センター試験だけで大学の合格を得ることができます。
これをセンター利用入試と呼んでいます。
センター試験は、大学入学共通テストと2021年度より名称が変わっています。
名前が変わっても、センター試験と位置づけは同じです。
私立大学に関しては、センター利用で合格できるところがあります。
国立大学に関しては、センター試験が一次の足切りとして機能します。
今回は、このセンター試験の利用だけで合格するのにおすすめの、穴場大学・学部について紹介していきます。
以下の昨年ご紹介した記事も参考にしてみてください。
センター試験利用で合格は難しい
センター試験だけで合格できるなんて楽で良くない?と最初は思えます。
ただ、センター試験利用の基本的な考え方として、一般入試で受かるところよりもワンランク落ちた大学しか受からない、というのがあります。
たとえば、センター試験で8割を取ると、MARCHや関関同立の一部の学部の合格を得られます。
そしてこのセンターで8割取れる人たちは、一般入試なら早稲田や慶應に受かる可能性があります。
センター試験で9割取ると、早稲田の合格を得られます。
ただ、この人たちは東大に受かる可能性があります。
このように、センター試験利用入試の基本的な考え方としては、一般入試で受かるところの滑り止めとして確保する、というものです。
センター利用で滑り止めを確保する
早稲田が第一志望の人が、センター利用でMARCHを確保しておきます。
そうすれば、本命の早稲田の一般入試に向けて、それだけに集中できます。
東大が第一志望の人なら、センター利用で早稲田を確保しておきます。
そして、東大の二次試験だけを見据えて勉強に励みます。
本命の入試日の近くで、第二志望の大学の入試を受けに行く手間やストレス、それに向けての準備がなくなるのが、センター利用の大きなメリットです。
そのため、センター利用入試の主眼について、第一志望の大学の合格を取りにいくというよりは、第一志望の勉強のために第二志望を確保しにいく、というのが大勢の人に当てはまります。
国立大学志望者との競争で難度が高い
センター利用入試では、基本的に5科目、6科目など科目数が多いのが特徴です。
そのため、国立大学を第一志望としている人に俄然相性が良いです。
特に関東ならMARCH、関西なら関関同立以上になると、やはり国立大学志望の人が滑り止めでセンター利用入試を受けます。
そのため、もともとセンター利用の募集人員が少ないところで、さらに競争者のレベルが高いこともあり、私立専願の人はやはり一般入試で勝負を賭けるのが一般的です。
苦手科目が少ない人は相性が良い
ただ、例外もあります。
もともと苦手科目が少ない人は、センター試験で高得点が取れる可能性があります。
特にセンター試験は基本的な問題ばかりですから、私立の一般入試、国立の二次のようなそれに特化した準備は必要ありません。
平易な問題をミスなく解ける人が、高得点をゲットしやすいです。
その相性の良さから、一般で受かるのと変わらない大学、あるいは、一般では受からない大学に受かることすらあり得ます。
人気大学群「MARCH」のセンター利用穴場
今では、MARCHという大学群が広く知れ渡るようになっています。
MARCHは明治や立教、青学など全国的に名の知れた優秀な大学で構成されています。
そのため、日東駒専ではなくて、なんとしてでもMARCHに入りたい、と思う人が大勢います。
MARCHにセンター利用で受かるには、基本的にセンターで8割以上取得する必要があります。
ただ、なかにはセンター7割台でも受かる大学・学部があります。
中央・法政が狙い目
とにかくMARCHに受かりたい、できれば明治や青学が良いけれど、MARCHなら特に欲は言わない、という人なら、MARCH下位の中央や法政が適しています。
中央や法政は、他のMARCH上位校に比べてセンター利用で受かりやすいです。
法政大学キャリアデザイン学部
なかでも穴場といえるのは、法政大学のキャリアデザイン学部キャリアデザイン学科です。
こちらは、センターの得点率78%(※)で合格できます。
※参考:スタディサプリ 法政大学
MARCHのなかでセンター得点率7割台というのは、前述の通りかなり優しいです。
法政大学と聞いて危惧する人で多いのが、まさか多摩キャンパスではないか、ということです。
多摩キャンパスは、東京といっても八王子という23区外の山の上にあります。
駅から徒歩で通うことはできず、毎回お金を払ってバスに乗り込まなければなりません。
そして基本、多摩キャンパスにある学部のほうがセンター利用で受かりやすいです。
■受かりやすい学部なのに市ヶ谷にある
ただ、先に紹介したキャリアデザイン学部は、市ヶ谷キャンパスにあります。
近くに防衛省や靖国神社があるような、都心にあるキャンパスです。
駅からも比較的に近く、もちろん、バスに乗る必要はありません。
そのため、市ヶ谷キャンパスに通えてさらにセンターも受かりやすい、という実益に即した穴場学部といえます。
法政大学社会学部
ちなみに法政大学の社会学部は、センター得点率76%とキャリアデザイン学部より受かりやすいです。
ただ、ご想像の通り社会学部は多摩キャンパスです。
■社学は多摩キャンパス
法政の社学がMARCHのなかでは一番受かりやすいといって過言ではありません。
そのため、キャンパスが市ヶ谷とか多摩とかどうでも良い、とにかくMARCHであれば他になんのこだわりもない、という人にはキャリアデザイン学部よりも社会学部のほうが合っています。
法政大学のセンター利用入試は、C方式といって5教科6科目型です。
国語、地歴公民、数学(数Ⅰ・数Aと数Ⅱ・数B)、理科、英語です。
文系でも数学や理科で得点をしなければなりません。
全体を通して8割近く得点できる自信がある、という人に上記学部のセンター利用入試がおすすめです。
中央大学商学部
■経営学科
中央大学商学部の経営学科はセンター得点率78%です(※)。
4教科型の場合です。
法政は5教科でしたから、中央大学商学部のほうが受けやすいです。
※参考:スタディサプリ 中央大学
■会計学科
さらに商学部の会計学科は、得点率75%です。
中央大学のなかで最も得点率が低い学科です。
他の学部、学科は全て得点率が8割を超えてきます。
得点率が7割台なのは、併用型の場合です。
併用型は、普通に中央大学の一般入試を受けて、センターの対象科目との合計点で合否が決まります。
センター試験単独で決まる方式の場合、商学部の経営学科と会計学科のみ得点率が7割台です。
中央大学の法学部にいきたいなど特にこだわりがなく、とにかく中央に入れれば良い、という人には、商学部の経営と会計がおすすめです。
中央大学商学部の4教科の場合、英語、国語、地歴公民理科、数学です(※)。
地歴公民理科から1科目、数学は「数学Ⅰ・数学A」、「数学Ⅱ・数学B」、「簿記・会計」、「情報関係基礎」から一科目です。
全部で4科目です。
※参考:中央大学 商学部 試験方式
法政では、5教科6科目です。
数学から2科目を選び、地歴公民とは別に理科が必須です。
実はもっと少ない科目方式があります。
国語、英語、地歴公民だけで受けられる3教科型が中央にも用意されています。
ただ、これは得点率が8割以上になってしまって非常に難しいです。
MARCHでありながら得点率7割台で受かりやすいという条件だと、どうしても科目数が多い方式になります。
しかし中央の場合、多いといっても法政より2科目少ないですから、利用しやすいです。
6科目の得点率でみられるのはきつい、という人には法政より中央の商学部のほうが合っています。
関西トップ大学群「関関同立」のセンター利用穴場
関関同立は、関西におけるトップの私立大学群です。
受験生のなかには、なんとか関関同立に入りたい、入れればどこの大学とか学部とかこだわらない、という人がいます。
関西大学
このとき、センター利用で最も受かりやすいのが、関西大学です。
関西大学のセンター利用入試は、前期、中期、後期とあって、中期は個別入試との併用型です。
センター試験の合格を勝ち取るには、前期か後期ということになります。
特に前期の6科目型は、やはり科目数が多いだけあって得点率が低く狙い目です。
関関同立といえば関東でいうMARCHに匹敵するレベルですから、やはりセンター得点率7割台であればかなり受かりやすいといえます。
特に7割前半となってくると、穴場学部といえます。
社会安全学部安全マネジメント学科など
関西大学のなかでも特に受かりやすい穴場学部は、社会安全学部の安全マネジメント学科です。
前期6科目型で得点率72%です(※)。
6科目型は、英語、国語、数学2科目、理科、地歴公民です。
次いで、政策総合学部の政策学科は75%、国際アジア法政策学科も75%です。
経済学部経済学科は76%です。
化学生命工学部の化学・物質工学科は前期5科目型で75%です。
ちなみに関西大学で難度が高いのは、外国語学部の外国学科です。
中期のセンター利用で得点率92%と非常に高いレベルで争わなければなりません。
立命館大学
関関同立のなかでセンター利用で狙うなら、関西大学が一番です。
その次に受かりやすいところというなら、立命館大学です。
立命館大学はセンター利用7科目型が用意されています。
科目数が多い代わりに、得点率が低くなる傾向があります。
苦手科目がない方は、7科目のセンター利用で合格を果たせる可能性が存在します。
経済学部
経済学部の経済学科は7科目型で72%です(※)。
5教科型で78%、3教科型で83%になります。
同じ経営学部の国際経営学科は7科目型でも得点率81%と難度が高いです。
※参考:スタディサプリ 立命館大学
産業社会学部
産業社会学部の現代社会学科は7科目型で75%、メディア社会学科は76%、子ども社会学科は74%、人間福祉学科は76%と比較的に産業社会学部は7科目型で受かりやすいです。
食マネジメント学部
食マネジメント学部の食マネジメント学科は74%とこちらも低めです。
理工学部
理工学部の物理化学科は、7科目型で78%です。
センター併用型を上手く利用して合格
科目数が少なくなってくると、得点率が8割以上は必要になってきます。
センター利用で8割以上を取るのは、いかに基本的な問題が多いとはいえ難しいです。
それなら一般入試で合格点を取るほうが簡単、という人も多いです。
関西でいえば、大阪大学や神戸大学など国立志望の人が滑り止めで受けるのに適しています。
ただ、8割以上を取るのは難しい、というのは一般論であって、得意科目であれば多少ミスをしても8割以上はコンスタントに取れる、という人もいます。
そういった人の場合、センター利用入試を上手く使うことで、より効率的に合格できる可能性があります。
それこそ、センター併用型の入試です。
特定の科目について、一般入試とセンター試験の難度を天秤にかけて、合格点を取れるほうを併用する、という考え方です。
たとえば、センターで8割は取れる科目だけれど、志望校の当該科目が難しくて合格点を取れるか分からない、といったときには、センター併用でいけると助かります。
立命館大学産業社会学部
たとえば、立命館大学の産業社会学部を例に取ります。
立命館大学は、社会が難しく、苦戦をする人がよくいます。
産業社会学部では、センター併用型で、数学か地理歴史、公民のなかから高得点の一科目を利用できます。
英語と国語は大学独自の入試を受けます。
国語は、国語総合が近代以降の文章に限られ、後は現代文の出題があるだけです。
そのため、古文が苦手だったり、勉強している時間がなかったりする受験生にも適しています。
産業社会学部のなかでもスポーツ社会学科、こども社会学科の得点率は88%です。
かなり高い数値ですが、立命館の社会で合格点を取るよりも、センターで88%以上正答するほうが簡単、という人がいます。
センターの社会は基本事項が分かっていれば良いですから、ケアレスミスがなければ9割取ることも可能です。
もちろん、社会より数学が得意で、センターなら88%以上取れる、という人にもおすすめです。
中央大学経済学部
中央大学の経済学部は、面白いセンター併用方式を採用しています。
数学選択型と英語選択型の2つです。
数学を選択すると、中央の個別入試を数学で受けて、英語と国語はセンターを利用します。
英語を選択すると中央の個別入試で英語を、数学と国語についてセンターを利用します。
数学でセンターを利用する場合、「数学Ⅰ・数学A」、「数学Ⅱ・数学B」から1科目を選択します。
センターの平易な数学で、かつ一科目なら高得点を取れる自信があるといった場合、この英語選択のセンター併用方式が合っています。
逆に数学が得意だけれど、英語の長文が苦手だったり、国語の点数が安定しなかったり、といったタイプの人は数学選択のセンター併用方式が最適です。
中央の英語は長文が多く配点も高いです。
国語も長文が多く苦戦する人が多いです。
英語の外部試験を上手く利用して合格
関西学院大学
関西学院大学では、英語の外部試験を利用することも可能です。
大学入学共通テストになって、外部試験を必須とすることが話題になりました。
英語の外部試験には、GTEC(4 技能版)、実用英語技能検定、TOEFL iBT®テスト、IELTS、TEAP、TEAP CBT、ケンブリッジ英検 、TOEIC®L & R /TOEIC®S & Wが採用されています。
いずれかの試験で関西学院大学が指定する点数をクリアすれば、個別試験を受ける必要はありません。
関西学院の英語は、難しいと感じる人もいます。
外部試験でどれくらいの点数を取れば良いかというと、TOEFLでは72以上です(※)。
TOEFL72というと、TOEICでは680ぐらいといわれています。
※参考:関西学院大学 大学入試センター試験を利用する入学試験 英語検定試験活用型
TOEIC680は、東大生の平均ぐらいです。
こう聞くとかなり高いと思えますが、大学の入試対策を普通にやって、過去問をちゃんとこなしておけば取れるレベルです。
ただ、 TOEIC®L & Rで680が取れる人が、必ずTOEFLで72以上になるかというと、そうではありません。
これは、TOEFLにはリーディング、リスニング以外に、スピーキングとライティングも含まれているからです。
スピーキング、ライティングに苦手意識がなく、外部試験で基準点を突破できる人には、この英語検定試験活用型を選ぶのもおすすめです。
英語検定試験活用型は、数学、理科、地理歴史、公民のなかから高得点のセンター1科目を利用します。
センター得点率は、もちろん学部によって異なります。
狙い目は、文学部の文化-哲学倫理学です。
センター得点率は79%です。
他の文系学部は全て80%超えです。
理工学部は、どの専攻でも70%前半です。
中央大学
中央大学でも、英語の外部試験利用型が用意されています。
狙い目は、経済学部です。
経済学部では、先の関西学院大学のように、大学入学共通テストで利用できる外部試験が、そのまま活用可能です。
必要なスコアのレベルは、関西学院大学に比べると格段に低いです。
具体的には、TOEFL iBTでいうと42以上です(※)。
TOEFL iBT42は、TOEICでいう600点レベルです。
TOEIC600は、基本的な文法を押さえて、そこそこのスピードでリーディングができれば、難なく取れます。
中央の個別試験で英語勝負が苦しい人には、こちらのほうが合っています。
外部試験のスコアをクリアできれば、スコアによる優劣はつきません。
後は国語と、地歴公民数学から1科目の勝負になります。
外部試験で一定のスコアを取れれば、英語での競争を回避可能になるのがポイントです。
センター利用で受かりやすい大学についてまとめ
早稲田になるとセンター試験で9割以上が求められるので、受かりやすいとはいえません。
MARCHや関関同立のなかには、得点率7割台で合格できる穴場の学部があります。
センター利用とひとえにいっても、センターのみで受験する場合のほか、個別入試と併用する形のもの、英語の外部試験と併用するものなど様々です。
もちろん、大学によって選べる方式や科目が異なります。
志望校についてどのようなセンター利用入試を用意しているのかを調べて、自分の得意科目、苦手科目と照らして合わせて最適なものを選ぶことが必要です。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。