先生として教壇に立つ夢を叶えましょう。
今回は教育学を学べる大学のご紹介です。
ソニー生命保険の「中高生が思い描く将来についての意識調査」(2019年版)では「教師・教員」になりたい高校生がトップ10にランクインしています(男子8位、女子6位)。
教職の魅力は何なのか、どこの大学へ進めば良いのかなど高校生が疑問を抱いている事項について記しています。
教師の魅力
他の職種では味わうことの出来ない教師の魅力は「子どもと一番長く接することの出来る職業である」という事です。
子どもの成長に関わることが出来る事こそが教職の大きな醍醐味です。
子どもは一日の大半を教師と過ごします。
そのため子どもに与える教師の影響は大きく責任も伴いますが、生徒が無事に卒業してゆく姿を見ると喜びもひとしおです。
学習塾で受験生を送り出した時に生徒から感謝され、それが教職を決意するきっかけとなった方も多く居られます。
教師は生徒の人生を決めますが、生徒もまた教師に影響を与えるという事です。
次いで「自身の専門性を活かせる」事も教師の魅力として挙げておきます。
教師の仕事で一番わかりやすい物は子どもに知識を授けるというものです。
知識を教えるにも授業力が必要です、出来るだけ分かりやすい内容で授業を行う事は教科の知識とは別物です。
自身の学生時代を想像してみると想像がつくかと思います。
「この先生は確かに賢いんだろうけど、いまいち授業の内容が頭に入ってこない」「あまり勉強が出来そうには見えないけど、授業の説明はわかりやすい」等のような感想を抱いた教師が一人は居ることでしょう。
後者の場合はあまり褒められたことではありませんが「分からない事があっても○○先生なら分かりやすく教えてくれるはず」という安心感を持ってもらえる事は教師冥利に尽きます。
また、教職は公務員であることも魅力のひとつとして述べても良いでしょう。
公務員は景気に左右されず、給与体制が安定しているので景気の良いとされる現在でも根強い人気を誇っています。
教師も公立学校の勤務だと公務員であり、余程の不祥事を起こさない限り解雇される心配はありません。
公務員の給与は民間企業の景気に応じて調整されるため、どのような時代でも不足のない生活を営むことが可能です。
退職金の金額も大手企業に匹敵するほどの水準であることが、公務員は安定していると謳われる所以です。
教師になりたい人向け大学の選び方
教師を目指している方に向けて大学の選び方について解説します。
教職課程を履修する事の出来る大学は全国に多数ありますが、どのような点に気をつけて選べば良いのでしょうか。
偏差値よりカリキュラム
大学の偏差値やブランドを重視する選び方でも良いですが、出来るだけ自分に合うカリキュラムを実施している大学を選びましょう。
活動的な授業を理想としているのであればそれらを打ち出している大学へ、専門性を深めたいと思っているのであれば教科に対する理解の深さをウリにしている大学へといった具合です。
詳しくは後述しますが、教員採用試験の際に出身大学は関係しません。
そのため進学に迷ったら理想とするカリキュラムを実践している大学を選ぶことをお勧めします。
卒業者の教職への就職実績を確認する
教職課程を実施している大学では教員採用試験の合格者など、実際に教職へ進んだ卒業生の実績を掲載しています。
現役合格率は教職への就職実績と教員免許申請者数を参照すれば求めることが可能です。
どちらも同じメニュー画面から閲覧することが可能です。
教員採用試験の現役合格率を計算する場合は要チェックの項目です。
オープンキャンパスの雰囲気が良い
授業内容以外にも確認しておくべきポイントがあります、それが大学の雰囲気です。
キャンパスの雰囲気はカリキュラムと同じくらい大切で、4年間過ごす「家」を決めると言っても過言では有りません。
学生の雰囲気は派手か地味か、外国人の教員が多いか等、自分の性格にあった大学を選ぶことも大切です。
教育を学べる大学
教師を志す皆さんに教育を学ぶことのできる大学をご紹介します。
教員免許を取ることの出来る大学の中でも「教育学部系」と「一般学部系」に分けています。
なお、本記事で紹介している大学は一部のみです。
全国の教員免許を取得できる大学については以下の文部科学省HPリンクよりご確認下さい。
※参考:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoin/daigaku/1286948.htm
教育学部系
教育学部が開講されている大学をご紹介します。
教育学部のメリットは教育に特化している事です。
学部の全員が教師を志しており、同じ目標を共有しているのでお互いを高め合えます。
北海道教育大学
教育学部は札幌校、旭川校、岩見沢校、釧路校の3キャンパスで教員免許取得が可能です。
札幌校では小中学校、旭川校では中高と小学校専科、釧路校では保健体育や家庭科、美術や音楽の教員免許が主な取得できる教員免許になります。
豊かな北の大地から教師を目指したいのであれば、北海道教育大学が最良の選択肢です。
横浜国立大学
横浜という好立地を活かして多種多様な学生があつまるのが横浜国立大学です。
教育学部に在籍する全ての学生に小学校の免許取得が求められており、コースにより中学校各教科の教員免許もしくは特別支援学校の教員免許が取得可能です。
もし一般企業への就職も視野に入れているのであれば、国立大学は有利です。
当然、質の高い教育学も学ぶことが可能です。
首都圏にお住まいの方であれば有力な選択肢のうちの一つです。
佛教大学
関西では京都にキャンパスを構える佛教大学も教員養成学校として有名です。
教育学部では幼稚園教諭から高校教諭までの免許に対応しています(社会・数学)。
通信課程も同時に履修することで全ての教科の教員免許を取得可能です。
仏教大学では中国語の教員免許を修得することも可能です、中国語の教員免許が取得出来る大学は珍しいのではないでしょうか。
一般学部系
教育学部で無くても教員免許を取得することが可能です。
今回はその一部を紹介します。
一般学部系の魅力は専門性の高さです。
専門とする教科に対する知識を実践を通して身につけるといった具合です。
教育学部と比較してアクティブに学んでいる印象を受けるのが大きな違いと言えます。
札幌学院大学
江別市にある札幌学院大学では社会系の科目、英語、小学校の教員免許が取得可能です。
高等学校の社会系科目は幅広く、商業や公民、地理歴史などの科目の免許が取得できます。
経営学部や経済学部で社会の専門性を深められる事からもお勧めします。
筑波大学
教員養成で有名なのが筑波大学です、教師を目指している高校生なら一度は聞いたことのある名前ではないでしょうか。
茨城県つくば市と東京にキャンパスを設置しています。
ハイレベルな教員を養成するためのグローバル教師力開発推進室も設置されており、毎年600人ほどの教員免許取得者を輩出しています。
関西外国語大学
英語教員を目指すのであれば大阪府枚方市にある関西外国語大学をお勧めします。
英語教員の質が高く、どの公立学校に行っても一人は関西外国語大卒だという話がある程、英語教師に関しては定評があります。
希望者は全員留学することが可能で、留学費もあまり掛からないため、英語コミュニケーション能力に長けた教師が多い印象です。
小学校の教員免許を取得する学部も有ります。
教職学生に聞くQ&A
Q. 教員採用試験では教育学部を出ないと不利ですか?
A. 全く関係ありません。
教員採用試験の面接では出身大学について聞かれることは有りません。
そのため大学の特色ある教育で身につけた事をアピールしたいのであれば、自己PR用紙に大学名を織り交ぜる必要があります。
そもそも教員採用試験は現在、人物重視の傾向にあり、出身大学は考慮しないことになっています。
学力重視の自治体でも大学について聞かれる事は無いので安心して下さい。
Q. 教職課程を履修すると忙しくなりますか?
A. 確かに忙しいけど、大したことではありません。
教職課程では教育学部でない限り「大学卒業のための単位数」と「教員免許を取得するための単位数」の両方を取得しなければなりません。
四年制大学の卒業要件単位数は124単位、教員免許取得に必要な単位数は一種免許の場合67単位。
合計で約190単位を4年間のうちに取得する必要があります。
教員免許取得に必要な科目の中には、卒業要件単位に算入できるものもあるので、実際は160単位ほどになります。
すなわち一学期あたり平均20単位を取得することで教員免許の取得が可能です。
遊びやアルバイトも派手に行わなければ充実させることが可能です。
Q. 教員免許を取ると絶対に教師にならないといけませんか?
A. 民間企業への就職を選ぶ学生もいます。
教員免許を取得した筆者の周りの場合、大学四回生の時点で教員採用試験を受験した学生は約半分ほどでした。
中には民間企業へ就職した者もおり、必ずしも教員の道を進むとは限りません。
もし進路候補のうちの1つが「教師」であった場合でも教職課程を履修しておくことをお勧めします。
Q. 教員免許の一種、二種の違いは何ですか?
A. 簡単に言うと学位によって違います。
一種免許は四年生大学卒業相当、二種免許は短期大学卒業相当の免許です。
教師となった際、初任給に差がありますので、可能であれば一種免許を取得することをおすすめします。
なお他にも専修免許というものがありますが、大学院を出ないと授与されませんので現時点ではあまり考える必要はありません。
また、高校の教員免許は一種免許か専修免許のみです。
短期大学で高校の教員免許は取得不可能ですので注意して下さい。
まとめ
教師を志す高校生のための大学特集でした。
教師の魅力や大学の選び方など参考になれば幸いです。
また本記事ではQ&A形式で高校生の不明な点にお答えしていますのでブックマークに登録して読み返す事も良いでしょう。
皆さんが日本の未来を担う教育者となることを期待しています。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。