中学生の敵である公式ですが、中でも因数分解の公式はやっかいな存在です。
私も中学時代は因数分解の公式に苦しめられましたので、その気持ちを理解することが出来ます。
ですが、苦手を苦手のまま放置していると後に学ぶ単元で苦しむことになります。
本記事で因数分解を簡単に攻略するコツを解説していますので、本日のうちに苦手を潰して因数分解を得意な単元へと変えましょう。
因数分解の基本
因数分解とは言葉で言えるものの、それを説明できる人は少ないのではないでしょうか。
因数とは何か、なぜ因数分解をする必要があるのかなどについて理解すると因数分解の楽しさを見つけ出しやすくなります。
因数とは「約数」の事
数学では難しい用語が出てきてうんざりする事が多々あります。
因数もその例に漏れず普段使わない言葉なので、意味がわからず匙を投げる生徒の皆さんが多くおられます。
因数とは「約数」と同じ意味を持ちます。
49の因数は7と7。
21ならば3と7といった具合です。
因数分解の単元ではこの約数(因数)が鍵を握っています。
因数という言葉に馴染みが無くても約数という言葉であれば少し親しみを持つことが出来るのではないでしょうか。
因数分解とは
因数分解とは文字通り「因数に分解する」という意味です。
先程の例をもう一度ご覧いただければお分かりかと思いますが、因数に分解することで数字を簡単にすることが出来ます。
3×4のような単純な計算ではあまり意味はありませんが、長く複雑な計算をする場合は簡単な数字に整理することで計算ミスを防ぐ効果があります。
因数分解をする方法は2つ。
共通因数を見つける方法と公式を使う方法があります。
先に共通因数を見つける方法を紹介します。
共通因数を見つける因数分解の方法
因数分解の基本は共通する因数でまとめる事です。
イメージしやすいように言い換えると「同じ約数はすべてまとめてしまおう」という事です。
以下の例題を一緒に考えてみましょう。
この式では3とxが共通した約数です。
そのため上記の式を3xで割って式の外に出すことが出来ます。
元々ある式は3xで割られた後、括弧でくくることを忘れないようにしましょう。
上記の問題では3x(y+3)が答えです。
計算はここで終了ですが上記の答えを使って因数分解の考え方について見ることにしましょう。
3x(y+3)という計算する時、皆さんはどのようにして問題を解き進めますか。
おそらく多くの方は「分配法則を使う」と答えるでしょう。
その通りで因数分解とは分配法則の逆の手順を行っているに他なりません。
こう考えると、因数分解も難しいことをしているわけでは無いとお分かりいただけるのではないでしょうか。
次は因数分解を楽に解き進めるための公式を紹介します。
因数分解の単元ではこの公式こそが大きな敵で、テストでも点数に差がつくポイントです。
因数分解の公式!覚えるのは3つだけ
既に学校の授業で因数分解を学習している皆さんはタイトルを見て驚かれたかもしれません。
なぜなら学校で学ぶ因数分解の公式は4つだからです。
ですが4つすべてを覚える必要はありません。
共通因数を見つけて括りだす方法のみでは対応しきれない問題に対しては、この公式を活用して解き進める必要があります。
因数分解の公式1:x2-y2=(x+y)(x-y)
中学生の皆さんが真っ先に身に着けている公式がx2-y2=(x+y)(x-y)です。
後に紹介する2種類の公式ほど長いわけでは無いため、この式だけは身につけているというパターンが多いのが特徴です。
御託を並べても仕方ありませんので以下の例題について考えてみましょう。
この形式の問題を見た時に36が6×6、つまり6の二乗であるかを判断出来れば一秒問題でしょう。
見分け方のポイントは「どちらの項も二乗になっているか」です。
答えは公式に当てはめて(x+6)(x-6)です。
確かめ算をする場合は分配法則を使って計算します。
因数分解の公式2:x2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)
次にこの公式について学習しましょう。
この公式のポイントはaとbが「足すと左辺の真ん中の数に、掛けると左辺の一番右の数になる組み合わせを探す」ことを判断するということです。
こちらに関しても例題を用いて説明することにしましょう。
先程解説したポイントを当てはめると「足すと9に、掛けると18の数になる」数の組み合わせを考える必要があります。
3と6であれば足して9に、掛けると18になる組み合わせを満たすことができます。
後はこの数の組み合わせを先程の公式に代入して(x+3)(x+6)と解答を出すことが出来ます。
因数分解の公式3:x2±2xy+y2=(x±y)2
最後の公式です。
元々この公式は+を使う公式と-を使う公式の2種類として紹介されているものですが、本記事では一つの公式として扱います。
理由はどちらの公式も符号以外はすべて一緒だからです。
上記の公式で左辺にある±が正であれば+を、負の数であれば-を当てはめれば良いだけです。
上記の例題では「二倍して18に、二乗して81になる数字を見つける」事がポイントです。
9であれば二倍にすると18になり、二乗すると81になります。
そのため公式に当てはめると答えは(x+9)2と求める事が出来ます。
次は符号がマイナスの場合の例題に取り組みましょう。
この問題でも考えることは一緒です。
二倍して16になり、二乗すると64になる数字を見つけ出すのみです。
この条件を満たす数は8ですので、答えは(x-8)2となります。
式の符号がマイナスなので答えもマイナスの符号をつけるという事を忘れずにしましょう。
中学校で勉強する因数分解の公式は以上の3つです。
ここからは実際の定期試験でどの公式を使えばよいのか判断する方法についてをお伝えします。
因数分解の公式の見分け方
実際に出題される因数分解の問題では「この公式を使って解きなさい」のように、使用するべき公式を教えてくれません。
皆さんが問題を見て判断することになります。
どの公式を使えば良いのか分からないというケースが無いように判別方法を確認しておきましょう。
まずは共通因数があるかどうかを判別し、次に項が三つか二つかを考えるようにしましょう。
式の真ん中の数字が2で割れるか
三つ項がある場合はまず真ん中の項を2で割ることが出来るか確認してみましょう。
上記の例題の場合、真ん中の項は10なので2で割ることが可能です。
10を2で割ると5となりますが、この答えを二乗して右の項と同じになれば先述の公式3に当てはめて解答することが可能です。
実際に公式3に当てはめて答えを求めると(x+5)2であることが分かります。
しかし以下の問題のように公式に当てはめることの出来ない問題も出題される場合があります。
上記の例題ではまず共通因数でまとめて公式に当てはめられるように整理する必要があります。
一番左の項に3という係数がついているので、この3を消す形で式を整理してみましょう。
この式に整理すると因数分解の公式3を利用することが出来ます。
2を2で割ると1、1の二乗は1なので答えは3(x+1)2となります。
括弧の外に出した共通因数の3をつけ忘れないように注意して下さい。
上記のパターンが出来ない場合は公式2を使え!
上記のパターンで対処出来なかった場合は公式2を使って攻略しましょう。
例えば以下の例題をご覧になって下さい。
真ん中の係数は6なので2で割ると答えは3。
これを二乗すると9です。
右の項は8ですので公式3を使用することは出来ません。
この場合は足して6になり、掛けると8になる数字の組み合わせを見つける事になります。
その場合には2と4の組み合わせを発見することが出来ます。
この組み合わせであれば足すと6に、掛け合わせると8になりますよね。
なので、この計算式の答えは(x+2)(x+4)とする事ができます。
そもそも項が2つの場合
項が2つであった場合は公式1に当てはめましょう。
以下の例題は少しトリッキーですが参考になると思いますので掲載します。
上記の問題はどちらの項もある数を二乗したものです。
81x2は9xを、1は1を二乗した数です。
これを公式1に当てはめると(9x+1)(9x-1)という計算結果になります。
数字に惑わされる事無く式を見ることができるよう、参考書や教科書の例題に慣れておくようにしましょう。
おわりに:因数分解はパターン化しよう
因数分解は覚える公式がこれまでよりも多くなるため多くの中学生の皆さんが苦手とする単元です。
ですが因数分解とは何か理解する事や公式を整理して多くの問題を解くことで確実に身につける事が出来ます。
覚える公式は三種類。
それを踏まえた上で
- 項はいくつか、共通因数で括れるものはないか?
- 項が三つの場合、真ん中の係数を半分にした数が右側の項の平方根かどうか?
という順番で解答を進めると比較的スムーズではないかと思います。
公式は実際に問題演習を通じて覚えるとスムーズです。
最初は訳がわからず苦戦すると思いますが、教科書やノートを確認しながら公式を使っているうちに自分の物にする事が出来ます。
難しい単元ですが、後に学習する単元で不可欠なものですので頑張ってマスターして下さい。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。