大学受験では確かな学力のみならずメンタルも必要になります。
また大学受験の勉強とストレスは切っても切れない関係にあり、ストレスを排除するのではなく上手に対処する事が大切です。
本記事は大学受験のお供にストレスマネジメントの方法を特集したものです。
皆さんが安心して勉強することの出来るように大切な情報をまとめています。
大学受験ストレスは誰もが悩む事です
冒頭の文章で「ストレスは排除するのではなく、上手に対処する事が大切」と申し上げましたが、受験勉強のストレスを完全排除する事は出来ません。
それを踏まえた上で、どうやってストレスと上手に付き合えば良いのかを確認する事にしましょう。
ストレス=燃焼している証拠
皆さんは「ストレスのない環境」と聞いてどのようなシーンを想像しますか。
自分の好きなことをして、自分の好きなものを食べてという様なリラックスしている状態を思い浮かべる事になるでしょう。
一方で「ストレスを感じる場面」と聞かれるとどうですか。
両親に叱られるという場面もあるでしょうが、他にも大切な試合の前や授業で発表しなければならないというケースもあるでしょう。
ストレスは自分が燃焼している証拠です。
目標に向かって一所懸命に努力していないとストレスを感じることはありません。
第一志望の入試対策と滑り止めの入試対策でプレッシャーの掛かり具合が違うことを想像して頂けると良いかと思われます。
「どうしてもこの大学で学びたい」と強く願うほど勉強時のストレスは増し、「滑り止めだから」と思えば思うほど緊張感やストレスも軽減されます。
つまり皆さんがストレスを感じている事は誇りに思うべき事とも言えるでしょう。
過度なストレスは皆さんを潰す要因となってしまい好ましいとは言えませんが、適度のストレスであれば上手に対処することができれば大した問題ではありません。
程よいストレスは勉強を加速させる
ストレスが全く無い状態と比較すると、適度のストレスを感じている状態であれば効率よく勉強を進める事が可能です。
具体的には「勉強をしなくてはいけない」と切迫感を覚える事や勉強に対して疲労を感じる程度であれば問題有りません。
これよりも緊張がほぐれてしまうと机に向かう気力が失せてしまったり勉強終了後の達成感が満足に得られないことから継続しなかったりと受験勉強を効率よく進める事は難しくなってきます。
ストレスは悪者だと捉えている方が大多数ですが、ストレスを味方につけることが出来れば快適な受験勉強を送ることが出来ます。
ただしストレスが重すぎたり適切に対処することが出来なかったりする場合は、他人にあたってしまったり勉強から逃げてしまったりと良い影響はありませんので本記事をご覧になってストレスと上手に付き合うようにしましょう。
ストレスマネジメントは一生モノ
ストレスと上手に付き合うことが出来る人は社会人になっても重宝されます。
少し先の話になりますが、今の社会が学生に求めている能力に「社会人基礎力」と呼ばれるものがあります。
3能力12要素が詰め込まれている社会人基礎力ですが、その中に「ストレスコントロール力」と呼ばれる項目があります。
実際の生活ではストレスを感じる事は日常的に存在します。
そのストレスを上手にコントロールする事で例えば意見の衝突や失敗にも対処が可能になるという事でしょう。
受験生活にも大きなストレスが降りかかる場面が必ず訪れます。
この時期にストレスに対処する能力を身に着けておけば、社会人になった際にも、出世して役職がついた場合にも潰れること無く活躍することが可能です。
以下に経済産業省へのリンクを貼っています。
パワーポイント資料がダウンロード可能で社会人基礎力について分かりやすく解説されているので、興味を持たれた方は一度ご覧ください。
※参考:経済産業省「社会人基礎力」
こんな場合は要注意!受験ストレスの代表的な症状
具体的な受験ストレスについて確認しましょう。
本記事をご覧の皆さんは既にストレスを感じられている方が殆どと思われますが、受験ストレスによって無意識のうちに以下のような症状が見られる場合もあります。
「もしかしたら受験のストレスが大きすぎるのかも?」と感じられたらご覧になるようにして下さい。
ストレスで調子が悪くなる原因
ストレスを適度に受けている状態の場合は良いですが、過剰にストレスを感じている場合は体調が大変悪くなります。
心身に悪い影響を与えるストレスは「長時間のストレス」「強いストレス」の2つに分けられ、前者は長い受験生活の中で、後者は突発的に発生するストレスと考えると良いでしょう。
またストレスは環境変化が原因のもの、心理的な原因のもの、そして外傷的な原因のものがあります。
それぞれ詳しく解説すると環境変化が原因のものの場合、例えば大学受験対策を意識して勉強を本格化させた・志望校を変更したなど皆さんの周辺環境が変わることによるストレスを指します。
心理的な原因のストレスに関しては例を挙げてみると先生から志望校変更を打診された・模擬試験で思うような成績を残すことが出来なかったなど、俗に言う「メンタルがやられる」ようなストレスを指します。
病気によって勉強を続けることができなくなったストレスに関しても心理的な要因に入るでしょう。
外傷的なストレスは受験生活ではあまり経験することはありません。
例えば大災害や事件に巻き込まれたりと、皆さんの生命や尊厳に深く傷を残すイベントを経験すると外傷的なストレスを感じることになります。
外傷的なストレスに関してはPTSDなど後遺症が残る可能性がありますので、覚えておくと役に立つかもしれません。
ストレスの掛かる要因は様々ありますが、解決のためにはこころのケア一つで乗り切る必要があることも忘れてはなりません。
大学入試のストレスケアで特に気をつけておきたいストレスは心理的なものです。
皆さんは長期的なストレスも突発的な強いストレス負荷も経験することになるでしょう。
入試が終わるまでは勉強を続けないといけませんから、気持ちの浮き沈みが激しい毎日を過ごす必要があります。
また模擬試験で思ったように成績が伸びなかったり志望校の変更を考えたほうが良いと先生に言われた際は大きなショックを受けるでしょう。
上記のように大きなストレス体験は受験を経験している皆さんであれば誰もが通る道となっており、避けようの無いことであるとも言えます。
具体的な症状に関しては以下に示しているとおりです。
こころの変化
集中力が続かないようになったり、判断力が鈍ってきたと感じたらイライラする前兆ですので警戒するようにしましょう。
心理的な影響は大学受験の勉強を進めるにあたって非常に厄介な敵です。
また精神的な影響では他にも無気力になってしまったり不安にかられたりと、気持ちが不安定な状態が継続するケースもあります。
このような状況が長期間続くと不登校や勉強から逃げ出す、大学進学に対して絶望的になるなどの症状に悪化するほか、最悪の場合はうつ病を発症してしまうケースも確認されています。
症状には個人差があり一概には言えませんが、攻撃的になってしまうケースも数多く見られます。
両親や塾の講師、学校の先生などに強く当たってしまった心当たりがある皆さんは「気持ちが不安定なんだ」と思うようにすると宜しいかと思われます。
誰かにあたってしまった経験がある皆さんは親は悪くないこと、先生は自分の事を思って言葉を掛けてくれているということは既に分かりきっている事でしょう。
何故自分がキレてしまったのか原因が分からずモヤモヤするかもしれませんが、それは皆さんの体がストレスを溜めすぎた末に起こる防衛反応です。
ストレスが既に過剰に掛かっているという事ですので気持ちに不安を覚えた場合は1日でも休息を取る事をお勧めします。
からだの変化
ストレスと体調は密接に関係しています。
よくストレスにやられている状態では免疫力が下がり風邪をひきやすくなると言われていますが間違いではありません。
古くから知恵熱と呼ばれているように長時間の勉強を続けているとストレスによって体調不良に陥ってしまう場合もあります。
発熱や嘔吐、下痢など分かりやすいものから悪寒や睡眠障害まで一見判断のつきづらい症状までストレスによって発症する事が確認されています。
ストレスによる体調不良では個人差こそありますが全身に渡って症状が見られるほか、一般的な病気と区別がつきにくい為、最も気づきづらい影響と言うことも出来ます。
不自然に下痢や嘔吐などの症状が現れたら迷わず医療機関への受診や休養を取るなどの対応を行うようにして下さい。
身体に悪い影響を及ぼすケースでは重症化して入院が必要なケースも見受けられます。
特に受験の追い込みシーズンである秋〜冬は流行病や風邪などと勘違いしてしまう場合もありますので手洗いを丁寧に行いましょう。
行動の変化
突然泣いてしまう、怒り狂う、孤立するなど行動の変化もストレスから来るものです。
理由は分からないが普段とは違う行動をしてしまうという場合も過剰なストレスが掛かっている事を疑うべきでしょう。
他にも食べすぎ・拒食、攻撃的な行動、過激な行動に走るなどが挙げられます。
これらは放置すると普段の生活に適応できず引きこもりになってしまったり、精神の不安定さからうつ病を発症してしまう場合があります。
また努力した結果、自分の思い通りの結果とならなかった場合に無気力になる「燃え尽き症候群」にも注意が必要です。
燃え尽き症候群は熱心に取り組んだ結果、その望みは叶わなかったという場合に起きるものです。
疲労感や絶望感を覚え、無気力になってしまう症状を指します。
必死に頑張った模試の結果が想定より低かった等の場合に起こりやすく、回復には時間がかかりますので頑張りすぎない余裕を持ったスケジュールを組んでおくなどの対策が必要です。
※参考:文部科学省「在外教育施設安全対策資料【心のケア編】第二章」
大学受験のストレスはこうして解消すべし
大学受験の勉強でストレスが溜まると心身ボロボロの状態になってしまいます。
長期間にわたってかかるストレスに関しては定期的にストレスの発散(いわゆるガス抜き)をしてあげる事でストレス感の軽減に繋ぐことが可能です。
朝から晩まで机に張り付くという話はもう昔のものです。
適度なストレスケアを行いながら大学受験を戦い抜きましょう。
目標はスモールステップを意識して
学習はなるべく細かく目標を設定するとストレスが緩和されます。
小さなステップで学習を進めると勉強開始から目標達成のサイクルが短く回数も多くなるので小さな達成感を何回も得ることになります。
また一つひとつの目標が簡単なものになるので、その目標を達成するためのハードルも大変低くなります。
そのためスモールステップで目標を設定し、こまめにストレスを軽減させようという策です。
目標をこまめに設定することで進展状況も明確に知ることが出来ますし、大学入学後も大きなレポートを作成する際に役立ちます。
大きな目標を持つ場合と比較した場合、単元一つひとつに対して深く取り組む事が出来ることもスモールステップで目標設定を行う理由のひとつです。
勉強スケジュールを見直す
大学入試の受験勉強に費やす時間について一度見直してみましょう。
一日中朝から晩まで通しで勉強する事が出来る方であれば問題有りませんが、通常そのような超人的な集中力は持ち合わせていないでしょう。
長時間ずっと勉強する事でストレスが溜まり集中力が切れるので効率よく勉強を進めることは出来ません。
長時間勉強をしたい場合は小休憩を多めに挟むなどの工夫を行いながら、長時間集中する事によるストレスを最小限に抑えられるスケジュール管理を行いましょう。
また一週間のうち最低でも1日は大学受験を忘れ思い切り遊ぶなどの休息日を用意すると良いでしょう。
2日あれば尚良です。
勉強から切り離されてリラックスする事は長期間に渡ってかかるストレスを一旦リセットする効果が見込めますので、受験ストレスによって潰れてしまうリスクを低減することが可能です。
実は毎日起きてから寝るまで毎日勉強を進めるより、定期的にしっかりと休息を取り、心身ともにリフレッシュして勉強を再開する方が効率が良いです。
ストレスによる体調不良や集中力低下のリスクを考えると、やはり休みの日は適度に確保しておきたいところです。
散歩をすると良い
休むとは言えどのように休んでよいのか分からない・休んでいる間に勉強の事を思い出しそうで気が進まないと考えている方は散歩から初めてみると良いかと思われます。
散歩は気軽にリフレッシュする事のできるストレス発散法で運動も兼ねているため心身を手軽にリラックスさせる方法として最適です。
勉強を長時間続けていると同じ姿勢をずっと取り続けている事にもなりますので、肩こりや腰痛などの原因にもなります。
散歩で全身の筋肉を解すことで身身体の負担を低減し、疲れや倦怠感を覚えるリスクを低減することが出来ます。
またお尻の血行を促す効果もあるため、脳にきちんと血液が行き渡るという副産物もあります。
脳に血液が行き渡ると、血液に乗った酸素が多く供給され集中力の回復や記憶力の向上も望めますので、休憩時には散歩をすると良いでしょう。
自分の好きな音楽を楽しむ
最もメジャーなストレス発散法ですが音楽を聴くことも立派なストレス発散法です。
リラックスにはクラシック音楽が良いと言われていますが、関心がない場合は無理にクラシック音楽を聴く必要はないでしょう。
確かにクラシック音楽にはリラックス効果や集中力アップ効果がありますが、皆さんの好きな流行りの音楽を聴くほうがリラックスすることが出来るはずです。
そもそも何故クラシックが集中力を高めてくれるかという話ですが、クラシック音楽は歌詞が存在せず穏やかなテンポの楽曲が多いからです。
歌詞に気を取られることなく、おおらかな気分にさせてくれる為、集中用のBGMはクラシックが良いとされています。
休憩中は上記のような事に気を使う必要はないので、好きな音楽を好きなだけ楽しむほうがストレス低減には効果を発揮します。
カラオケに行って大声で歌ってみるのも良いでしょう。
ただし勉強をすることだけは忘れないようにして下さい。
感謝日記をつけよう
ストレスで他人にあたってしまう事が多い場合は感謝日記をつける事をお勧めします。
感謝日記とはその名の通り、その日に感謝したことを記録する一行日記です。
誰に何を感謝したのかを記録する事によってプラスの感情を見えるようにします。
そうする事で怒りや嫉妬などの負の感情を覆い隠してしまおうと考えたのが感謝日記です。
嬉しい・楽しい・快いなど前向きな気持ちにさせてくれる事を探すため、悪い側面を意識する余裕はなくなります。
プラスの感情を抱くとストレスは低減されるため非常に効果があります。
記録に残すことが恥ずかしく出来ないと考えている方にも是非感謝日記をつけて頂きたいと考えています。
感謝の気持を見えるように記録する事によって後で見返したり、見返した感謝の言葉を見ることで嬉しくなったりする事が可能で、そうすると上記のようなプラスの感情を得ることが出来ます。
ただでさえストレスの溜まる大学受験ですので、なるべく明るく元気に受験生活を送りたいものです。
文部科学省の “CLARINET” を活用しよう
文部科学省ではストレスの要因とそれを打破するための資料を公開しています。
教育者・保護者向けの難しい言葉で書かれていますが、飛ばし飛ばし呼んだとしても、本記事を理解している皆さんであればおおよその要旨は掴めるはずです。
以下のURLから詳しい情報をご覧になれますので、本記事と併せてご覧頂くと理解が深まります。
※参考:文部科学省「CLARINET 第2章 心のケア 各論」
さいごに:ストレスは感じて良い
ストレスと上手に付き合って行く方法をご紹介しました。
ストレスを感じること自体は悪いことではなく、むしろ大学受験に対して真剣に取り組んでいることの現れであるため非常に良いことです。
しかしストレスが過剰に掛かったり長期間ストレスを感じ続けていると心や身体に悪影響を及ぼします。
ストレス対処については現代の社会人にも求められている事で、高校生のうちに上手にストレスを往なす能力を身に着けておけば一生役に立つことでしょう。
基本的な考え方としては「ストレスを弾くのではなく、受け流す事が大切」であり、皆さんからストレスを徹底排除する事は不可能です。
そのため予防的な対策からストレスを感じ始めたときにとってほしい対処法を最後にご紹介しています。
ストレスに押しつぶされて限界まで達している場合は学校のカウンセラーや心療内科、身体に不具合がある場合は街の病院に掛かることを強くお勧めします。
皆さんが苦しむこと無く大学受験を乗り切ることを強く願って本記事を締めくくりたいと思います。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。