アドラー式子育てが効く!今日から実践できる心理学に基づいた教育法

【教育法】アドラー式子育てとは?

アドラー式子育てとは、心理学者アルフレッド・アドラーの研究に基づく子育て方法のことです。

アドラーは、フロイト、ユングに並ぶ心理学の3大巨匠とされており、そのベースとなっているアドラー心理学は、書籍「嫌われる勇気」(ダイヤモンド社)にてその思想が解き明かされています。

この本は2013年に発行され大評判となり、それにより今ではアドラー心理学は多くの人に知られるようになりました。

アドラー心理学がわかる本「嫌われる勇気」とはどんな本?

山積みの本「嫌われる勇気」は、日本で2013年に出版されました。

アドラー心理学の第一人者である岸見一郎氏とライターの古賀史健氏により執筆され、アドラーの思想を、哲学者と青年の対話形式でわかりやすく解き明かしています。

この本は、アドラー心理学についてわかりやすく述べられており、仕事や子育て、人間関係など、様々な悩みにこたえる指南書としてふさわしく、なかでも特に劣等感が消えない人におすすめの内容といえます。

この本を読んで人生観や世界観が変わったという人もいるようです。

ここでは特に、子育てにフォーカスして「嫌われる勇気」の中の参考になる点を紹介したいと思います。

課題の分離~これは「誰の課題」なのか?

何か問題が起こったときの関わり方として、次のようなことをアドラーは提唱しています。

自分の力でコントロールできることは一生懸命考えて動けばよいが、自分でコントロールできないことは、動いても仕方がない、自分の力ではどうにもならないことについては、手を出すことはもちろん、考えることさえ無駄であるといっています。

これは「自分にとっての『課題』と他人にとっての『課題』を分離するべき」という考えに基づくものです。

このことを端的に示す次のような言葉があります。

「馬を水辺に連れていくことはできるが、水を飲ませることはできない」

馬を水辺へ連れていくことは、自分の力が及ぶ「自分の課題」だけれど、水辺に来た馬が水を飲むか飲まないかは、自分の力ではどうにもならない馬自身の問題、つまり「他人の課題」です。

「他人の課題」は、自分の力ではどうすることもできません。

他人がどう動くかは、他人が自分で決めることだからです。

海岸に佇む少女では、自分はどうすればよいのかというと、とにかく「自分の課題」だけに向き合い、それを一生懸命取り組むことが大切だといっています。

他人を自分の思い通りに動かしたり変えようとすることは、よくよく考えてみれば無理なことです。

他人がどう動くかは、あくまでも他人が決める「他人の課題」であって、自分の課題ではありません。

ですから、自分にとっては考えても仕方のない、どうしようもないことなのです。

そうはいっても、自分にとって「大切な人」であればあるほど、うまくいく方向へ動いてほしいと思ってしまいますよね。

子供を持つ親御さんであれば、なおさらわが子のことが心配で、親の思うとおりになってほしいと思うことでしょう。

そんな時には、その状況で「親として自分ができることは何なのか?」を考えて実行するようこの本に述べられています。

つまりそこで「自分の課題」を見つけ、その解決のための行動をすることが大切だというのです。

迷った時や悩んだ時には、まずは「これは誰の課題なのか?」ということを考える癖をつけ、「自分の課題」と「他人の課題」を分けて考える「課題の分離」を心掛けると良いでしょう。

「課題の分離」をするうえで大切なのは、人から褒められたり認められたりしたいという「承認欲求」を捨てることだといいます。

なぜなら、褒める・承認することは、他人がすることだからです。

つまりそれは「他人の課題」です。

そうではなく、自分はなにが楽しいのか、何を幸せに感じるのかをゴールにすること、つまり自分でコントロールできる「自分の課題」に注力することが大切だと述べられています。

タテの関係を作るな

天秤のイメージ「嫌われる勇気」の中では、人間関係は、上下関係ではなく、対等な関係であることが大切だと書かれています。

そこでは、人をむやみに「褒める」ことについての危うさを述べてられていました。

子育てで褒めることは、一見すると良いことのようにも見えます。

ところが人が人を褒めることで、無意識にそこには上下関係が生み出されてしまうというのです。

褒めることは、立場が上の人(この場合親)が、立場が下の人(子供)に対して行う行為です。

子供は無意識に「褒められたい」と思い、親の思いを汲んで動くようになり(「他人の課題」)子供自身の本当の意思に反した行動をしてしまうことになるのです。

つまり、親が「褒める」ことで、子供の承認欲求を刺激することになってしまうというのです。

「褒める」ことが不適切なのだとしたら、子供が良い行いをしたときに、親はどうするのが良いのでしょうか。

この本の中では、その際に行うべきことは「褒める」ことではなく、「感謝する」ことだと言っています。

子供を褒めるのではなく、感謝の気持ちを伝えること、「ありがとう」と言うことが良いのだそうです。

なぜなら、感謝することには上下関係はないからです。

ただし注意しておかなければならないことは、「他人のため」に行動を起こしたのにその人から感謝されなかったとしても、不満に思ってはいけません。

感謝されることは、立場を変えてみてみると、感謝をする「相手の課題」といえます。

「自分の課題」ではないので、感謝されなかったとしても、そこに何も感じる必要はないのです。

自分がその行動を起こしたことで得られる自己満足だけで十分だと述べられています。

物事の結果を原因に求めてはいけない。何が目的なのかということが重要

チェック「嫌われる勇気」では、人の行動について「原因論」をはっきりと否定しています。

人の行動の結果は、原因があるから結果があるのではなく、すべての行動は目的に対しての手段に過ぎないのだというのです。

例えば、「子供が言うことを聞かないからついつい大声で怒鳴って叱ってしまった…」と、反省する親御さんがいるかもしれません。

なぜ、大声で怒鳴ってしまうのかといえば「子供が悪いことをしたから」「いうことを聞かないから」と様々かもしれませんが、それらの原因を怒鳴ったことの言い訳にしてしまっているようにみえます。

アドラー心理学では、人の行動は「原因」によるものではなく、「目的」にあるのだといいます。

「子供を大声で叱る」という行為には、例えば「親の権威を示したい」という「目的」がそこにあったといえるのです。

もしも子供が悪いことをしまった時、子供自身にそのことを理解して反省してほしいと親が思うならば、子供に対して丁寧に言い聞かせてやればよいのです。

そこで子供を威圧する必要はありません。

このように、「目的」に目線をずらして考えてみると、物事の結果を考えるうえで過去を振り返っても仕方のないことに気づきます。

現在の結果について、原因と思われる出来事や暗い過去にとらわれて、それを言い訳にしてはいないでしょうか。

アドラー心理学では、「今この瞬間を生きる」という目的論で物事を考えることを推奨しています。

人生は、今この瞬間から未来の目的に向かって変えられるのです。

「アドラー心理学」は子育てにも活用できる~アドラー式子育て

壁を登るイメージ「嫌われる勇気」のタイトルにも使われていますが、アドラー心理学では「勇気」という言葉がよく使われています。

勇気とは、目の前にある解決すべき課題や困難を克服する力です。

子供がその勇気を身につけるためには、親が「ほめる」ことも「しかる」ことも必要ないのです。

では、親には何が必要なのかというと、子供のありのままを受け入れ、子どもの存在価値そのもの全てを受け入れることだといいます。

それが「勇気づけ」です。

アドラー式子育ての最終目的である子どもの「自立」を促す子育てには、この「勇気づけ」が不可欠です。

けれどもなかなか難しく、ついつい「ほめる」と「しかる」を繰り返してしまいがちです。

ところがそれを続けてしまうと、子供は「勇気がくじかれた」状態になり、親は子供の自立の足を引っ張ってしまうことになってしまいます。

例えば何か新しいことを始めるときに、「勇気がくじかれた状態」の子供は「無理」「できない」とすぐに言うようになってしまいます。

それでは、一体どうすれば親は子どもに正しい勇気づけができるのでしょうか?

ではここで改めて子供にとっての「自立」とは何かと、その注意点を確認しておきましょう。

自分で決められること

自立とは、自分で何を行うかを自分で決めて行動することが出来ることです。

自分で自分の価値を決められること

自立とは、自分で自分の価値を決められること、自分で自分を認められること、つまり自分に自信が持てる状態のことを言います。

大人から褒められたり、しかられたりして育ってきた子供たちには、自分で自分の価値を見出すことが難しいといえます。

なぜなら、常に他人の判断軸で自分への評価をされ続けてきており、自分で自分の価値を決めていないからです。

自己中心性からの脱却

子供は「世の中は自分を中心に回っている」ように考える「自己中心性」がありますが、これを脱却できた状態を自立と言います。

「自己中心性からの脱却」ができていない子供は、本来ならば自分でできることでも、「自分には何もできない」というふりをして、大人の援助を得ようとします。

そして大人もそれについつい応えてしまいます。

アドラー式子育て 正しい親の子供への関わり方

親子で学習する様子どんな子供でも、親(または大人)の援助がなければ生きていくことはできません。

子供も親もそのことを本能的に知っています。

ただし、子供はいつか成長して大人になり、親から自立します。

「その時」は、親にとっては想像以上に早い訪れとなることもあるようです。

そんな時親は、子供が自立できていることに意外と気づかないものです。

いつまでも子供が小さいままだと思いこんでいるからです。

そうすると、子供は「自立できないふり」をしてしまいます。

そうしたことを防ぐためにも、アドラー式子育てでは次のことを特に重要視しています。

褒めない

以前も述べましたが、人には人から認められたいという承認欲求が備わっています。

それ自体は悪いことではありませんが、褒められることで承認欲求を過剰に刺激してしまい、「褒められないと行動しない」という思考に陥ってしまいます。

叱らない

○×判定子供が問題行動を起こしたとき、多くの親は子供を叱ります。

けれどもその子供たちはなぜ、そうした問題行動を起こしてしまうのでしょうか。

それには、子供はあえて叱られることをしているケースがあるということを親は知っておかなければなりません。

なぜかというと、子供は常に親から認められたい、親に愛されたいと思っているからです。

だからこそ、親の注目を自分に向けたいという思いが強まり、問題行動に至ってしまうのです。

そんな時に親が子供を叱るとどうなるでしょうか。

叱られた子供は、親の注目を自分に向けられたと思い、この方法で自分の欲望が達成されたと感じるでしょう。

そうすると、親が子供を叱ることで、問題行動がなくなるばかりか、ますますエスカレートしてしまう可能性もあるのです。

子供を人格ある個人として認めること、フラットな関係性が大切

「嫌われる勇気」の中でも言われているように、人間関係はタテの関係ではなくフラットで対等な関係であることが大切だとアドラーは言っています。

親子関係も同じです。

子供を一人の「人格ある個人」として、親は尊重しなければなりません。

そのため、子供を上から目線で見てはいけません。

親子の手親が心掛けたいのは、子供が何をしていても静観すること。

子供が何をやっても「子供の課題」であることを認識するべきなのです。

ただし、どうしても看過できない問題行動を子供が起こしてしまった時には、その問題を親子の「共通の課題」にしてしまいましょう。

そしてその共通の課題の解決に向けて、お互いに言葉を尽くして説明し、一緒に考えることが最善策です。

そこには褒めることも叱ることも必要ありません。

必要なことは、相手に対する「共感」です。

もし子供が不適切な行動をしてしまった時、親がすべきことは次のようなことだといいます。

相手の気持ちを理解して、共感すること。そしてその気持ちを相手に伝え、共通の課題として取り組むことです。

「あなたはそれが嫌だったのね。あなたの気持ちはわかったよ。でもお母さんも困るからやめてほしい。どうしたらよいかあなたとお母さんで一緒に考えていこうね。」

と丁寧に子供に伝え、共感することから始めましょう。

そして親は、子供の考えに関心を寄せるようにすることも大切です。

とはいえ時には、子どもに対して、感情的に怒ってしまうこともあるかもしれません。

その時は、「自分はイライラしていたんだな」「どうすれば怒らないですむかな」と反省し、できるときにまた、子どもに寄り添うようにすると良いでしょう。

また、どうしても子供の問題行動にイライラして、ついカッとなってしまいそうになったときは、いっそのこと子供を見ないようにするということもお勧めです。

親は親で、自分の好きなことをしたり、ショッピングをしたり、子供から意識的に視線を逸らしてみてはいかがでしょうか。

親御さんの悩みでよく聞くのが「子供が勉強をしない」ということ。

親御さんとしては、とてもはがゆい思いをしていることでしょう。

けれども何度も述べてきたように、この場合でも、親は子供の勉強について介入するべきではありません。

子供が勉強する・しないは、「子供の課題」だからです。

そもそもなぜ子供は勉強に取り組まないのでしょうか。

この時に親御さんに振り返っていただきたいことがあります。

子供が勉強に取り組まなかった時、子供を叱ってはいませんでしたか?

親から叱られると子供は、「親に叱られたからやらない」という理由を作り出します。

けれどもそれは、「親に叱られたこと」を「自分ができない」ことへの言い訳に利用しているだけにすぎません。

親は子供の挑発に乗ってはいけないのです。

また、子供が「できないという結果を出してしまわないため」に、わざと「自分の課題」である勉強に取り組まないのだということも考えられます。

つまり子供は、「もっとちゃんとやれば、勉強すれば、練習すれば、本当はできるのだ。」という可能性の中にとどまっていたいのです。

「自分の課題」に取り組まないままでいた方が、「できないという結果」をはっきりと出してしまうよりも、子供にとって都合が良いのです。

もしも親の注目を得ようとして、そのような問題行動を起こしているのならば、親のするべきことはただ一つ。

思いやり子供を信じることです。

子供の課題であるのに、それを見て親が叱ったり小言を言ってしまうのは、それはひとえに親が子供を信頼していないからです。

ここですべての親御さんに信じてほしいのは、子供には「自分の課題」を自力で解決できる力があるということです。

あなたを信頼しているよ」という態度とメッセージを、子供に正しく伝えることが出来れば、子供は自然と親からの信頼に応えようとするでしょう。

子供を「子供扱い」しないで、一人の個人として尊重することが、何よりも重要なのです。

勉強することは、「自分の課題」であり、「いずれ他者や社会に対する貢献ができるようになるためにするべきこと」ということを理解できた時、必ず子供は「自分の課題」を解決するため、勉強に取り組むようになるのです。

子供の人生で必要な親の「勇気づけ」

クローバーを差し出すビジネスマン親の役割は、子供が「自分の課題」を自分で解決できるように援助することです。

大人が子供を援助できるようになるためには、親が日ごろから子供を信頼し、良好な関係を築いておく必要があります。

子供が「自分の課題」を解決するためには、時には時間がかかることもあるでしょう。

けれどもそこに即効性を求めてはいけません。

もしも子供が「できないかもしれない」と自信をなくしたときも、親が子供を信頼してあげれば、「自分には課題を解決する力がある」と子供は思うことが出来ます。

そしてそれは「自分には価値がある」という自信や自己肯定感にもつながっていくのです。

まずは、子供に自分自身を好きになってもらうことが大切です。

そのために親ができることは、子供と他人を比べるのではなく、以前の子供と比べて成長したというプロセスを認めることです。

「親がいつも自分を見守って応援してくれている、自分を認めてくれている」という自信と安心感が、子供にとって前へ進むための原動力になります。

それこそが、子供の自立のために最も必要な「生きる勇気」なのです。

何度も述べますが、「子供の課題」と「親の課題」は違います。

アドラー式子育ての目標は、子供が自立すること。

子供が自分自身の判断で、自分自身の人生を決めることができるようになること。

そのために親は、子どもの力を信頼し、敬意を持って子どもの成長発達を援助すること、つまり子供を勇気づけることがとても大切です。

子供がありのままの自分を認め、親のためではなく、自分自身のために成長するようにと願い、子供を勇気づけることこそが、親として取り組むべき最大の「自分の課題」といえるでしょう。

この記事を監修した人

チーム個別指導塾
「大成会」代表:池端 祐次

2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。


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公開日:2022年4月12日  
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