小学生の子供が「勉強を嫌っている」「勉強をしない」「30分以上、机の前に座ることができない」のいずれかに当てはまるとき、保護者は、新聞を読ませてみてはいかがでしょうか。
新聞は知識と情報の宝庫であり、エンターテイメントの要素もあります。
「ほとんど字だけ」でできている新聞を読みこなせるようになると、やはり、ほとんど字だけでできている教科書と参考者と問題集を軽々読み込めるようになります。
新聞学習を子供にさせるには、保護者が新聞の面白さを子供に伝えなければなりません。
保護者自身も新聞を読まなくなっているかもしれませんが、この機会に新聞の定期購読を再開することをおすすめします。
新聞の面白さを親子で共有することで、子供は成績をグングン伸ばし、保護者はインターネット以外の情報源を持つことができるようになります。
道新の「週刊まなぶん」から始めよう
新聞で学力アップを目指す、北海道内の親子は、北海道新聞(以下、道新)の「週刊まなぶん」を使ってみてはいかがでしょうか。
週刊まなぶんは小学生向けの新聞で、道新の本紙(朝刊と夕刊)を定期購読すると、無料で土曜日の朝刊と一緒に届きます。
ちなみに道新の定期購読代金は1カ月4,037円です。
週刊まなぶんがどのような構成になっているのか紹介します。
2ページに7本の記事を掲載
週刊まなぶんは2ページでつくられていて、そこに大体6~7本の記事が載っています。
2019年11月9日に発行された週刊まなぶんには、7本の記事が掲載され、見出しは次のとおりです。
「●」はメーンの記事の見出しで、「・」はサブの記事の見出しです。
●天皇陛下が即位宣言 「象徴」のつとめちかう
・神話に基づく儀式、憲法違反との声も
●未来の車や技術を体験 東京モーターショー 会話できるEVも展示
●沖縄の首里城 火事で失う
●八村選手がNBAデビュー
●シカの角切り 攻防に歓声
●小泉環境大臣が資産最多
週刊まなぶんの記事は、極力ひらがなが使われ、漢字を使うときはルビをふっています。
文章も平易になっていて、完全に子供向けの新聞です。
しかし、記事のラインナップをみて「意外」に感じた人もいるでしょう。
内容はかなり硬派です。
子供向けだからといって手を抜いていない
例えば、天皇陛下の即位のニュースは、確かに全国的な関心事ではありますが、小学生たちが関心を持つかというと、必ずしもそうとは言えません。
しかし、週刊まなぶんでは、それをトップ記事にしています。
しかも、天皇即位ニュースのサブ記事で、「即位の儀式は憲法に違反するのではないか」という指摘があることを紹介しています。
これは大人にとっても難題といえます。
また、東京モーターショーのニュースは経済記事ですし、小泉環境大臣の資産の話は政治記事です。
普通の親は、小学生にここまでの情報を与えようとしないでしょう。
しかし、週刊まなぶんを読めば、そこまでの情報を獲得することができます。
週刊まなぶんは、小学生向けであるからといって「手を抜く」ことはありません。
「本紙」に進むことが狙い
週刊まなぶんであれば、保護者はそのまま子供に渡すことができます。
しかし、週刊まなぶんを手に入れるには、道新の「本紙」を定期購読しなければなりません。
つまり保護者は、道新の本紙である朝刊と夕刊を、ほぼ毎日読むことができます。
当然ですが、本紙のほうが格段に情報量が多く、内容も高度で、学習効果も高いでしょう。
せっかくなので、本紙も子供の勉強の教材に使っていきましょう。
子供が週刊まなぶんで、新聞を読む習慣が身についたら、少しずつ本紙に誘導してください。
ただし、小学生に道新の朝刊を渡して「読んでおくように」というだけでは、学習効果は得られません。
小学生では道新の本紙を読み込むことはできません。
本紙の文章は硬く、難しい漢字がルビなしで出てきて、「一定の知識があること」を前提して書かれているからです。
小学生が道新の本紙を理解するには、保護者がしっかりサポートする必要があります。
【保護者向け】こども向け新聞の予備知識
子供向けの新聞は、道新以外の新聞社も発行しています。
朝日と読売も子供向け新聞を発行している
朝日新聞は「朝日小学生新聞」を、本紙とは別に月額1,769円で販売しています。
毎日届き、8ページで構成されています。
読売新聞は「読売KoDoMo新聞」を、本紙とは別に月額550円で販売しています。
週1回発行で20ページで構成されています。
道新の「週刊まなぶん」は、本紙を購入すれば無料で、週1回発行、2ページ構成でした。
以上のことをまとめると、それぞれ次のような特徴があることがわかります。
- 朝日小学生新聞と読売KoDoMo新聞は有料だが、本紙を講読しなくても入手できる
- 週刊まなぶんは無料だが、道新の本紙を講読する必要がある
- 週刊まなぶんと読売KoDoMo新聞は週1回発行だが、朝日小学生新聞は毎日届く
- 週刊まなぶんは2ページしかないが、朝日小学生新聞と読売KoDoMo新聞はニュースがたっぷり掲載されている
3つとも、それぞれの新聞社に申し込むことで、無料で試し読みができるので、ぜひ読み比べてみてください。
保護者の「新聞ニーズ」と合わせて検討を
新聞を使った勉強では保護者のサポートが必要なので、保護者が新聞に何を求めるかも、選考には重要になってきます。
本紙の特徴でいうと、朝日新聞と読売新聞は全国ニュースを多く扱っています。
道新にも全国ニュースは載っていますが、道内ニュースにより重きを置いています。
朝日新聞や読売新聞には、道内ニュースはそれほど多くは載っていません。
保護者が仕事などで道内情報を必要としている場合は、道新を講読してみてはいかがでしょうか。
週刊まなぶんは無料でついてくるので、気軽に「新聞学習」を始めることができます。
保護者が特に道新の本紙を必要としていないのであれば、朝日小学生新聞または読売KoDoMo新聞を、子供用に購入してはいかがでしょうか。
ただその場合、より学習効果が高い本紙への誘導が難しくなります。
新聞を読むと学力が上がる
Q:新聞を子供に読ませると、本当に学力が上がるのでしょうか。
A:本当に、学力が上がります。
文部科学省の「2018年度全国学力・学習状況調査」(全国学力テストの結果)によると、「新聞をほぼ毎日読む」子供と「新聞をほとんど、または、まったく読まない」子供の学力差は歴然としています。
小6の学力テストの各教科の平均点は次のとおりでした。
「ほぼ毎日読む」子供:78.8点
「ほとんど、または、まったく読まない」子供:68.4点
「ほぼ毎日読む」子供:6.26点
「ほとんど、または、まったく読まない」子供:52.4点
「ほぼ毎日読む」子供:72.8点
「ほとんど、または、まったく読まない」子供:61.2点
「ほぼ毎日読む」子供:62.3点
「ほとんど、または、まったく読まない」子供:48.7点
これらの数字をみると、新聞の学習効果は明らかです。
子供には「このように読ませよう」
新聞の本紙には、大人でも簡単には読みこなせない記事があります。
なぜなら、簡単に理解できる情報はあまり価値がなく、どの新聞社もそのようなニュースを追わないからです。
新聞には、これまで知られていなかったことや、難しい出来事の解説などが載っています。
そのため、新聞を子供に読ませることは簡単なことではありません。
しかし、だからこそ、高い学習効果が得られるのです。
まずは保護者が新聞を読みこなせるようになる
新聞を子供の学習教材に使うには、保護者自身が新聞を理解する必要があります。
新聞を熟読しましょう。
新聞は文章だけで出来事を説明しているので、未知の分野の記事は解読困難かもしれません。
その場合は、テレビのニュース番組を見ることで、知識を補うことができます。
新聞記事の理解を助けるニュース番組には、次のようなものがあります。
- NHK総合:ニュースウォッチ9
- TVh(テレビ東京):ワールドビジネスサテライト
- STV(日本テレビ):NEWS ZERO
- HTB(テレビ朝日):報道STATION
- HBC(TBS):news23
絵本の読み聞かせのように
保護者は、新聞記事を、絵本を読み聞かせるように解説してあげてください。
保護者と子供が一緒に、声に出して記事を読み、子供が漢字でつまったら教えてあげてください。
音読が終わったら、記事の内容をかいつまんで解説してください。
このとき「厳密な解説」は必要ありません。
「要するに~~ということだよ」と言ってあげれば十分です。
専門用語や難しい漢字は、保護者と子供が一緒にスマホやパソコンで調べてもよいでしょう。
こうすることで、新聞を読むとき、インターネット情報が役立つことを教えることができます。
「こうやって」新聞で学力を上げよう
新聞を使った学習法には次のようなものがあります。
- 社説を丸写しする
- 記事の要約をする
- わからない漢字を抜き出す
- 社会科、理科と結びつける
ひとつずつ解説します。
社説を丸写しする
新聞には社説というコーナーがあります。
社説は普通の記事と異なり、新聞社の意見を表明する場となっています。
日本の新聞は「不偏不党」の立場を取っています。
不偏不党とは、いずれの主義や党派にも偏(かたよ)らず、公平・中立の状態を保つ、という意味です。
そのため、新聞の普通の記事は「正しい」または「間違っている」とは断定しません。
しかし社説だけは例外で、ニュースの価値判断を行なっています。
子供に、社説の「丸写し」をさせてみてください。
これは小学5、6年生向きの勉強法になります。
まず、意味がわからなくてもよいので、社説の文章をそのままノートに書き写します。
書き写しが終わったら、保護者がその文章の意味を解説してあげてください。
社説では「正しい」「間違っている」「賛成」「反対」のいずれかが書かれてあるので、なぜこの新聞社は、この出来事について「正しい」または「間違っている」と判断しているのかを解説できるとよいでしょう。
社説丸写しをすれば、文章を読む力と文字を書く力が確実に身につきます。
記事の要約をする
記事の要約は、週刊まなぶんなどの子供向け新聞を使えば、頑張れば小1でもできるかもしれません。
「要約」と聞くと、難しく感じるかもしれませんが、新聞学習ではそこまで厳格に考える必要はありません。
元の記事をなるべく短くまとめてみましょう。
500字の文章であれば、100字にまとめてみてください。
保護者は、子供が要約した記事をチェックして、「キーワードが抜け落ちていないか」「趣旨をとらえているか」などをチェックしてください。
記事要約をすれば、文章を理解する力が身につきます。
この力は、国語だけでなく、英語、数学、理科、社会科のすべてに役立ちます。
わからない漢字を抜き出す
社説の丸写しでも、記事の要約でも、子供が知らない漢字がたくさん出てきます。
読み方と意味がわからない漢字は、ノートの別ページに書き出していってください。
そして漢字の読み方と意味を、辞書や電子辞書やネットを使って調べてください。
社会科、理科と結びつける
新聞の記事は、学校の社会科と深く関係しています。
ときに、理科とも関係しています。
保護者は、新聞記事と社会科・理科の関係を説明してあげてください。
例えば、この記事の前半部分で、週刊まなぶんが「天皇陛下の即位」のニュースを取り上げたことを紹介しました。
保護者は子供に、天皇制とは何か、象徴天皇とは何か、憲法とは何か、なぜ即位の儀式は憲法違反になると主張する人がいるのか、といったことを説明してあげてください。
天皇制や憲法は、社会科の重要項目ですので、ニュースを通じてこれらのことを知れば、学校の授業が理解しやすくなります。
また、日本人は多くのノーベル化学賞やノーベル医学生理学賞を受賞しています。
その受賞理由となった研究は、学校の理科の勉強と深くかかわっています。
保護者が、ノーベル賞の受賞理由と理科をつなげてあげれば、子供はそのどちらにも興味を持つでしょう。
まとめ~新聞はもうひとつの教科書
新聞には最新の情報とハイレベルの知識が詰まっています。
学校の勉強が、学問を通じて社会と自然界を理解する行為だとしたら、新聞を読むことは情報と知識を仕入れて社会と自然界を理解する行為です。
新聞はもうひとつの教科書といえるでしょう。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。