志望校を決めるにあたって、世の受験生がその指針の一つとするのが偏差値です。
そのため、高い偏差値の大学というのは多くの受験生の憧れの的でしょう。
そしてその代表格としては東京大学とハーバード大学が挙げられますね。
実際に2019年6月19日に世界的な大学評価機関であるイギリスのクアクアレリ・シモンズが発表した「世界大学ランキング 」によると、東大は世界第22位、ハーバード大は第3位といずれも非常に高いランキングに位置しています。
もちろん実際に東大かハーバード大のどちらかにしようか、と迷う受験生の数は少ないとは思いますが、楽天の会長である三木谷浩史氏やサントリーホールディングス代表取締役の新浪剛史氏など、錚々たる顔ぶれがハーバード大出身であり、ハーバード大出身の日本人の方が各界で活躍されているのもまた事実。
もし高い学力を持っているのであれば、どちらに進学する方が良いのか迷うことでしょう。
そこで当記事では東大とハーバード大の強みや違いなどを徹底比較。
東大を志望している受験生や、単純に日本とアメリカのトップの大学の実情を知りたい方にとっても、非常に興味深い内容となっておりますのでぜひ最後までお読みください。
それぞれの大学の特長を知ろう!
それでは東大とハーバード大を比較するため、まず各大学の基本情報や特長を記載します。
ハーバード大学ってどんな大学?
所在地:マサチューセッツ州ケンブリッジ
学生数:約21,000人
設立年:1636年
出願基準:TOEFL iBT 100以上 GPA 3.8以上 そのほか優良な高校成績証明、学部長推薦書、学習計画書など
世界有数の大学として世に知られるハーバード大学。
上記の世界大学ランキングで第3位にランクインしていることからも分かるように、世界中からエリートが集まります。
ではそのような大学で勉学に勤しむ学生にはどのような特長があるのでしょうか?
やはり授業内でディベートの機会がある時などは非常にレベルの高い議論が交わされるといったことがあるのでしょうか。
実際にハーバード大学で指導を行なっている柳沢幸雄氏がその実情を語っているので、以下に引用します。
私がハーバード大学と東大でそれぞれ10年以上にわたり教鞭をとってきた経験からいうと、両大学の学生のあいだには能力や学力の面でそれほど差はありません。むしろ、18歳で大学に入学する時点では、東大生のほうがすぐれているといってもいいでしょう。
能力の点で差がないにもかわらず、東大生はどこか自信がなさそうで、ハーバードの学生はいつでも自信満々です。授業をしていても、ハーバードの学生は躊躇なく手を挙げて発言します。
ハーバードに留学している日本人のあいだからは、「大したことを言っているわけでもないのに、どうしてあんなに堂々と話せるんだろう」という陰口にも似た声が聞こえてくることもしばしば。確かに教える側から見ても、結構いい加減なことを言っている人も多いような気がします。
意外にも、中にはそれほどレベルが高くない議論をする学生もいるようです。
またハーバード大は世界大学ランキング3位、東大は22位と差があるにもかかわらず、それほど能力や学力面に差が無いというのも意外ですね。
しかし、自由に発言することができる主体性を持っており、それがハーバード生の特長と言えるようです。
またシステム面から特長を挙げるとすると、専攻が決まっていないということが挙げられます。
ハーバード大は毎学期4個の授業を選択して授業を受けます。
が、専攻を途中で変えることも可能で、最初は社会学を専攻していたが経済学を学びたいと思えば、途中で経済学に専攻を変えて社会学で取得した単位を移し変えることができるのです。
そのため、自身が学びたいと思う内容を主体的に選ぶことができるのです。
学生およびシステム面から見ても、「主体性」という言葉がハーバード大を象徴していると言えるでしょう。
これはハーバード大卒の有名人一覧にも表れています。
ハーバード大学出身の有名人
・芸能人or芸術家
ナタリー・ポートマン、トミー・リー・ジョーンズ、ヨーヨー・マ
・政治家
セオドア・ルーズベルト、ジョン・エフ・ケネディ、バラク・オバマ
・実業家
ビル・ゲイツ(中退)、マーク・ザッカーバーグ(中退)、デイヴィッド・ロックフェラー
非常に多岐にわたる分野でハーバード大卒の人物が活躍を遂げているのです。
東大ってどんな大学?
所在地:東京都文京区本郷七丁目3番1号(本部)
学生数:約27,000人
設立年:1877年
日本の大学の頂点に君臨する東京大学。
しかし、「東大の特長とは?」という質問に対して答えられる方は意外と少ないのでは無いでしょうか。
東京大学の公式HP によると、その最大の特長として「教育・研究の卓越性」を挙げています。それを示す具体的な数値を4つご紹介します。
- 研究者交流 15,569回
- 論文引用数 358,573本
- 図書総冊数 9,665,812冊
- 東大発ベンチャー 約330社
また歴代総理大臣の約4分の1が東大出身であり、やはり日本トップとして高い教育が施されていることが特長と言えます。
このように書くと、「やっぱり東大生は秀才ばっかりで真面目な人が多い?」という印象を持たれるかもしれません。
しかし実際はユニークな学生も多いようで、東大に関する情報を発信している「東大新聞オンライン」では以下のように紹介されています。
アニメやアイドルのオタクなど、自分の趣味にのめり込む人が多いように感じます。また、アルバイトやサークル活動に身を捧げる「社畜」や「サー畜」と化している人や、降年・留年覚悟で部活に熱中する人も周りにいます。
一方で、探究心や好奇心が旺盛で、さまざまなことに手を出し挑戦している人も多いので、これも人によりけりだと思います。記者が東大で一番強く感じるのは、東大生はキャパシティが広い人が多いということです。忙しい中、要領良くバイトやサークル、課題など多くのことをこなせる人には感服させられます。ただ、キャパシティを超えてしまい疲れ果てて、学業がおろそかになってしまう人も少なくありません。
「学生の本分は勉強!」と勉強ばかりしているのかと思いきや、意外にもそれぞれ興味のあることに熱中している学生が多いようですね。
それを示すように「レゴ部」「地理部」「ボウリング部」「バブルサッカークラブ」などマニアックな部活動やサークルが数多く存在しています。
最後にハーバード大と同様に東大卒の有名人をご紹介します。
東大出身の有名人
・芸能人or芸術家
香川照之、小沢健二、すぎやまこういち
・政治家
佐藤栄作、中曽根康弘、岸信介
・実業家
堤清二、堀江貴文(中退)、藤田田
東大とハーバード大の違いって?
以上、東大とハーバード大のそれぞれの特長をご紹介しました。
それぞれユニークな特長があり、これだけでは比較することが難しいですね。
そこで、東大とハーバード大の主な3つの違いを以下にご説明します。
入試形式
まず最初にご紹介するのは「入試形式」です。
東大を始め日本の大学に見られるような一般入試はハーバード大には存在しません。
代わりに小論文が合否の決め手となります。
その内容は「これまでの人生における特異な出来事について」「この1年間であなたが読んだ書籍について」「大学教育を受けるにあたって望むこと」といった、非常に一般的なものであることが多いです。
学生の主体性を育む環境を持つハーバード大ならではの入試形式と言えますね。
育成される能力
次にご説明するのは「育成される能力」です。
上述したように東大では多数の内閣総理大臣を輩出しています。
加えてキャリア官僚も多く輩出しており、日本の将来を担う数多くの人材が東大出身なのです。
この傾向から分かるのは東大では「処理能力」が育成されるということです。
日本のさまざまな問題の解決に取り組む人材が輩出されていることから、東大では高い処理能力が培われることがわかります。
一方、ハーバード大では「挑戦する能力」が育成されます。
中退ではありますが、Facebookの創始者であるマーク・ザッカーバーグやMicrosoftの創業者であるビル・ゲイツはいずれもそれまで世界になかった価値を世に提供した先駆者です。
このことから、新たなことを生み出そうと挑戦する能力が培われることがわかります。
文系理系の有無
最後にご紹介するのは「文系理系の有無」です。
東大は入学する際に文系は「文科一類」「文科二類」「文科三類」、理系は「理科一類」「理科二類」「理科三類」のいずれかを選択し、入学以降はそれに合わせた教育を実施します。
一方、特長を説明する際にも述べましたが、途中で専攻を変えることをできることからお分かりのようにハーバード大には文系理系という分け方はありません。
このように、東大とハーバード大には文系理系の有無という教育システムの違いもあります。
まとめ:一概にどちらを受験すべきとは言えない
東大とハーバード大に進学するのにはいずれにもメリットがあり、単に世界学生ランキングがハーバード大の方が上だからといって、ハーバード大を志望するというのは賢明な判断とは言えません。
その上で一つ、どちらを受験すべきか判断する指標を挙げるとするならば「やりたいことがすでに決まっているかどうか」ということが挙げられます。
ご存知の方も多いと思いますが、アメリカの大学は日本の大学よりも多くの課題が課せられます。
もちろん、ハーバード大も例外ではありません。
そのため、もし学業とは別でやりたいことがあっても並行して行うのは至難の技です。
一方東大はハーバード大よりも自由な時間が多く、学業とやりたいことの両立がやりやすいです。
上記でご紹介した東大発ベンチャーの数がそれを物語っていますね。
しかし、ハーバード大に行くと選択肢が狭まるかと言えば決してそうではなく、自身の学びたい内容に応じて専攻を変更できるので、より広範な知識を身につけることができます。
つまり「自身が大学で何をやりたいか?何を望むか?」ということを自問自答することによって、どちらの大学を受験するべきかが決定できるということですね。
当記事がその参考となれば幸いです。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。