受験勉強や学校の勉強が苦手な人の多くは、ノートの取り方が上手ではないようです。
成績が下位の児童・生徒のノートは、大抵キレイではないのです。
勉強は、「解くこと」「覚えること」そして「ノートを取ること」で構成されています。
勉強が苦手な人でも初歩の段階では、解くことも覚えることも苦労なく行えます。
しかし、上手くノートが取れないため、次第に解くことも覚えることもできなくなっていきます。
そこで今回のコラムでは、効率的なノートの取り方を解説します。
ノートは「書く」のではなく「取る」
ノートは横線が引かれた紙の束です。
ノートは「書かれる」道具ですが、勉強ではノートを「取る」ことを強く意識してください。
ノートの文字や記号や図を書いたり描いたりすることは、誰でもできます。
先生に「今から黒板に書いたものをそのままノートに書き写してください」と言われたら、そのとおりにノートに書けばいいのです。
しかしそれだけでは勉強効果は高まりません。
書き写すだけでは「ノートを取っていない」からです。
ノートを取るとは、次のような行為になります。
- 児童・生徒自身が、先生の言葉のなかで「重要だ」と思ったことを書く
- 先生の説明のなかで理解できない内容があったら「○○について後で先生に聞く」と書く
- ノートを後で見返したときに、重要項目や例外項目がひと目でわかるように「編集」する
勉強とは「ノートを取ること」「覚えること」「解くこと」
「勉強ができること」や「よい成績」とは、テストの点数が高いことを指します。
学校の勉強や受験はとてもフェア(公正)で、点数だけで良し悪しを決めます。
つまり受験生は、テストで高得点をあげるために勉強するのです。
テストは覚えていれば解けます。
覚えるためには、先生の説明をしっかり理解する必要があります。
しかし先生の説明を理解するには、ノートを取るしかありません。
「ノートを取ること」「覚えること」「解くこと」の3つを概念図で示すと以下のようになります。
勉強内容が簡単な時期はまだ、ノートを取らなくても覚えることができ、問題を解くこともできます。
しかし学習内容がグレードアップすると単純暗記では対応できません。
ノートを取って、覚えることを強化して、解いていかなければなりません。
教師や講師の言った「言葉」を書く
勉強が苦手な人のノートには、黒板に書かれたこと「しか」書かれていません。
しかし勉強が上手な人のノートには、教師や講師が言った「言葉」も書かれてあります。
先生が「原則は○○だが、例外的に△△のこともある」と言ったら「原則○○、例外△△」と書きましょう。テストに例外のほうがよく出ます。
先生が「これは中1のときに習っているはずだから、今この問題につまずいている人は、早急に復習しておくように」と言ったら、赤ボールペンで「中1の内容。やばい、覚えていない」等と書いておいてください。
おすすめのノートの書き方
ノートはA4を使ってください。
ノート選びは楽しいのですが、まだお気に入りのノートがなければ、コクヨ社の「キャンパスノート(ベーシックタイプ) 」のA4版を選びましょう。
多くの受験の達人たちは、キャンパスノートから始めて、それぞれ好みの別製品に移っていったり、そのままキャンパスを使い続けたりしています。
2分割して書く方法
ノートの1ページは縦長になっていて、見開くと2ページになります。
つまりこうなっています。
ノートは、1ページを分割して取っていきます。
分割方法は、個人の好みで工夫していってください。
ここでは「縦型変形2分割」と「上下変形2分割」を解説します。
縦型変形2分割では、以下のように、1ページの中央より左寄りに1本の縦線を引きます。
縦型変形2分割(1ページの分割の仕方)
左側:自分が思ったことや、重要な追加事項などの備考は、左側の細い欄に書いていきます。
右側:黒板の内容や先生の言葉は、広い面積の右側に書いていきます。
上下変形2分割
上下変形2分割は、以下のように下のほうに横線を引きます。
上部:黒板の内容や先生の言葉を上部に書きます。
下部:自分の思いや備考は下部に書きます。
このようにゾーン分けすることで、まず覚えなければならない基礎的内容と、応用的な内容を区別できます。
この作業は、後で解説する「ノート編集」の一部になります。
ゾーン分けすると、ノートのページによっては備考欄に何も書かれないことがあります。
それはそのまま余白にしておいてください。
後で重要なことに気がついたら記入することができますし、そのまま空欄になっていれば、そのページには応用的な内容が書かれていないことがわかります。
つまり、そのページに書かれてあることは、それほど難しい内容ではないことがわかります。
余白は読みやすさにもつながるので、ノート編集でとても重要です。
「自分参考書」をつくるつもりで
受験勉強が本格化すると教科書では足りずに、参考書を頼りにするようになるでしょう。
しかし参考書は、多くの読者を想定して編集されています。
例えば上級者向けの参考書は、偏差値が高い人向けに特別に編集されていますが、それでも読者の幅はあります。
つまり、自分に完全にぴったり合う参考書は存在しません。
ノートで「自分参考書」をつくりましょう。
完全に覚えたことは、ノートに書く必要はありません。
そして記憶があいまいな部分は、ノートの多くのページを使って解説していきましょう。
ノートを編集するとき「自分に解説する」気持ちを持つことが大切です。
「あなた(自分のこと)はここがわからないんだよね。」
「ここは、こういうふうに考えれば、簡単に理解できるよ。」
「それと、この部分は丸暗記が必要だよ」
…と自分に向けて書くことを意識しながら、ノートに文字を書いていってください。
とにかく先生が言ったことを書く
ノートを取るには、専用のスキルが必要です。
ノート取りスキルを磨くには、教師や講師が言ったことをまずは「そのまま書く」ところから始めるといいでしょう。
「重要なことかな?」と考えて書くかどうかを決めるのではなく、言ったことを「そのまま書く」のです。
それを「みっちり」続けていると、1カ月くらいで重要なことかどうか、ノートに書くべきかどうかを見極められるようになります。
清書することこそ編集
読み返さないノートはノートではない、と思っておいてください。
したがって、1教科につき「とにかく先生が言ったことを書く」ためのノートと、読み返し用のノートの2冊を用意する必要があるでしょう。
もしくは、「とにかく先生が言ったことを書く」ことは、ノートではなく、A4のコピー用紙でもよいでしょう。
授業中はA4コピー用紙に書きなぐり、それを家や自習室で読み返し用のノートに清書していくのです。
こうすれば、「自分参考書」ができあがるだけでなく、先生の授業を2回受けたのと同じ効果が得られます。
そして清書することも編集作業のひとつです。
ゾーン分けを工夫して読みやすいレイアウトを構築したり、赤ペンや蛍光ペンを使ってビジュアル化したりしましょう。
知っていることを書かない
ノート取りスキルやノート編集に慣れてきたら、次第に知っていることを書かないようにしましょう。
「とにかく先生が言ったことを書く」行為を続けていると、知っていることでもつい書きたくなりますが、それでは勉強を効率化できません。
ノート取りやノート編集は、いつまでも同じ方法を続けることはできません。
偏差値の上昇に応じてバージョンアップしていかなければなりません。
それでも「とにかく先生が言ったことを書く」訓練は重要です。
その基礎があってこそ、「知っていることを書かない」作戦が勉強の効率化をもたらします。
【上級編】部品を製品に組み立てる、製品を部品に分解する
ノート編集の上級編を紹介します。
勉強は、ものづくりに似ています。
ものづくりでは、部品を製品に組み立てていきます。
そして製品に不具合が発生したら、製品を分解して部品に戻してチェックします。
例えば英語の勉強では、英単語の知識を頭に入れ、それを使って長文読解問題を解いていきます。
英単語が部品で、長文が製品です。
これまでスラスラ解けていた長文読解問題が、急に解けなくなることがあります。
難しい内容の長文に挑戦する機会が増えてきたからです。そのときはいったん立ち止まって、長文を単語や熟語レベルにまで分解して、ひとつひとつ覚えていく必要があります。
得意教科のノートは、組み立て式編集でいきましょう。
ひとつひとつの項目を細かく吟味するのではなく、全体を解説するようなノートをつくるのです。
苦手教科のノートは、分解式編集でいきましょう。
参考書でわからないところがあったら、先生に質問をして、細かい解説を受けます。
それをそのままノートに書き写してください。
ひとつひとつの項目を細かく吟味するノート編集をしてください。
まとめ~ノートは脳の出張所
ノートは頭のなかに入れるべきことを書きとめる紙です。
脳内の記憶スペースは限りがあります。
自分の記憶能力を超える量の内容を覚えようとしても、記憶として定着しません。
記憶として定着しない情報は、テストで使えません。
つまり、覚えるべき内容をすべて覚えないと、合格や高得点を勝ち取ることはできません。
ノートは脳の出張所です。
覚えきれないものをノートに書いておき、時間が経って脳内の記憶スペースに余裕ができたときに読み直せば「スッ」と頭のなかにはいってきます。
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この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。