試験勉強や入試対策の勉強をどのようにすれば良いのかお悩みの皆さんに向けて、効率的な勉強方法を比較してみましょう。
勉強をされている皆さんは「一人のほうが効率的か、みんなで勉強したほうが良いのか」とお悩みになったことがあるかと思われます。
最終的な判断は皆さんに委ねられてはいますが、本記事では、その判断材料になる情報をご紹介します。
みんなで勉強したほうが効率的な理由
一般的には「一人で勉強をしたほうが良いだろう」とされています。
皆さんによって好みはあるかもしれませんが、教鞭を執っていた経験のある私の意見としましては「絶対にみんなで勉強をしたほうが良い」というものです。
その理由について以下に根拠を示しています。
三人集えば文殊の知恵
「三人集えば文殊の知恵」という言葉をご存知ですか。
日々勉強に励まれている皆さんであれば当然ご存知でしょう。
そうでなくとも耳にしたことはあるはずです。
三人集えば文殊の知恵とは「平凡な人でも三人集まって考えると、文殊のような知恵を発揮することができる」という意味の諺(ことわざ)です。
文殊とは仏教における菩薩の一人です。
知恵を司る菩薩と言われています。
みんなで勉強した方が時間効率が良い
「三人集えば文殊の知恵」という諺は本当なのでしょうか。
ここでは仮に三人のグループでテスト勉強をしているとしましょう。
皆さんと一緒に勉強している二人に関しては違う人なので、当然知識の量や得意分野も違います。
数学であれば図形が得意なお友達や、関数が得意なお友達が居ることからもお分かりいただけるかと思います。
つまりみんなで勉強すると言う事は、お互いの苦手な部分を補い合えるという事です。
グループの中でお互いの弱点を補い合えると、自分で参考書を見て調べるという手間を省くことができます。
参考書を見る時間を教え合いの時間に変える事で、自分の欲しい情報をすぐに知ることが出来るほか、節約できた時間を他の勉強に転用する事も出来るというメリットがあります。
勉強に熱心な方の中には誤解される方も多いのですが、勉強は時間をかけるほど良いというものではありません。
できる限り勉強に費やす時間を節約して、短時間で多くの知識を溜め込むという作戦が重要になってきます。
テストで高得点を取っているお友達と皆さんを比べた時、ひとつだけ平等に与えられているものがあります。
それが時間です。
学習塾に通っている、良質なテキストを持っているなど家庭の事情などによるものは多少の差がありますが、1日24時間という時間だけは皆さんが平等に持っているものです。
与えられた時間に差がないのであれば、その時間をどれだけ有効活用するかを考えなければなりませんよね。
調べる手間を省くだけで、相当の時間節約が期待できます。
では教える側のお友達は自分の知っている事を説明するだけで、勉強にならないのでしょうか。
実は教える側にも大きなメリットがあることを皆さんに知っていただきましょう。
ラーニングピラミッドを意識しよう
有名なものにラーニングピラミッドという物があります。
Google検索などでもすぐにヒットするので、お手持ちのスマートフォンに保存して頂き、時折見返していただくと良いでしょう。
このラーニングピラミッドはアメリカ国立訓練研究所が提唱したもので、勉強をする時のそれぞれの作業で習得できる知識の質を表しています。
一番上の “Lecture” をご覧いただきましょう。
”Lecture” は「授業を聞く」事を指します。
難しい言葉で言うと「講義」です。
会話の延長線上にあるものと解釈していただけると良いかと思われます。
この “Lecture” での習得度は5%です。
つまり、聞いたことの95%は知識として残らないという事になります。
例えば50分もの間、先生の話を聞き続けたとしても記憶に残る知識はわずか3分足らずの物しかないという事です。
これに関して今の時点でどう感じるかは皆さんの受け取り方次第ですが。
では “Audiovisual” の段階を見てみましょう。
ここで言う “Audiovisual” とは「視聴覚を活用する勉強法」の事です。
つまりは見て聴いて理解するという勉強法です。
この方法では視覚と聴覚を連携させて勉強していることから学習したことの定着率も上昇している事が伺えます。
ピラミッドを見ると数値は20%となっています。
つまり先程の例だと50分の授業のうちの10分は記憶に定着するという事です。
聞き流すだけの勉強方法と比べると随分と違ってくることがお分かりいただけると思います。
最下部にある “Teach Others” についても加えて説明をいたしましょう。
こちらは「他人に教える」という意味を持っており、知識の定着率は90%です。
誰かに知識を説明すると、その知識は90%自分の物になります。
仮に視聴覚を活かして20%の知識を獲得したとすると、他人に教えるだけで殆ど自分のものに出来るという事です。
実際の話ですが知識を持っていても、誰かに説明する事は難しいです。
試しにお友達に「三単現のs」について説明してみて下さい。
恐らく多くの方がスムーズに説明できなかったり、難しいと考えるはずです。
その場合、三単現のsについての知識は十分ではないと言えます。
もし皆さんが三単現のsについて、相手が理解できるように説明することが出来たのであれば、三単現のsについての知識は殆ど自分のものにしたと言っても良いでしょう。
このようにみんなで勉強を進めると、教えてもらう側だけでなく、教える側も大きなメリットを受けることになります。
知識をきちんと身につけているか確認する機会となり、もし上手に説明できなくても相手が納得できるまで解説をすることで知識の習得度を90%まで上昇させる事が可能だという事からも十分にお分かりいただけるでしょう。
それでは一人で勉強する場合について見ていきましょう。
一人で勉強したほうが良い勉強もある
ここまではみんなで勉強した時のメリットについてお話してきました。
次は一人で勉強する場合のメリットについて紹介します。
みんなで勉強したほうが良い場合の多くは問題演習に取り組んでいるケースがほとんどです。
それでは問題演習以外の勉強に関してはどうでしょうか。
一人で勉強したい気分の時は一人で!
言わずもがなみんなと勉強する気分ではないときは一人で勉強しましょう。
皆さんにも様々な事情があるでしょう。
無理にお友達の気分に合わせていると、そればかりが気に掛かってしまい効率の良い勉強にはなりません。
ただし勉強をする約束をしていた場合は必ず断りを入れておきましょう。
「今日は気分ではない」と伝えると必ず理解してくれます。
友達を大切にする事は忘れないようにして下さい。
それでは一人の時はどのような勉強方法がより効率的なのでしょうか。
続けて見ていきましょう。
暗記をしたいときは一人で
暗記はみんなで問題を出し合って覚えると効率が良いのですが、一人で暗記をする時もやり方によっては効果が期待できます。
特に電車での通学中や休み時間の暇な時間に行うような暗記は一人で行うことをお勧めします。
先述のようなケースでは暗記と演習がセットである数学の公式や元素記号の問題に取り組むには適していると言えません。
そのため覚えることに価値の有る英単語や原子記号などの暗記を主に行うと良いでしょう。
読書も一人で行ったほうが良い
読書に関しても一人で行ったほうが効率的な勉強方法です。
活字を読むときに、友達の助けは必要ありませんよね。
むしろ一人で集中したほうが、本の内容を頭に取り込みやすいという事もあります。
現代ではKindleや楽天Koboなど電子書籍という便利なものがあります。
読書をしない皆さんもこれを機に読書をしてみてはいかがでしょうか。
効率的な勉強のために心がけたいこと
基本的にはみんなで勉強をしたほうが良いというスタンスでお話を進めていきます。
一人で勉強したほうが良いという場面は限られており、特別な理由が無い限りはお友達と集まって勉強をしたほうが効率が良くなります。
しかし以下の事に気をつけないと効率的な勉強も無駄になってしまいます。
みんなで勉強するときはお喋りの誘惑に負けるな
みんなで勉強をしたくない方の意見として「お喋りで集中力が途切れてしまう」という事が挙げられます。
これは中学生に限らず、コーヒーショップで勉強している高校生の皆さんや、図書館で試験勉強をしている大学生の方も同じ意見を持つ人が多いようです。
お喋りをしてしまう事が原因で、効率的な勉強のチャンスを逃してはいけません。
最も良い解決方法は「信頼できるお友達と一緒に勉強をする」という方法です。
最初にきちんとルールを決めておけば、お喋りに興じてしまう事はありませんし、もしお喋りをしようとしても誰かが止めに入ってくれるはずです。
仲良しの友達とワイワイする訳ではないので、そこは割り切る必要があります。
行き詰まった場合は一人での勉強はやめよう
一人で勉強したい気分であっても、行き詰まったら勉強を一旦中断しましょう。
参考書とずっとにらめっこをしているという場合は尚更です。
一人で勉強するには限界があります。
この事を証明しているのがロシア人の心理学者ヴィゴツキーです。
検索すると最近接発達領域という難しい言葉が出てきますが、要するに「一人で学ぶよりみんなで協力したほうが、より良い知識を身につけることができる」という意味です。
行き詰まった時は限界だと思って、少し休憩を挟んでみることをお勧めします。
脳の休息にもなりますので、答えが見つかるかもしれません。
勉強の効率化はタイムマネジメントが鍵を握る
勉強の効率は時間の使い方と密に関係しています。
本記事の冒頭でもお伝えしたとおり、時間だけは皆さんに対して平等に与えられているものです。
それと同時に、皆さんの脳は何時間も続けて働くことも出来ません。
勉強はメリとハリが鍵を握っていると言っても過言ではありません。
具体的な目安は「勉強1時間に対して休憩15分」です。
切りが悪いと感じるのであれば休憩時間を各自で工夫しても良いでしょう。
さいごに:みんなで勉強したほうが効率的
本記事では一人で勉強する事とみんなで勉強する事のどちらが効率的なのかについて解説を進めてきました。
ラーニングピラミッドが示すように「誰かに教える」という勉強方法が最も効率的に学習を進めることが出来るとお分かりいただけたかと思います。
また最近接発達領域という難しい言葉も登場しましたが、要するにみんなで勉強を進めることで自分の限界を超えることができるという事です。
以上の事からみんなで勉強をするとより効率的だという結論を出しましたが、どうしても合わないなと感じた方は無理をせず自分の勉強スタイルを探してみて下さい。
個人差にまでは対応しきれませんのでご承知おきください。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。