本記事を参考にして入試の科目「地理」を強い味方にしましょう。
本記事では地理の入試対策についてポイントとコツを解説します。
高校生の皆さんはセンター試験を利用して受験を行う場合、大学によっては地理を受験する可能性があります。
地理の配点は100点です。
外国語の250点や国語の200点と比べて配点が低いので軽く見られがちですが、主要教科に関しては他の受験生の皆さんも同じように入念に対策をしています。
そのため入試を突破する鍵は皆さんが(他の教科と比べて)力を入れないような教科に懸かっています。
2020年度からセンター試験が廃止されるけど地理の対策はどうする?
センター試験が2021年1月実施分から大学入試共通テストへと変わりますが、地理の対策方法も変えないといけないのでしょうか。
答えはNoです。
大学入試共通テストは国語と数学iに記述式問題が実施される事や英語の試験が4技能評価に変更される事以外はセンター試験と実質的に変わりません。
地理は従来どおりマークセンス方式の受験となります。
そのため地理の対策に関してはセンター試験の対策教材を使用していただいても結構です。
また対策方法に関しても情報を見る限りではセンター試験同様で良いだろうと考えています。
以下ではセンター試験(2020年度より大学入試共通テスト。以降はセンター試験で統一します)の地理を効率よく勉強するためのコツを紹介します。
入試の地理を攻略する上で押さえておきたいポイント(傾向)
センター試験の対策に取り組む前に地理の出題傾向について知っておきましょう。
2006年からずっと大問が6つで固定されているほか、配点は17点前後が中心となっています。
またセンター試験は平均点が50点になることを想定して問題が作られていますが、直近五年の受験者平均点は60点前後で推移しています。
問題作成者の想定を上回っており皆さんが熱心に対策に取り組んでおられる裏付けにもなります。
近年の地理トレンドは「世界の自然環境と自然災害」
センター地理Bでは毎年必ず「世界の自然環境と自然災害」の分野から出題されています。
第一問目はこの分野の問題ですので、すでに対策に取り組まれている方や過去問を取り組んでいる方にとっては印象深いのではないでしょうか。
地形断面図や河川の流量についての資料を分析するなど単なる暗記では太刀打ちできない問題が半分を占めており、もう半分の正誤問題に関しても語句を覚えているというだけでは解答に苦難を強いられるようになっています。
意外にも数学的な思考力を求められる事が多いのも近年のセンター地理の特徴です。
産業もマスト
センター試験の大問ニには必ず産業についての出題があります。
本記事執筆時で最新の2019年実施問題を分析すると、小問のすべてがコーヒーに関連するものとなっています。
以前のものとは異なり、特定の産業にフォーカスし問題を作成するという点で従来の出題傾向から外れた形になります。
この出題形式が傾向化するかどうかを断言することは出来ません。
どちらにせよ農林水産業から鉱工業までまんべんなく対策を進める事が大切になってきます。
思考力を問われる問題が多い
先述の通り、センター試験で出題される問題は資料の読み取りやデータを活用するなど思考力を発揮して解答する問題が大半を占めています。
これは地理に限った話ではありませんが、センター試験対策の参考にしていただければと思います。
用語や地図などを頭に叩き込んだだけでは全く太刀打ち出来ませんので対策の際は注意してください。
実際に地理の入試対策をする際の勉強方法(対策)
上記のように地理のセンター試験は知識を持っているだけでは歯が立たない問題が多いです。
しかし資料をどれだけ上手に読み取ったとしても、知識がないと問題を理解できません。
つまり地理のセンター試験対策では「知識」と「思考力」を効率よく身につける事の出来る勉強法を進める必要があるという事です。
具体的な対策方法を以下で紹介していますので参考にしてください。
暗記はあまりオススメできない
はじめに断っておきますが、暗記をしなくても良いという訳ではありません。
暗記には暗記の良さがあります。
ですが覚えたい語句を何十回も書くなど非効率的な方法は行わないようにしましょう。
暗記はスキマ時間に赤シートを用いるのが鉄則です。
せっかく机に参考書を広げて勉強できる環境が整っているのであれば、問題演習をじっくり取り組むことに力を入れましょう。
具体的には通学中の電車内や休み時間に赤シートを活用して暗記をする。
家で受験勉強をするときは、覚えたことを生きた問題の中で解答することができるかを確かめる。
もし暗記が十分でなければ翌日のスキマ時間に復習して、翌日の夜にもういちど取り組んでみるという勉強サイクルが最適です。
よくある受験生の失敗パターンは暗記やまとめノートに拘りすぎて、肝心の知識を身に着けていないというケースです。
多くの語句をノートに書き写したり、きれいなノートを作ることは勉強した実感を得る最も分かりやすい方法です。
しかし、入試を控えている皆さんはできるだけ多くの時間を問題演習につぎ込み暗記は余った時間に回すようにすることをお勧めします。
思考力や判断力を鍛える方法
本記事では「思考力」という言葉をこれまで多用してきましたが、皆さんは「結局のところ、思考力って何なの?」と疑問を抱かれる事でしょう。
ここで一度「思考力」とは何か再確認をすることにします。
地理の問題を攻略するために必要な思考力とは、グラフやデータを正確に読み取り様々な視点から分析する能力の事と定義しましょう。
例えば2019年実施の地理Bの問題から第二問を参照してください。
1990年と2016年の生産量の割合が示されているグラフが四本並べられています。
これらのグラフはそれぞれオリーブ、オレンジ類、コーヒー、トウモロコシの地域別生産量の変化を表しています。
このグラフの中からコーヒーに該当するものを選択しなければなりません。
まずはそれぞれの農作物が盛んに栽培されている地域を確認する必要があります。
例えばオリーブだと地中海の地域(スペインやイタリアなど)を代表する農作物ですので、ヨーロッパのシェアが高いグラフを確認すれば良いわけです。
因みにオリーブを示しているグラフは2番です。
設問ではコーヒーを示すグラフを問われているので、コーヒーの特産国を考えてみることにしましょう。
コーヒーはグアテマラやブラジルなどの中南米での生産が盛んに行われています。
そのため南アメリカのシェアが圧倒的である3番と4番から検討することになります。
南米の生産シェアが落ちていない事から答えは4番であることが分かります。
近年ではベトナム産のコーヒーも店舗で見かけることから、アジアの割合が増えていることも見抜ければ尚良です。
対する3番はオレンジ類ですが、アジアの生産量増加に伴い北米・南米での生産は停滞気味である事を知っていれば理解することが出来ます。
以上のようにグラフを読み取る際はしっかりと自分の頭に落とし込み、分析をすることが大切です。
特に解答の根拠に関しては他の資料と比較して論理的に説明を行うことが出来るように普段から意識しましょう。
問題の解答方法を他人に教えることが出来るという事が、思考力を発揮していると言えるひとつの目安となるでしょう。
1990年と2016年のグラフを正確に読み取り、分析した上で決め手となる根拠を抑えながら説明ができるという事はすなわち問題に対してきちんと理解をしている裏付けになります。
問題数をこなすのではなく、設問の資料を理解できるまでじっくりと読み込むというような勉強方法を行うと良いでしょう。
また資料を見て友達と議論することで、自分とは違った視点を持つきっかけにもなります。
特に集中して取り組むべき分野について
センター試験は近年パターン化しており比較的点数の稼ぎやすい教科ではありますが、油断は禁物です。
試験対策勉強を始められた皆さんはまず頻出分野から攻略する事になります。
頻出分野は以下のとおりです。
- 世界の地誌(特にアジアとヨーロッパ)
- 地域調査(資料が膨大である場合が多い)
- 都市と村落、生活文化(画像資料は必須。景観写真対策は万全に)
- 産業(農林水産、鉱工業どちらが出題されても良いように)
- 自然災害と自然環境(過去五年出題アリ)
まずは上記の分野から手を着けることをお勧めします。
センター試験の癖として海洋が頻繁に取り上げられている事が挙げられます。
例えば2019年実施の問題では地中海沿岸地域が大問4で出題されていたり、2018年は小問でエルニーニョ現象について取り上げられていたりします。
また自然災害について問われる問題もここ5年は出題されているので対策しておきましょう。
地誌の比較についても殆ど毎年出題されており、お馴染みの問題となっています。
一つひとつを暗記するのではなく、普段から覚えた表を比較してみる等の対策を行うことが重要です。
おわりに:地理はもはや暗記教科ではない
地理の試験対策についてでした。
地理は単なる暗記では試験に対して全く歯がたたないことが分かります。
特に資料の読み取りや文章の解析など、知識だけを詰め込んでも全く意味がない問題ばかりで構成されています。
あくまでも思考力ベース。
知識は思考力を助けるための道具として臨むことが大切です。
頻出分野は自然災害に関するものや産業などの他、日本国内の地域調査についても必ず出題されています。
手を着ける際はこれらから学習すると良いでしょう。
暗記作業はできる限り電車内や休み時間に行う習慣をつけると楽です。
なるべく効率の良い勉強方法で入試に臨みましょう。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。