授業についていけない児童・生徒は、とてもつらい思いをしているはずです。
子供たちは生活の大半を学校で過ごし、その学校での時間のほとんどは授業です。
しかも日本の学校の授業は、先生が児童・生徒に教えたり覚えさせたりすることがメーンになっています。
その状態で先生の話がまったく理解できないのでは、退屈の極みです。
退屈な時間はときに、つらいことをしているときより苦痛になることがあります。
なぜ、特定の児童・生徒は、授業についていけなくなってしまうのでしょうか。
その答えはたくさんありすぎて、一気に紹介することはできません。
そこでこの記事では、高校生に絞って、授業についていけない原因と対策を検討してみます。
授業についていけない原因
高校生が授業についていけないのは、とても深刻です。
なぜなら生徒たちは、入試という「ふるい」にかけられて高校に入っているので、学力に合った授業が受けられるはずだからです。
勉強ができる生徒は、難しい授業をする進学校に入り、勉強が苦手な生徒は、易しい授業をする高校に入っているはずです。
それでも授業についていけないので、問題は根深いと考えるべきでしょう。
適切な対策を打ち出すためには、まずは授業についていけない原因を丁寧に洗い出す必要があります。
勉強が難しい
最も単純で、最も深刻な理由は、生徒が勉強を難しく感じていることです。
授業が難しくてわからないから、ついていけないわけです。
なぜ難しいと感じるのでしょうか。
それは「中学校の勉強と高校の勉強の違い」は「小学校の勉強と中学校の勉強の違い」より大きいからです。
中学校の勉強は、小学校の勉強の延長線にあります。
そのため、小学校では勉強ができたほうなのに、中学に入って急にできなくなった、という子供はあまりみかけません。
一方で高校の勉強は、大学での勉強に役立つようにつくられています。
それで高校の授業は、内容がかなり高度化しています。
そのため、中学で成績がよかった子供が、高校に入って落ちこぼれてしまうことはよくあります。
例えば英語は、中学レベルと高校レベルでは「雲泥の差」があります。
中学の英語の教科書に登場する話題はほのぼのしたものが多いのに、高校の教科書になると社会問題を扱った英文が普通に出てきます。
そして特に、進学校にギリギリの成績で入った生徒は、レベルの高い授業に驚いているでしょう。
そして授業の進み方の速さにもとまどっているはずです。
進学校のなかには、高2の終わりまでに高3までの内容を教えるところもあります。
そして高3の1年間は、予備校のように受験勉強に徹するわけです。
このようなハードな授業には、生半可な気持ちではついていくことができません。
つまずいたままになっている
高校の勉強は難しいので、授業で一度つまずいてそのままにしておくと、勉強が次の領域に入ったときにまったく理解できないことがあります。
英語は、文法の知識が一部でも抜け落ちると、そこが「穴」になってしまいます。
「穴」があると、英語長文を読むときに、ところどころに意味不明な部分ができてしまいます。
意味不明な部分があると前後のつながりがみえなくなってしまうので、英単語の意味はわかっているのに、英語長文が何をいっているのか全然わからない状態になります。
これでは勉強をする気が失せてしまいます。
授業がつまらない
残念ながら、授業が上手ではない高校の先生はいます。
授業は一種のライブ・パフォーマンスでありショーなのですが、それを理解していない教師はいます。
落語家は1人で、話術だけで観客たちを笑わせます。
それと同じように高校の教師も、1人で話術と板書と教科書だけ生徒たちに知識を与えます。
落語家が客たちを笑わせるために高度な技術を駆使するように、教師も生徒に「わかった!」と思わせるために高度な教授法を駆使しなければなりません。
生徒を飽きさせない工夫も必要です。
しかしそのような高度なスキルを持っていない教師は、少なくありません。
ひどい教師になると、生徒に順番に教科書を音読させ、その次に自分で教科書を音読して「教えた」ことにしています。
そのような教師に当たってしまった生徒は、不幸としかいいようがありません。
授業についていけない生徒が生まれるのは当然です。
授業が下手な先生がいる一方で、雑談を織り交ぜたり、体験談を盛り込んだりしながら、生徒たちを楽しませつつ授業を進める優秀な先生もいます。
ではなぜ高校では、教師の質にこれほどの差がつくのでしょうか。
公立高校では特にそうなのですが、生徒の学力が向上しても低下しても、教師の人事評価に大きな影響を与えないからです。
高校から大量の北大合格者が出ても教師にボーナスが出るわけではありません。
クラスから留年者が出ても教師のボーナスが削られるわけではありません。
そのため高校には、つまらない授業をする教師が存在し続けるのです。
勉強する意味がわからない
生徒が、勉強する意味を理解していなかったり、勉強することに意味などないと思っていたりすると、次第に授業に追いついていけなくなります。
「好きこそものの上手なれ」の逆で「嫌いは下手の始まり」です。
授業についていくための対策
今、授業についていけなくても、まったくあせる必要はありません。
授業についていくための対策は、原因と同じくらいたくさんあります。
ただし、原因と対策は、組み合わせが重要です。
「このような原因を抱えている生徒には、この対策がよい」というマッチングがありますので、ひとつの対策を取ってうまくいかなかったからといってあきらめるのではなく、すぐに次の対策を実施してみてください。
達成感を味わう
学力が低いために授業についていけない生徒や、難しいと感じているから授業についていけない生徒には、達成感がカギを握ります。
人は現金なもので「無駄な努力はしたくない」「見返りが大きいのなら、惜しみなく努力したい」と考えがちです。
この気持ちは、子供にも大人にもあります。
それで生徒のなかには、授業が難しいと感じたら、負けじと追いつこうとするのではなく、逆に授業を放棄してしまうこともあります。
授業についていくことが、無駄な努力に感じているからです。
「今から勉強しても、どうせ授業に追いつけない」とあきらめてしまう生徒もいます。
そこで、授業についていけない生徒は、早急に「これだけの勉強量をこなせば、確実にこれだけ学力が上がる」という体験をするようにしてください。
保護者や教師は、そのような体験を、生徒にさせてください。
勉強には、「やればできる」「やらないからできていない」という大原則があります。
努力が報われることを知った生徒は、この大原則を理解できるようになり、努力を惜しまなくなるでしょう。
授業が上手な人の授業を受ける
授業が詰まらないから、授業に聞く耳を持たない生徒は、早急に「楽しい授業」を受けるようにしてください。
ただ高校では、学年とクラスによって教師が固定されているので、「つまらない授業」であっても最低でも1年間は我慢して聞かなければなりません。
そこで生徒は、塾など外部の授業を受けるようにしてみてください。
世の中に楽しい授業が存在することを知れば、つまらない授業をずっと受け続けることはないと知ることができ、希望が持てるようになります。
勉強の意義とメリットを知る
勉強をする意義と、学力が上がるメリットを知れば、生徒にがむしゃらさが出てきて「授業に追いつこう」というモチベーションになるでしょう。
「なぜ英語を勉強しなければならないのか、なぜ数学の知識を身につける必要があるのか」
親や教師は、授業についていけない生徒に、その理由を教えてあげましょう。
そして親や教師は、勉強をするメリットを生徒に教えてあげてください。
勉強をすると高偏差値大学に入る道が拓け、高偏差値大学を卒業するとやりがいのある仕事に就きやすくなり、年収が高い会社に入ることができることを教えてあげてください。
授業についていけない状態は「損」であり、頑張って授業に追いつくことは「得」であることを知れば、生徒は勉強に貪欲になるはずです。
塾に行きましょう
高校の授業についていくために、塾に行きましょう。
先ほど、授業についていけなくなったときの対策を確認しましたが、塾ではそのすべてを行なっています。
現状を塾に伝えてください
高校生を対象にした塾には、北大のような難関大学に入るための学力を授ける塾もあれば、授業に追いつくための基礎学力が身につく塾もあります。
学校の授業についていけない高校生は、塾選びのために見学に行ったら、塾の担当者に「現状を包み隠さず」伝えてください。
恥ずかしがったり、見栄を張ったりする必要はありません。
塾には次のことを伝えてください。
- 授業についていけないという事実
- どの教科でつまずいているのか
- 自分では何が原因でつまずいていると考えているのか
- どのような状態になりたいのか(授業についていければよいのか、高校を卒業できればよいのか、大学に進学したいのか、偏差値の高い大学に進学したいのか、など)
このような内容をしっかり伝えることで、そのニーズに応えてくれる塾なのかどうかがわかります。
勉強につまずいている原因を一緒に探してくれたり、学校の様子についていろいろ質問してくれたりする塾なら、安心できるでしょう。
逆に、「授業についていけないのは学力が足りないせい。勉強をするしかない」と、この問題を単純化して考えようとしている塾は、合わないかもしれません。
塾を選ぶときは、どれだけ親身になって考えてくれるか、具体的な対応策は持っているか、といった点に注意してください。
なぜ塾の授業は面白くて楽しいのか
塾講師の授業は、一般的に評判がよいとされています。
面白くて楽しい授業を展開する講師が多いのは事実です。
それは、塾講師が、授業内容について厳しい査定を受けているからです。
塾講師の評価は、生徒たちの成績と、生徒からの評判がすべてです。
「あの講師の授業は詰まらない、わからない、退屈」という声が多くの生徒から寄せられる講師は、強く改善が求められます。
そして改善しなければ、担当を外されることもあります。
塾では、そのようなことが起きないように、講師たちが絶えず授業研究を行なっています。
講師たちがお互いに同僚講師の授業をみて、指摘し合うことも珍しくありません。
シビアな授業研究をしているから、塾の授業は評判がいいのです。
まとめ~生徒のせいは3割くらい?
授業についていけない生徒が誕生してしまうのは、本人のせいであり環境のせいでもあります。
ただ、教師が変わっただけで、それまで授業についていけなかった生徒が、俄然やる気を出すことがあるので、環境のせいのほうが大きいかもしれません。
授業についていけなくなったら、放置せず、対策を講じましょう。
そして対策の取り組みは早ければ早いほどよいでしょう。
「少しわからない」程度のときに対策に乗りだせば、短期間で授業に復帰できるでしょう。
しかし「まったくわからない」状態になってしまうと、根本的な手当てが必要になってしまいます。
それはとても手間がかかり、時間もかかります。
早期に塾に相談しましょう。
塾には、授業についていけない生徒をサポートする使命があります。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。