小学校受験の真実

小学校受験の真実とは?【北海道と東京の違い】

東京では、ブランド私立小学校や国立大学の附属小学校に入るために、小さな子供たちが熾烈な競争を繰り広げています。
小学校受験は「お受験」と呼ばれ、教育熱心なパパとママにせかされて、幼稚園児たちが受験勉強に励んでいます。

一方、北海道では「小学校に入るために受験をする子供がいるのか」と驚く人がいるかもしれません。
また「お受験」という言葉くらいは知っていても、我が事と感じている人は多くはないでしょう。

それは、熾烈な競争をしなければならない小学校がほとんど存在しないからです。

では、北海道の子供と保護者は、もっとあせったほうがいいのでしょうか。

小学校受験の真実を、北海道と東京を比較しながら解説します。
小学校入試の問題にはユニークなものがあるので、それも紹介します。

熾烈を極める東京の「お受験」

お受験ブームは20072009年度に到来し、そのころは小学校受験に挑戦する幼児が全国に4万人もいました。

それよりは沈静化したとはいえ2019年現在も、お受験挑戦者は35千人ほどいます。

慶応は6946万円、年100万円は珍しくない

お受験といえば慶応でしょう。
慶応ブランドがついた小学校は、慶應義塾幼稚舎と慶應義塾横浜初等部の2つがあり、名実ともに私立小学校のトップです。

幼稚舎は幼稚園ではなく、小学校になります。

積み上がるお金この2校は6年間の学費もトップクラスで、週刊ダイヤモンドの調査によると、慶應義塾幼稚舎は752万円、慶應義塾横浜初等部は946万円になります(※)。

年額はそれぞれ125万円、158万円になります。 

年間学費が100万円を超えるのはその他に、成蹊小学校、立教小学校、桐蔭学園小学部、学習院初等科、青山学院初等部、東京女学館小学校、東洋英和女学院小学部、早稲田実業学校初等部などがあります。

※参考:https://diamond.jp/articles/-/114897?page=2

ブランドより実利を求める流れも

小学校受験には、変化がみえ始めています。

これも週刊ダイヤモンド調べになりますが、慶應義塾幼稚舎の志願者数は2011年度の1,944人から2017年度には1,495人へと23%も減っています。

成蹊小学校も同じ期間、849人から635人へと25%減っています。

いくらブランド小学校とはいえ、少子化の波には抗えないということなのかもしれませんが、それでも志願者数を増やしている小学校があります。

目黒星美学園小学校は2011年度の188人から2017年度の548人へと3倍に増やしています。
その他、東洋英和女学院小学部は同期間に304人から513人へと69%増、洗足学園小学校は314人から445人へと42%増となっています。

大学生の女子生徒この3つの小学校に共通しているのは中学受験に強いことです。
つまり今人気になっている私立小学校は、よい高校に入りやすいよい中学校に卒業生を送り込めるところ、です。

東京の保護者たちは、小学校のブランドだけでなく、中学校のブランドや、さらにその先の高校のブランドや大学のブランドを見据えて、自分の子供を小学受験に臨ませています。

消費生活でもブランドより実利を求める動きがみられますが、お受験でも同じ流れがあるようです。

小学校入試のユニーク問題

小学校入試ではユニークな問題が出ます。
それは幼児に複雑な知識や計算を問うことができないからです。
それでも「賢い子供」を選別しないとならないので、記憶力や思考力を問う問題が多くなり、大人にはユニークに感じられます。

ある私立小学校で出た問題を紹介します(内容を変えずに、一部の単語を変えています)。

これから「ようこちゃんのお誕生日」というお話をします。

お話のあとに、質問をしますので、しっかり聞いてください。

・お話

ようこちゃんの誕生日はいつも雨のことが多く、ほとんど外で遊ぶことができません。今年の誕生日も雨だったので、ようこちゃんは窓の外をみながら、「早く雨がやまないかな」と思っています。

そのときようこちゃんは、庭のアジサイの葉にカタツムリがいることに気がつきました。ようこちゃんは、「雨に濡れて気持ちよさそうにしている」と思いました。

ようこちゃんはそのまま眠ってしまいました。

しばらくしてお父さんから「ようこちゃん、外をみてごらん」といわれて、目を覚ましました。外は晴れわたっていました。

ようこちゃんは「外で遊びたい」といいました。お父さんは「これからバーベキューをしよう」といいました。お母さんは今、バーベキューに必要な肉や野菜やジュースを買いに行っていて、あと30分ほどで帰ってくるそうです。

それで、ようこちゃんとお父さんは、庭にバーベキュー用のコンロを置き、炭を使って火を起こすことにしました。

・質問

下の写真をみて、今読み上げたお話と、仲よしのものに、赤で○をつけましょう。

お話に出てこなかったものに、青で○をつけましょう。

1アジサイ

2カタツムリ

3花火

4冬景色

5雨景色

この問題は、記憶力と想像力をみる問題です。

設問のお話の内容は単純ですが、試験官が一度読み上げるだけなので、子供は話を記憶していかなければなりません。

もちろん、一言一句完璧に覚えることはできないので、梅雨の場面やアジサイとカタツムリの場面やバーベキューの場面などを想像して覚えていくことになります。

試験問題は、5枚の写真のなかから、お話と関係あるものと関係ないものを選ぶ内容になっています。

写真は1)カタツムリ、2)アジサイ、3)花火、4)雪景色、5)雨の水面です。
1)カタツムリ、2)アジサイ、5)雨の水面を関係あるものに選び
3)花火と4)雪景色を関係ないものとしなければなりません。

お話の後半のバーベキューのくだりが試験問題にまったく出てこないところがポイントです。
お話がバーベキューに変わった時点で、梅雨のことや雨の風景のことを忘れてしまった子供は、この問題に正答できません。

お受験の試験では、この問題のように、時間をかけたり、落ち着いて考えたりすれば解けるものの、「急にいわれると混乱する」ものが出題される傾向にあります。

北海道のトップは国立・北海道教育大附属札幌小学校

北海道にも小学校受験は存在しますが、それほど熾烈ではありません。

「お受験らしいお受験」が展開されるのは、国立・北海道教育大附属札幌小学校(以下、札幌小学校)くらいでしょう。

最先端の教育を受けられる

札幌小学校に子供を通わせる魅力は、通常の小学校で行われている初等普通教育に加えて、北海道教育大の学生による教育実施研究や、教育的な実験や実践が行われることです。

札幌小学校の子供たちには、最先端の教育学で生み出されたばかりの教育を受けられるチャンスがあります。

しっかり指導、管理された教師に教わることができる

そして札幌小学校の教師たちは、常に北海道教育大の教授たちの指導を受けています。
これも保護者には魅力があるでしょう。

一般的な公立小学校の教師たちは、新人で赴任して23年で学級担任を任されます。
担任を任されたら、原則1人で学級運営をすることになります。
もちろん、校長や先輩教師から教えを受けることはできますが、常に授業が監視されるといったことはありません。

つまり一般的な公立小学校では、社会人23年生の新米教師が、3040人を統率することになります。
このような人材配置は、一般企業では考えられません。

若い教師が学級をまとめられなかったり問題を起こしたりするのは、社会人として成長していないうちから、「大人数のボス」になってしまうことも一因と考えられます(※1)。

※参考1:https://ddnavi.com/news/239360/a/

札幌小学校の教師たちはそうはいきません。
全教師が毎年、研究主題を立てて授業を提案しなければなりません。
そして北海道教育大の教授たちが教師たちを指導します(※2)。

札幌小学校ではこれを「事前研究会」と呼んでいます。

こうした厳しい訓練を受けている教師から学べることは、札幌小学校に通う大きなメリットといえるでしょう。

※参考2:https://www.hokkyodai.ac.jp/fuzoku_sap_syo/study/teach.html

都心部から離れている点がネック?

ただ、それでも「札幌小学校への入学をめぐり、激しいお受験戦争が展開されている」というニュースを聞きません。

それは札幌小学校が札幌市北区あいの里にあることと関係しているでしょう。

あいの里は学習環境としてはとてもよい場所ですが、札幌の教育熱心な富裕層が住む中央区の円山や宮の森から遠く離れています。
円山からだと、地下鉄円山駅から東西線に乗って、大通り駅で南北線に乗り換えて、終点麻生駅で降りて、そこからバスに乗らなければなりません。
麻生駅からはスクールバスが出ています。

保護者が送迎するとなると、かなり大変です。
子供が1人で通えるようになっても、片道1時間以上かかることもあるでしょう。

そうなると、地元の市立小学校に通わせて通学時間を短縮して、塾に通わせたほうが学力を上げるのには有利かもしれません。

札幌小学校に通わせたい多くの親は、子供を将来、北大のような高偏差値大学に入れたいと思っているのではないでしょうか。
そうなると、札幌小学校から離れた場所に住んでいる家庭では、「遠くの札幌小学校」か「近くの市立小学校+塾」かで悩むでしょう。

札幌小学校の入試

札幌小学校の入学選考(入試)の流れを紹介します。

保護者と子供は、入学の前年度から準備する必要があります。

授業参観5月と7月と9月にオープンスクールという学校見学会があるので、これは3回とも出席したほうがよさそうです。

5月と7月のオープンスクールは学校の概要説明と授業参観が行われるだけですが、9月のオープンスクールでは願書提出に関わる説明が行われるからです。

その後10月に入学選考説明会が開かれるので、これにも参加することになります。

入学選考は12月に2日間にわたって行われ、初日の第1次考査は、子供への適正試験を行います。
2日目の第2次考査は、子供と保護者への面接です。

合否は12月中に判明します。

旭川、釧路、函館小学校に競争はない?

北海道教育大の附属小学校は札幌小学校以外に、旭川小学校、釧路小学校、函館小学校がありますが、お受験と呼べるような競争は展開されていません。

例えば釧路小学校に至っては、釧路市立の小学校のほうが人気があるくらいです。

私立札幌三育小学校のこと

北海道にも私立小学校があります。

そのひとつ、札幌三育小学校を紹介します。

札幌三育小学校の外観

札幌三育小学校の魅力は、英語教育に力を入れていることです。
しかもキリスト教系の学校なので、西洋人の精神的支柱であり、教養の基本にもなっている聖書(バイブル)を英語で学ぶことができます。
自分の子供を将来、グローバルに活躍できる人にしたいと思っている保護者には、理想の教育といえるでしょう。

しかも英語を教えるのは、英語を母国語しているネイティブの教師です。

札幌三育小学校では「英語を、ではなく、英語で学ぶ」ことができます。

北海道でお受験する意味はあるのか

疑問と理解北海道の幼児と保護者が、お受験に挑戦する意味を考えてみましょう。
結論からいうと、あまり意味がないでしょう。

例えば、保護者が自分の子供に、将来北大に入ってほしいと思うのであれば、特別な小学校に入るために幼児のころから無理に勉強させなくてもよいでしょう。

最寄りの市町村立の小学校に入れて伸び伸び育て、最寄りの市町村立の中学校に入ってから塾に行かせて高校受験に備えさせ、進学高校に入って猛勉強をすれば、北大入試は十分間に合います。

ただエリート教育を受けさせたいのであれば、幼児にお受験をさせて小学生から「グレードの高い教育」を受けさせるメリットはあるでしょう。

しかしそれでも、市立小学校が、附属小学校や私立小学校よりグレードの低い教育を提供しているわけではありません。

特別な教育はしていなくても、質の高い教育を提供している市町村立小学校はたくさんあります。

まとめ~頑張りたい子供にはいいかもしれない

東京のお受験はやりすぎの感が否めません。
お金に余裕がある人がブランドを追い求めるのは趣味の範囲として許容できるとしても、ブランド意識を小さな子供に植え付けるのは賛否あるでしょう。

ただ、小学校にあがる前であっても、向上心が強い幼児はいます。
保護者が「小学校受験をしてみたい?」と聞いて、幼児が「うん!」と喜んだら、頑張る体験としてお受験に挑戦させてもよいかもしれません。

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