大学から親元を離れて1人暮らしをする学生は非常に多いです。
約半分の大学生が実家以外から通っていると考えて良いです。
今回は、特に大学生の1人暮らし事情、その注意点や学生寮を選ぶメリット、デメリットについて解説していきます。
以下のコラムでは「全寮制」の寮について解説していますので併せてごらんください。
1人暮らし大学生の経済事情
自宅外通学者のデータは、具体的には、47.8%の学生が自宅、52.2%が自宅外から通っています(※)。
実家以外から通っている大学生のほうが多数です。
1人暮らしをさせるとなると、親としては色々な心配があるものです。
数ある不安のなかでも代表的なのが、経済面です。
実家から通わせるなら、学費のほかは交通費が高校までより大きくなる程度です。
しかし、1人暮らしをするとなると家賃から食費、電気水道代などが発生します。
2018年の大学生の平均額みてみると、住居費が52,560円、食費が26,230円となっています(※)。
※参考:全国大学生活協同組合連合会 第54回学生生活実態調査の概要報告
7万円を超える仕送りが必要
アパートやマンションに住む人の割合が44.8%です。
そして家賃の平均が5万円ほどとなっています。
食費とあわせて毎月8万円近い出費となります。
学生自身がアルバイトをするにしても、本分は勉強であり、本人にあまり負担をかけさせたくないという親心があります。
そのため、仕送りの平均は71,500円です。
学部から奨学金を貸与している学生はたくさんいますが、それでも多くは親が学費を出しています。
大学生の多くは、一体どれくらいの学費を払って自分が今大学に通っているのか分かっていないことがほとんどです。
特に私立は高額の学費を親が負担しています。
加えて北海道から東京の大学に通わせるとなると、前述したように7万円ほどの仕送りが必要になります。
北海道からの大学進学は1人暮らしが必要
北海道から大学を受験する場合、関東や関西に行くのはやむを得ない側面があります。
有名で権威のある大学は、えてして都心部に集中しているからです。
確かに北海道にも、北海道大学という有名な国立があります。
北海道大学に進学すれば、受験成功者という評価を得られます。
しかしこれは、あくまで道内においては、というのが実際のところです。
全国的にみると、北海道大学は確かに良い大学ですがトップクラスではありません。
本当に優秀な子は北海道大学では満足しない
国立なら大阪大学や一橋大学のほうが明らかに上です。
さらにその上に東京大学と京都大学があります。
そのため、道内において優秀で、さらに全国に通用する学力を持っている子は、北海道大学では物足りず、東京の一橋や東大、関西の大阪大学や京都大学を受けます。
北海道にトップクラスの大学がない以上、大学から1人暮らしを始めるのは、たとえ経済面など様々な負担があったとしてもやむを得ない選択です。
私立専願ならより必要性が高い
私立となるとこの話はより顕著になります。
北海道の私立大学では、北海学園大学と北星学園大学が有名です。
この両校は偏差値50前後です。
道内で最も偏差値の高い私立は東京理科大学(偏差値62)ですが、この本部は東京にあります。
北海道の長万部キャンパスは基礎工学部の1年生が全寮制で通う、極めて限定的なキャンパスです(※)。
※参考:東京理科大学 長万部キャンパス
偏差値60以上の私立がない以上、私立専願の子は北海道を出る他ないといっても過言ではありません。
東京のMARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)や早慶上智のような有名私立は、学部にもよりますが基本的には偏差値60を超えてきます。
関西の関関同立(関西大学、関西学院、同志社、立命館)も同様です。
このような大学に受かるのに、北海道の北海学園大学などに通うのはもったいないです。
有名私大のほうが今後の人生で有利に
もちろん、本人の意思によります。
しかし、生涯北海道で過ごすのではなく、その後の就職で上京する可能性があるのだとしたら、やはり上記のような全国的に有名な大学に行っておいたほうが良いです。
入る企業にもよりますが、一般的には有名大学のほうが就活に有利であり、その後の仕事やプライベートにおいても何かとメリットがあります。
率直に言えば、北海道から一歩外に出れば、北海学園大学や北星学園大学の良し悪しを知っている人はいません。
そればかりか、名前すら知らない人が99%以上だと言っても良いでしょう。
反対に、青山学院大学や上智大学の名前は全国各地どこでも通用します。
他にも、東京六大学の一角を形成するようなネームバリューを持った私立大学が北海道には存在しない以上、その後の人生を考えたときに、たとえ負担があっても北海道を出る価値は大きいです。
学生寮のメリット
経済面の負担を少なくするために、アパートやマンションではなく、寮に入る選択をする家庭があります。
寮に入る生徒の割合は、全体の3.6%と非常に少ないです(※)。
しかし、少しでも費用を抑えたい家庭には寮は有効な手段です。
さらに学生寮だと、親が抱きがちな多くの不安点を解消することにもつながります。
以下に寮を選択するメリットを紹介していきます。
※参考:全国大学生活協同組合連合会 第54回学生生活実態調査の概要報告
経済面
まずはやはり経済面で大きなメリットがあります。
寮費(アパート・マンションでいうところの家賃)が安いだけではなく、ここに食費も含まれていることが多いです。
慶應の学生寮を例にとってみてみます。
慶應の日吉、三田、共立と各キャンパスにアクセスしやすい大森学生寮は、寮費が68,000円です(※)。
※参考:慶應義塾大学学生寮
寮費に食費も含まれている
ここに、月曜~土曜までの朝晩の食事が含まれています。
1人暮らしでは、通常、冷蔵庫や洗濯機、電子レンジといった家電、タンスやベッドといった家具を買い揃えなくてはなりません。
家電や家具は備え付け
寮であれば、最初から必要な家電や家具が部屋に備え付けられているので、この面でも負担がありません。
入居して即生活を始められるので、精神的にも楽です。
ガス・水道代がかからない
電気代は寮費とは別に5,500円がかかりますが、ガス・水道代はかかりません。
共用の浴場やランドリールーム、プライベートシャワーを利用可能です。
栄養面
の心配事として、栄養面を挙げられる方も多いです。
確かに、親元を離れて1人暮らしをするとなれば、食事を作ってあげることはできず、栄養の偏りが懸念されます。
料理のできる子であれば良いですが、多くの場合、母親に任せっきりで包丁を握ったことは学校の実習ぐらいです。
それまで料理をしてきていないのに、1人暮らしを始めるからといって、さあ自炊をしましょう、というのは文字通り、土台無理な話です。
バイトをする子が多いですから、学校生活に仕事も入ると、忙しくて料理を学ぶのはストレスになります。
さらにもともと料理のできる子であっても、時間の関係から面倒になりがちです。
結果、コンビニ弁当や外食が増えて、食品添加物にまみれた生活になる、というのはよくある話です。
社会人でもなかなか仕事をしながら毎日しっかり自炊をしているという方は少ないです。
この心配も、寮であれば払拭できます。
栄養面に配慮した食事が提供される
前述したように、食事つきのプランが用意されていますから、これであれば、寮長、寮母が栄養面に配慮した献立を毎日考えて実践してくれます。
大森学生寮では、毎食が寮の手作り料理です。
朝は和食と洋食から選択可能です。
味噌汁とご飯はおかわり自由になっています。
食べ盛りの大学生には嬉しいサービスです。
実際の料理がインスタ(dormy_style )で公開されています。
カレーライスやロールキャベツ、パスタなど美味しそうな画像が並んでいます。
特に注目なのは魚の煮付けです。
1人暮らしでは実現するのが難しいメニューだといえます。
安全面
特に女子の親御さんが心配されることが多いのが、安全面です。
アパートでは防犯カメラがなかったり、常駐管理人がいなかったりするので、不安があります。
セキュリティのしっかりしたマンションでも、賃貸だとそこまでレベルの高いものではありません。
エントランスから自動ドアを開けて入るのに番号入力が必要でも、先に入った人と間を空けずにすぐに入ることで、番号入力を回避する例があります。
警備員が常駐していることもありませんから、その点でも安全面に欠けます。
寮では、この安全性が極めて高いです。
大森学生寮では、防犯カメラ、オートロック、非接触ICタグといった設備を搭載しています。
とりわけICタグによる入退館管理によって、不審者の侵入を防げます。
さらに寮長夫妻が住み込みでいますから、その点でも安心感があります。
風邪のときも安心
1人暮らしだと、風邪を引いたときに看病してくれる人がおらず、辛い思いをする可能性があります。
親からすれば、すぐに駆けつけられる距離でないだけに、歯がゆい思いをします。
このときも、前述のように寮長夫妻がおりますから、1人で苦しませてしまう心配はありません。
自堕落な生活になりにくい
1人暮らしをすると、どれだけ遊んでも親に文句をいわれない生活になります。
そのため、大学に通うための部屋であったはずが、友だちとの遊び場になってしまうケースがあります。
さらに朝まで飲み明かす場所になってしまったり、男子によっては女子を連れ込む場になったりします。
抜き打ちチェックの実効性は低い
こういった心配から、子に連絡をせずにいきなり訪問する、いわゆる抜き打ちチェックをする親がいます。
確かにこれには一定の効果が見込めますが、限界があります。
北海道から東京への抜き打ちチェックはそう頻繁にできるわけではありません。
頻度が少なければブランクタイムの間に自堕落になることは充分にあり得ます。
人とのつながりで悪い生活になるだけではなく、大学にも通わなくなってひたすら家でゲームをしたり、youtubeを観たりする生活になる子もいます。
本人にはその気がなくても、これは世間的に見ればひきこもりと一緒です。
やがて留年する段になって、初めて親は真面目に学校に通っていなかったことを知ります。
寮には周囲の目がある
寮であれば、以上のように怠惰な生活になる懸念が少なくなります。
寮には常に周りの目があるからです。
部屋にこもっていればすぐに周りから指摘されますし、前述したセキュリティシステムによって部外者の友人と朝まで飲み明かすことはできません。
共用スペースで寮内の友人と話していても、その時間には制限があり、いつまでも溜まっていればそれこそ寮長夫妻から指摘されます。
このように、寮生活であれば周囲の目という歯止めがあります。
誰も注意をする人がいなくて親の知らぬ間にどんどん生活状態が悪化するという事態を避けられます。
寮のデメリット
寮には上記のように、子どもの1人暮らしで親が抱きがちな多くの不安を解決できるメリットがあります。
しかし一方で、子どもによっては寮生活が合わず、ストレスを溜めてしまうケースもあるので注意が必要です。
以下に寮生活のデメリットを紹介します。
周囲の目がストレスになる
寮では、周りの目があるために生活の悪化を止められるメリットがあると指摘しました。
ただ、これがデメリットにもなりえます。
つまり、他人の目があって落ち着かないというケースです。
家に帰ったら1人になりたい、というタイプの子はとかくストレスに感じやすいです。
自分の部屋があるからすぐに入ってしまえば良い、という考えもあります。
しかし、あくまで寮ですから、それでも他人の目は感じるものです。
トイレに行くとき、食事を取るとき、お風呂に入るとき、どうしても他の寮生と顔を合わせます。
家に帰ったら自分の時間で他人との接触は断ちたい、自分の生活は自分で律することができる、というタイプの子には、寮のデメリットばかりが際立ってきます。
寮特有の規則に縛られる
上記の流れから、寮には門限や掃除当番などルールがあります。
これによって夜遊びをしたり、異性関係が派手になったり、といった事態を防げる反面、自分で生活をちゃんとコントロールできる子には、無駄な制約以外の何物でもありません。
たとえば図書館での勉強がはかどっているのに、門限があるがために帰らなければならないかもしれません。
掃除は1週間に1回、日曜日にしたいのに、やりたくもないときに強制的にやらされることになる可能性もあります。
このように、寮の規則が子によっては無駄な負担になるリスクが存在します。
学生寮のメリット・デメリットについてまとめ
北海道において、大学進学の際に1人暮らしをする必要に迫られるケースは非常に多いです。
このとき、単に1人暮らしは経済面、生活面で不安があるため、学生寮を検討します。
ただ、寮はメリットがある反面、デメリットもあり、子どもによって相性が存在します。
自分の子どものタイプを見極めたうえで、寮の特徴と比較検討して選択する必要があります。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。