ドルトンプラン教育とは?他の教育方針との違いや実施する学校をご紹介

ドルトンプラン教育とは?

21世紀になり、世界は目まぐるしく変化していることは、皆さんも肌で感じていることでしょう。

教育の世界でも、従来の画一的な教育方法とは異なり、多様な価値観に柔軟に対応できるよう、最近ではさまざまな教育メソッドを実践する学校、オルタナティブスクールが増えてきました。

今回はその中でも、子どもたちそれぞれが「やりたい」と思うことを軸に学習プランを作成し、そのプランに沿って行われる「ドルトンプラン教育」を取り上げて解説したいと思います。

ドルトンプラン教育は、生徒の自主性を伸ばしながら、社会性や協調性をバランスよく学べる教育法として、日本だけでなく世界各地で知られています。

なぜドルトンプラン教育が誕生したのか?その背景とは

アメリカ国旗ドルトンプラン教育は、アメリカの教育家ヘレン・パーカーストの提唱により、1920年代のアメリカで誕生しました。

1900年台初頭のアメリカでは違う学年の子供たちが一緒に学ぶ「単級小学校」が主流でした。

ヘレン・パーカストも学年の異なる40人の生徒たちを1人で担当し、教えていました。

現代の日本の学校の方法とは異なり、当時は生徒一人ずつに個別の課題を与え、それぞれのペースに合わせて学習する方法が当たり前でした。

こうした個別学習では、教員の負担が重すぎるといったデメリットが存在します。

個別学習の重要性を感じつつも、教師への負担が重すぎることを痛感したヘレン・パーカストは、よりよい教育法とは何かと、常に模索していました。

イタリアでモンテッソーリ教育を学習した彼女は、その経験から個別学習にも注力しつつも、教員の負担の軽減ができる独自の方法論を考案しました。

それが「ドルトンプラン教育」というユニークな教育メソッドでした。

「ドルトンプラン教育」では、生徒それぞれに最適な学習プランを提供し、自主的に学習を進められるという教育メソッドです。

ヘレン・パーカストは、イタリアでモンテッソーリ教育を学び終えてから、アメリカに帰国し、この教育メソッドの普及に励みました。

1919年、ヘレン・パーカストはアメリカ・ニューヨーク市に4年生~8年生を指導する一環教育校を設立します。

この学校こそが、幼児から高校生まで生徒の一貫教育ができる「ドルトンプラン学校」の原型といわれています。

さらに翌年の1920年には、アメリカマサチューセッツ州にあるドルトンという小さな町で、「ドルトン実験室案」が誕生します。

ここでは、さらに進化した体系的な教育メソッドが、生徒たちによって、学習を自主的に進められる学校として注目を集めました。

「ドルトンプラン教育」の名前の由来は、ヘレン・パーカストがこの教育方法論を考案し、実施したマサチューセッツ州ドルトンの町の名前に由来しています。

どのようにして日本でドルトンプランが広まっていったのか

外国の国旗当時ドルトンプラン教育は、アメリカのみにとどまらず14ヶ国語に翻訳され、世界中に広がりました。

日本でも同じ頃ドルトンプラン教育が広まる動きがあり、大正時代にはドルトンプラン教育は、画期的な新しい教育指導法として受け入れられていました。

ヘレン・パーカーストはその当時、4回もの来日講演を行っていたという記録が東京学芸大学の資料には残っています。

大正自由教育運動の末期の1922年、ドルトン学校の教育方法は、成城学園初等学校の沢柳政太郎らによって「成城ダルトン・プラン」として、導入・実践されたという記録があります。

他にも同時期に、宮城県の師範学校などでも一部導入された歴史があります。

しかしながら、自由な発想を推奨するドルトンプラン教育は、これより先日本全体が軍国主義に舵を切って進む中で、世間の風潮と相反するものとなってしまいます。

教育の世界でも、命令通りに動く兵隊を育成する教育がメインとなり、生徒の自主性を重んじるドルトン教育のやり方は「教師の怠慢」だという評価を受け、一時的なブームで終わってしまい、その後急速に衰退してしまいます。

これより以降、ドルトンプラン教育が日本に再び入ってくるのは1970年代になってから。

実に40年以上の歳月がかかりました。

その時まで、日本にドルトンプラン教育が再導入されることはなかったのです。

ドルトンプラン教育の特徴〜教育の「原理」

これまでドルトンプラン教育の歴史を振り返ってきましたが、ドルトンプラン教育とはどのようなものなのかをこれから紐解いていきましょう。

チェックドルトンプランの教育方針は、「自由」と「協働」というふたつの原理から成り立っていることが大きな特徴です。

生徒の個性を生かす「自由」な教育と、社会で活躍できる「協同」を通した人材の育成を目指しています。

【原理1】自由の原理

子どもたちの興味や関心ごとはそれぞれ異なるものだということを大前提とすると、子どもたちによってそれぞれ有効な学習法や学習の進度は当然異なります。

従来の画一的な教育では、場合によっては勉強についていけなくなったり、生徒によっては学習をどんどん進めたいのに進度を落とさなければならなくなるなどの不都合が生じます。

ドルトンプラン教育の「自由の原理」では、どの生徒でも誰にも邪魔されることなく、自分の好きな分野の学習を自由に学べる機会を与えられるべきということを掲げています。

この原理に従い、ドルトンプラン教育は、目の前のことにじっくりと向き合う姿勢や持続する集中力を育成します。

【原理2】協働の原理

さまざまな年齢や個性、さまざまな能力を持つ生徒同士との交流をする機会を設けることで、異なる価値観を持つ人たちともスマートに交流できる人材を育成する原理のことです。

このことは、まさに現代のダイバーシティ社会においては、とても重要な意味を持つのではないでしょうか。

ドルトンプラン教育の特徴〜3本の柱

3本の指次にドルトンプラン教育の3本の柱について解説します。

ドルトンプラン教育には、「ハウス」「アサイメント」「ラボラトリー」と呼ばれる3本の柱があり、これらはドルトンプラン教育の原理を実現するための学習プランや、学習空間、コミュニティーのことを指しています。

これらの3本の柱を軸に、生徒一人一人の自主性や個性を伸ばす教育を行っています。

【3つの柱】ハウス

ハウスとは、一般的な学校でのホームルームにあたります。

ただし、通常の日本の学校とは異なり、ドルトンプラン教育では年齢やクラスの違う人たちが一緒に学習を行うのが特徴です。

また、担任は先生(教える人)ではなく、あくまでハウスアドバイザー(助言者)という立場で、それぞれの学習をサポートします。

ドルトンプラン教育では、この「ハウス」で、さまざまな年齢や価値観を持つ多様な人たちと行動を共にすることで、意見の違う人との話し合い方や大人との付き合い方を自然に身につけることができるのです。

このハウスでは、さまざまなイベントが開催されます。

スポーツフェスやアートフェスなどのさまざまなイベントを開催し、ハウスの生徒同士の団結力をより強固に一体化することを目指しています。

【3つの柱】アサインメント

勉強する子供次に「アサイメント」ですが、これは生徒と教師との間で交わされる約束(契約)のことを指します。

具体的には、それぞれの生徒に合わせた授業の方針や課題、レポートなどをまとめたものになります。

生徒たちは、教師とともにつくりあげた課題やレポートを、期限に沿って進めなければなりません。

アサイメントでは生徒に合わせた内容で学習意欲を引き出すだけでなく、時間の有意義な使い方や集中力、考える力を成長させることができるのが特徴です。

例としてドルトンプラン教育の一日のスケジュールを紹介しましょう。

10:00 モーニングミーティング(朝の会)

10:15 プロジェクト/フリープレイ

11:00 ラボ/プロジェクト

12:00 ランチタイム

13:00 ガーデンプレイ

14:30 シェアリングタイム【帰りの会】

ドルトンプラン教育では、生徒たちはこのような一日のスケジュールに沿って活動します。

これを見てわかるように、生徒それぞれに応じて活動内容が異なっており、それぞれの生徒に応じて教師は個別に指導していくのが特徴です。

教師たちは生徒に「アサイメント」としてそれぞれに応じた課題を与えます。

「アサイメント」は、意欲や集中力、そして考える力を養うようにデザインされており、楽しみながら好奇心や興味を追求できるようになっています。

アサイメントの提出期限(約束)を守るという大事なことも、一連の流れを通して身につけることができます。

【3つの柱】ラボラトリー

ほかのオルタナティブ教育と比べて、ドルトンプラン教育で特徴的なのはこの「ラボラトリー」といえるでしょう。

「ラボラトリー」とは、専門教科をさらに深く学習するために、担任だけでなく専門分野の教師にサポートしてもらいながらカリキュラムを進めるための場所のことです。

ここは基本的に少人数制となっているので、深く集中したディスカッションができ、徹底的に専門分野を研究することができます。

あくまで生徒という「個」に重点をおいて、専門家とともに興味があることを深められるドルトンプラン教育は、従来の画一的な教育とは全く異なる視点に立ってデザインされた教育プランといえます。

ドルトンプラン教育のメリットとは?

では、このような特徴をふまえたドルトンプラン教育を受けることで、どんなメリットがあるのでしょうか。

生徒の個性を伸ばすことができる

成長のイメージ一般的に、集団の中ではみ出さないよう、画一的な行動を強制されることが多いのが既存の日本の学校教育といえるでしょう。

そこでは、それぞれの生徒の個性を伸ばすことが難しい傾向があります。

生徒自身も個性的であることにコンプレックスを抱いたり、その個性があるために悪くすると他の生徒からいじめの対象にされてしまうなどといった、理不尽な悲劇が生じることもあります。

しかし、ドルトンプラン教育は、「人はそれぞれ違って当たり前」という考えが根底にあるため、個性を尊重するような経験を多く積むことができます。

学習面でも興味を持った分野について各自のペースで学べるため、生徒の個性を伸ばすことができます。

個性を尊重するということは、自分自身の個性を伸ばすことだけではありません。

他人の個性をも尊重し、お互いが認め合うことが、それぞれの個性を伸ばすことができる人材に育つことといえるのです。

生徒の探究心を伸ばすことができる

ドルトンプラン教育の主体はあくまで生徒です。

生徒の能力や研究テーマにそって、授業を自在にデザインすることができ、自由な発想に基づいた学習プランを立てることができます。

そうすることで、生徒自身が学びたいことを好きなだけ掘り下げることができるのです。

それだけでなく、ラボラトリーなどの充実した探求支援の仕組みがあることも、子どもの頃から特定の分野にとことん没頭することができ、探究心を伸ばすことができます。

アインシュタインやスティーブ・ジョブズ、パブロ・ピカソ、エジソンなどといった歴史上の偉人たちを鑑みるに、没頭して集中したことのある経験は、新しい価値を創造するために有益と言えるのではないでしょうか。

ドルトンプラン教育では、ラボラトリーでの経験を通して、こうした「没頭力」を磨くことができます。

自立心や責任感を伸ばすことができる

考える子供ドルトンプラン教育では、自分の学びたいことを「自分で」選択することや、集団の中の個人として学校生活を送ることで、責任感や自立心を育てることができます。

ドルトンプラン教育は、ともすれば自由で放任的な教育法のように見えるため、「無責任な子どもが育つのではないか?」という懸念が抱く人がいるのも事実です。

けれども、自分の学びたいことを「自分で」選択したり、教師と交わしたアサインメントを遵守したり、集団の中で常に個として意識して行動することを通じて、自立心や責任感、自己管理能力などを伸ばしていくことができます。

自由には責任が必ず伴うということを子供の頃から理解させることができるので、本当の意味での自立心や責任感を養うことができるといえます。

ドルトンプラン教育のデメリットとは?

これまでドルトンプラン教育のメリットばかりを取り上げてきましたが、もちろんいいことだけではありません。

日本のドルトンプラン教育の現状には、下記のようなデメリットも存在すると考えられます。

日本でドルトンプラン教育を学べる学校がほとんどない

日本ではドルトンプラン教育を受けられる場所は現在東京と名古屋のみとなっています。

これでは、たとえ良い教育方法だから子どもに受けさせたいと、保護者や子どもが興味を持ったとしても、この地域以外に住んでいる人からすると、学べるチャンスが圧倒的に少ないというのがデメリットといえます。

日本での歴史が浅く進学率が明確ではない

志望校選択これまでに述べたとおり、日本でのドルトンプラン教育の歴史は戦前戦後の中で長い休眠期間がありました。

そのため他の教育法に比べて、学校にも、教師にも、細かな事例がまだまだ蓄積されていないというのが現状です。

ドルトンプラン教育を受けることで「こんな風に成長していく」というロールモデルがあるわけではないため、表に噴出していない課題や眠っている問題点がある可能性も完全には否定できません。

日本においては、まだまだ未知数の教育法といえるのです。

また、ほかの多くのオルタナティブ教育と同じく、ドルトンプラン教育も「生きていくための力を養うこと」を重視して価値をおいた教育プランです。

そのため、進学率や偏差値の向上などには、それほど価値を置いていないので、それらを求めるのであれば、別の教育法や学校も検討した方がいいかもしれません。

教師のスキルが問われる

ドルトンプラン教育は、教師は「アドバイザー」という立場になっています。

教師は生徒の資質を見抜き、その生徒に合ったアドバイスをするという重要な役目を持っているため、受け持ちの教師によって子供の成長が影響されやすいというデメリットがあります。

日本でドルトンプラン教育が受けられる学校

日本でドルトンプラン教育が受けられる学校は、以下の2校になります。

ドルトン東京学園 中等部・高等部(東京・調布)

文部科学省に認可されている一条校。

ドルトンプランの原理「自由」「協働」を踏襲し、実践させるという基本方針を掲げています。

タブレットを操作する女子生徒この学校の特徴は、ドルトンプランとICT教育を融合させていることです。

学校行事にSTEAMフェスを行う、アサインメントをクラウド上で管理する、などのようにデジタル化が進んでいます。

また、カフェテリアやアクティブスペース、ラウンジなど施設も充実しており、株式投資ゲームを学習に取り入れている生徒もいるなど自由な学びが実践されています。

ドルトンスクール(東京・渋谷/愛知・名古屋)

文部科学省から一条校としての認可はされていませんが、1970年に開校し、これまでに50年近くの実践のノウハウを蓄積している幼児教育と小学生の放課後教育のスクールです。

習い事のように毎回特定の何かを学ぶのではなく、時間割が組まれている塾のようなスタイルが特徴です。

これまでに提携のニューヨーク・ドルトンスクールの元校長をスーパーアドバイザーに招聘したこともあるとのことです。

進路は明らかではありませんが、学校の運営母体が予備校の「河合塾」ということもあり、生徒たちの卒業後の進学実績もそれなりに考慮して指導を行っているのではないかといった予想もあります。

まとめ

グローバル化やICT化、社会全体が変革を迎えている今、教育の世界も変革の時代に突入していると言えるでしょう。

新たな時代を自分らしく生きることができる人間に子どもたちを育てたいと考える保護者にとって、コミュニケーション能力や探求心を磨くドルトンプラン教育は注目の教育法のひとつではないでしょうか。

2019年には東京でドルトンプラン教育の新しい学校が創設されたこともあり、ドルトンプラン教育は再び注目を集めています。

グローバルビジネスのイメージドルトンプラン教育は、他者との「協同」と生徒の「自由」という2つの理念を元に運営されており、これからの国際化社会に必要な子供たちの資質を十分に伸ばせる教育メソッドといえます。

自発的に生き生きと学ぶことができ、社会では周囲の人たちとうまくコミュニケーションを取りつつ、自分らしさを発揮していけることを目標にした素晴らしい教育メソッドです。

まさに、これからの21世紀に生きる子供たちの未来で必要とされる力を育むことができる教育法と言えるのではないでしょうか。

この記事を監修した人

チーム個別指導塾
「大成会」代表:池端 祐次

2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。


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公開日:2022年10月6日
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