成績アップを目指して、塾や家庭教師を検討しているご家庭も多いことでしょう。
塾や家庭教師は、頼んだだけで安心してしまいがちですが、必ず成績がアップするという保証はどこにもありません。上手に活用しなければ、まったく効果が出ないなんてことにもなりかねません。これではせっかくの時間も費用もムダになってしまいます。
そこで今回は、特に家庭教師に焦点を当てて、上手な活用の方法を紹介したいと思います。
家庭教師のメリット、デメリット
まず初めに、家庭教師の特徴を理解しましょう。
家庭教師は、言ってみれば運動選手の専属トレーナーのようなものです。選手である生徒の状態をよく把握して現状の問題点を洗い出し、得意を活かして苦手を克服できるような練習メニューを考えるのがトレーナーの仕事です。運動選手が生徒だとすると、トレーナーである家庭教師は、マンツーマンで生徒と向き合い、成績不調の原因を探し出すだけでなく、得意を伸ばして、苦手を解消することができる授業を提供します。
自宅で生徒のペースに合った学習が行えることが家庭教師の特徴ですが、家庭教師でも万能とは言えず、さまざまなメリット・デメリットが存在します。
【メリット①】
家庭教師である講師は生徒の成績や性格を把握しているため、生徒に合わせたマンツーマンの指導ができます。生徒の学習進度や目的に合った学習が可能なことからも、無駄なく確実に指導することができ、生徒の学力を上げやすいと言えます。
家庭教師は、マンツーマンで生徒を指導するので、塾のように理解できないまま一方的に授業が進んでしまうことや、周りの生徒が気になってわからない点を質問できないということはありません。家庭教師の大きな特徴の一つとして、指導時間中に生徒のつまずきがあったとしても、納得がいくまでとことん付き合うことができるという点が挙げられます。これは、家庭教師の最大のメリットと言えるでしょう。
【メリット②】
生徒の都合に合わせて日程や先生を選びやすい点も、家庭教師の大きなメリットです。授業日時は、習い事や部活動など何かと忙しい生徒の都合に合わせて設定することができます。
また家庭教師センターなどで仲介してもらうと、生徒の性格や性別に合わせて最も相性の良い家庭教師を選ぶことができます。もしも家庭教師との相性が悪いと感じた場合は、登録の家庭教師センターへ相談すればすぐに変更をしてもらうことが可能な場合が多いです。
【メリット③】
家庭教師は、生徒の家の自室で定期的に学習指導ができるため、生徒は家庭で学習する習慣が身に付きやすいと言えます。そのため家庭教師を続けていくにつれて、家庭教師がない日でも自室の机に向かって勉強する習慣が徐々に身につきやすいでしょう。
ここまでメリットばかりを紹介しましたが、反対にデメリットも紹介しましょう。
メリット・デメリットの両方を理解することで生徒にとってベストな活用方法が見えてきます。
【デメリット①】
一般的な集団塾や個別指導塾に比べて、家庭教師は多くの場合完全マンツーマンの指導であるため、家庭教師の指導料金は塾などと比べると高いことが多いようです。
【デメリット②】
家庭教師の指導は生徒の自宅の自室であることが多いため、家庭教師を迎えるために自宅をきれいに片づけなければならなかったり、お茶菓子を用意しなければならなかったりと、何かと気を使わなければならないと感じる場合もあります。
家庭教師と一緒に勉強の目的を確認しよう!
効果的に家庭教師を活用するためには、上記のメリット・デメリットも念頭にしながら、それぞれの家庭で「何のために勉強するのか(勉強のゴール)」についてよく話し合って決めておくと良いでしょう。
例えば、苦手な数学を克服したい、学校の授業の復習がしたい、定期テスト対策をしたい、受験対策の勉強をしたい、とにかく勉強へのやる気を高めたい…。このような目標が考えられます。
生徒自身の目標が決まっていると勉強に対する軸ができ、家庭教師の方もそれに向けた授業をすることができるので、まずは大きな目標を決めることから始めましょう。
目標が決まったら、今度は何が足りないのかを考えます。
塾であれば、あらかじめカリキュラムがしっかりと決まっているため、生徒の苦手部分についてはそのままスルーされてしまいます。そのため、苦手な科目や苦手な内容は自分で補う必要がありますが、「なんとなく苦手」といったぼんやりとした認識では、対策が立てられません。仮に具体的に苦手部分がわかっている場合でも、どのように勉強すればいいかわからないというケースもあります。
そんな時にマンツーマン指導ができる家庭教師は、生徒の苦手を発見することができるので、その部分を集中的に指導することができます。
また、マンツーマン指導であることは、生徒の要望に合わせた柔軟な授業設計に対応することも可能です。例えば、塾をメインにして家庭教師に補習をしてもらうという活用方法もできます。家庭教師と一緒に塾の宿題をしたり、塾でわからなかった箇所を家庭教師にフォローしてもらったりといった方法が考えられます。
家庭教師に見てもらえるという安心感で、塾の授業を受ける時にも余裕が生まれます。もしも塾でわからなかった箇所があったのに、周りの生徒が気になって質問できないという場合でも、家庭教師がいれば納得するまで何度でも教えてもらうことができます。
スケジュールや宿題を家庭教師に決めてもらおう!
「何を勉強すれば良いのかわからない」という生徒は、実は多いのだということを知っていますか?
生徒が自分で自主勉強ができるよう家庭教師にお願いしてみるというのもお勧めです。
毎日取り組むべき宿題を決めておくだけでも、生徒は迷わず勉強できるようになるでしょう。こうして生徒が勉強の仕方を身につけると様々なことに応用が利くようになるため、全体的に成績が伸びやすくなります。ここで生徒自身の学習スタイルが固まると、各教科の学習に集中しやすくなりますし、その結果、学習内容をスムーズに吸収できるため、学習の効率も上がるでしょう。
勉強のやり方がわかってきたら、今度はもっと効率良く学力を高めるために、学習計画を家庭教師に立ててもらうことがお勧めです。できれば半年から1年の学習計画を紙に書いてもらえると良いでしょう。
目標を決め、全体を俯瞰しながら「今、何をするべきなのか?」を考えて勉強することは大切。そうした観点から毎日の宿題を細かく決めてもらうのも効果的です。計画を立てても生徒が自習できない場合は、毎日何をやるべきなのかを家庭教師に細かく決めてもらうのが効果的です。授業の翌日から次の授業までの自主学習内容を決めてもらいましょう。
初めのうちは、家庭教師が細かく指定しないとできなかった生徒も、授業を受けるうちに、次の授業までに自習内容をどこまで進めれば良いかということについてイメージすることができるようになることが多いです。まずは、しっかりと家庭教師に授業日以外の学習習慣をつけてもらうようにしましょう。
生徒が家庭教師と一緒に学習計画を立て、家庭教師と一緒に学習を進めていくペースが確立するころには、家庭教師は生徒の学習を見守るペースメーカーとなります。家庭教師は生徒の現在の状態を見て、具体的に今何が足りないかを考え、次にどのような勉強をすれば効果的なのかを適切にアドバイスしてくれます。
受験に詳しい家庭教師が、生徒の家庭学習を正しく適切なペースで導くことは、長期戦である受験を乗り切るための大きなアドバンテージになります。
学生家庭教師は自らの経験からも、効果的な勉強方法やコツを教えることができます。
勉強のやり方やコツは人から教えられるものではなく、自分で経験的に学んでいくことができれば理想的です。けれども、中学受験生のように早くから受験勉強を始めなければならない生徒や、勉強に苦手意識がある生徒などは、学習経験が圧倒的に足りないことからも、勉強方法やコツがわからない場合も多々あります。正しい勉強方法を知らずに効率が悪い誤った勉強のやり方をしてしまっている場合もあります。
家庭教師はプロの目線や自分の経験を元に、勉強法や勉強のコツを教えることができます。勉強以上に、そのようなメソッドを身につけられることが大きなメリットといえるでしょう。
授業以外のコミュニケーションも家庭教師のメリット
家庭教師を依頼したご家庭はぜひ家庭教師と密にコミュニケーションをとるようにしたいものです。ご家庭によっては生徒の勉強は家庭教師にお任せで保護者は干渉しないというスタンスの場合もありますが、よりスムーズに生徒の成績を伸ばすことを考えるなら、保護者もなるべく授業前後に家庭教師とコミュニケーションをとってみましょう。
生徒・保護者・家庭教師がしっかりとコミュニケーションをとることで、良い影響が生まれることになります。生徒が家庭教師とのコミュニケーションから得られる効果として、モチベーションを上げられるという点があります。
家庭教師が生徒のモチベーションを上げるためにすることは、主に以下の2つです。
ひとつ目は、特に受験生の生徒の場合、受験後の生活についてイメージを膨らませてあげること。例えば中学受験生が生徒であれば、志望校へ入学した後、学校でどのような勉強をするか、どのような活動があるのか、部活動はどのようなものなのか、といったことについて具体的に知らせてあげることができます。すると生徒は志望校への憧れを強くし、受験へのモチベーションを上げることができます。
また、家庭教師は自身も受験をくぐり抜けた経験があることから、受験校選びや受験形式についてなどについて、実体験をもとにした適切な受験に関するアドバイスができます。
今や受験に関する情報はインターネットから手に入れることが多いですが、地域独特の事情であったり、志望校が特殊な受験形式である場合、なかなか情報を見つけられないことがまだまだ多いでしょう。
また、インターネットの情報には信憑性が低いものも紛れていることからも全てを参考にするということは考えものです。
そのため、生徒の志望校出身の家庭教師を選び、志望校に関する信用度の高い有益な情報を普段のやり取りから得ることができれば理想的です。
もう一つは、家庭教師が生徒の身近なお手本になる可能性があるということです。
受験生は誰でも志望校に合格することを目標にしていますが、具体的な志望校のイメージはなかなか想像することが難しく、そのためモチベーションも途切れがちになります。しかし、家庭教師の先生という身近なお手本が具体的な目標として近くに存在することで「この人みたいになりたい」という思いを生徒が抱きやすくなります。そこから「この学校に合格したい」というモチベーションの向上に繋がりやすいでしょう。家庭教師の、現役大学生もしくは大学卒業生であり、勉強に前向きな姿勢は、生徒にとっての良いお手本となります。
そもそも家庭教師は、塾や学校の教師よりも生徒と近く、生徒とのコミュニケーションがとりやすい存在です。学習内容だけでなく学校生活についての悩みも家庭教師には相談しやすく、生徒の精神的な支えとなる可能性も高いでしょう。
塾に通っても成績が上がらない時は家庭教師を利用するのもアリ
一方、塾に通っている生徒も、場合によっては家庭教師を併用するという方法もオススメです。例えば、こんな悩みを抱えたことはありませんか?
- 塾の授業が難しくてついていけない
- 塾の宿題が難しくてこなすのが大変
- 塾の授業ではわかったはずなのにテストになるとできなくなる
以上のように感じた人は、解決策として家庭教師を併用するという方法を提案します。けれども塾と家庭教師を併用したとして、本当に効果があるのでしょうか?
まずは塾のメリットとデメリットを紹介したいと思います。
- 【メリット①】良いライバルたちと切磋琢磨しながら勉強できる
塾という「勉強」をすることが目的の場所へ行けば、勉強を頑張っている友達の姿を見ることができます。これはお互いに良い刺激となりますし、特に同じ志望校を目指すライバルがいる場合には、お互いに切磋琢磨しながら勉強に取り組むことができます。 - 【メリット②】学校の予習や復習ができる
学校で学習している単元の先の学習を塾で行う場合には、それが予習となり学校での授業内容がスムーズに頭に入ってきやすいと言えます。また、学校の授業の復習を塾で行う場合には、学校で分からなかった部分をもう一度振り返ることができ、講師へ質問して解決することができれば、苦手分野を克服することができます。
一方で、次のような点は塾のデメリットと言えます。
- 【デメリット①】学習のペースが速い
多くの集団塾では、1年間のカリキュラムがあらかじめ組まれているため、カリキュラムに合わせて速いペースで授業が進んでいきます。また、多くの生徒が同じ授業を受ける一斉授業のため、もしも分からない箇所があったとしても先生へ直接質問がしにくい雰囲気の場合もあります。
また、集団塾でない個別指導塾の場合では、多くは分からない箇所がある時に質問をする形態であるため、元々質問をするのが苦手な生徒や、わからない箇所が分からないと言った生徒にとっては、自分からなかなか質問することができず、自習するだけのようになってしまう可能性もあります。 - 【デメリット②】日程の融通が利かない
集団塾の場合、年間カリキュラムに沿って授業の日時が決まっているため、他の習い事や部活動などの都合に合わせたスケジュールには対応できません。また、体調不良などで授業を欠席した場合には、同じ授業を受けることができません。そのため、塾の学習内容に付いて行けない、なんてことになってしまう可能性もあります。 - 【デメリット③】送迎が必要な場合がある
学校の授業や部活動が終わってから通うことになる塾の授業は、時に中高生の場合、一般的に夜遅い時間に終わることが多いため、保護者の送迎が必要なケースも多いです。保護者が共働きであったり、小さな弟妹がいるという家庭では、週に数回程度でも塾の送り迎えは保護者にとって負担になっているケースがあるようです。
塾のメリットとデメリットを押さえることができたら今度は家庭教師と塾を併用した際のメリット・デメリットについて触れていきましょう。
家庭教師と塾を併用する最大のメリットは、塾で勉強へのモチベーションを高めながら予習復習に取り組み、理解できなかった部分を家庭教師に質問し、分かるまで徹底的に指導してもらうということができることです。
逆に、家庭教師と塾を併用するデメリットは、塾に加えて家庭教師の指導を受けることになり、生徒は時間的・体力的に負担がかかる可能性があり、保護者は、時間的・経済的な負担がかります。
メリットとデメリットを考慮しつつ、効果的に家庭教師と塾を併用するにはどうすれば良いかというと、生徒のモチベーションを上げるために両者を併用すると、相乗効果が期待できます。
家庭では一人の時間が多く、孤独な学習はどうしてもモチベーションが下がってしまいがちですが、塾に行けば勉強に励んでいる仲間や生徒を引っ張る力のある先生と交流することができます。塾は家庭教師だけでモチベーション上げるのが難しい生徒への効果を期待して利用すると考えると良いでしょう。さらに、塾で基礎基本を学習し、分からなかった箇所を家庭教師に徹底的に教えてもらう方法も効果的です。
塾と家庭教師それぞれの良さを念頭に役割分担を意識しながら活用するようにするのがオススメです。
まとめ
生徒自身が勉強する目的や目標を明確に持っている場合には、塾と家庭教師を併用することも視野に入れておくと良いでしょう。もしも併用する際の費用などのデメリットが気になるようでしたら、最近ではオンライン家庭教師も利用できるようになったので、こうしたサービスを利用することで時間的・経済的な負担を減らすこともできお勧めです。
いずれにしても、家庭教師を選ぶ際には家庭教師を依頼する目的などを親子でしっかりと確認してから、家庭教師へもそれについて伝え、お互いにしっかりとコミュニケーションをとりながら学習を進めるようにしましょう。