1年間を勉強に捧げること、それが大学受験です。
小学生のころから北大医学部を目指してきた人も、高校に入ってから急に進路を就職から大学進学に変えた人も、高3の1年間や浪人の1年間が勝負です。
ここで集中できるかどうかが、合否を決めます。
そして、集中と同じくらい重要なのが、勉強の効率化です。
「誰よりも一生懸命勉強をしたのに落ちた」人はたくさんいます。
そのような人は、効率的な勉強ができなかったのです。
集中力も効率化も、どちらも高めることができるのが息抜きです。
息抜きを制する者は受験を制する、といっても過言ではありません。
息抜きをすると「よし、もうひと頑張りするか」という気持ちが湧き、「よりよい勉強法がみつかる」という気づきが生まれます。
ただ、息抜きそれ自体は、テストの得点アップに寄与しません。
したがって、息抜きの取りすぎは受験の「害」になってしまいます。
正しい息抜きの取り方を紹介します。
ここで紹介する方法は、定期試験でも使えます。
中学生や、高1生、高2生もぜひ試してみてください。
脳には「褒美」が必要
「一度勉強したら絶対に忘れない記憶力」と「いつまでも努力し続けられる気持ち」のいずれかをもらえるとしたら、どちらがほしいでしょうか。
おすすめは「いつまでも努力し続けられる気持ち」です。
「一度勉強したら絶対に忘れない記憶力」も魅力的ですが、そもそも勉強する気力が湧いてこなければ、その能力を使うことができません。
しかし「いつまでも努力し続けられる気持ち」があれば、入試までの1年間を突っ走ることができます。
脳の疲れは悪いことではない
しかしほとんどの人は、「いつまでも努力し続けられる気持ち」を持つことができません。
それは、脳が疲れてしまうからです。
脳が疲れるのは、過剰な勉強をして疲弊することを予防するためなので、一概に「悪いこと」とはいえません。
高3生にもなれば、一度くらいは、「いつまでも勉強ができる」と感じることができる「勉強興奮状態」になった経験があるのではないでしょうか。
しかしその翌日はどうでしたでしょうか。
「もう教科書を1ページもみたくない」という気持ちになったと思います。
それは脳のリミッター(制限装置)機能が働いているからです。
リミッターを解除しよう
しかし大学受験の1年間は、リミッターを解除する必要があります。
それには、脳に褒美をあげることです。
人間は原則、好きなことしかしません。
ところがたまに、嫌いなことも進んで取り組むことがあります。
それは「嫌いなこと」に先に、「もっと嫌なこと」か「とてもよいこと」が待っているからです。
人は、もっと嫌なことを回避でき、よいことを手に入れることができるとき、嫌なことを乗り越えることができます。
受験における「嫌なこと」は勉強で、「もっと嫌なこと」は不合格です。
したがってほとんどの受験生は、不合格を回避するために、勉強に取り組むことができるのです。
よいことや褒美を用意すれば、さらに勉強に取り組むことができます。
合格は究極のよいことですが、これはすべての受験生が持っているので、差がつきません。
ライバルたちに差をつけるなら、褒美を用意することです。
脳の褒美になる息抜きをしましょう。
減らすことで価値が高まる
具体的に「脳の褒美になるよい息抜き」を紹介する前に、息抜きを設定するときの注意点を紹介します。
いったん娯楽をゼロにする
繰り返しになりますが、息抜きの取りすぎは受験の「害」になってしまいます。
したがって、息抜きは減らしていかなければなりません。
息抜きを決める前に、まずは現在の自分の娯楽をすべて取り上げましょう。
例えば、毎日無目的にテレビを2時間みている人は、「テレビをみない」と決めましょう。
毎日友だちと会って雑談をしたりLINEで会話をしたりしている人は、「友達と会わない」と決めましょう。
このようにまずはいったん自分の娯楽をゼロにして、それから褒美になる息抜きを決めるのです。
息抜きは、少なくすることで価値が高まります。
息抜きをルール化する
息抜き設定のもうひとつの注意点はルール化です。
「これを息抜きにする」「このタイミングで息抜きをしてよい」と自分で決めたら、必ずそれを守ってください。
息抜きを増やすことも、息抜きをしないことも自分に禁じてください。
ただ、息抜きを変更することはできます。
例えば、4月に決めた息抜きに効果がなければ、夏休み前に息抜きを変えても構いません。
しかしルールを変えずに、その日の気分で息抜きを変えてはいけません。
息抜き内容を変えるのであれば、きちんとルール変更を変更してください。
息抜きの種類
それでは具体的に「脳の褒美になるよい息抜き」を紹介します。
運動(スポーツをしてきた人限定)
これまで部活で運動を続けてきた人は、その運動が息抜きになります。
例えが小学生のころからサッカーをしてきた人は、机の前に座っているとボールを蹴りたくて仕方がないでしょう。
そのような人は「週1回、1回1時間、サッカーボールに触ってよい」という息抜きを設定してください。
同じことは、水泳、ジョギング、登山などにも当てはまります。
ただし、スポーツ習慣がない人は、運動は息抜きになりません。
むしろ悪いストレスになってしまうかもしれません。
ゲームまたはマンガ
ゲームまたはマンガは、最も息抜きに都合のよいアイテムです。
勉強机の前でもできますし、すぐに取りかかってすぐにやめることができるからです。
ただ、ゲームもマンガも誘惑の力が強いので注意してください。
「ちょっと30分」のつもりで始めても、3時間没頭してしまうことは簡単です。
これこそ息抜き失敗です。
したがってゲームまたはマンガを息抜きに設定する人は、ルール化を強化するようにしてください。
テレビ
テレビも、ゲームやマンガと同じように「時間食い虫」です。
例えば、アニメやお笑い番組など、これまで習慣的にみていた番組が5つあったとしたら、それを1つに絞りましょう。
そして「それ以外みない」と硬く誓ってください。
旅行
旅行の息抜き効果はとても大きいでしょう。
リフレッシュできます。
しかし「旅行」と聞くと、息抜きとしては大規模すぎると感じるのではないでしょうか。
もちろん、ハワイや沖縄の離島といったリゾート地に旅行するのではありません。
第1志望の大学近くのホテルに2~3泊するのです。
時期は夏期講習が終り、残暑が厳しいころがよいでしょう。
例えば、札幌の受験生が東大受験に挑戦する場合、東大赤門近くのホテルや、教養部のある駒場のホテルに宿泊するのです。
そしてホテルのなかで受験勉強をしてください。
食事や休憩するためにホテルの外に出て、学生らしき人とすれ違ったら、東大生の可能性が高いでしょう。
東大生の雰囲気を体感するだけで、モチベーションは高まります。
また、北海道の地方に住んでいる受験生で、北大入試に挑戦する人は、ぜひ札幌駅北口のホテルに2~3泊してください。
北大構内は誰でも散歩できます。
そこには北大生だけでなく、北大の教授や准教授たちもいます。
クラーク博士の銅像もあります。
きっと強く「ここで勉強したい」と思えるはずです。
北大生協には、北大グッズが売っていますので、北大ボールペンと北大タオルを購入しましょう。
緑色の北大タオルを首に巻いて、緑色の北大ボールペンで勉強をすれば、エンジンがかかるはずです。
小樽商大の売店でも、商大ボールペンや商大タオルを買うことができます。
小樽運河周辺のホテルも、雰囲気があって勉強するには「もってこい」でしょう。
友達と協定を結ぶ
受験友達はとても重要です。
できれば自分の志望大学と同レベルの大学を目指している人と仲良くなると、お互いに勉強を教え合うことができます。
ただし友達と会うことを息抜きにする場合、遊んではいけません。
友達と「会うときは受験対策の話をしよう」と協定を結んでください。
恋人と協定を結ぶ
恋人がいる受験生は、頻繁に会っていたほうが勉強がはかどる人と、会うとまったく勉強が手につかない人の2タイプにわかれます。
恋人が勉強エネルギーになる人は、会う頻度を減らすと勉強が進まないので、これまでとおり会いましょう。
一方、恋人に会うと勉強が手につかなくなってしまう人は、恋人に事情を話し、会う回数を減らしてください。
2カ月に1回、1回1時間はいかがでしょうか。
買い物
受験に突入すると、買い物をする機会が激減するので、お小遣いが貯まるはずです。
貯まったお金を使うことも息抜きになります。
例えば、夏休み明け最初の模試で志望大学判定でB以上が出たら、貯まったお金を全部つかってもよい、という息抜きを設定してみてはいかがでしょうか。
もし目標を達成できたら、洋服でも文房具でも食べ歩きでも、なんでも買ってください。
その日は1日オフにしてもいいでしょう。
その代わり翌日にはこれまで通り勉強してください。
この息抜きはダメ
息抜きには「よくない」息抜きがあります。
スキーやスノボは骨折や風邪のリスクを高めるので、息抜きに設定しないほうがいいでしょう。
また浪人生の場合、自動車の免許を取得できる年齢になっていますが、自動車教習所通いも息抜きにしないほうがいいでしょう。
自動車の運転や道路法規を覚えなければならないからです。
脳の記憶スペースは、受験勉強にとっておきましょう。
まとめ~疲れていないときでも息抜きを
息抜きは娯楽ではありません。
受験勉強を長く続けるために、そして集中して勉強するために「しなければならないこと」です。
これまで、マンガを読むことが娯楽だった人がマンガを息抜きにしたら、息抜きのためにマンガを読んでください。
快楽を得るためにマンガを読むのではなく、です。
「この巻を読み終えたら勉強する」と思いながらマンガを読んでください。
マラソン選手は、喉が渇いていなくても給水所で水分補給します。
それは、そのタイミングで水を飲んでおかないと、後半バテてしまうことがわかっているからです。
喉が渇いたときに飲む水と、マラソンの水分補給は意味が違うのです。
調子がよいときこそ、自分の気持ちを鎮めるために、予定通りに息抜きをしましょう。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。