『THE世界大学ランキング2020』日本の大学の順位と評価項目

世界大学ランキング 日本は?
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日本ではよく、偏差値ランキングとして大学が並べられます。
日本の枠を超えて、世界大学ランキングというものがあります。

つまり、アメリカのハーバード大学やイギリスのオックスフォード大学など、世界中の有名な大学を集めたランキングを意味します。

日本で高い知名度を誇り、優秀とされている国内の大学は、世界ではどれくらいの位置にいるのでしょうか。
今回は、この世界大学ランキングに焦点を当てて解説していきます。

世界大学ランキングは3つある

3本の指実は、世界大学ランキングとひとえにいっても、ポピュラーなものとして3つ存在しています。
1つは、上海交通大学が発表する世界の大学学術ランキング(Academic Ranking of World Universities)(※)です。

※参考:ShanghaiRanking’s Academic Ranking of World Universities 2019 Press Release

2つ目が、イギリスの教育専門誌「THE(Times Higher Education)」による世界大学ランキング(※)です。

※参考:World University Rankings 2020

3つ目が、やはりイギリスの大学評価機関「クアクアレリ・シモンズ(Quacquarelli Symonds)」による世界大学ランキング(※)です。

※参考:QS World University Rankings® 2020

このうち、最も有名で代表的なのが2つ目の「THE(Times Higher Education)」です。
そこで以下ではこのタイムズ紙によるランキングを例にとってみていきます。

各ランキングにより評価方法が異なる

面白いことに、上記三大世界大学ランキングでは、それぞれで大学順位が大きく異なります。
それはやはり、基準としている評価項目に差異があるからです。

大学の規模に主軸があったり、学術研究の評判に重きが置かれていたり、様々です。

THE世界大学ランキングの評価基準

タイムズ紙のTHE世界大学ランキングは、教育、研究、論文の引用回数、国際性といった評価項目に分けられています。

各項目のなかでも評価ポイントが細分化されていて、たとえば教育、研究のなかでは評判調査のウエイトが高く、両方で全体の33%を占めます。

THE世界大学ランキングのスコアは以下の評価項目が採用されています。

■Teaching(教育)…30%

・タイムズによる評判調査…15%

・教員比率…4.5%

・博士課程学生比率…2.25%

・博士号取得者比率…6%

・大学の収入…2.25%

■Research(研究)…30%

・タイムズによる評判調査…18%

・研究関連収入…6%

・学術の生産性…6%

■Citations(論文引用)…30%

■International Outlook(国際性)…7.5%

・外国籍留学生の割合…2.5%

・外国籍教員の割合…2.5%

・国際連携…2.5%

■Industry Income(産業界からの収入)…7.5%

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日本の大学の順位

ランキングでは、実際に2019年9月16日に発表されたTHE世界大学ランキングの内容についてみていきます。

日本が世界に誇る東京大学は、36位でした。
日本では昔から不動の1位として認知されている東京大学も、世界からみるとまだまだだと分かります。

次いでやはり日本の不動の2番手として歴史のある京都大学についてみると、65位です。

このTHE世界大学ランキングは、世界92カ国の1300の大学がノミネートしています。
このうちの36位、65位ですから、母数を考えればかなり上位にいます。

トップ200に入ると世界のエリート大学

一般に、トップ200に入ると世界的に認められたエリート大学だと考えられています。
とすれば、東京大学、京都大学はトップ200どころか、トップ100に入っているわけですから、日本だけではなく世界的にみても優秀な大学だといえます。

では、東大、京大以外にはどの大学がトップ200入りを果たしているのでしょうか。

残念なことに、日本ではトップ200に入っているエリート大学は、東大と京大の2校のみです。
110校がランクインしているものの、上位には食い込めていません。
上記2校に続くのが、東北大学と東京工業大学ですが、251~300位という位置づけになっています。

日本の課題としては、東大、京大の順位をさらに上げるのはもちろんのこと、それ以上に他の大学が頑張ってトップ200入りを果たすことが挙げられます。

東大、京大以外の大学との順位が開き過ぎているのは誰の目から見ても明らかです。

THE世界大学ランキングの違和感

疑問と理解このTHE世界大学ランキングを見たときに、違和感を覚える日本人は非常に多いです。
というのも、多くの日本人の認識では、早慶はブランド力が高く、東大京大に次ぐ名門大学です。

しかしランキングでは601~800位です。
一方で、医学部は別としても帝京大学は大東亜帝国の一角をなして、その大学群は、中堅大学群の日東駒専以下とされています。

その帝京大学が早慶よりも上、というのはいかにも日本人の感覚すると納得できません。

この理由は既に述べたようにTHEランキングの評価指標にあります。
このランキングでは特にアメリカやイギリスの大学が上位にくるように設計されています。

実際、THEランキング2020の1位~10位は、オックスフォード大学(1位、イギリス)やケンブリッジ大学(3位、イギリス)、ハーバード大学(7位、アメリカ)、スタンフォード大学(4位、アメリカ)、シカゴ大学(9位、アメリカ)など、アメリカとイギリスの大学で占められています。

THEランキングは「研究」重視

研究者大学ランキングと聞くと、ぱっとイメージするのは、教授や生徒の質です。
率直にいえば、頭の良い教授、頭の良い学生がたくさんいる大学が、すべからく上位に来るだろう、と考えます。

しかし、THEランキングはそうではなくて、あくまで研究を重視しています。
論文の引用回数が評価項目の30%を占めているのがその表れです。

研究が重視されますから、どうしても文系よりも理系、特に医学部がある大学のほうが上位に来る傾向があります。

慶應は確かに医学部がありますが、早慶といえば多くの人にとって、文系がメインの大学だという認識が強いです。
文系の強い大学は、どうしてもTHEだと上位にいけない状況があります。

文系最強の一橋は評価軸にはまらない

その証拠に、日本における理系大学最強の東京工業大学は251~300位でしたが、文系最強である一橋大学はなんとランク外です。

一橋大学には当然、理系がありませんから、このような結果になったと考えられます。
早慶が601~800位に入っているのに、一橋がランク外というのは全く納得できません。

日本人のイメージからいえば、京大が65位なら一橋も同じぐらいのところにいなければおかしいです。
なんせ日本では東京一工と括られているぐらいです。

主要大学の各順位

36位 東京大学

65位 京都大学

251~300位 東北大学、東京工業大学

301~350位 名古屋大学、大阪大学

351~400位 産業医科大学

401~500位 藤田医科大学、北海道大学、九州大学、帝京大学、東京医科歯科大学、筑波大学

501~600位 関西医科大学、横浜市立大学

601~800位 会津大学、広島大学、東京慈恵会医科大学、慶應義塾大学、近畿大学、神戸大学、久留米大学、日本医科大学、首都大学東京、早稲田大学

これを見れば一目瞭然のとおり、文系が強い大学よりも、理系に注力している国公立大学、医学部を持つ大学が上位に来ます。

帝京大学が北海道大学、九州大学と並ぶ理由

特に違和感があるのは、先ほども指摘したように帝京大学です。
北海道大学や九州大学は旧帝国大学として、地方大学ではあるものの国立のなかでは格があります。
筑波大学にしても旧帝までの評価ではないものの、国立のなかでは人気があります。

これらの大学と帝京大学は肩を並べています。

この理由として、研究重視の評価軸が採用されていることが挙げられるのは、先に指摘したとおりです。
この点についてもう少し詳しくみていくと、被論文引用回数が30%のウエイトを占めるだけではなく、博士課程の学生の比率や、博士号の取得者の数が、評価に影響します。

さらに研究による収入や、やはりそれによる学術の生産性も加味されて、いかに研究の比重が重い評価なのかが分かります。

具体的な評価スコアを比較

それではさらに踏み込んで、帝京大学と九州大学、北海道大学の具体的な評価点数をみていきます。

  • 九州大学…教育46.2、研究39.8、論文引用回数34.0
  • 北海道大学…教育45.0、研究39.7、論文引用回数34.9
  • 帝京大学…教育13.7、研究10.2、論文引用回数93.1

ひと目で分かる違いがあります。
論文引用回数に他なりません。
九州大学や北海道大学に比べて、教育や研究のスコアは帝京大学のほうが劣っています。

しかし、論文引用回数のスコアで逆転しています。
THEランキングでいうと、研究が重視されるのはもちろんですが、なかでも論文引用の項目が重要だと分かります。

THEは論文引用回数が明暗を分ける

新薬研究論文も発表されれば良いというものではなく、神経科学、分子生物、遺伝学といった分野が特に引用回数を稼ぎやすいです。
実際、帝京大学は医学部があることもあり、これら分野の論文数が非常に多く、結果、引用回数も他の大学に比して随一の多さになったというわけです。

東京大学や京都大学が世界の大学のなかで評価され、トップ10入りを果たすためには、この論文引用を重視すべきだという声があります。

東大・京大は論文引用が少ない

たとえば中国の東大というべき北京大学と比較すると、東大は教育、研究、産業収入などの項目で勝っているものの、論文引用で遅れを取っています。
実際、THE世界大学ランキング2020でも、北京大学は31位で東大(36位)は負けています。

とまれ、THEランキングはあくまでタイムズ紙が主催する1つの評価軸にのっとった、ある意味で恣意的なランキングに過ぎず、これを上げたいがために研究をする、というのは本末転倒といえます。

真に知的探求のための学術研究にいそしみ、その結果としてたまたまTHEの評価項目とはまって順位が上がった、というのが最も自然で意味のある結果です。

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THE世界大学ランキングについてまとめ

日本人として、日本の大学が世界大学ランキングで上位に入っていると嬉しいものです。
ただ、純粋な賢さを競っているランキングではなく、実際のところ偏った評価項目でランク付けされているのは確かです。

タイムズ紙のTHEランキングはとりわけ研究重視、なかでも論文引用回数が大きなウエイトを有しています。
実際、遺伝学など引用されやすい分野があり、この論文を多く発表している大学だと、実際以上の評価が得られることも珍しくありません。

東大や京大のように、逆にここで損をする大学も多いです。

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この記事を監修した人

チーム個別指導塾
「大成会」代表
池端 祐次

2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。


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公開日:2020年1月17日 更新日:2024年2月28日
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