あなたは数学が苦手ですか?
確かに数学は苦手意識のある人が多いですが、もし得意にすることができれば数学が苦手な受験生に対して圧倒的な差をつけることができます。
英オックスフォード大の研究にも、青年前期に「数学」を勉強しないと損をするというデータがあります。>> 記事を見に行く
そこで今回は、数学が苦手だという人へ…
- どうして苦手意識を生じてしまうのか
- 苦手意識をなくすにはどうすればよいか
- そのための具体的な学習方法
を、紹介していきたいと思います。
なぜ数学が苦手になってしまうのか
中学校までは、数学が得意だった人も、高校では数学が苦手になってしまう、ということがよく起こります。
それはなぜでしょうか。
高校の数学は、次のような特徴があります。
- 直感的なイメージがつきにくい、抽象的な概念を扱うようになる。
- 問題のパターンが増えるので、より多くの演習時間が必要になる。
- ふだんから馴染みのない、独特な数学的表現が使われるので、文意が取りにくい。
- 煩雑な計算処理をともなう関数が登場する。
- やるべきことが多く、範囲が広いため、授業のスピードが速すぎて、授業についていけなくなる。
特に、進学校に通う人は、授業のスピードが速く、目の前の授業をこなすことが精いっぱいで、モチベーションを保てなくなるという人が多いようです。
その結果、数学嫌いになってしまうという話もよく聞かれます。
そのようなことが原因で、不幸にも、数学が苦手だと思ってしまった人は、まず次のことを理解してください。
「数学は、成果が出るまで時間はかかるが、誰でもやれば必ずできようになる科目」
周りのクラスメートと比較して、自分は数学が苦手でできないなどと落ち込む必要はありません。
数学は、トレーニングで必ずできるようになる科目です。
努力をすれば、必ず自分が成長できたと実感できる教科なので、あきらめずに取り組んでいきましょう。
数学が得意な人はどんな人?
数学が出来る人というと、どんな人を思い浮かべるでしょうか。
「発想力があって、数学的センスに秀でている人」と考えるかもしれませんね。
しかし、大学入試の数学では、必ずしも発想力やセンスが必要なわけではありません。
大学受験のための高校数学も、中学までの数学の勉強方法とほとんど同じです。
具体的には、次の三つのことを意識しましょう。
- 基本的な公式は必ず暗記している
- 基本的な公式を全て自分で導出できる
- 教科書にある基本的な例題は、自力で解くことができる
また、数学が得意な人は、数学の勉強時間の絶対量が多い、ということが言えます。
トータルの勉強時間のうちの多くの時間を、数学のために使っています。
そして、その大半の時間を、問題演習に費やしています。
数学を極めるには、ひたすら問題を解くことが必要です。
問題演習を重ねることで、理解を深めることができ、応用力が磨かれるのです。
数学の勉強に必要なこと~暗記すること
数学の問題を解くときに、その場で解法をひらめく必要はありません。
必要なのは、数学的センスではなく、それまでの演習などで経験した典型問題の中から、その問題を解くのに必要なものを思い出すことです。
その解法を組み合わせて、正しい解き方を導くことが大切なのです。
難問を解くために必要なのは、発想力ではなく、次のようなものだと言えます。
それらの知識を、適切な場面で適切に組み合わせて使える応用力
つまり、まず初めに公式や解法を暗記することこそが、ベースであると言えるのです。
問題演習を繰り返し行い、典型的な問題の解法パターンを暗記してしまうことで、好成績を修める可能性が高くなります。
けれども、どうしても暗記が苦手だという人は、やみくもにたくさん覚えようとするのではなく、覚えるべきポイントをしぼって記憶することがおすすめです。
具体的には、次の三点のことを暗記するようにしましょう。
- 問題を解く時に絶対に必要な、各単元の中での重要な学習内容
- 自分で導出するのが難しい公式
- 教科書や参考書に掲載されている重要例題とその解き方
ポイントを絞って覚える際に重要なことは、公式や解法をしっかりと理解してから暗記するということです。
中学校までの数学であれば、公式や解法を丸暗記しただけでも、なんとなく解けてしまうことがあったかもしれませんが、高校数学ではそうはいきません。
理解を伴っていない丸暗記では、実際の問題を解くことができないのです。
数学が得意な人は、公式や解法をしっかりと理解した上で暗記しています。
公式の導出方法を含めて、公式を暗記することを意識しましょう。
その上で、次は教科書の重要例題に取り組むのが良いでしょう。
数学の勉強に必要なこと~とにかく考える・ひたすら解きまくること
公式や解法を暗記する際に、暗記する前にまずはその理解が重要であると述べました。
暗記する作業は、理解することと並行して行います。
けれどもその中で、どうしてもわからないという点を発見することがあるでしょう。
その時には、立ち止まってとことん考えることが必要です。
考えることを先送りして、疑問点を放置し、答えだけを暗記して分かったことにしてしまってはいけません。
数学ができるようにするためには、理解できない問題に対しても、自分なりの答えが見つかるまでとことん考え抜くことを大切にしてください。
そのためには、とにかく手を動かして考えるということを心がけましょう。
積極的に手を動かしながら考え、ノートなどの上に、自分の計算の過程を記録します。
計算過程を記録することで、ケアレスミスを防ぐことができるのです。
計算過程を記録するメリットはそれだけではありません。
自分の思考を整理することができ、もしも答えが間違っていた時でも、解答プロセスを分析することができます。
計算過程を記したものを見るだけで、どこでどのように間違えたのか、どうすれば正解することができるのかということが明確になり、ミスを次に活かすことができるのです。
数学の勉強に必要なこと~あきらめない心・忍耐力
そして最後は、あきらめないという根気と、決して負けない気持ちが必要になります。
難解な問題や煩雑な計算問題に直面した時でも、決して諦めず様々なアプローチを試みて、ひたむきに食らいついていく姿勢が重要です。
たとえその問題が解けなかったとしても、投げやりにならず、解答や解説を繰り返し熟読し、何度でもトライする姿勢を持ち続けましょう。
自分で解けるようになるまで決してあきらめないことです。
数学への苦手意識を克服したい、数学を得意にしたいと思ったら、すぐに解けないからと諦めるのではなく、何度でも問題に立ち向かう泥臭さを身につけることも必要不可欠です。
お気づきになった人もいるかもしれませんが、数学を得意科目にするためには、相当な忍耐力が必要なのです。
毎日の学校生活や部活動、学校行事で、どれだけ疲れていようとも、教科書や問題集を開き、地道に演習問題に取り組まなければなりません。
そして、理解ができなくてわからない問題に対しては、じっくりと考えることや、自分なりの答えが見つかるまで苦しむことも必要といえます。
いくつも我慢と努力を積み重ねた上で、ようやく初めて成績に反映されるので、時間と根気が必要な教科です。
生半可な気持ちでは数学をマスターすることはできませんが、逆に、食らいついていく根気とパワーがあれば、数学を得意科目にすることができる可能性は誰にでもあるのです。
数学の具体的な勉強法~「数学力」とは
数学を解くための能力、「数学力」は、細かく分解すると、次の5つに分けられると考えられます。
解法暗記力
論理的思考力
計算の正確性
処理スピード
これらの力をすべて掛け合わせて総合したものが、その人のトータルの「数学力」になるのです。
さらにこれらは、掛け算によって関わり合っているので、一つでも0に近いような低い点数になってしまうと、他の能力がいくら高くても、トータルの「数学力」としては、伸び悩んでしまいます。
そのため重要なことは、全ての能力をバランスよく鍛えることです。
それぞれの力をきちんとトレーニングしていくことで、自ずと「数学力」は向上していきます。
苦手な項目を作らないために、常に緊張感を持って勉強に取り組みましょう。
次からは、これらの5つの力を身につけるための具体的な勉強法について解説していきます。
数学の具体的な勉強法~①問題読解力の鍛え方
高校数学では、独特な数学的言い回しが数多く登場します。
こうした数学特有の言い回しが多く使われる問題文を正しく読み解き、適切に式を組み立てる力が「問題読解力」といえます。
この「問題読解力」を鍛えるためには、まず独特な言い回しの意味を理解しなければなりません。
それらを理解していないと問題文の意味が把握できないので、次に何をするべきなのかがわかりません。
まずは問題文を正しく読めるようになることが大切です。
問題文を正しく理解するためには、学校の授業をしっかりと受けることや、場合によっては塾などでじっくり解説を聞くことがおすすめです。
解説を聞くことで、グラフや式が具体的にイメージできるようになりますし、授業内容をしっかりと理解することができれば、単元の基礎の部分を固めることができます。
授業では、数学の独特な表現もわかりやすい表現に「翻訳」され、問題文の意味が的確に把握できるようになります。
授業をよく聞き、問題文の翻訳のパターンを押さえておきましょう。
自習するときも、それに倣って同じように翻訳することで、問題読解力を高めることができます。
数学の具体的な勉強法~②解法暗記で典型問題をしっかりマスター
高校の定期テストは、典型問題で構成されることがほとんどです。
したがって、基本的な解法を暗記しておくことで、ある程度の得点は期待できます。
また、模試や入試の際も、基本問題が数問は出題されると考えられるので、基本問題の解法を暗記しておけば、2~3割程度の点数は確保できるでしょう。
高校数学は、一見難しいように感じるかもしれませんが、単元ごとの頻出問題がある程度決まっているのは、中学数学と同じです。
解法を暗記することで、ある程度は攻略できるのです。
ですから、大切なことは、数学の授業を受けたらなるべく早く、できればその日のうちに、問題集を使って、習った単元の重要例題と解法を暗記しておきましょう。
その際に間違ってはいけないことは、解き方を丸暗記するだけでは十分な実力は身につかないということです。
解法の要点や、あてはまる公式を使う理由などを、きちんと理解した上で暗記することが重要です。
もしも、暗記することが苦手でなかなか覚えられない、という場合は、自力で導出するのが難しい最低限の公式だけを覚えるようにしましょう。
ただし、公式は問題演習を重ねるうちに自然と覚えてしまうことがほとんどです。
暗記に力を入れすぎるよりは、適切に問題演習を重ね、理解しながら覚えるというスタンスで臨むことをおすすめします。
問題演習の進め方については、まずは問題集を一冊選ぶことから始めましょう。
問題集は、学校の指定のものでも良いですが、ここでは基本的な典型問題が多く掲載されている、網羅系問題集を使うといいでしょう。
そしてその問題集を、一通り解いてみます。
その時に必ずするべきことは、間違えた問題を後で必ず復習できるように、チェックをつけることです。
また、5分以上考えても解法が浮かばない問題の場合は、その場で解答を見て解法と解説を確認します。
これは、解法の知識が足りていないことが、解けない原因と考えられるので、じっくり考えることは時間の無駄ともいえます。
このような問題にも、チェックをつけましょう。
問題集に取り組むことが一巡したら、次の2周目は、チェックがついている問題だけを解きます。
2周目で解けなかった問題にはまたチェックをつけます。
次に、3周目、4周目と同じように解いていきます。
4周目が終了したときにチェックがある問題は、かなり苦手で、十分に理解が進んでいない問題といえるので、特に注意して頭に入れておきましょう。
数学の具体的な勉強法~③論理的思考力の鍛え方
基本的な典型問題については、暗記数学で対応することができるのですが、そこから先、複合的な難問を解けるようになるためには、暗記数学で対応することは困難です。
難問を解くためには、
- 既存の解法パターンのうち、何と何を組み合わせるか
- どのような手順で答えを導きだすか
- これまでに覚えた公式・定理・解法の中で、証明に有効な手段があるかどうか
というようなことを考えなければなりません。
その際に必要になるのが、「論理的思考力」です。
この力を鍛えるためには、応用問題集を使いましょう。
模擬試験や応用問題集などを活用することが、「論理的思考力」を鍛えるのには最適です。
初見の応用問題を、じっくり考えて解答する訓練を重ねることで、頭の中にストックした解法の的確な組み合わせ方や、論理的な答えの導出ができるようになります。
応用問題集を選ぶ際に押さえるべきポイントは以下の3つです。
- 解説を読んで理解できること
- 難易度が志望校に適していること
- 自分の勉強時間でこなせる範囲の問題量であること
解説で示された考え方が、自分で読んだときに理解できるかどうかをチェックしましょう。
また、対象とする難易度が設定されている問題集では、自分のレベルや志望校にあっているかどうかも確認しましょう。
数学が苦手という人、志望校を高く設定している人にとって、これらの問題集をこなすことは、初めは大変かもしれませんが、2周、3周と繰り返し解いていくうちに、だんだんと実力がついていくことを実感できるはずです。
恐れずに、まずは1周目から始めましょう。
諦めることなく、ぜひ挑戦してみてください。
数学の具体的な勉強法~④正確な計算力の鍛え方
正確に計算ができることは、数学で大学入試に挑もうとする際には必要不可欠です。
普段、問題演習をする時には、ミスをカウントする癖をつけておくとよいでしょう。
そして、少しでもミスを減らすためには、自分のミスを記録しておきましょう。
その記録を見れば、自分がどのようなミスをしがちなのかといった、悪い癖を把握することができます。
本番のテストでは、普段の記録でわかった自分のミスの傾向に気を配りましょう。
ミスの癖に注意しながら見直しを行うことで、ケアレスミスを効率よく減らすことができます。
数学の具体的な勉強法~⑤処理スピードを上げるためには
解法を思いつくまでの速さ、計算のスピードは、本番のテストでは速ければ速いほど有利です。
そうした数学の処理スピードを上げるためには、普段の問題演習をする時に、タイムアタック方式を用いてスピード感を養いましょう。
学校の定期テストの勉強法としては、問題集の中にある問題を見て、すぐに解法が思いつけるかどうかをチェックしましょう。
また、制限時間を決めて問題を解いてみることもおすすめです。
特に簡単な計算や典型問題は、ほとんど考えなくても反射的に解けるというレベルまで仕上げておきましょう。
本番の大学入試に臨む前には、問題演習を繰り返し行い、素早く解くことができるようにトレーニングをしていなくてはいけません。
過去問題集を使う時は、必ず時間を計測しながら解くようにしてください。
まとめ
高校数学、大学入試数学は、数学のセンスがなければ解けないということは絶対にありません。
今までに紹介したやり方で地道に努力すれば、ほとんどの人ができるようになる科目です。
そのためには、
応用問題集で、解法を組み合わせる方法を理解し、できるようにすること
過去問題集などを使い、問題を解くスピードを養い、時間配分を身につけること
もしも数学が苦手と感じる人がいたら、ぜひこのプロセスを参考に、数学力を鍛えることに挑戦してみてください。
自分は今、これら3つのプロセスのうちのどの段階にあたるのか、どこで躓いているのかということを落ち着いて考えてみましょう。
そこにしっかりとアプローチして対策をすれば、数学の成績を伸ばすことは、誰でも必ずできるはずです。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。