モンスター化してませんか?保護者としての在り方について

近年、頻繁にメディアで報道されるようになった「モンスターペアレント」。

2008年にはこれを題材にしたドラマも放送されており、世間的注目度の高い教育上の問題の一つです。

テレビや週刊誌などでは「不平等だから劇の主役は全員させるようにして」「徒競走は全員一緒にゴールさせて」など、あまりにも常識外の要求をする親の姿がよく報道されます。

言うまでもありませんが、このような要求は教職員や学校にとって非常に大きな精神的負担です。

時間に苦しむ男性2006年に行われた全国1万の小学校の校長を対象にしたアンケートでは、「保護者の利己的な要求が深刻な教育の障害になっているか」という質問に対し、29.8%が「深刻」48.9%が「やや深刻」と合わせて78.7%がモンスターペアレントに頭を悩ませています。

また2008年には、子供同士の喧嘩で軽いけがをした子どもの両親が当時預けていた埼玉県狭山市立保育所の所長に対して4ヶ月に渡り苦情を言い続ける、保育所の対応を批判する内容証明郵便を送りつけるといった行いをして、それらを苦に所長が焼身自殺したというショッキングな事件もありました。

このような衝撃の強い報道を目にすると「自分がこんな要求をするなんてありえない」と感じる保護者の方が多いと思います。

しかし程度の差こそあれ、我が子を思うあまり知らず知らずのうちに利己的な要求をしてしまっていることは十分に考えられます。

そこで当記事ではモンスターペアレントの定義や原因、ならないようにするための対策や北海道での事例をご紹介。

ぜひ自分自身と照らし合わせながらお読みください。

モンスターペアレントとは?定義から確認

2006〜2007年頃から生まれた言葉である「モンスターペアレント」。

多くの方に知られていますが、新しく生まれた言葉であり定義は曖昧なところも多いです。
まずその定義から確認しましょう。

「尾木ママ」として知られる教育評論家の尾木直樹氏のブログ によると、その定義は「理不尽な学校への要求をしてくる親」としており、以下の5種類に分けられると説明しています。

  1. 我が子中心モンスター:過保護、過干渉でなんでも我が子中心に考える
  2. ネグレクトモンスター:子育てを放任しており、朝ご飯を食べさせなかったり日曜夜の10時に家庭訪問を要求したりする
  3. ノーモラルモンスター:深夜に担任に電話やメールをするなど親自身の生活の崩れから正常と異常の区別がつかない
  4. 学校依存モンスター:朝起きられないので毎朝起こしに来て欲しいなど家庭でやるべきことを学校に依存している
  5. 自己権利主張モンスター:給食を頼んだ覚えがないので料金は払わないなど権利を主張する

総じて言えるのはやはり常識外の要求を学校にするということですね。

では次に実際にどのような事例があるのかご紹介します。

実際にどんな事例がある?

常識外の要求をするモンスターペアレント。

そのいくつかの事例を2008年に富山市が発表した「保育所クレーム対応事例集」をもとにご紹介します。

写真を撮るときには、背の低い子どもの並べ方に配慮して

 M男(4歳)が、節分の手作りお面を手に持ってクラスの友達と写したスナップを持ち帰った。
ところが小柄なM男の隣にクラスの中で一番背の高いT男が並んで写っていたため、M男の背の低さが強調されていて「M男が背の低いことを気にしているのに、子供を並べて写真を撮るときの配慮に欠けている」と、母親から市役所へ苦情が入った。

保育料も、教材費も、遠足のバス代も払わない

生活に困っている様子もないのに、1年近く、遠足のバス代や、教材費の集金・保護者会費・保育料などを支払わず、お金にルーズな保護者に、しびれを切らした担任が、「集金をお願いします」と支払いを促すと、感情的になり「あの先生嫌いだ、換えて欲しい」と所長に訴えてきた。

会社に遅刻するからオムツ替えは保育所でやって

おむつをした赤ちゃん生後9カ月の子供が、保育所に向かう車の中で大便をした。
車の中でのオムツの交換は危険。
保育所に着いてから母親自身が取り換えると会社に遅刻しかねない。
「保育士がいるのに、なぜ保護者がオムツを交換しなくてはならないのか」

さらに、「ある朝、時間がないことを保育士に伝えたら、みなさん、オムツ換えをしていかれるんですけど・・・と言われた。オムツの取換えのために会社を遅刻し、処分を受けた場合には、市や保育所に賠償をもとめることができるのか、また、遅刻証明書など法的に効力を持つ証明書の発行ができるのか」と連絡帳に書かれていた。

上記の尾木直樹氏の分類によれば、事例1が「我が子中心モンスター」事例2が「自己権利主張モンスター」事例3が「学校依存モンスター」に当たりますね。

このようにおおよその事例は5つの分類に分けることができ、自身が学校に何か要求する際はいずれかに該当しないか省みることで、モンスターペアレント化を防ぐことができるでしょう。

モンスターペアレントになる原因とは?

2006年に言葉が生まれて以降ずっと問題視されているモンスターペアレントがですが、そもそもなぜモンスターペアレントが多く生まれるようになってしまったのでしょうか?

その原因としては以下の3つが挙げられています。

過保護や過干渉

まず最初にご紹介するのは「過保護や過干渉」です。

我が子を可愛がるあまり、学校への要求が過剰になってしまうことがあります。

我が子の成績が良くない場合に、担当教員の指導不足と一方的に考えてクレームを入れる親がその例として挙げられます。

親の孤立化

次にご紹介するのは「親の孤立化」です。

核家族が進んだことにより、子育ての悩みを誰にも相談できずに、フラストレーションが溜まってそれを学校にぶつけているのが原因と考えられるのです。

強い消費者意識

怒られるイメージ最後にご紹介するのは「強い消費者意識」です。

かつて学校というのは「勉強を教えてくれるありがたい場所」という認識がありました。

しかし、時が経つにつれて「自分は学校に対して利用費を払っているから立場が上」という認識を持つ親が増えてきたことも、モンスターペアレント増加の原因の一つと考えられます。

以上がモンスターペアレントになる主な3つの原因です。

「親の孤立化」など「強い消費者意識」など、社会背景によるものが大きいことが考えられますね。

そのため誰でもモンスターペアレント化してしまう可能性はあり、保護者の方は常に自身を省みる姿勢が重要でしょう。

自分の要望は正当?まずは自己確認を

モンスターペアレントの定義、事例や原因などを確認したところ、それには親個人の問題だけでなく、社会背景も大きく関わっていることがわかりました。

腕を組む女性このような中でモンスターペアレント化を防ぐためには、「学校に要求をする前には自己確認をする」ということが重要でしょう。

例えば子どもから「友達から急にぶたれてけがをした」と打ち明けられたとします。

このような場合、我が子を大事に思うあまり学校に対して感情的に説明を求めてしまうこともあることだと思います。

しかしそういった際に自身を省みて、原因や背景、自分の子どもが言っていることが正しいかなどの確認求めるといった冷静な対応をとることで、正当な要求を学校に対して行えるようになるのです。

冷静に対応を求めることが速やかな問題解決にもつながるため、ぜひ心がけるようにしましょう。

北海道ではどんな事例がある?

上記で富山市がまとめたいくつか事例をご紹介しましたが、北海道ではどのようなモンスターペアレントの事例が報告されているのでしょうか?

2009年に北海道教育委員会が発表した「保護者等との良好な関係づくりのための事例集〜要望等への適切な対応のために〜 」を元にいくつか事例をご紹介します。

なお、この中ではあくまで「学校に寄せられた要望の事例」とのみ紹介されており、明らかに問題のある要望と紹介されているわけではないことを、あらかじめご理解頂けますと幸いです。

考えた歌が採用されなかった

学級で歌う歌の選定に当たり、学級活動で話し合い、歌を決定したところ、ある子どもの保護者から、自分の子どもが考えた歌が学級で採用されなかったことに対して、学級担任に対して抗議の手紙がきた。

気持ち悪いと避けられるようになった

保護者から学級担任に、我が子が同じ学級の生徒に「気持ち悪い」と頻繁に言われるとの訴えがあった。
その後、保護者は学級担任に対して、「我が子は他の生徒に避けられ、いじめられていると感じている。我が子が安心して学校生活を送ることができるようにしてほしい」と、改善を繰り返し求めた。

背中を叩いた生徒を退学させて欲しい

登下校時のバス内において、自分の子どもが他の生徒にふざけて背中を叩かれ、あざができたことに対し、保護者が来校し、学校の指導が十分でないことへの不満を訴えた。

その後も、言葉によるいじめを受けていることについて、学校が生徒の変化に気付かないことや学校の指導体制が不備であること、加害生徒を退学させることなどを訴えた。

休み時間であざができたから治療費と慰謝料を払って欲しい

医療費のイメージある保護者から、「休み時間に子どもたちが雪玉を投げ合って遊んでいたところ、雪玉が我が子の目に当たった。養護教諭による手当は受けたとのことだが、学校からは何も連絡がなく、子どもが帰宅して初めてわかった。学校側から事実の報告がないことや相手の保護者から 謝罪がないことに納得できない。」と連絡があった。

その後も、相手の保護者の謝罪に誠意が感じられないとして、学校がきちんと指導することを求めてきた。
また、通院したので治療費や慰謝料の請求があった。

自分の子どもと仲の良い友達と同じ学級にして欲しい

新入生の保護者から、入学直前に、校長あてに、我が子を仲のよい友だちと同じ学級にしてほしいと手紙が送られてきた。
その後も、席替えで仲のよい子と隣にしてほしいことや、 休み時間に学級担任が一緒にいて面倒を見てほしいこと、学級担任の対応が十分ではないので学級担任を変えてほしいことなどを継続的に要望してきた。

以上、北海道での事例をご紹介しました。

これらの事例に対しては、学校側も親とよりコミュニケーションを密に取ることなどの対策を図っているようです。

ぜひご参考いただけますと幸いです。

まとめ

近年、教育上の深刻な問題として取り上げられるモンスターペアレント。

よく報道されるのは客観的に見て明らかに親側に問題のある事例ばかりですが、知らず知らずのうちに自分がモンスターペアレントとなってしまっている可能性は否定できません。

今回ご紹介したようなモンスターペアレントの定義や原因となどをしっかりと把握し、自分が該当しないかどうかを自省するのが学校側と良い関係を築くのに重要でしょう。

学校というのは子どもが勉強を学ぶ場であると共に、コミュニケーションを学ぶ場でもあります。

よって、我が子を思うあまり自身の要求がそのような場を奪うことに繋がっていないか?という認識は常に持っておくべきですね。

当記事がその参考になれば幸いです。

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