「憧れの志望校とぐっと距離を縮めたい…」
そんな受験生におすすめなのが、「引き寄せの法則」です。
その名の通り、志望校との距離を縮め、引き寄せてくれます。
この法則を受験勉強にも生かせば、頼もしい味方になります。
ちょっと都市伝説のような話ではありますが、今回はこの成功を引き寄せる「引き寄せの法則」について真剣に解説したいと思います。
「引き寄せの法則」の例
「引き寄せの法則」が成就すると、次のようなことが起こります。
わかりやすい例を説明しましょう。
- 長年欲しいと思っていたものが手に入った
- 意中の相手と恋愛関係になれた
- 打ち込んでいた部活動で結果が出せた
「引き寄せの法則」を活用すると、受験勉強だけでなく、スポーツや恋愛関係、人間関係など、人生にまつわるさまざまなことで望み通りの結果を叶えやすくなると言われています。
「引き寄せの法則」とはいったいどんなものでしょうか?
もしかすると、単なる「幸運を呼び寄せるおまじない」をイメージするかもしれません。
そうした神秘的な現象(いわゆるオカルト)、あるいは縁起担ぎやゲン担ぎと似ている部分も確かにあるかもしれません。
ですが、本当の意味での「引き寄せの法則」はそれらとは本質的に違い、自分の行動や心理をポジティブな状態にもっていくことです。
上に挙げた例にそれぞれ”成功した原因”を書き足してみましょう。
- まわりの協力が得られた→欲しいと思っていたものが手に入った
- 自分に自信をもてた→恋愛が成就した
- 正しい練習を積み重ねた→結果が出せた
いずれの例も、カギとなる行動や心理の変化があったことが良い結果につながっています。
このようなポジティブな変化をもたらし、運を引き寄せるのが「引き寄せの法則」というわけです。
2通りある「引き寄せの法則」
もっとも、運は実際のところ目に見えない抽象的な概念なので、想像がつきにくいと思います。
「引き寄せの法則」は以下の2通りに解釈することができます。
ひとつめは、自分自身を良い方向に変化させることで良い結果を「引き寄せる」という意味です。
「天は自ら助くる者を助く」という英語圏のことわざが教えるとおり、「自分自身が正しく努力すると良い結果が伴う」という基本原則です。
先の例で言うと、「恋愛や部活で結果が出た」ことにあたります。
ふたつめは、周囲にいる助けてくれる人を「引き寄せる」という意味です。
「日頃から人を助けて善い行いをすると、困った時にまわりが助けてくれる」という道徳則に基づくものです。
「勉強がうまくいかなくて困っている」「でもうまくいくように日々がんばっている」というシグナルを発信していると、助けを得やすくなります。
先の例で言うと、「欲しい物が手に入った」ことにあたります。
これらの総合的な結果として、「幸運を引き寄せる」のだと考えられます。
「引き寄せの法則」=自己暗示
まず、ひとつめの「自分自身の変化」について説明しましょう。
心理状態を良い方向に導くことは「自己暗示」とも呼ばれます。
この意味での「引き寄せの法則」は、ポジティブな自己暗示をかける行為ともいえます。
野球の大谷選手やサッカーの本田選手は小さい頃からプロ選手になって活躍する夢をもち、実現しました。
宇宙旅行を実現した前澤友作さんは、小さい頃から宇宙旅行を夢見ていたそうです。
これらはまさに「自己暗示」の良い例です。
では、具体的にどうすればよいのでしょうか?
自己暗示にはさまざまな方法がありますが、基本的には「叶ってほしいことを強く願う」ことです。
「願うだけで叶うわけがない」「願うだけでは合格できない。最低限の勉強量が必要だ」と疑われるかもしれませんが、これには根拠があります。
そもそも、「最低限の勉強量」をこなすことは誰しも簡単なことではありません。
困難を乗り越えるには正しい方法を知るだけでなく、自分を奮い立たせて自信をもち、「やればできる!」とモチベーションを上げ続けることが何よりも大切です。
そのための心強い味方になり得るのが、自己暗示だと理解するとよいでしょう。
最も簡単な方法は”唱えること”
では、自己暗示をかける最も簡単な方法は何でしょうか?
それは、叶えたい願いを「ブツブツ…」とつぶやくことです。
この方法は、まわりでやっている人をわりと見かけたことがあるでしょう。
スポーツが良い例で、大事な試合の最中に「緊張するな!」「もっと足を動かせ!」と唱えると、こわばった体が本当にその通り動くものです。
繰り返して口に出すと、自分の言葉を何度も自分で聞くことになり、脳に強い暗示がかかります。
この方法は、瞬間的な効果が求められるスポーツだけでなく、長期的な目標の場合にも有効です。
つぶやくことで暗示が頭に残り、願いが叶いやすくなります。
また、自分に嘘をつかないように良いプレッシャーがかかり、願いを叶えようと行動するようになります。
「不言実行」より「有言実行」がしばしば奨励されるのはこのためです。
さらに、周囲の人たちにも自分の願いが伝わることで「その願い、叶えてあげよう」と手助けしてくれる効果も生み出します。
自分を助けてくれる人を引き寄せる、まさに「引き寄せの法則」です。
自己暗示のしくみ:無意識のプロセス
では、自己暗示はどうして効果的なのでしょうか?どのような根拠があるのでしょうか?
自己暗示は、人に備わる潜在的な意識の力を利用しています。
19世紀オーストリアの心理学者ジークムント・フロイトは、人間の心理は「意識・前意識・無意識」の3段階の階層で構成されているとしました。
「無意識」の概念を明確に打ち出したのです。
現在の理解では必ずしもこの図式の通りではありませんが、「意識下のプロセス=無意識」のコンセプト自体は今も受け継がれています。
この図式の説明には「海の上に浮かぶ巨大な氷(大部分が海中に沈んでいる)」のイラストがよく用いられます。
氷全体を”人間の心”とすると、「意識」は「海面より上にあって見えている部分」にあたります。
これに対し、「前意識」は「ちょうど海面のあたりの境目の部分」にあたり、「無意識」は「海面より下にある見えない部分」となります。
つまり、人間の脳で行われるプロセスのうち、ふだん意識しているもの(見えているものや考えていること)はほんの一部に過ぎないということです。
むしろ、プロセスの大部分は「意識されていない=気づいていない、考えていない」のです。
このことは、”たった今取った行動”も十分考えた末に決められているわけではなく、多くの場合、「無意識」のうちに決められていることを意味します。
自己暗示はこの「無意識」の部分にアプローチし、行動原則を根本的に変えようとするものです。
「有名進学校」が良い本当の理由
突然ですが、有名な進学校に通うことには、どのようなメリットがあると思いますか?
一般的な回答としては、「進学実績があるから」「進学・就職に有利だから」「卒業後に人脈が得られるから」などの理由になるかと思います。
では、なぜ有名な進学校は「進学実績があり」「進学・就職に有利」なのでしょうか?
おそらく、「授業や課題の質が高いから」「良い先生がいるから」「設備が充実しているから」といった回答になるかと思われます。
それも間違いではありません。
ですが、本当に大きな理由は「まわりにレベルの高い生徒が集まるから」です。
ここで言う「レベルの高い」は「優秀で学力が高い」だけでなく、「高い目標や志をもっている」という意味です。
有名進学校であるほど集まる生徒の母数が多くなるため、レベルの高い生徒が集まりやすくなります。
朱に交われば赤くなる
では、どうして「レベルの高い生徒が集まっている」ことがそんなに大事なのでしょうか?
「朱に交われば赤くなる」と言われる通り、人間はまわりの環境に大きく左右されます。
とりわけ、日本は”同調圧力”と呼ばれる文化的傾向が強く、よほど例外的な人でない限り、この原則は誰にも等しく当てはまります。
身近な人間の日頃の行動習性は、本人も気づかないうちに大きな影響を与えるものです。
ごく身近な友人たちが習慣的に勉強していれば、「よし、自分も」と自然に机に向かうようになるでしょう。
その方が話題も合うし、学校生活も楽しくなるからです。
こうして、気が向かない勉強も自己暗示によって「無意識」のうちにするようになるわけです。
つまり、どれほど優秀な人間でも、まわりのレベルが低ければそれに流されてしまいます。
逆に、あまり優秀でなかったとしても、まわりのレベルが高い環境にいれば、それだけで当人のレベルは自然と上がります。
これこそ、「引き寄せの法則」の最たるものです。
とはいえ、有名進学校に通うだけで「引き寄せの法則」を満たせるわけではありません。
進学校に通ったとしても、仮に”悪童グループ”に入ってしまえば元も子もありません。
逆に、パッとしない学校に通っていたとしても、校内のレベルの高い子たちで形成される集団に属していれば、才能は伸びることでしょう。
弱小の野球チームが一人の名将によって志を高め、甲子園に出場するといったサクセスストーリーも事実として存在します。
どんな環境に置かれようと、できるだけレベルの高い仲間と毎日を過ごすことが「引き寄せの法則」につながります。
進学校が近くにない場合は、評判の良い進学塾でもよいでしょう。
イメージのもつ強い力
では、「有名な進学校や進学塾に入る」以外に、どうやって「無意識」にアプローチすればよいでしょうか?
それは、「良いイメージをもつ」ことです。
なぜなら、「イメージできる(=頭に描く)ことは実現しやすい」という心理学的な法則があるからです。
この法則を極端に言い換えたのが、「人間が想像できることは、人間は全て実現できる」という19世紀フランスのSF作家ジュール・ヴェルヌの名言です。
高速移動、空中飛行、高層建造物の建築、工場機械による大量自動生産など、人類の生み出したテクノロジーは多くの夢を叶えてきました。
それは、太古の昔から人類がそれらの夢を「イメージ=想像」してきたからです。
逆に言うと、「イメージできない」ことは「実現できない」のです。
「レベルの高い生徒が集まる環境で毎日を過ごす」ことも、やはり「イメージをもつ力」を育むことと大きな関係があります。
レベルの高い仲間、つまり実現力が高い人は「イメージを具体化する力」が高く、多少困難があってもできない理由や不安を口にしません。
むしろ、「〇〇すればできる」と具体的な解決策を見つけようとします。
レベルの高い仲間が良い理由は、このような「具体的なイメージ」を共有できるためです。
記憶に刻むいくつかの方法
では、「具体化されたイメージをもつ」には、どうしたらよいでしょうか?
それは、脳裏に焼き付ける、すなわち記憶に刻みつけることです。
人間は忘れやすい生き物なので、叶えたい目標を忘れないように記憶にとどめる必要があります。
▼記憶力については以下のコラムでも紹介しています。
今回のコラムでは3つの記憶術をご紹介します。
1つは、単純に繰り返すことです。
わかりやすい例は「絶対合格!」と書いた紙をいつも目にする壁に貼っておく、昔ながらのやり方です。
2つめは、写真で記憶することです。
人を含む霊長類は視覚的な動物なので、文字よりも図や写真のほうが、より強い記憶効果があります。
「絶対合格!」と書いて願うしかなかった昔と違い、今はいくらでも関連する画像や動画を入手することができます。
憧れのキャンパスの写真や動画を繰り返し観ることで、合格するイメージを高められます。
3つめは最も強いやり方で、体験によるイメージの記憶です。
五感を使う体験による記憶は、最も強力です。
インターネットがこれだけ発達した今なお、じかに体験することの価値は衰えることはありません。
体験したことは良いにしろ悪いにしろ、なかなか忘れることができないものです。
これを利用したのがオープンキャンパスです。
憧れの学び舎の訪問には喜びと興奮があるだけでなく、まるでそこの学生になったかのような強い自己暗示効果をもたらします。
脳裏に焼き付いたその記憶の脳内イメージと現実のズレを解消すべく、脳が無意識のうちにがんばろうとするでしょう。
関連する本や漫画を読む
また、受験関連の本や漫画を読むことは、いっけん学習とは関係ないようですが、イメージを高めるのに良い方法です。
赤本の合格体験記や受験対策本は、志望校や勉強法に対するイメージを高め、学習の動機づけになります。
また、視覚的なマンガはイメージに最適です。
受験関連の良質なマンガとして、おすすめできる作品は「ドラゴン桜」です。
以前ドラマ化され、近年続編が出たこの作品では、どうすれば志望校に合格するか、リアリティのある方法が満載です。
読者に寄り添った登場人物たちのリアルな心情から、もつべき心構えがわかることでしょう。
具体的な方法もさることながら精神論も語られており、現状と対策のイメージをつかむのによいでしょう。
その他にも以下の記事で「勉強になる漫画・アニメ」をご紹介していますので合わせて読んでみてください。
イメージの頼りすぎに注意
イメージの効用を説明してきましたが、大切なことはイメージに頼りすぎないことです。
受験本番までの時間は限られています。
イメージを誤って活用すると、肝心の学習がおろそかになってしまいます。
たとえば、「合格したら、どこどこに住んで、どんな風にキャンパスで過ごして、サークルはどこに入って、バイトして…」というイメージばかりでは、単なる妄想に過ぎません。
学習のためになるのは、たとえば「数学でこの分野のこういう設問が出たらこう解く!」というような具体的なイメージです。
イメージがたとえ外れたとしても、何度も願うことが大事です。
何度もイメージしていると、自然に解き方が思い浮かぶようになります。
繰り返しているうちに、そうしたイメージがいくつも溜まっていきます。
すると、実際の出題と自分のイメージが合う確率が次第に上がり、予想が的中するという”ラッキー”を引き寄せることになります。
「引き寄せの法則」はつまるところ、見当違いな方向を向いている自分の行動原則を正解へ引き寄せ、”正しい試行錯誤”の回数を増やす手段なのです。
「引き寄せの法則」が有効なもうひとつの理由
「引き寄せの法則」のふたつめの意味は「周囲にいる助けてくれる人を引き寄せる」ことでした。
それが有効なのはなぜでしょうか?
受験は「情報戦」の一種であり、自分の目的に沿った質の高い情報を大量に集める必要があるからです。
自分ひとりの力はわずかであり、集められる情報の密度は低く、高められる能力値にはおのずと限界があります。
成績はわりと良い方で、態度も真面目でありながら、いまいち伸び悩んでいて突出しない受験生は多くいます。
そうした受験生に足りないのは、周囲の協力を得られるプラスの環境です。
高い試練に対して、ひとりで戦いを挑もうとしているのです。
野球やサッカーなどのチームスポーツでは、このことがよくわかります。
個々人の能力が同じくらいのチーム同士が戦う場合、チームワークが良い方が優ります。
それどころか、個人能力が突出していなくてもチームワークが抜群であれば、個人能力の高いチームを打ち破ることもあります。
相手を上回るための良質な情報(戦術)を、チームメイト全員が芯まで共有しているからです。
仲間と協力して乗り越える
受験においても同じです。
困難を乗り越えて高い目標を達成するには、複数で協力して問題の解き方を考え、自分のものにするのが極めて有効です。
得意科目や苦手科目は人によってだいたい異なるため、協力すれば苦手な部分を互いに補い合えます。
何十分もウンウン唸っていた問題が、友人のアドバイスであっけなく解けることはざらにあります。
また、たいていの物事は本に書かれた文章を読むよりも、人との会話の中で覚えるのがいちばん身につきます。
先述のように、体験の記憶のほうが頭に残りやすいからです。
優れた友人との会話は何よりの財産です。
英語であれば、知らなかった単語やイディオムを教えてくれ、ボキャブラリーがどんどん広がるでしょう。
国語では、文の読み方や要旨のつかみ方、選択肢の選び方などが分かるでしょう。
数学や物理・化学・生物では、公式の楽な覚え方や手っ取り早い解法を知れます。
日本史・世界史は歴史について対話しながら、重要なタームや全体の流れをつかめます。
地理・現代社会は、新聞記事や時事ニュースの会話でポイントが整理できます。
どの分野の知識も、机上の勉強だけで身につけるのは困難かつ憂鬱なものです。
気のおけない友人との会話のなかで、自然に覚えていけばそれほど苦になりません。
そのようにして、受験本番では自ら修得した知識だけでなく、まわりから得た知識を総動員して設問に向かうわけです。
決してひとりで戦うのではなく、「あのとき、たしか〇〇と言っていたな…」と想い出しながら。
そのような「良い友人、良い教師に恵まれる」ために「引き寄せの法則」は有効なのです。
まとめ
無意識の深層心理にポジティブな自己暗示をかけ、周囲の手助けを引き寄せる「引き寄せの法則」を受験に応用するには、さまざまな方法があります。
- 目標をつぶやく
- レベルの高い仲間と日々過ごす
- 受験に役立つ本や漫画を読む
- 志望校に入るイメージを高める
- 試験問題の具体的なイメージをもつ
- オープンキャンパスを訪れる
結果として幸運が引き寄せられることから、あたかも魔法のような現象として誤解されますが、あくまで学習への努力や環境づくりといった正しい行為の積み重ねによる現象です。
言い換えれば、「引き寄せの法則」は学習した結果に対する神秘的な行為ではなく、学習に対する自発的な動機を高め、成功に近づくための科学的な行為といえます。
「引き寄せの法則」を正しく活用し、幸運が引き寄せられることを願っています。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。