塾に通う必要がなく、マンツーマンで手取り足取り教えてくれる家庭教師。
家庭教師というと一般的には1年じゅう自宅を訪れ、通年で勉強を教えてくれるイメージがあります。
でも、利用法はそれだけではありません。
実は年中ずっとつけるのでなく、「夏休み・冬休みの長期休暇中」にだけ家庭教師をつける利用法もあります。
学習塾にも「夏期講習」「冬期講習」という授業形態がありますが、同じように季節ごとの長期休暇中にだけ指導を行ってもらう形です。
家庭教師をつけようかどうか、現在迷っている親御さんにもおすすめであると同時に、お子さんにとってもメリハリをつけて短期的に集中して勉強する良い機会になります。
この記事では、夏休み・冬休みに家庭教師を利用するメリットについて解説します。
長い夏休み、短い冬休み
四季がはっきりしている日本の学校の夏休み・冬休みはよいものです。
暑さ・寒さが明確で、海水浴や虫採り、雪遊びやスキーなど季節の遊びに熱中できます。
風光明媚な景観も多く、山や海のレジャーはバラエティに富んでいます。
花火大会や初詣など、それぞれの季節感が感じられる行事やイベントも豊富です。
家族や友人と忘れられない一生の思い出をつくるお子さんも多いでしょう。
良い部分が多い反面、お子さんの学習の観点からみるとどうでしょうか？
たとえば欧米と比べると、夏の蒸し暑さは正直なところ、勉学に向いていません。
猛暑傾向の近年では、昔のような外遊びさえできません。
うだるような暑さで長い１日を退屈しきってしまい、スマホやゲーム三昧になってしまうお子さんもいることでしょう。
一方、夏休みは日本の学校に特有の宿題がたんまり出ます。
そのうえ、読書感想文や絵・工作といった特殊な課題も多く、ときには親御さんを巻き込みながらも慣れないお子さんは膨大な時間をとられます。
その結果、友人と遊び、山でキャンプをし、プールや海で泳ぎ、帰省して親戚に会い、目の前の宿題をこなしていたらもう休みは終わっていた…ということになりがちです。
逆に、短い冬休みはあっという間に過ぎるものです。
定番行事は西洋のクリスマスと日本ならではのお正月の二本立て。
ほとんどのご家庭では、気づいたら学習面では何も得ずに終わっていた…というのが関の山でしょう。
春休みはどうでしょうか？
学年終わりで宿題がないことから、比較的余裕はあります。
しかしながら、進級・入学の準備や引越し、卒業イベントや送別会が重なる場合も多く、意外に慌ただしいものです。
暖かくなってお花見シーズンもあり、長い冬の反動でつい遊んでしまうの大方のところです。
結局、せっかくの長期休暇という”大チャンス”を学習面ではほとんど有効活用しきれていないケースが非常に多いのです。
長期休暇を意識的に活用することが大切
９月スタートということもあり、欧米諸国の子どもは長期休暇をしっかり活用しています。
学年終わりの休暇にあたる夏休み期間を利用して、生徒が意識的に成長する機会がたくさん設けられています。
日常的な宿題や課題から解放されるチャンスを活かし、長期休暇中でしか味わえない体験や養えない能力を伸ばすこと、やりたいことを見つける機会に費やすのです。
中身の違いというより、結局これは「与えられた長い期間を少しでも無駄にしない」という”意識”の違いです。
そこで、夏休みや冬休みを学習面で意識的に活用したい！という方にオススメなのが、家庭教師です。
長期休暇に家庭教師をつけると、どんなことがよいのでしょうか？
ダラダラ過ごすことなく、メリハリをもって学習を継続でき、さまざまな行事やイベントと両立ができることです。
「休暇をしっかりと楽しみながらも、やるべき学習はちゃんとやる」。
これこそ理想のスタイルではないでしょうか。
曖昧な人間の記憶力
逆に、学期中はせわしなく忙しいものです。
学年が上がるほどやることが多くなるため、授業のペースは早くなる一方。
先週習ったことを定着する時間がないまま、次から次へと新しいことを覚えなければなりません。
習い事や部活動、クラブ活動や生徒会活動などにも忙しいお子さんであれば、他のことにも追われて精神的余裕がありません。
そうこうするうちに授業で習った記憶はどんどん抜けていき、学期が終わる頃には「何を習ったんだっけ？」となりがちです。
定期試験前に慌てて準備するものの消化不良に終わり、復習もできないまま長期休暇に突入するのがオチです。
そして、楽しい長期休暇はたっぷり遊んでしまい、新学期に入る頃には前学期で習ったことは「なかったこと」になっているでしょう。
悲しいことに、人間の記憶力とはそんなものです。
大人でも時事ニュースを考えてみればわかるとおり、起きるニュースに日々振り回されています。
気づけば先月や先々月のニュースはすっかり忘れてしまい、はるか遠い過去の出来事に感じてしまいます。
受験準備はいつから始めるのが妥当？
つまり、習った記憶は定着させてこそ意味をなし、はじめて「学習」になります。
そんな強い味方になるのが家庭教師です。
家庭教師をお願いする際に考えるべき大事なポイントは、指導をお願いする”期間”です。
「今すぐに、明日からでも来て頂き、学習習慣をつけるよう指導してほしい！」という要望の方は悩むことはないかもしれません。
でも、多くのお子さんにとっては、中学受験・高校受験・大学受験の合格というような大きな目標があることでしょう。
「達成目標に向けた計画的な学習を指導してほしい！」と思っているかもしれません。
受験はマラソンのようなもの。
ゴールは非常に明確である一方、スタートをいつにするかは考えどころです。
今から数年後に受験本番を控えている場合、2～3年前からお願いするのは時期尚早と考えるかもしれません。
途中で「中だるみ」してしまい、本番直前に息切れする恐れがあるからです。
だからといって、スタートを遅くしすぎると本番までに間に合わない可能性も出てきます。
「１年前だと早いかな…」と悩んだ挙げ句、家庭教師をつけたのが受験の半年前。
たった半年では準備時間が足りず、学習習慣をつけて基礎固めをするだけで精一杯です。
過去問の演習までたどり着かず、本番に間に合わないこともあります。
準備の”良いどこ取り”をするには？
このようにジレンマのある時期選びですが、「間をとる」のは一計です。
お子さんのタイプや学力、目標次第で一概には言えませんが、平均的には受験当日の「1年半～1年前」から受験準備に取りかかるご家庭は多いでしょう。
ただし、志望校のレベルが非常に高く、倍率も高い人気校である場合は問題です。
現時点でのお子さんの学力が見合っていないと、不安になるのは当たり前。
「志望校のレベルとお子さんの学力の差」が大きいほど、当然ながら多くの時間と労力をかける必要があるからです。
かといって、「中だるみ」も怖い…
そんな悩める親御さんにオススメなのが、長期休暇を利用した家庭教師です。
長期休暇を利用した家庭教師の利点
夏休み・冬休みの長期休暇を利用した家庭教師の利点はどんなところにあるのでしょうか？
- 家庭教師を体験的に利用できる
マンツーマンで手取り足取り指導してくれる魅力ある家庭教師ですが、お子さんの学習スタイルに合うかどうかは未知数です。
長期休暇に一時的に利用してみることで、”お試し期間”を設けることができます。
2週間から6週間くらい学習に付き添ってもらい、指導のスタイルや相性が合わないリスクを減らせます。
また、ご家庭によっては、塾など他の学習法との比較や併用を検討している方もいらっしゃるでしょう。
休暇中に家庭教師を一度試してみることで、お子さんにはどのような学習スタイルが合っているか知ることができます。 - 人気のある良質な家庭教師が選べる
多くの家庭教師は大学生・大学院生であり、自身も学期中はレポートや課題などに追われて忙しいもの。
そのため、学習指導を行う日時を狭め、可能な授業のコマ数を少なく設定しているか、もしくは学習指導を行わないと決めている家庭教師も少なくないはずです。
ところが、お子さんが夏休みや冬休みに入っている期間は、大学生・大学院生も同じく休暇期間に入っています。
すると、授業が可能な登録コマ数が増え、ふだんは学習指導を行わない家庭教師も多く登録するため、自然と良質な家庭教師の母数が増えます。
コミュニケーション良好で、効率よくテキパキと学習指導を行ってくれる良質な家庭教師との出会いは得難いもの。
そうした家庭教師を探し、出会うために、長期休暇はまさに絶好のチャンスといえます。 - 宿題のサポートをしてもらえる
前述の通り、年齢や学年によらず、長期休暇には大量の宿題が出ます。
お子さんにとって好きな教科、得意教科ならまだよいでしょう。
しかし、苦手教科や読書感想文・図画工作・自由研究まで含めるとレパートリーが広く、手を焼く親御さんが毎年続出します。
レジャーの予定の隙間をぬって、宿題をどう捌いて消化するかが毎年の長期休暇の課題になっているご家庭は多いでしょう。
家庭教師はそんな大量の宿題をこなす強い味方になります。
主要教科であれば、難なくサポートをしてくれるでしょう。
また、家庭教師によっては読書感想文や自由研究など、お子さんが悩みがちな手強い課題の味方になるかもしれません。
おすすめの本やアイディアの提示、自らの体験談はお子さんの良い参考になるでしょう。 - 休暇中にダラケさせなくてすむ
日頃は真面目に取り組むタイプのお子さんでも、開放的な長期休暇に入るとどうしても緊張感が下がってしまうもの。
適度な休息ならまだしも、目標や課題がなくなった途端に怠けてしまいます。
悪い場合は、起床時間が遅くなるなど生活全般に悪影響が出かねません。
となると、新学期が始まっても学習リズムが崩れたままになってしまいます。
休暇中に家庭教師をお願いすると、適度な学習ペースや生活リズムを維持できます。
特に午前中の時間帯がおすすめです。
普段と変わらないスタイルを継続でき、新学期のペースづくりにも弾みがつくでしょう。 - 予習・復習ができる
ふだんは日々の宿題や習い事に追われ、なかなかじっくり予習・復習に充てる時間が少ないもの。
特に、習い事や部活動・クラブ活動などを学業と両立しているお子さんは、学期中はほとんど時間がないことでしょう。
ですが、学習において継続的な予習・復習ほど大切なものはありません。
時間がたっぷりある長期休暇中は予習・復習に最適で、理解が不十分な内容をきっちり定着させることができます。
この時期に家庭教師をつけることで、その精度をより高めることができます。 - 短時間なので集中力が上がる
学期中は朝から午後までみっちり授業があります。
さらに、学年が上がるにつれて通学時間は長くなり、部活動やクラブ活動、生徒会、学校行事の準備などでせわしなく、忙しいことでしょう。
帰ってきてから再び学習に取り組むにも、相応の意欲や根気がいるものです。
体力や精神力は限られているので、机の前にじっと座り、必然的に高い集中力で取り組むことはだんだん難しくなってきます。
授業のない長期休暇は高い集中力をもって学習に臨める絶好のチャンスです。
朝一番から自分の取り組みたい勉強に取り組むことができ、苦手なポイントの対策や、得意な教科を伸ばすことに打ち込めます。
何より短時間なので効率のよい学習ができ、集中できます。
休暇中の家庭教師は、この絶好の機会を活かすキーパーソンになるでしょう。 - 話し相手になってくれる
親御さんも多忙な今の時代、お子さんが長期休暇だからといって、親御さんも休みだとは限りません。
休みは長く、毎日のように遠方に旅行するわけにもいきません。
むしろ、毎日暇で退屈にあえぐお子さんをどうやって暇つぶしさせようか…とお考えになっているのではないでしょうか。
大人数の生徒を相手にする塾と違い、マンツーマンの家庭教師はお子さんのちょうどよい話し相手になってくれます。
また、親や学校の先生と違う種類の大人と話すことは、お子さんにとって良い刺激や気分転換になるでしょう。 - 進路相談ができる
進路や志望校の決定は、学力向上や志望校合格を目指すうえで優先度が高い重要項目です。
お子さんの進路や志望校がまだ定まっていない場合、早急に目標を定める必要があります。
学期中と違って休暇中は時間に余裕があるため、落ち着いて自分の進路を考えられるチャンスです。
また、世代の離れた親御さんや学校の先生はどうしても昔の常識で語りがちですが、お子さんにより近い目線で、進路相談に気軽にのってくれる家庭教師は貴重な存在です。
広い視野に立ち、身近な視点からためになるアドバイスをくれることでしょう。 - トラブルに巻き込まれにくくなる
お子さんが中高生くらいになると長期休暇でとても不安になるのが、旺盛な好奇心から思わぬトラブルに巻き込まれることです。
特に誘惑の多い長期休暇中は、普段と違う行動をしたくなる年頃のお子さんは街遊びやイベントなどに出かける機会が増えます。
異性関係や素行の悪い知人、見知らぬ人などさまざまなトラブルに巻き込まれやすく、人間関係や生活態度が悪くなりかねません。
トラブルとはいかないまでも、「朱に交われば赤くなる」のとおり、周囲に影響されて悪い遊びに熱中し、肝心の学習に身が入らなくなるマイナス面の懸念はつきものです。
家庭教師をつける大きなメリットのひとつは、お子さんの日々の行動を規律正しく管理する要素が増えることです。
結果的に思わぬトラブルに巻き込まれにくくし、モチベーション低下を防げるでしょう。 - イベントに共に参加できる
学習指導の枠を超えて楽しい時間を共有できるのが、長期休暇の醍醐味です。
塾講師と違い、個人的な結びつきがもてるのが家庭教師の魅力でもありますが、学期中はお子さん、家庭教師ともに忙しいのが常です。
夏休み・冬休みの大きなメリットは忙しい家庭教師にも時間があり、また多くのイベントや催しが開催される季節であることです。
一緒に催しを訪れたり、生徒が参加するイベントに家庭教師が足を運ぶことで連帯感が生まれます。
心理的な結びつきを強めることで、ふだんの学習にも良い影響をもたらすでしょう。 - 新学期・新学年でスタートダッシュできる
プロスポーツ選手は競技の種類によらず、日々の鍛錬を欠かさないといいます。
理由としては、１日でも練習を休んでしまうと取り戻すのに3日かかり、3日休むと取り戻すのに１週間かかると言われるからです。
学習も同じです。
いったん休んでしまうとすぐには元に戻らず、休んだ日数以上の期間を費やさなければなりません。
人間の記憶力は曖昧なので、放っておくとすぐに忘れてしまいます。
長期休暇のうちに、新学期の内容を予習して学習内容を先取りすることはもちろん理想であり、目標とすべきです。
ただ、たとえ前に進まなくても以前習ったことを復習し、現状維持をするだけでも実は大いに価値があります。
前学期に習ったことを全て保った状態で新学期や新学年を迎えるだけでも、まわりと大きな差がついているからです。
久しぶりに授業が始まっても頭が鈍ることなく、出だしからスムーズに授業を聞くことができれば新学期・新学年のスタートダッシュにつながり、弾みがつくでしょう。
長期休暇中の家庭教師の選び方
長期休暇の家庭教師のメリットをここまでご紹介しました。
メリットがたくさんある長期休暇中の家庭教師ですが、事前の準備が大切です。
休み前にお子さんにいきなり「夏休みに家庭教師をつけるよ」と告げれば、「そんなの聞いてないよ」と反発されてしまいます。
家庭教師をつけることを決めたら、まずお子さんに伝え、心の準備をしてもらいましょう。
また、直前になって慌てて家庭教師を探しても、お目当ての家庭教師には巡り合えないかもしれません。
良い家庭教師をつけるには、前々から条件に合った家庭教師を探しておいて依頼を済ませておくのが大事です。
ただでさえ長期休暇はイベントやレジャーの予定が多く、思っているより忙しいものです。
前もって家庭教師に来てもらう日の計画を立てたうえで、学びに遊びに充実した長期休暇をお子さんに過ごしてもらいましょう。
まとめ
イベントやレジャーの予定につい気が回りがちですが、学力の底上げを図る絶好のチャンスが夏休みや冬休みの長期休暇です。学期中は学校の授業や宿題、部活動などで忙しく、なかなか予習・復習に手が回らないものです。そのため、時間に余裕がある長期休暇を利用して家庭教師を活用することは数多くのメリットがあります。
長期休暇中の家庭教師は短期間なので、家庭教師をつけようか迷っているご家庭もお試し感覚で気軽に利用できるのは良い点です。つい遊んでしまいがちなお子さんをダラダラ過ごさせず、宿題の手伝いをしてもらいながら、学期中はなかなか手がまわりにくい予習・復習を行うことができます。また、ふだんは時間が取れないような進路相談ができ、リフレッシュして良い気分転換になる結果、新学期のスタートダッシュにもつながります。
お子さんのモヤモヤした悩みや不安を解消し、学習面でよりいっそう弾みをつけるために、夏休みや冬休みなどの長期休暇に家庭教師をつけることをおすすめします。
