大学受験を経験する上で国語は避けて通れない科目です。
大学受験においての国語とは現代文、古文、漢文のすべてを取り扱います。
そのため思いの外対策に時間がかかることも事実です。
本記事ではそれぞれを取り上げて解説しています。
現代文の勉強法
現代文は古文や漢文と比べて試験の相対的な難易度は低く、対策も比較的容易となります。
その理由は私達が日常的に使用する言葉がそのまま問題として出題されている事にあります。
そのため語彙的に、また文法的に古文や漢文と比べて大きなアドバンテージを持っている事が特徴です。
しかし、知識的に有理であるということは難しい語彙や慣用句の意味を答えさせる問題も多いという事に留意してください。
現代文が苦手になる理由
現代文が苦手になる理由は実は語彙力ではありません。
言葉の意味を答えさせる問題に限定して言えばその限りではありませんが、現代文に壁を感じる大きな理由は「読解力が足りない」事に他なりません。
文章題を解くにしても、評論文の主旨を理解するにしても皆さんには作者の意図をしっかりと掴む事が求められています。
そのため現時点で文章の要約が出来なかったり、結局何を伝えたかったのか理解できなかったというようなケースでは赤信号です。
小説を解くのであれば登場人物をしっかり把握しているか、相関図を頭の中ないし問題冊子の余白に書き取れているかなど文章を読む上で最も大切な読解力を欠いている事が現代文を苦手とする一番の理由です。
現代文の基本的な対策方法
ではどのように現代文を攻略すれば良いのでしょうか。
それは普段からどの程度文章と慣れ親しんでいるかによります。
普段から読書量の多い方であればもう既に文章を読むことには慣れていることかと思われます。
そのケースの場合、漢検の参考書などを利用して語彙力を増やす方針で大学入試対策を進めると良いでしょう。
現代文に関しては活字を読む機会に恵まれている方であれば対策の半分は終了していると思っていただいて結構です。
読書をしない、もしくは読書が嫌いだという皆さんは文章というものにあまり親しみが無いのではないでしょうか。
そのような場合に私がお勧めしているのは、なるべく薄い小説などを読んでみるという事です。
そして書評をつけるなど、読んだ本に何が書いてあったのかについてまとめる作業も同時に提案することにしています。
この勉強方法を実践してくれた生徒の皆さんは文章を読む力が増し、文章題に関しては問題なく解答することが可能となりました。
私が実績を持っている中で最も効果があった対策法であるため、皆さんと共有したいと思います。
文章に慣れてきたタイミングで語彙対策にシフトすると良いでしょう。
また、前提ではありますが問題演習は必須です。
大学入試の問題形式に慣れるために積極的に取り組むようにしてください。
大学受験向きの現代文参考書紹介
私がおすすめする問題集は旺文社から出版されている「現代文 基礎問題精講」です。
特に上記に上げた活字に親しんでいない皆さんにも解きやすいレベルとなっています。
それでは文章慣れしている皆さんにはあまり意味のない参考書なのかと聞かれると、それも違います。
もし皆さんが大学入試の問題に慣れていない場合は問題慣れの面で大きな効果がありますし、新しい語彙の発見もこの本の中には沢山あります。
よりハイレベルな問題集をお求めの際は同社から標準問題精講も発売されているのでそちらをどうぞ。
古文の勉強法
古文の大きなポイントは「現代語とは全く違う言葉を一から学び直さないといけない点」になります。
勉強をすすめる上では外国語と同等の扱いでも良いでしょう。
古文そのものが外国語というわけではなく、ゼロの状態から学習を始めるといった観点から古典の勉強方法を外国語と同じようにこなす事で思いの外速く古文を飲み込むことができるという事です。
また現代日本語にことば自体は残っているものの、意味が全くの正反対になっている語句もあります。
古文を対策する際は現代日本語にも残っている語句に注意する必要があります。
古文が苦手になる理由
古典に関しては大学受験を意識し始める時期以前から、苦手な方は苦手だと明確に分かります。
現代文と似ている部分が有ると思えば全く違う意味の言葉もある。
活用は現代文と比べて微妙に違うので分かりにくい、混同してしまうと皆さん手を焼かれている場面をよく目にします。
先述の通り、古典の学習に際しては外国語を勉強する事と同じ気持ちで取り組むことが大切です。
多くの皆さんは古典を現代日本語と同じように解釈してしまい「日本語だからできるだろう」と考えます。
実際に学習してみた時のギャップが古典を遠ざけている要因と言えます。
古文の基本的な対策方法
古典の対策方法としましては、初期と後期に分けて解説します。
古典の大学受験対策を行う際、はじめは暗記に徹することが最善策と言えます。
ただし、ノートに何回も語句と意味を書き写すなどの非効率的な手段は取らず、辞書を片手にひたすら古文に親しむ事が大切です。
現代ではスマートフォンという便利な機器がありますので、古文中にわからない言葉があれば即検索。
ノートに調べた語句とそれに連動する意味をメモしておく事を続けましょう。
数日もすればそのメモがあなたの単語帳になります。
これを通学時間や休み時間、ご飯を待っている間などのスキマ時間に読むことで暗記が可能です。
よくある「単語帳を一冊丸々暗記しよう」や「ノートに10回書こう」などの勉強法は取り組んだことが目に見えやすく勉強した気になることができる反面、実際のところ使える知識というものは殆ど残っていない事が現状です。
そのため皆さんには問題集の豊富な古文とできるだけ多くふれあい、文章の中で単語の意味を覚えていくという手法をお勧めします。
覚える単語総数は丸暗記と比べて少しは劣るかもしれませんが、単語の理解度という側面では明らかにアドバンテージを得ることが可能です。
大学受験向きの古文参考書
古文入門 読解と演習23(Z会)は古文の初心者向けに作られており、難易度が低いので古文の問題に慣れるに最適です。
古文は演習の機会に恵まれているわけでもなく対策が難しいので、この一冊で古文の文章に慣れましょう。
読解問題が出題されていない分、解き進めるためにも苦労することは少ないと思います。
ただし易しい部類の問題集なので物足りない方は古文入門 読解と演習56などをお勧めします。
漢文の勉強法
漢文は大学入試の中でも配点が低い傾向にあるため、対策が遅れがちです。
そのため苦手な状態で試験本番に臨む受験生の皆さんも多く、本記事をご覧の皆さんも「漢文はねえ…」という類の感想をお持ちではないでしょうか。
逆説的に捉えると他の受験生と差別化できるポイントでも有るので積極的に対策を行う価値は大いにあります。
漢文が苦手になる理由
高校では漢文と古文は同様に扱われます。
つまり古文の授業で漢文を行うと言った具合です。
漢文にとっては古文の時間を間借りしているような感覚で、皆さんにとっても「古文のオマケ」と考える方が多いでしょう。
そのため勉強する気になれなかったり、一度学んでも長いブランクを経て、忘れた頃にまた漢文の時間という流れになったりすることが対策が遅れてしまう原因です。
漢文の基本的な対策方法
実は漢文は対策が容易な部類に入る上に、他の受験生もあまり手を付けようとしないため狙い目の単元でもあります。
対策の第一歩は代名詞です。
漢文が得意ではなくても「汝」や「我」といった言葉は覚えているでしょう。
漢文には助詞がないため、大学入試対策を始めた当初は誰が何をしたのかについて非常に掴みづらい事が予測されます。
受験勉強の際は必要に応じて書き下し文も併用するなど、なるべくハードルを上げないアプローチで臨むと上手くいくでしょう。
また漢文特有のレ点や一・二点などについても抑えておきたいポイントです。
先述の訓点はシンプルで分かりやすいものですが、大学入試クラスになると上中下点なども使用されるようになります。
漢文の文章に慣れるまでは易しい問題を解き続けていただいて構いませんが、大学入試が近づいてきたタイミングで発展問題にも積極的に取り組むようにして下さい。
同様に句形についても特別に対策する必要があります。
おおよそ10個のジャンルに分別することが可能で、特に再読文字は最も重要です。
再読文字を知っているだけで解ける漢文の問題は格段に上がります。
句形を学ぶのであれば先述の再読文字と否定から入ると良いでしょう。
大学受験向きの漢文参考書
ピアソン桐原から出版されている「実践演習基礎漢文」がお勧めです。
参考書や問題集はおしなべて高価ですが、この実践演習基礎漢文はAmazonの売値で約850円と比較的安価であることが特徴です。
また収録問題に関しても基礎の基礎からセンター入試に対応できるレベルまで無理なくステップアップすることが出来、非常に優良な問題集です。
さいごに:国語は時間をかけて
現代文のコツは「なるべく要約する力を身につけること」にあります。
現時点で現代文にあまり自信が無い皆さんはまずは読書から始めて下さい。
間違っても先に語彙力を増やそうとは思わないようにして下さい。
語彙は読書量に比例して身につきます。
また古文では外国語を学習するようなイメージで取り組むと非常に取り組みやすく感じるでしょう。
あくまでも昔の日本語として位置づけるようにし、現代の日本語と同一であると思わないことが大きなポイントです。
最後に漢文攻略のポイントですが、とにかく代名詞と漢文特有の表現についてまずは学習しましょう。
語彙に関しては大学入試でも注釈が付く場合が多いのであまり深く考える必要はありません。
問題演習時にわからない単語を調べる程度で結構です。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。