、社会を耕してできるもの」と理解すれば、「cultivate=耕す」を丸暗記する必要はありません。

「ドラゴン桜」がすごいのは、川口先生の真意にあります。

川口先生は「cultivateのカル」を、単に英単語の覚え方として教えているわけではないのです。

川口先生は、水野と矢島の「英語は嫌い」「英語は意味がわからなくなるといちいち辞書を引かなければならないから面倒」という気持ちを取り除こうとしたのです。

英単語を丸暗記しなくてよい、いい加減な勉強法でよい、ということを教わった水野と矢島は俄然英語に興味を持ち始めました。

先ほど、「ドラゴン桜に描いてあることをすべて正確に実行すれば、自動的に東大に合格できるでしょう」と紹介しましたが、それを実行することは簡単ではありません。

「東大に入って人生を逆転させる」という強い思いと、その思いを継続させる持続力と、勉強をあきらめない忍耐力と、教えを自己流にアレンジせずそのまま実行する素直な態度が必要です。

「ドラゴン桜」から学べる最も重要なことは、気持ちの高め方と学習姿勢かもしれません。

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白血球がイケメン君の「はたらく細胞」

勉強系の漫画・アニメにおいて、教科の内容を別の何かに例えるのは常套手段といえます。
よくあるのは、日本史の出来事を、現代人のキャラクターに演じさせるものです。
昔の人を今の人に置き換えるだけで、児童・学生は親しみを持つことができます。

しかしアニメ「はたらく細胞」の、教科の内容を別の何かに例える手法は、常軌を逸しています。

人の血液の成分である赤血球を、快活な少女にして、白血球をイケメン君にしているのです。

アニメ

はたらく細胞

監督:鈴木健一、製作:アニプレックスなど

原作は月刊少年シリウスの漫画「はたらく細胞」(清水茜著)

はたらく細胞
Amazon はたらく細胞

なぜこの作品をすすめるのか

ウイルスと細胞「はたらく細胞」を観ると、理科の生物の細胞や血液の働きを学ぶことができます。

細胞も血液も重要な知識ですが、学校の勉強では専門用語をそのまま覚えなければなりません。
しかも細胞も血液も、実際の動きを、顕微鏡などを使わずに見ることはできません。

そのため、学校での細胞と血液の授業は、生徒たちにとって「架空の話」や「リアリティに欠ける話」に聞こえます。
それで次第に、興味が薄れていってしまうことがあるのです。 

例えば作品内では、赤血球と白血球について次のように教えます。

<赤血球>血液循環により、酸素を体中に届け、二酸化炭素を肺に運搬する。赤血球はヘモグロビンを多く含んでいるため赤い。

<白血球>主な仕事は外部から体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物を排除すること。

「はたらく細胞」は、このような「よくわからない話」を明確にビジュアル化しています。

ストーリーは、みどころは

「はたらく細胞」における赤血球は、赤い帽子をかぶり、赤いジャケットを着て、髪の毛を赤に染めたショートカットの少女です。

この赤血球ガールは、手に四角い箱を持っていて「こちら、本日分の酸素になります」と言いながら、箱を運びます。

「はたらく細胞」における白血球はイケメン君で、白い顔、白い帽子、白い戦闘服を着こみ、手にはサバイバルナイフを持っています。

そして雑菌をみつけると「この雑菌野郎!」と叫びながら、サバイバルナイフで刺し殺します。

北海道の学校と動物が出てくる「銀の匙」と「動物のお医者さん

北海道の学校と動物が出てくる人気漫画があります。
銀の匙」と「動物のお医者さん」です。

この2つの漫画を読むと、「酪農家になりたい」「北大に進学したい」と思えるはずです。
「銀の匙」は農業高校ブームを引き起こしましたし、「動物のお医者さん」は獣医ブームを引き起こしました。

そして2作品とも、勉強漫画としてではなく、青春漫画として有名になっています。

漫画

銀の匙

荒川弘著、小学館、114巻(201911月現在)

銀の匙
Amazon 銀の匙


動物のお医者さん

佐々木倫子著、白泉社、全8

動物のお医者さん
Amazon 動物のお医者さん

なぜこの作品をすすめるのか

「銀の匙」と「動物のお医者さん」には次の共通点があります。

  • 主人公や登場人物たちがまっすぐ生きている
  • 学ぶことを正しいこととしてとらえている
  • でも、真面目過ぎず、ギャグが多く笑える
  • 日本漫画史に残る名作
  • 北海道が舞台になっている

北海道の児童・生徒・学生には、ぜひ両方とも読んでいただきたい作品です。

ストーリーは

乳牛「銀の匙」の舞台は、北海道帯広農業高校をモデルにする大蝦夷農業高校です。
主人公の八軒勇吾は中学まで札幌にいて、進学高を目指していましたが挫折してしまい、家族と離れて暮らすことができる全寮制の大蝦夷農業高校に入りました。

「高校は勉強するところ」というイメージを持っていた八軒は、農業高校の授業の一環としての農作業に驚きます。
しかも同級生たちは酪農家の子供たちばかりです。

札幌で進学していたら普通の高校生になっていた八軒が、ここでは異質な子としてみられます。

八軒と同級生との間にはギャップがあり、双方がそれを埋めていくことで成長していきます。

著者の荒川弘氏が北海道帯広農業高校OBなので、動物を飼育する様子や寮生活の描写はリアルそのもの。

動物病院のイメージ「動物のお医者さん」の舞台は、北大獣医学部をモデルにしたH大獣医学部です。
札幌在住の主人公、西根公輝は高校生のころ、友人の二階堂昭夫と帰宅途中、近道をしようとH大獣医学部の校舎近くを通りました。
そのとき、同学部の漆原教授と奇妙な出会い方をして、それが縁となってH大獣医学部に進学することになりました。

ストーリーの中心は、北大獣医学部生としての西根の生活です。
動物とのふれあいや研究風景のリアルさは「銀の匙」と通ずるものがあります。

見どころは

「動物のお医者さん」が初めて雑誌に紹介されたのは1988年で、「銀の匙」の2011年より23年も早く誕生しています。

両者とも、驚くほど学校生活をリアルに描いています。
なぜ驚くのかというと、漫画で描かれる学校の風景は、大抵は誇張されているか単純化されているからです。

「ドラえもん」と「サザエさん」には、たくさんの小学生が登場しますが、授業風景はあまり出てきません。「タッチ」と「うる星やつら」は高校生が主人公ですが、こちらも勉強風景はほとんど描かれていません。

なぜリアルな学校生活が漫画で描かれないのかというと、つまらないと考えられているからです。
漫画は、リアルな学校生活や勉強の対極にあるものです。
子供は、漫画ばかり読んでいると、大人から「漫画ばかり読んでいないで勉強しなさい」と言われ、学校に漫画を持ち込むと没収されることもあります。

その漫画にリアルな学校生活や勉強を楽しんでいる子供たちを描いてしまうと、漫画としての存在意義が薄れてしまいます。

「銀の匙」と「動物のお医者さん」は、そのタブーに果敢に挑戦した漫画ということができます。
農業高校と大学の獣医学部で、しっかり勉強したり研究したりすることがどれだけ「面白いこと」なのかを、漫画を通して子供たちに伝えたのは、大きな功績といえます。

「銀の匙」と「動物のお医者さん」の2人の著者がその偉業をなし得たのは、学ぶ姿勢をしっかり取材したことと、そしてギャグを使って読者を笑わせることを忘れなかったからです。

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まとめ~優れた教材でないはずがない

漫画もアニメも、学習の優れた教材になり得ます。

漫画もアニメも観客を楽しませることが至上命題なので、何時間観ていても飽きることがありません。
漫画もアニメも大半が絵なので、強い印象を持つことができます。
強い印象は、記憶の定着を後押しします。
アニメに至っては、動くうえに音声でも情報を入手することができます。

そのため、勉強にプラスになる漫画とアニメは、参考書や教科書より高い学習効果が得られることがあります。
特に苦手分野の基礎知識を獲得したり、学習意欲を高めたりする効果は絶大です。

ただし、大量の知識を効率よく、かつ正しく身につけるには、音声での解説と文字での説明のほうが優れています。
音声での解説とは学校の先生や塾講師による授業であり、文字での説明とは教科書や参考書のことです。

勉強系漫画・アニメは、あくまで補強として考えましょう。
しかし、最強の補強です。

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この記事を監修した人

チーム個別指導塾
「大成会」代表
池端 祐次

2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。


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公開日:2019年12月19日 更新日:2024年2月28日  
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