特別支援教育センターの取り組み

北海道の【特別支援教育センター】取り組みについて

道内の中学生や高校生のなかには、将来、人助けにつながる仕事に就きたいと考えている人がいると思います。
そして福祉の仕事をするか、教育の道に進むかで悩んでいる人もいると思います。

そのような中高生は、特別支援教育という仕事を考えてみてはいかがでしょうか。

特別支援教育とは、障害のある幼児、児童、生徒(以下、子供たち)の自立や社会参加を支援する特別な教育のことです。

特別支援教育の分野は、福祉の一面を持ちながら、教育を仕事にすることができます。
そしてこの仕事は、弱い人や困っている人を助けることができます。

特別支援教育の概要を解説したうえで、札幌市中央区にある北海道立特別支援教育センターについて紹介します。

同センターの取り組みを知れば、「特別支援教育を将来の仕事にすること」のイメージがつくりやすいと思います。

文部科学省が考える特別支援教育

文部科学省学校教育は、特別支援教育も含め、教育行政という取り組みのなかで行われています。
そして日本の教育行政はまず、文部科学省が、憲法や教育基本法や学校教育法などが求める教育を実現するための方針を立てます。

文部科学省はそれを都道府県の教育局に伝え、都道府県の教育局が市区町村の教育委員会に伝えます。
そして市区町村の教育機関が子供たちに実際に教育サービスを提供しています。

流れとしては「憲法→教育基本法や学校教育法→文部科学省→都道府県→市区町村→子供への教育」となります。

したがって、北海道内で特別支援教育の仕事に就きたいと思っている中高生も、まずは文部科学省が考えている特別支援教育について押さえておく必要があります。

すべての学校で充実させることが決まった

特別支援教育は2007年に、正式に学校教育法に位置付けられました。
これにより、すべての学校において、障害のある子供たちの支援を充実させることができるようになりました。

「特別支援学校、特別支援学級、通級」とは

特別支援教育は、特別支援学校、特別支援学級、通級3つの方法で実施していきます。

かつて、盲学校、聾学校、養護学校と呼ばれていた学校は、2006年に特別支援学校と名称をあらためました(一部は盲学校などの名称が残っているところがあります)。

小学校と中学校に設置されていた特殊学級も同じ年に特別支援学級に変わりました。

通級とは、軽度の生涯のある子供たちに通常の学校で通常の教科指導を行いながら、障害に応じた特別な指導を行う指導形態です。

特別支援教育の必要性が増している

子供を抱く母文部科学省は、教育現場では今、特別支援教育の必要性が増していると認識しています。

少子化の現代にあって、特別支援学校、特別支援学級、通級を利用する子供たちは増加傾向にあります。
20115月現在、全小中学生に占める、特別支援学校、特別支援学級、通級を利用する子供たちの割合は2.7%になっています。

さらに学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、高機能自閉症など、学習や生活面で特別な教育的支援を必要とする子供たちは全体の6.5%に達します。

したがって特別支援教育は、今の教育現場に欠くことのできない教育サービスになっているといえます。

特別支援教育の具体的な内容

特別支援教育は、子供たちの障害に配慮した教育を提供する必要があり、そして障害の種類や程度、内容は子供たち1人ひとり異なるため、「具体的にどのような教育を提供するか」がとても重要になってきます。

そこで文部科学省では、特別支援教育の具体的な内容として、次の8つの教育を用意しています。

  1. 視覚障害教育
  2. 聴覚障害教育
  3. 知的障害教育
  4. 肢体不自由教育
  5. 病弱・身体虚弱教育
  6. 言語障害教育
  7. 自閉症・情緒障害教育
  8. LDADHDの教育

文部科学省はそれぞれの教育について、障害の特徴を解説したり、子供たちの年齢ごとの教育の仕方、注意点を示したりしています。

例えば8LDADHDの教育については、次のように説明しています。

文部科学省のホームページから全文を引用します。

<障害の特徴>

LD(学習障害)とは、知的発達の遅れは見られないが、特定の能力に著しい困難を示すものです。また、ADHD(注意欠陥多動性障害)とは、発達段階に不釣り合いな注意力や衝動性、多動性を特徴とする行動の障害です。両者ともに脳などの中枢神経系に何らかの機能障害があると推定され、発達障害に分類されます。

<教育の仕方や注意点>

LD、ADHDについては、2006年度から、通常の学級の中で十分な配慮を行った上で、必要であれば、通級による指導を行うことができるようになりました。

LDの場合は、表れる困難は1人ひとり異なりますので、それに対応した指導を行います。ADHDの場合は、少集団の中で順番を待ったり最後まで話を聞いたりする指導や、余分な刺激を抑制した状況で課題に集中して取り組むことを繰り返す指導などを行います。

なお、LDADHDに共通するのは、失敗や叱責を受けるなどの経験が多いために、自分の能力を発揮できず、あらゆる面で意欲を失っている点です。そのため、自力でやり遂げた経験を積み、自信を取り戻していくことが大切です。

また、友達との人間関係がうまくつくれないことも見受けられます。LDの場合は他者の表情や会話に含まれる言外の意味やその場の雰囲気などが分からないために、ADHDの場合は相手の話をさえぎる、友だちに対してかっとなる、などがその理由です。

そのため、ソーシャルスキルトレーニングと呼ばれる社会生活上の基本的な技能を身につけるための学習やストレスマネジメントと呼ばれるストレスへのよりよい対応の仕方を学ぶ学習を行う場合もあります。

その他にも文部科学省は、就学に関する手続きや、特別支援教育に関する学習指導要領、特別支援学校の教科書、少人数の学級編制、特別支援学校の教員などについて細かく方針を定めていて、都道府県・市区町村の教育現場がそれに沿って対応できるようにしています。

北海道立特別支援教育センターとは

それでは次に道内の特別支援教育の今をみていきましょう。

北海道立特別支援教育センター(以下、センター)の概要を解説しながら、教育現場の取り組みを紹介します。

センターの概要

センターは札幌市中央区円山西町にあります。
地下鉄・円山公園駅からバスに乗り換える必要があります。

建物は2階建てで、延べ床面積は2,800平方メートルです。
個別相談に乗ることができる相談室を設けたり、大研修室や中研修室、実技研修室、図書室などを備えたりしています。

センターの事業の柱は、教育相談、研究・研修、広報啓発3本です。

実際に特別支援教育を行うのは市町村の教育機関です。
センターは地域の教育現場が抱える課題を解決するために、例えば教員のスキルを上げる研修などを行っています。

また北海道は広いので、センターの職員が地方の教育現場に出向く巡回教育相談も実施しています。

センターには次の6部門があります。

  • 視覚障がい教育室
  • 聴覚・言語障がい教育室
  • 知的障がい教育室
  • 肢体不自由・病弱教育室
  • 自閉症・情緒障がい教育室
  • 発達障害教育室

部門の数は6ですが、文部科学省が示している「8つの教育」はすべて網羅されています。

北海道立特別支援教育センターの仕事

続いて、センターの仕事を紹介します。

教育相談

センターでは保護者からの相談を受け付けています。
例えば、「子供の今後の学びの場について知りたい」「子供の人との関わり方が気になる」「子供の話し方や聞き方が気になる」といった話をセンター職員が聞きます。
保護者はセンターに来所して相談することもできますが、電話とメールでも受け付けています。

また職員が道内をめぐり、地域の保護者の相談にのることもあります。

遠隔授業システムを使った合同授業の研究

センターでは新しい教育の形を積極的に研究しています。

例えば遠隔授業システムというITのツールを使って、センターと札幌視覚支援学校と函館盲学校の3機関をつなぎ、合同授業を行います。
これにより札幌の子供たちは、遠く離れた函館の子供たちとクリスマスイベントを開催できたり、英語の授業を合同で行ったりすることができます。

研修事業

センターでは、特別支援教育に携わる教職員たち向けに「心理アセスメント」「摂食実技」「自立活動」「教科指導力向上」「発達障がい専門性向上」「教育相談実務」「寄宿舎指導員」といったテーマで研修を行っています。

14の教育局と連携して進めていく

冒頭で、文部科学省が示した教育方針が都道府県に伝わり、そこから市区町村に伝わると解説しました。
北海道の場合、「文部科学省→北海道→道内179市町村」となります。

しかし北海道は広大な土地に多くの市町村が存在するため「北海道→14の教育局→道内179市町村」という流れになります。

北海道には北海道教育局があり、その地方拠点として「空知、石狩、後志、胆振、日高、渡島、桧山、上川、留萌、宗谷、オホーツク、十勝、釧路、根室」の14の教育局があります。

したがってセンターは、14の教育局と連携しながら仕事を進めていくことになります。

石狩管内特別支援連携協議会の場合

特別支援教育の現場では、具体的に「何をしているのか」についてみていきましょう。

石狩管内教育局は特別支援教育を推進するために、石狩管内特別支援連携協議会という組織をつくっています。

2019219日に開かれた協議会では、江別市子ども発達支援センターが、「発達障がい支援成果普及事業」について報告しました。

江別市では、学校と放課後デイサービスなどが同じ子供に関わっているにも関わらず、お互いの役割や支援内容を知らなかったことがわかりました。
また、相手の存在を知っている関係者がいても、どのように連携してよいのかわからない状況でした。
そのため発達障がい支援成果普及事業が、関係者によく理解されていませんでした。

そこで関係者が集まる情報交換会を開催し、参加者が取り組み事例を発表したり、グループワークを実施したりして、スキルを高めることにしました。

特別支援教育コーディネーターとは

SOS相談釧路教育局では特別支援教育コーディネーター(以下、コーディネーター)の研修を開くなど、その職務の充実を図っています。

釧路市内では小学校の特別支援学級にコーディネーターが配置されています。
コーディネーターは障害を持つ子供の保護者に対する小学校の窓口になっています。
また、コーディネーターが保護者の相談にのることもあります。

コーディネーターはさらに、必要に応じて医療機関や福祉施設などと連携を取ります。
障害のある子供の対応に慣れていない教員にアドバイスすることもあります。

まとめ~やりがいのある仕事

「人を助けたい」という気持ちだけでは特別支援教育に携わることはできませんが、「人を助けたい」という気持ちがないと特別支援教育の仕事に温かみが生まれないでしょう。

特別支援教育の仕事に就くには、大学に進学して教育学や心理学などを修める必要があります。
難しい仕事ですが、やりがいが大きく、人生をかけて取り組むことができる仕事といえるでしょう。

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