勉強をしている皆さんにとっては悩みとなる休憩時間。
休憩を挟むだけで勉強の効率がとても良くなります。
好ましい休憩のとり方を本記事で学習しましょう。
過去にも「勉強の「息抜き」を制する者が大学受験を制する!?」と題したコラムも掲載していますので、こちらも併せてご覧ください。
勉強時間は長ければ長いほど良いと思っていませんか?
早速皆さんに問いかけますが、勉強時間が長ければ長いほど良いと考えていませんか。
実は勉強は量より質であることを皆さんに知っていただこうと思います。
長時間の勉強は集中力の低下や作業化を招く危険性があり、そうなるとせっかくの勉強も身につきません。
スポーツなどと同様、休憩のとり方ひとつで勉強が変わります。
意識していても集中力には限界があります
人の集中力は110分サイクルでピークを迎えるという説があります。
David B. Posen氏のレポートに詳細が記載されていますのでご紹介しましょう。
なお、その後は20分間集中力が続かない時間が続き再度集中力が上昇するサイクルが開始されています。
画像をご覧頂くと理解がしやすいかと思います。
縦軸は活動のパフォーマンス能力を示し、横軸は時間の経過を示します。
画像元の論文を参照してみると以下のように論じられています。
Just as we all have cycles of deep sleep and dream sleep throughout the night (at roughly 90- to 120-minute intervals), we also have cycles through the day (peaks of energy and concentration interspersed with troughs of low energy and inefficiency)
人間が深い睡眠と浅い睡眠を繰り返します(ざっくり言うと90分から120分間隔で繰り返されています)同様に起きている時間にも似たようなサイクルを繰り返しています(活力と集中力の山と谷が繰り返されている事を指します)
※日文は筆者訳。
上記のように集中力は90分のピークタイムと20分の要休憩時間の合計110分サイクルで繰り返されています。
つまり集中力が下がり始めた段階で休憩に入ると常に最高のパフォーマンスを維持できるという事です。
本記事ではこの理論をもとにお勧めの休憩サイクルを紹介します。
この理論を後でも使用しますので覚えておいて下さい。
勉強は効率よく進めるべし
先程「勉強は費やした時間が全てではない」と申し上げたとおり、他の生徒との差を広げるためには「効率」という言葉を知っていかなければなりません。
勉強のできるお友達を見て「あの子はいつ勉強してるのだろう」と感じたことはありませんか。
勉強のできるお友達にも皆さんにも一つだけ平等に与えられているものに時間があります。
どれだけ勉強が出来ても1日は24時間ですし、当然皆さんにも1日24時間という時間が与えられている筈です。
12時間連続で勉強したけど疲れもあってか10%の知識しか身についていない場合と、休憩も取りながら3時間勉強した結果50%の知識を手に入れる事ができた場合を比較しましょう。
前者では1.2時間勉強した分の知識を手に入れることが出来ている反面、後者は1.5時間分の知識を得ています。
つまり先述の場合、12時間勉強しても3時間勉強しても大した差はないと言い換えることも可能です。
他にも様々な要因が関係してきますが、要するに勉強のできるお友達は後者の勉強方法を身に着けて短時間でも多くの知識を身につける能力が備わっているという事です。
もし仮に後者の方法でもう3時間勉強すると、全体でおおよそ3時間分の知識が身につく計算になります。
勉強の出来るお友達はこのように効率よく勉強を進めています。
時間を意識すると集中力が高まる
時間を意識すると集中力が高まります。
こちらに関しては学習塾の講師としての経験がある私の経験をもとにお話したいと思います。
学習塾の授業は1コマ90分が大半ですが、多くの小中学生の皆さんは90分の間、集中力を維持することは出来ず途中で遊び始めます。
しかし、生徒にタイマーを与えて取り組む問題ごとに時間を区切ると多くの皆さんは90分間集中力を維持することが出来ました。
成績もぐんと伸ばすことが出来たので、勉強のお供としてタイマーを導入することをお勧めします。
人は目標を達成する直前でパフォーマンスを取り戻す事が出来るようです。
適切な論文がない為ここでは紹介しませんが、俗に言う「ラストスパート」や「最後のひと息」だと思っていただければ結構かと思われます。
タイマーで区切らずに勉強を進めるとゴールを見つけづらいため、集中力はそう長くは続きません。
勉強の区切りをゴールとして設定することによって「あと3分だからもう少し踏ん張ろう」などと自分を奮い立たせることが可能です。
私の場合はタイマーを15分にセットする事が多かったように感じます。
この時間の区切りは長すぎると怠けてしまい、短すぎると落ち着きません。
なぜ15分にタイマーをセットするのかについては、後に解説する休憩のタイミングのお話で明らかにしようと思います。
効率のよい休憩のとり方
タイミングは60分を目処に
休憩を取るタイミングは60分を目処に考えましょう。
一回の休憩時間は10〜15分が良いでしょう。
最初に説明した集中力のサイクルでは90分の間、集中力が持続するように書かれていますが、ピークを迎えた後は集中力は下り坂となっています。
そのため、集中力が下がり始めると思われる60分を目処に区切りを設定しました。
私も実際に試してみましたが60分を区切りにすることは有意だと感じられたので、多くの方にとっても意義はあるでしょう。
またタイマーを15分おきに設定することで、4回のインターバルを挟むことになります。
そのため4回の小休憩と1回の本休憩と考えていただければ分かりやすいでしょう。
4回のインターバルを設定した理由は「アナログ時計を見た時の視覚的な便利さ」と「多すぎない区切りのライン」を両立できるからです。
皆さんの部屋にもアナログ時計が置かれている事かと思われますが、15分は時計の針が90°回転する時間。
ひと目で残り時間が分かることがポイントです。
ゴールが見えやすい状態だと集中力が持続しやすい事を意識して下さい。
その上でタイマーを使用し、きっちりと15分で区切ることが大切です。
3回のインターバルですとアナログ時計の視覚的に分かりづらく、5回では区切るには多すぎます。
タイマーを使用している間もアナログ時計を見ることで直感的に残り時間がわかるのでお勧めです。
昼休憩は真っ先にご飯を
お昼の休憩時は真っ先にご飯を済ませて下さい。
食事をすると体のエネルギーは胃に集中します。
つまり脳に栄養が回らなくなるという訳です。
脳に十分な栄養が行き渡っていないまま勉強を再開すると、集中力は当然すぐに底をつきます。
参考までに食べ物の消化に掛かる時間は2時間ほどと言われています。
なるべく早く勉強を再開できるように早めの食事を推奨します。
昼寝は馬鹿に出来ない
午後の勉強で集中力が続かない場合は思い切って昼寝をする事も一つの手です。
脳を休ませる効果があり、また消化中のアイドルタイムを消費するためにも使えます。
ただし寝すぎてしまうと夜に寝られなくなり、体内時計が狂う事にも繋がりますので30分程度にとどめておくと良いでしょう。
なお、カフェインを飲めるのであれば緑茶やコーヒーなどをコップ一杯飲んでから昼寝をすると良いでしょう。
目覚めがスッキリします。
参考:集中力が低下する原因
参考までに、休憩以外から集中力が低下する原因について触れておきます。
出来るのであれば集中力のピークを持続させたいと考えている皆さん向けの情報です。
参考にして下さい。
酸素と水が不足すると集中力は低下する
水と酸素が不足すると集中力が低下します。
冬場になると教室は締め切って暖房をつけると思いますが、学校の先生が「換気をするぞ」と教室の窓を開ける本当の理由は酸素を教室に取り込む為に他なりません。
二酸化炭素の濃度が上昇すると脳の働きが抑制されるという事が正確ではありますが、とにかく酸素と水を適度に摂取すると脳が息を吹き返し集中力が維持されやすいです。
糖分を脳内に行き渡らせると良い
多くのメディアや雑誌などで「チョコレートは勉強に良い」とされていますが、これは事実です。
糖分を摂ることで脳が活性化されます。
勉強のお供にブラックサンダーなど甘いものを用意しておくとリフレッシュにも良いでしょう。
ただし食べすぎてしまうと眠気の原因となったり、体調を崩す原因となるので注意して下さい。
窓を開けてコーラを飲むと良い
上記二点から最も手っ取り早い方法をご紹介しましょう。
窓を開けてコーラを飲むと良いでしょう。
冗談で言っている訳ではありません。
部屋にこもった空気を総入れ替えして、コーラで水分と糖分を同時に摂取することが出来ます。
またコーラの炭酸が弾ける事で口の中がさっぱりとして気分の入れ替えも行うことが出来ます。
私も勉強中は机上にコーラを置いておくことにしています。
集中力が途切れたと感じた時に窓を開けてコーラを一気飲みする事は日常茶飯事です。
これで困ったことは一つもありませんし勉強の効率も維持できています。
くれぐれもエナジードリンクに頼ることが無いようにしましょう。
さいごに:休憩時間はしっかりと取ることが秘訣です
休憩の大切さを解説しました。
睡眠時と同じように覚醒時(起きている時間)にも一定のサイクルがあり、それに伴って集中力も上下します。
そのため体のリズムに合わせて休憩時間を設けるとスムーズでしょう。
15分×4回の60分を勉強一回分の単位として、およそ10〜15分の休憩を設けるとテンポよく学習を進めることが可能です。
場合によっては昼寝も良いですが、眠りすぎないように工夫することも大切です。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。