受験生のバイブルとも言える「赤本」効果的に使っていますか。
志望校だからと何も考えずに購入し、なんとなく使っているという方も居られるかと思います。
本記事では無限大の可能性を秘めた赤本について、その活用法やアイデアを中心に紹介します。
志望校に向かって一歩でも近づくためのヒントになれば幸いです。
赤本についての基礎知識
関西の方にとっては赤本というと中学校・高校入試の過去問題集を発行している英俊社のものを思い浮かべます。
こちらは大阪市東住吉区の本社で製造されているものです。
本記事で紹介する赤本は大学入試用の赤本で出版社も異なり、世界思想社教学社が発行しています。
全国の大学分を発行しており特に有名な大学の赤本ですと学部ごとに発行されている場合もあります。
収録内容は過去に出題された問題(3年分が主流)に加え、大学情報、傾向と対策方法、解答と解説が同時収録されています。
なお赤本の解説は大学公式の見解ではなく、大学教員や予備校講師が執筆しているため飽く迄も一例として捉える事が正しいそうです。
2020年度の赤本は合計536冊の出版が予定されていますが、赤本の出版時期につきましては大学によって異なります。
自身の志望校の赤本が既刊なのかを調べる際は教学社の公式ホームページで確認して下さい。
丸善などの大手書店に行けば有名大学の赤本は一通り揃っており、もし書店に並んでいない場合も個別の取り寄せに対応してくれます。
基本的な赤本の使い方は以下のとおりです。
赤本で出題の傾向を把握する
入試問題は大学によって異なります。
そのため出題傾向や問題数などを把握しなければなりません。
問題などの大まかな分析は出版社が行っており「傾向と対策」のページに記載されているので、それを活用しない手はありません。
実は大学入試の問題は「必ず出題される問題」が存在します。
内容まで全く同じ問題が出るわけではありませんが、英語長文問題が毎年出題される大学であればあなたが受験する年度の試験問題にも英語長文問題は必ずと言っても過言ではないほど出題される可能性が高いです。
出題傾向を読むとほぼ毎年出題される問題についても把握することができます。
ハイライトをつけたりノートに書き留めたりして忘れないようにすることが大切です。
また出題傾向を把握することで「自分が対策すべき分野」についても明確にすることが出来ます。
例えば文系学部の場合「古典が苦手だけど入試問題では出題されている。だから古典を中心に学習を進めていこう」といった具合です。
毎日勉強に励まれている受験生の皆さんでも苦手な分野はあるはずです。
苦手な分野が出題されるのであれば早めに手を打って克服するに越したことはありません。
赤本に記載されている傾向と対策を読み込めば、何を中心に対策すればよいのかが一目瞭然です。
赤本の「傾向と対策」では志望校の入試問題に出題される分野がわかりやすく整理されています。
定番問題というべき頻出問題についても記載されているので対応がしやすく、また自分の苦手な分野が出題される事が判明すれば対策の見通しも立てやすくなっています。
すなわち赤本の「傾向と対策」は見逃せない大切なポイントとなります。
赤本で出題形式に慣れる
出題傾向を把握した次は実際に問題に取り組み、時間配分や実際の難易度を把握する段階に入ります。
受験生の皆さんは様々な感想を持つことでしょう。
何より大切なのは問題を解いた後の振り返りです。
解くことが出来た問題よりも解けなかった問題に目を向ける事が受験攻略のポイントであり、赤本の最も効果的な活用法です。
解けなかった問題の解説をしっかりと読み込んで自分の中に落とし込む。
受験生の間はこの繰り返しとなるでしょう。
とにかく赤本は「出題範囲を把握し、その中にある苦手を潰すツール」として活用していただく事が良いかと思われます。
出題範囲の周辺分野も出題される場合がありますが、それらに着手するためには頻出分野を攻略しなければなりません。
関連分野に手を付けることが出来るようになるまでのスピードは赤本が有るのと無いのとでは全く違います。
志望校が決まったら取り寄せるなど早めに入手しておきましょう。
次項で詳しく解説しますが、類似問題に取り組む際にも出題形式が分かっていると問題の選定がスムーズです。
続いて赤本の活用アイデアを紹介します。
赤本の活用アイデア
赤本には正しい使い方というものが存在しません。
そのため受験生である皆さんが使いやすいように各自で工夫して使う必要があります。
ですが、大抵の受験生は以下のような使い方をしているようです。
これらを参考にしながら「自分流・赤本の使い方」を探してみて下さい。
以下には一例を紹介しています。
筆者自身が取り組んできてお勧めが出来るもの・有名私大へ進学した方への聞き込みによって得た情報などを編集して掲載しています。
タイマーで小刻みに学習を進める
学習塾でも実践されていたアイデアです。
大問ごと、あるいは小問ごとに自分の設定した時間内に解答することを目標としています。
時間を区切ることで集中力アップに繋がりますし、実際の入試問題でも時間配分を意識して取り組むことが出来ます。
勉強をしている皆さんの実力にもよりますが、はじめは自分の想定している時間通り取り組み、徐々に自分の理想とする時間内に完答できるように進めていくことが良いかと思われます。
タイマーは受験勉強の区切りをつけるためにも活用する場面が多いツールですので、この勉強方法を実践するしないに関わらず一つ持っておくことをお勧めします。
筆者のお勧めタイマーはタニタ製のものです。
画面が大きく文字がハッキリと見やすい事が特徴でボタンも押しやすく音量も申し分ありません。
類似問題集を併用する
先述の通り、大学入試では一度取り扱われた内容の問題は二度と出題されません。
そのため入学試験で見たこともない問題に戸惑う受験生が後を絶ちません。
受験生として努力してきた時間をこのような結末で迎えるのは嫌ですよね。
入学試験で戸惑ってしまう方の特徴として「赤本ばかりを繰り返し解いている」事に問題が見られます。
赤本を繰り返し解くことに関しては問題は無く、むしろ時間配分の能力を身に付ける事のできる効果的な方法であることに間違いありません。
しかし、新しい問題に対応する能力を身に付けるという観点からするといかがでしょうか。
一度見たことのある問題に取り組み続け、その出題形式に慣れた気になっているのであれば要注意です。
特に英語の長文問題で多く見られる落とし穴です。
数学など方程式を当てはめ、計算するだけの問題であれば大きな問題は無く、冷静に考えれば突破できますが英文ではそうはいきません。
受験生の皆さんにとって英語長文は大敵かと思われますが、他の受験生と差をつけたいのであれば対策しない手はありません。
受験研究社の大学入試ステップアップ英語長文編を併用することをお勧めします。
難易度が3段階に別れており志望大学に合わせて選択するようにして、とにかく類似問題に慣れるようにしましょう。
入試問題では文化や環境にまつわるトピックなどを長文問題に使用している大学が殆どです。
お勧めの問題集にはそれらのトピックを多数取り扱っており一冊の価格が税抜580円と安価であることがポイントです。
書き込みをする
赤本は過去問題が掲載されているだけのシンプルな本です。
必要であれば書き込みを行っても構いません。
例えば間違った問題の問題番号にバツ印をつける、解答冊子に注釈を書き込むなど使い方は様々です。
特に間違えた問題にバツ印を書き込む事は苦手な分野を知る機会にもなりますのでお勧めです。
筆者は間違えた回数がわかるように、間違える度にバツ印を記入していました。
これ以上バツ印を増やさないようにと、類似問題にも集中して取り組むことが出来るので効果は高いかと思います。
書き込みに関してはメリハリをつけることが大切です。
なんでも書き込むのでは無く、解答方法のポイント程度に留めておくことが良いでしょう。
途中式や長文の日本語訳まで書き込むと問題集の意味がありません。
少なくともヒントを残しておく程度に留めておくことがポイントです。
付箋紙を活用する
付箋紙に関しても様々な使い方をしている方が多い様子です。
中でも筆者が良いなと思った使い方は「質問をしたい箇所のみに貼り付ける」という凄くシンプルな方法です。
他の使い方はしないのかと尋ねたところ「余分な役割を付箋紙に与えると、まずは付箋紙の使い方を覚えないといけない」と回答を頂きました。
分からないところが量的に把握できるようになり、また先生に質問する際もスマートです。
また付箋紙を使う際に困ることも無く、本来の目的である受験勉強に集中することが出来ます。
付箋紙がなくなる度に理解が深まっていくという達成感も味わうことの出来る、非常に理にかなった方法だと感心しました。
付箋紙を使いこなすために勉強をするのでは無く、勉強を効率的に進めるために付箋紙を活用するということだけは忘れないようにしなければなりません。
最新の一年分は演習用に残しておく
赤本には実際に入試で出題された問題が掲載されています。
そのため本番同様の気持ちで、試験時間も実際の試験に合わせて取り組む専用の年度を設定しておくのも一つの手です。
頻繁に取り組むのでは無く、ある程度期間を置いて忘れた頃に解き直すという活用方法もあります。
過去問は収録されている年度数も限られている為に一年分も無駄にできません。
いわゆる模試感覚で取り組む方法ですが、解答している途中で気づいた事や工夫が可能な箇所もメモすることも可能です。
一時的に解答を止めることにはなりますが、受験生の皆さん自身で臨機応変に対応して下さい。
これも自宅や自習室で赤本に取り組むメリットの一つです。
まとめ
いわゆる赤本と呼ばれている大学入試の過去問題集は大学情報、出題傾向と対策、過去問、解答集というシンプルな構成なので受験生が迷わず取り組むことが出来るように、また受験生が工夫して活用することが出来るように出来ています。
その赤本について実際に使用した方への調査や筆者自身の受験体験から効果的だと感じた活用法を抜粋して紹介しました。
赤本を活用するに際して最も大切なことは「常に目的を意識する」事に尽きます。
各自で赤本の役割を明確化する必要があります。
なぜ赤本を使用するのか、どのように活用するのかについて深く考えて使用することが目標を達成するための近道です。
本記事では「出題傾向を把握し、時間配分を上達させるツール」という立ち位置でご紹介しました。
出題傾向を把握したあと参考書や問題集を併用して苦手を潰す、類似問題にチャレンジするといった方法を取っていますが、受験生の皆さんが最も馴染む方法を見つけて下さい。
皆さんが志望校に合格することを強く願っています。
この記事を監修した人
「大成会」代表
池端 祐次
2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。