中高一貫校のメリット・デメリット

【中高一貫校】のメリットとデメリットを解説【北海道に20校以上】

文部科学省の発表したデータによると、全国の中高一貫校数は年々上昇傾向にあります(※)。
平成25年時点では450校でしたが、平成28年には595校となっています。

人気の理由はなんなのでしょうか。
今回は、特に中高一貫校のメリットやデメリットについて解説していきます。

※参考:文部科学省 高等学校教育の改革に関する推進状況について  

北海道の中高一貫校は20以上

北海道にも、私立や公立の中高一貫校が合わせて20校以上存在しています。

公立では、札幌開成中等教育学校や北海道教育大学附属旭川中学校、羅臼中学校などが有名です(この3校はいずれも共学)。
私立では、函館ラ・サール高校(男子校)や立命館慶祥中学校(共学)、藤女子中学校(女子校)などがあります。

中高一貫校のメリット

高校受験がない

受験票中高一貫校の最大のメリットは、高校受験がないということです。
一貫校でないと、高校に進学するには原則として受験をしなければなりません。

特に併願や第二志望は推薦で決めることができても、本命の高校に入るには、多くの人が筆記試験を受けて入ります。

高校受験は大きな負担

特にそれまで公立の小学校、中学校に通ってきた人にとっては、初めての受験となります。
必要以上にナーバスになったり、親のほうも子どもが初めての受験だと、神経質になったりすることがあります。

高校に苦労して入っても、少し経てばまた今度は大学受験に向けた勉強が始まります。
特に東京一工(東大、京大、一橋、東工大)といった国立のなかでもトップ4校を第一志望とする場合、高校1年生のときから大学受験を意識した勉強を始めることが望まれます(東大の理科2類など比較的に入りやすい学部は2年以降からでも可)。

第一志望の高校、第一志望の大学、とこだわるのであれば、学生生活のほとんどを受験勉強に費やさなければなりません。

しかし、中高一貫校であれば、中学のときから大学受験を意識すれば良いだけで、高校の入試はカットできます。
学習塾のほうでも、もちろん高校受験を意識した授業はなされず、中学生なら高校の勉強の先取り、さらに第一志望の大学や学部が決まっているのであれば、その対策を余裕を持って少しずつ早い段階から始められます。

これは中高一貫校の大きなメリットです。

中学から大学受験を意識して生活できる

普通の中学に通っている子が必死に高校受験の勉強をしているなか、自分はそれまでのペースと変わらず、よりその先の目標(大学受験)だけを見て、余計な勉強をせずに進んでいけます。

中学から6年という長い期間のなかで、着実に大学合格に焦点を当てて動いていけるのが利点です。

生徒の水準が担保されている

学生の集団第二のメリットは、勉強の観点で恐ろしくレベルの低い生徒がいないか、限りなく少ないことです。

普通の公立の中学だと、どんなに勉強が嫌いで全くできなくて遊びほうけている子でも、当たり前に入れます。
大学で法律の勉強をすれば分かりますが、これは憲法26条の学習権として保障されています。

いわば人権として認められているので、勉強をする気がない子も、中学までは学区の公立なら通えます。

高校受験になると、全く勉強のできない子が進学を希望するとしたら、公立のどこにも受からなくて、名前だけ書けば受かるような試験を受けて私立の高校に行きます。

中高一貫校であれば、その学校の偏差値にもよりますが、基本的には試験に受かった子が来るので、一定以上の学力は担保されています。

親の質も公立に比べれば安心

公立よりも高額の費用を払って中高一貫校にいかせる家庭ですから、親などの環境的にも、やはり一定水準が確保されているといえます。

先生の話をしっかりと聞いて、勉強をするのが当たり前な子たちといると、自分の勉強もはかどるものです。
公立の中学(一貫校でない中学)でありうるような、急に授業中に机を蹴飛ばして騒ぎ始めたり、先生に罵声を浴びせて授業を妨害するような子がいる可能性は、限りなく低いです。

生徒に注意をしても直らないので親に話してみても、開き直られて教育する気が全くない、といったケースも普通の中学ではよくあることですが、中高一貫校ではやはり発生率が下がります。

生徒やその親の質が、全員が高くて良いとまではいえないまでも、公立に比べれば全然マシ、となることが多いです。

進学率が高い

偏差値にもよりますが、中高一貫校のほうが他に比べて進学率が良い傾向があります。
特に高校2年までの5年間で、大学の受験範囲をカバーします。

高校3年はがっつり受験勉強といった体制が取られるので、他の高校より進学率が良いことが多いです。

普通の高校だと、必ずしも良い大学に進学するだけが進路ではありません。
大学ではなくて専門学校を選んだり、公務員の高卒採用を希望したり、人によって様々ですし、学校側もそれで何も問題ありません。

大学進学に向けた意欲が違う

しかし、中高一貫校の場合、もともとの目標が大学受験のためで、それに有利だから選んでいる、という生徒側の背景があります。

さらに、学校側も進学率の良さは評判の良さに影響を及ぼし、もって経営の安定にもつながります。
そのため、死活問題とはいえないまでも、生徒を良い大学に進学させたいという意欲があります(特に私立の場合)。

生徒のニーズと学校側の体制があいまって、中高一貫校は一般的に進学率が高くなります。

推薦枠が多い

推薦書進学率が良いことと関連して、中高一貫校では特に推薦枠が豊富である傾向があります。
東京六大学など全国的にも有名な大学に指定校推薦で進学できる可能性が高いです。

そうなれば、中学から大学まで一切受験を経験せずにいけることになります。

特に系列大学がある場合、そこへの推薦枠が豊富に用意されていることが多いです。

■藤女子中学の場合

たとえば、女性に人気のある藤女子中学を例にとってみます(※)。
こちらは、北海道でただ1つの完全中高一貫の女子校です。

2018年の合格実績では、早稲田3人、MARCH10人、同志社3人、北海道大学5人、札幌医大3人と有名大学への進学者がいます。

特に医学部合格を目指したコースが用意されていて、実際に札幌医大に3人の合格者を出しているのは特筆すべき点です。

普通の公立高校では、まず医学部への進学を決める人はいません。

系列大学への進学が圧倒的に多い

さらに藤女子の特徴として、系列大学の存在があります。
そして、進学先として最も多いのが、その藤女子大学です。

先の2018年の合格実績でも、藤女子大学が51人とダントツで多いです。

姉妹校推薦枠というのが用意されていて、進学者の7割はこれによって決めています。

※参考:藤女子中学 合格実績  

■立命館慶祥中学校の場合

他に札幌における私立中高一貫校の先駆けである立命館慶祥中学校も同様の傾向があります(※)。
こちらは共学校です。
2018年の合格実績では、卒業生の半数に近い117名が、系列の立命館大学への進学を決めています。

立命館大学は、関西大学、関西学院大学、同志社大学と並んで、関西では私立大学トップ4の一角を担っています。

※参考:立命館慶祥中学校 立命館大学・立命館アジア太平洋大学への学内進学制度  

6年間男子だけor女子だけ(男子校・女子校の場合)

中高一貫校のメリットには、男子校、女子校の別があることです。
中高一貫でなくてもその区別はありますが、中高一貫校ではいわずもがな、6年間男子だけ、女子だけの世界となります。

男子校のメリット

特に男子校のメリットは、スクールカーストが生じにくいことが挙げられます。
大抵、男子間の序列は、女子からの目線を気にすることから生じます。

イケてるグループに入っていたほうがモテるから、本当は好きじゃないけど我慢して付き合おう、というマインドを持つ人が多いです。

そして自然と、クラス内でグループ分けがなされます。
それも本当に好きで楽しいから一緒にいるのではなくて、女子にモテたい、イケてると思われたい、という本当にモテてイケてる男子なら気にしない思考が根底に存在しています。

男子校なら、そもそも気にすべき女子の目がないので、グループ分けができるとしても本当に一緒にいて楽しい人たち同士となり、そしてグループ間のカーストも生じにくく、そもそもグループもあるようでない、といった状態になりやすいです。

中高一貫なら6年間、余計な感情を抱かず好きな友人たちとのびのび過ごせるメリットがあります。

女子校のメリット

女子高生女子校の場合、やはり異性がらみで親からすると安心だという側面があります。
中学生や高校生でお付き合いをするのはまだ早い、社会人になってからで良いと考える親は結構います。

共学では少しでも可愛げのある子なら、大抵、告白されます。
押しに弱い子だと大して相手を好きでなくてもすぐ付き合って、やはり流れのままに経験を済ませてしまいます。

女子校では、男子との出会いがそもそも少ないので、そのリスクもまたとても少ないです。

さすがに大学になると、女子大といってもインカレやコンパなど、他大の男子と出会う機会は増えます。
しかし、日常的に男子がいるのとはやはり違います。

先に例に挙げた藤女子中学は、前述したように北海道で唯一の女子だけの中高一貫校です。
もちろん大学も女子だけで、学園は札幌に形成されています。

北海道で娘を安心して通わせたい、という親の密かなニーズに合致する性格があるのも、藤女子(中高一貫)の利点だといえます。

中高一貫校のデメリット

学力差が年々増す危険性が高い

入試を潜り抜けてきているので、入学当初は、生徒間に著しい学力の差はありません。
しかし、高校受験がないために、大学受験にはまだ何年もあるし、ということで勉強をさぼってしまう子がいます。

反対に、学習塾に通って高校の勉強や大学受験対策を先取りして、中学の頃から頑張っている子もいます。
そうなれば、当然、中学二年、三年と年数を重ねるごとに生徒間で学力の差が大きくなっていきます。

高校受験の不存在がデメリットにもなる

高校受験という皆に強制力のある勉強シーンがないのはメリットになる反面、大学受験までの期間が延びることによりだらけやすいともいえます。

これに対処するために、学力によってクラス分けを講じる学校があります。
でも、これが逆効果になることもあります。

■できない生徒のクラスで余計に意欲をなくす

勉強のできない子が集まるクラスに入れられることで、次のクラス替えでは良いクラスに入れるように頑張ろう、というのではなくて、次のクラス替えまでこのクラスか、と余計に勉強の意欲をなくしてしまう危険が存在します。

客観的にみれば、できないもの同士で集めてやる気に火をつける、という措置は無理があるといわざるをえません。
そこから奮起するよりも、こんなクラスじゃ余計やる気しねーよ、となる可能性のほうが高いです。

■心機一転のチャンスがない

高校受験があれば、環境が変わって、学年全員が自分と似たような学力の人で集まるので、そこから本腰を入れることが可能です。

中高一貫は高校になってもメンツが変わらず、自分の学力的な立ち位置もそのままなので、同じ環境のなかで勉強を頑張っていかなければなりません。

授業のレベルが高い

特に私立の一貫校では、授業の内容が普通の中学や高校に比べてレベルが高いことが多いです。
定期テスト自体の難易度も高いので、良い成績を取ることが難しいです。

とりわけ数学や英語はかなりレベルが高いです。
クラスの授業についていく、テストで赤点を取ったり、留年になったりしないようにする、というハードルが高いといえます。

通学の距離的負担が大きい

バス中高一貫校の場合、同じ学区の中学や高校に徒歩や自転車で通うのと違い、多くの学生は自宅から距離があるため電車やバスを利用します。

毎日の移動の面倒さや時間もデメリットだといえます。

面倒なのは慣れたり、我慢したりするしかありません。
時間については、iPadにノートや参考書を入れて復習するなど、電車やバスでも有効に使えるようになる必要があります。

寮生活を余儀なくされるケースも多い

単に移動時間が延びるのでは済まず、完全に親元から離れて寮生活など、1人で生活をしなければならないケースも多いです。

中学生の頃は、親とも色々な話をしたい年頃ですし、親のほうも、電話ではなく子どもの顔を見て話したい、と思うものです。

■函館ラ・サール中学の場合

たとえば、全国でも有数の進学校として知られる函館ラ・サール中学では、実家から離れて寮生活をする生徒が7割です(※)。

中学の各学年生徒数100人のうち70名が、学園寮に入っています。
その70名のうち、半数以上が道外から来ています。

札幌の男子校ですが、試験は札幌だけではなくて、東京や大阪、名古屋でも行われています。
全国から生徒が集まる学校です。

このように、中高一貫校で第一志望にこだわる場合、中学校にして親元を離れることも覚悟しておかなければなりません。

※参考:函館ラ・サール学園寮 寮生の人数はどれくらいですか?また、北海道外出身の生徒はいますか?  

中高一貫校のメリットとデメリットについてまとめ

今回は、北海道の進学先としても人気のある中高一貫校について焦点を当てて解説してきました。
中高一貫は、高校受験がないのが、言わずもがなの最大のメリットです。

基本的に高校受験の不存在は、中学一年から大学受験だけを意識できる点で有益ですが、反面、デメリットにもなりえます。

普通の中学の子が強制的に高校受験の勉強に取り組む一方で、その緊張感がないがために、安穏としてだらけてしまう場合があります。

このように、メリットがデメリットにすり替わる危険がありますから、中高一貫校=魅力ばかり、というのではなくて、そのリスクにも着目したうえで、慎重な選択が必要です。

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