以前当サイトで取り上げたこともありますが、勉強が捗る時間帯と言えば何と言っても朝です。
人間は「朝目覚めて夜眠る」という生体サイクルに沿って、朝に体温が高くなったり夜に下がったりするのが自然な状態のため、医学的見地から考えても朝に勉強するのが有効なのです。
しかし、このようなことは理解していても「それでも朝起きられないから全然勉強できない・・・」という学生も多いのではないでしょうか。
そういったいわゆる「夜型人間」の人は朝勉が効率的と言われても、ギリギリまで寝てしまい毎朝バタバタしながら学校に向かうので、勉強する余裕なんてとてもじゃないけれど無い・・・というのが実情でしょう。
もちろん朝型に切り替えるのに越した事はないですが、そういった人は就寝前1時間以内に30分の夜勉強を行うことをおすすめします。
夜勉強には朝勉には無いメリットがあり、効果的に勉強すれば朝勉をしなくても大きく成績を向上することができる可能性があるのです。
そこで当記事では夜勉強で行うべき勉強内容やそのメリットなどをご紹介します。
夜型の人は就寝前30分に勉強をしよう!
さて冒頭で「就寝前30分の勉強をしよう」とご紹介しましたが、まずはその理由に関してご説明します。
30分勉強の積み重ねが大きな差を生む
もし今大学受験を控えている学生の方がこの記事を読んでいるのであれば「たった30分だけでいいの?」と思われたかもしれませんね。
確かに受験シーズンに必要な勉強時間は1日10時間以上にも及ぶことが多く、それだけでは不十分なのではないかと感じるのは当然のことです。
しかし、ぜひ就寝前に何をしているかということを振り返ってみてください。
大抵の学生はスマホをいじっていたりゲームをしていたりと、勉強以外のことをしているのではないでしょうか。
つまり、就寝前に勉強するというのはこれまで浪費していた時間を勉強に費やせるようになるということなのです。
また30分と言っても100日間継続すれば3000分にも及びます。
1日の小さな積み重ねが大きな勉強時間を生み出すことがお分かりいただけると思います。
就寝1時間前は勉強時間に最適
上記の疑問に加えて「何で就寝1時間前なの?」という疑問を持った学生も多いことでしょう。
この疑問にお答えすると、「就寝前1時間は勉強のゴールデンアワー」とされているためです。
東京大学薬学部の池谷教授によると、就寝前1時間は記憶の質を高め、かつひらめきを与える睡眠がすぐに待っている学習効率が非常に良い時間帯とされているそうです。
以下にその内容を引用します。
夕食後、おなかがいっぱいになった状態では、勉強ははかどらないので、1時間くらいはテレビを見たり、ゲームをやったりしてくつろぐのも構わないでしょう。
しかし就寝前の1~2時間というのは、記憶の質を高め、ひらめきを与える睡眠というバックアップ装置が付いた、きわめて学習効率が良い時間帯なのです。
まさに、記憶のゴールデンタイムといえます。
そこを遊んでいたらもったいない。
私は仕事や勉学に必要な情報は睡眠前に仕入れるようにしています。
本や論文を読んだり、英語を聞いたり。
勉強ならやはり記憶を要する科目が向いていると思います。地理や歴史、生物、あるいは英単語などがおすすめです。
夜に向いている勉強は暗記物
池谷教授の話の中にもあったように夜に向いている勉強は英単語や古文単語といった暗記物です。
人間の記憶に関する研究結果として有名な「エビングハウスの忘却曲線」では、学習した内容は20分で42%を忘れてしまうことが示されています。
が、同時に寝る直前の記憶ほど長期記憶されやすいことがわかっており、就寝前に暗記を行うことで忘れてしまうことをできる限り防ぐことができるのです。
尚、記憶の定着のためには十分な睡眠時間を取ることが重要です。
そのため寝る前に暗記物をしたとしても夜更かしをしてしまったら、その暗記時間が無駄になってしまう可能性も大いに高いため、夜に勉強すると言ってもしっかりと寝ることは必ず徹底するようにしてください。
意外と多い?夜勉強のメリットとは
さて、上記にて夜勉強のやり方をご説明しました。
以下にて改めてそのメリットをご紹介します。
記憶が定着しやすい
まず最初にご紹介するメリットは「記憶が定着しやすい」ということです。
記憶の定着に必須な睡眠の前に勉強を行うほか、朝や昼の勉強では後の時間で情報が上書きされてしまいます。
このような理由で就寝前に勉強したことは非常に定着しやすいのです。
また記憶をより定着しやすくするためには情報が上書きされないようにすることを心がけなければなりません。
そのため、勉強後にスマホをいじったりゲームをしたりといったことは避けるようにしましょう。
静かな空間で集中しやすい
次にご紹介するメリットは「静かな空間で集中しやすい」ということです。
特に周囲の生活音が気になるという学生は意外に多く、そういった人にとって非常に大きなメリットでしょう。
イヤホンをしていても誰かがいると集中できないという場合でも、多くの人が寝静まる時間帯ではそのような心配がなく勉強に取り組むことができます。
終了時間が決まっているため集中できる
最後にご紹介するメリットは「終了時間が決まっているため集中できる」ということです。
朝や昼などは時間に余裕もあるため時間がルーズになることもあり、なかなか勉強がはかどらないこともあるでしょう。
一方で夜勉強は睡眠前30分で取り組むため、終了時間が決まっています。
そのため、「この時間で終わりだからしっかり取り組もう」と集中することができるのです。
ちなみに朝や昼の勉強でも短い時間で区切って勉強をすると、捗りやすくなります。
夜勉強にぜひ取り入れたい!オススメの暗記術をご紹介
意外とメリットが多い夜勉強。
そのメリットを最大限に活かすためには暗記をするのが最も効果的ですが、暗記術も様々な種類があることをご存知でしょうか。
自分に合う暗記術を見つけられれば、夜勉強の時間をさらに活用することができるのです。
早速以下にオススメの暗記術をいくつかご紹介します。
ホールド法
まず最初にご紹介する暗記術は「ホールド法」です。
この記憶法は覚えたいことを15秒かけて覚えるという記憶術です。
この暗記術ではまず暗記したいことに意識を集中させ、その後15秒ほど何も考えないようにします。
そして暗記したことを思い出し、声に出したり紙に書いたりと暗記したことをアウトプットするという流れです。
なぜこの記憶術が効果的かと言うと、15秒という時間が短期記憶から長期記憶へと変わるのに必要な時間であるからです。
暗記といえば何度も書き出したり口に出したりと言った暗記術を連想する学生も多いと思いますが、そういった一般的な暗記術とは大きく異なることがお分かりいただけると思います。
記憶の宮殿(場所法)
次にご紹介する暗記術は「記憶の宮殿(場所法)」です。
記憶の宮殿は脳内に宮殿(自宅などイメージしやすい建物で可)をイメージし、その宮殿内にある家具や雑貨などと暗記したい項目を紐づける暗記術です。
人間がかつて安住できる場所を覚えることが生き残るために必須であり、その名残で場所に関する記憶が非常に強いことを利用した暗記術であり、別名「場所法」とも呼ばれます。
その効果は非常に高く、記憶の宮殿を用いてトレーニングした方が世界暗記選手権のチャンピオンになるほどです。
マインドマップ
次にご紹介する暗記術は「マインドマップ」です。
マインドマップは暗記したい項目を紙の中心に書き、それに関連するキーワードを周囲に書いていき、さらに関連キーワードに関連するキーワードを書いていき・・・と、情報を蜘蛛の巣状にまとめる暗記術です。
様々なキーワードに関連性が生まれるため、暗記したい項目を丸暗記する必要がなく、一つのキーワードが思い出せれば連鎖的に記憶を引き出せるというメリットがあります。
もし絵を描くことが得意なのであれば、キーワードに加えてイラスト追加するとより記憶が定着しやすくなるでしょう。
40秒復習法
最後にご紹介する暗記術は「40秒復習法」です。
これは暗記したい項目を記憶した直後に40秒間の復習をする記憶術です。
「そんなことだけ本当に効果があるの?」と思われる学生も多いと思いますが、イギリスのサセックス大学の実験によると40秒間の復習をおこなった際は脳の後帯状皮質が活性化し、2週間後の記憶定着が飛躍的に伸びることがわかっているのです。
復習時は口に出したり書いたりすることでより暗記したい項目が定着しやすくなります。
まとめ
以上、朝勉が苦手な学生のために就寝前30分の夜勉強のご紹介を行いました。
一般的に夜勉強というのはあまり良くないイメージを持たれていると思いますが、実際は今回ご紹介したように記憶が定着しやすいという夜勉強ならではのメリットがあるのです。
ぜひどうしても朝勉ができないということであれば、夜勉を積極的におこなってみてはいかがでしょうか。
なお一点注意いただきたいのは夜更かしは絶対に避けるということです。
夜勉強が定着してくると「この時間帯にできるだけ勉強したい!」とついつい、勉強時間を長くしてしまいがちですが、睡眠不足は勉強の最大の敵。
受験シーズンになると体調を崩す原因にもなり、何一つとして良いことはありません。
そのため、定着してきても「夜勉強は就寝前30分だけ」とあらかじめ決めて取り組むようにしてください。
そのようにすれば朝勉が苦手な学生でも、しっかりと勉強時間が確保できるようになるでしょう。
当記事がその参考になれば幸いです。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。