定期テストの成績向上や受験のために多くの親御さんが子供を塾や家庭教師に通わせています。
2008年に文部科学省が発表した「子どもの学校外での学習活動に関する実態調査報告 」によると、小学校1年〜中学校3年の全体平均ではおよそ4割が「子供を塾や家庭教師に通わせた経験がある」と回答しており、特に受験を控えた中学校3年生になるとその割合は7割近くにも及びます。
また「塾通いが過熱化していると思うか」という質問に対しては6割以上の保護者が「過熱化していると思う」と回答しており、多くのご家庭が成績を上げるために塾や家庭教師に通う必要性を認識されていらっしゃることでしょう。
しかし、塾や家庭教師に通った7割以上の子供が一様に成績が上がったかというと、残念ながらそのようなことはありません。
むしろ思ったように成績が伸びず「せっかく授業料を払っているのになんで成績が伸びないの?」とお悩みの保護者の方が多いのではないでしょうか。
そこで当記事では塾や家庭教師をつけても成績が上がらない原因と解決策をご紹介します。
塾や家庭教師をつけても成績が上がらない原因とは?
それでは早速塾や家庭教師をつけても成績が上がらない原因をご紹介します。
なお、過去には家庭教師より塾をおすすめする理由とその根拠について述べたコラムも掲載していますので、こちらも併せてご覧ください。
授業を受けることが目的になっている
まず最初にご紹介するのは「授業を受けることが目的になっている」ということです。
これは主に小学校〜中学2年生など、受験が無く勉強する目的が明確になっていない子供に多い原因です。
このような場合「放課後にもっと遊びたいけど親に言われたから・・・」と、消極的になり塾や家庭教師の授業を何となく受けるだけで終わってしまいます。
加えて集団塾の場合だと、授業にとりあえず出るだけではどんどん置いていかれて、ますます勉強する気が起きなくなってしまうのです。
また「友達が通っているから」という理由で通う先を決めることも多く、そうすると塾で休憩時間などに友達と談笑することが目的になってしまうことも多々あるのです。
もちろん子供にやる気やきっかけを与えることも講師の重要な役割ではあるのですが、子供の勉強に対する意識が希薄である場合、実際のところ成績を上げるのはなかなか難しいです。
指導カリキュラムが子供に合っていない
次にご紹介するのは「指導カリキュラムが子供に合っていない」ということです。
これは特に集団塾の場合に多い原因です。
大半の塾は入塾する際に学力テストなどを行い、子供の学力に応じたクラスで授業を行います。
しかし、それだけでは子供にとって最適な環境が準備できるとは言い切れません。
なぜなら塾にはそれぞれ独自のカリキュラムや指導方針があるためです。
例えば難関校合格を目的とした塾であればハイレベルな指導が行われ、子供の自主性を尊重する塾であれば自習時間を多めに取る指導が行われます。
対して、子供が基礎的な部分が理解できていなければ最初から授業についていけなかったり、また勉強する習慣が身についていないければ自習時間を有効活用できなかったりします。
このように塾の指導カリキュラムが子供に合っていないことが原因で、成績が上がらないというのは十分に起こり得るのです。
講師と子供の相性が合っていない
次にご紹介するのは「講師と子供の相性が合っていない」ということです。
これは特に家庭教師の場合に多い原因です。
マンツーマンで指導を行う家庭教師の場合、講師が子供の習熟度や個性を理解することは非常に重要。
それらを十分に理解した上で、子供にとって最適な指導が可能となります。
しかし講師の実力が不十分であったり、子供が講師と相性が合わず非協力的だったりすると、習熟度が個性への理解がうまく進みません。
子供と講師の距離の近さがかえって勉強の妨げとなってしまうのです。
このような場合、せっかくマンツーマンで子供のペースに合わせて授業が進められるにも関わらず、一方通行の指導が行われてしまいます。
子供が自主学習できていない
最後にご紹介するのは「子供が自主学習ができていない」ということです。
これは特に塾に通ったり家庭教師をつけたりして、真面目に勉強をしているにも関わらず成績が上がらない場合に多い原因です。
受験シーズンでもない場合、塾に通う頻度は週1〜2回であることが大半。
その時間にどれだけ集中したとしても、人間の記憶力には限界があります。
人の記憶に関する研究として有名な「エビングハウスの忘却曲線」によると、人間は何かを学んでから20分後に42%忘れ、1時間後には56%忘れ・・・と進んでいき2日後には実に72%を忘れることが明らかになっています。
かつ塾や家庭教師にてある程度復習の時間が設けられることはあっても、基本的にはどんどん授業が進んで行くのです。
このように考えると、塾や家庭教師をつけるだけで、成績が上がることはほとんど無いということはお分かりいただけるのではないでしょうか。
そのため、塾や家庭教師をつけて成績をあげるためには子供が自主学習をすることが必須なのです。
塾や家庭教師をつけても成績が上がらない際の解決策とは?
上記にて塾や家庭教師をつけても成績が上がらない原因をご紹介しました。
一言で成績が上がらない、と言っても様々な原因が存在することがお分かりいただけたと思います。
では以下に、このような場合に有効な解決策をご紹介いたします。
講師と面談を行う
まず最初にご紹介するのは「講師と面談を行う」ということです。
成績が伸び悩む際、その原因を子供に聞くだけではなかなか明らかになりません。
もし子供に成績が上がらない原因を聞いて「〇〇の部分の理解がうまくいっていないから、次はそこを重点的に勉強する」といったような具体的な回答が返ってくるようであれば、放っておいても成績は伸びていくでしょう。
しかしこのような状況はごく稀で、子供自身もなぜ成績が伸びないかは明確に分かっていないのです。
そのため、まずは講師と面談を行うようにしましょう。
講師から子供の成績の現状やそれに対する考えなどをしっかりと聞くことによって、子供がなぜ成績が伸びないのかが理解できるようになります。
また理解が進むのに加えて、家庭ではどのようなバックアップを行えば良いかアドバイスをもらうこともできるのです。
例えば講師から「授業中によく眠たそうにしていて、あまり授業に集中できていないように感じます」といったことを聞けば、しっかりと寝るように子供に勧めるといった行動をとることができるようになります。
子供と塾に通う目的を話し合う
次にご紹介するのは「子供と塾に通う目的を話し合う」ということです。
講師と面談を行う中で、残念ながら「子供のやる気が感じられない」といった話を聞くかもしれません。
実際に上記で参照した「子どもの学校外での学習活動に関する実態調査報告 」によると、「学習塾に通うのは好きか」という質問に対して「あまり好きでは無い」「嫌だ」と答えた子供の割合は全体で約4割にも上っているのです。
このような場合ぜひお子さんの意見も聞きながら、塾に通う目的を話し合うようにしてください。
保護者の方は目的を持ってお子さんを塾に通わせていることだと思いますが、まずはお子さんの意見をしっかりと聞くことで、その目的を理解してくれやすくなるためです。
塾や家庭教師を変える
次にご紹介するのは「塾や家庭教師を変える」ということです。
講師と面談を行った上で、子供の現状をしっかり把握できていない、的確な解決策を提示してもらえないと感じた際には塾や家庭教師を変えたほうが良いでしょう。
また上記で説明したように塾や家庭教師には独自の方針やカリキュラムがあり、それが子供にあっていない際も変えた方が成績が伸びる可能性が高いです。
しかし、この際もただ変えれば解決というわけにはいきません。
面談を行う中で、保護者自身も講師に求めるものや必要な資質というものが見えてくると思います。
そのようにして理解したことを基に、次の塾や家庭教師を選ぶようにしてください。
もし次は絶対に失敗したくないということであれば、体験授業を受けさせてから通うことを決定されることをお勧めします。
とりあえず3ヶ月待ってみる
最後にご紹介するのは「とりあえず3ヶ月待ってみる」ということです。
意外と保護者が起こしがちな勘違いは「塾や家庭教師がつけばすぐに成績が上がる」というものです。
が、英単語や漢字などの暗記テストはともかく、論理的な理解が必要な定期テストの場合は、塾や家庭教師がつけばすぐに成績が上がるなんてことはありません。
ではどのくらいの期間を要するのかというと、およそ3ヶ月と言われています。
このことを理解せずに3ヶ月以内に別の塾や家庭教師に変えてしまうのは、子供にとって全くためになりません。
1〜2ヶ月程度塾や家庭教師に通った程度では体系的な理解が進まないためです。
そのためもし成績が思うように上がらなくても、まずは3ヶ月待ってから対策を考えるようにしましょう。
まとめ
以上、塾や家庭教師をつけても成績が上がらない原因とその解決策をご紹介しました。
子供の意識が原因であったり塾や家庭教師のカリキュラムが原因であったりと、その原因は様々ですがまずはしっかりと話し合いを行うことが重要です。
話し合いをすることによって子供の成績が伸び悩む理由を特定し、効果的な対策を行うことができるようになるためです。
なかなか成績が伸びない場合、「うちの子には勉強の才能が無いのかな・・・」と思ってしまうこともあると思います。
しかし、勉強というのはインプットとアウトプットの繰り返しに過ぎません。
そのため子供が自分にあった勉強法を身につけたり、相性の良い講師と巡り会うことができれば十分に成績が向上する可能性があるのです。
よって塾や家庭教師に通っても成績が伸びないからといってすぐに諦めずに、今回ご紹介した解決策をぜひ実施されてみてください。
当記事が思うように子供の成績が伸びないことに悩む保護者の方の一助になれば幸いです。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。