「右脳」と「左脳」の働きの違いと、それぞれの鍛え方

右脳と左脳 働きの違い

「日々の学習の成果をもっと上げたい…」「勉強の効率を良くしたい…」「どうすれば高いパフォーマンスが引き出せるんだろう?」など、悩んでいる方は多いと思います。

王道の方法は学習する時間と質を上げることですが、簡単にそれができれば苦労はありません。

実は、それ以外にもできることはあります。

そもそも、私たちが物事を覚えたり、想い出したり、考えたり、よいアイディアを思いついたりできるのは他でもない「」の働きのおかげです。

日々の勉強や学習は、記憶力・思考力・発想力など脳の働きに依存します。

これらの効率を上げることは、すなわち脳のパフォーマンスを最大限高めることに相当します。

ところで、ひとくちに脳といっても「右脳」と「左脳」に分けられることが知られています。

この2種類の脳の働きはどのように違うのでしょうか?

以下では、右脳と左脳の働きの違いや、効果的な鍛え方などについて解説します。

左利きの偉人・有名人たち

左利き右脳と左脳の話に入る前に、まず身近なところで「左利き」にまつわる話をしましょう。

左利きの人の割合は、どの国でもだいたい10人に1人(10%程度)ということが知られています。

全体では少人数にもかかわらず、左利きの偉人や有名人はたくさんいます。

古くはアリストテレスやカエサルから始まり、レオナルド・ダ・ヴィンチ、アイザック・ニュートン、ヴォルフガング・アマデウス・ モーツァルト、チャールズ・ダーウィン、アルベルト・アインシュタイン、トーマス・エジソン、マウリッツ・エッシャー…など、枚挙に暇がありません。

このように、左利きというとなんとなく手先が器用そうなイメージから、画家・音楽家といった芸術家や、科学者・発明家などに多いイメージがありますね。

ですが、最近の例では、オバマ元大統領やマイクロソフト社のビル・ゲイツなど、政治家や起業家にも左利きの著名人が知られています。

驚くべきことに、ここ50年間のアメリカ大統領は8人中5人(約6割)が左利きだったそうです!

偶然にしては、高い割合ではないでしょうか?

左利きのスポーツ選手

プロスポーツ選手また、わかりやすいのがスポーツの世界です。

スポーツ選手には、優れた左利きのプレイヤーが数多く知られています。

野球の王貞治さんやイチローさん、投打に大活躍の大谷翔平選手はいずれも左打ちのバッターです。

サッカーのリオネル・メッシ選手や久保建英選手、テニスの伊達公子さん(プレイは右利き)も左利きです。

さらに卓球界は、日本代表選手のじつに4割が左利きで占められているそうです!

このように、左利きはその割合が多いのはもちろんのこと、「超」がつく有名人、いわゆる”天才型の人物”が顕著に多いことがお分かり頂けたのではないでしょうか。

左利きが優れているわけ

では、どうして優れた人物に左利きが多いのでしょうか?

ルールがきっちり決められたスポーツでは、人口の多い右利きでないだけで、有利なポジションを得やすいのはたしかに理解できます。

野球なら左打者は1塁ベースに近くなりますし、サッカーならキーパーが予想していない方向からシュートを放てるので、圧倒的優位に立てるでしょう。

でも、それだけではありません。

脳のイメージ左利きの人は「右脳」をよく使うことで、右利きの人よりも「空間認識力」や「イメージ力」をより高められるからです。

ボールが空間を飛び交い、相手の動きを常に予測することが大事なスポーツでは、これらの能力の高さが有利にはたらくのは言うまでもありません。

しかもスポーツに限らず、芸術や政治など他の分野においても、空間を把握する能力や、将来を的確に予想する能力は非常に有益です。

このことから、左利きの人は類まれなる思考力や思いもよらない発想力が備わりやすく、大成する確率が高まるのだと考えられます。

右脳・左脳の働きの違い

利き手と脳に何らかの関係があるとして、「右脳」「左脳」はどのように違うのでしょうか?

その名の通り、私たちの脳(大脳)は左右対称に分かれています。

見た目はそっくりですが、働きが大きく違うことから区別されます。

右脳と左脳はどのように使い分けられているのでしょうか?

左脳には、言語機能を司る特有の「言語野」が複数あることが分かっています。

ということは、日頃している勉強は主に「左脳」で行われているといえます。

なぜなら、どの教科の学習であれ、”言語”を駆使するからです。

とはいえ、学習に左脳だけを使っているわけではありません。

左脳に対し、右脳は主に「非言語」の働きをもつとされます。

たとえば、数学・音楽・美術など、イマジネーション(想像)が重要な教科では、「空間認知」や「イメージ」を司る「右脳」の働きが大切になります。

また、国語や英語は「言語」に特化した分野ですが、物語や小説で風景が事細かに描写されているシーンを具体的に思い浮かべる際には、右脳の働きが必要になります。

社会の歴史で年表を思い出したり、地理で地図を描いたりする作業でも、やはり右脳が活躍します。

「左脳=言語」だけに、右脳は理数系科目だけに関わりが深そうに思えますが、人文系科目でも右脳の働きはパフォーマンスの向上にたいへん役立つのです。

右脳・左脳の発達と障害

右脳と左脳はどのように発達するのでしょうか?

ポーズをとる女性言葉が未熟な子どものうちは「右脳優位」、大人になり言語が発達するにしたがって、言語野のある「左脳優位」になると考えられています。

また、右脳と左脳は働きが違うため、脳梗塞や脳卒中になったり、物理的な損傷を受けると、それぞれ特有の症状が現れます。

言語野がある左脳の障害の場合、会話ができない「失語症」などの言語障害や、文字が読めなくなる「失読症」などが起こります。

一方、右脳の障害では、言語に問題はないものの、「半側空間無視」という奇妙な症状が起こることがあります。

この症状では”左側”への注意が向かなくなるため、単純な左視野ではなく、”見ているものの左側”が常に見えない状態になります。

右と左の違いだけで、全く違うタイプの病状が引き起こされるのは、脳ならではです。

脳と体は左右が反対になる

よく考えてみると、脳以外にも目・耳・肺・腎臓・手足など、左右対称に2つある身体器官があることに気づきます。

それらの器官と脳が違う点は「左右が逆になる」ことです。

脳と体の各部分はそれぞれ運動神経でつながっています。ただし、

「右手」を動かすときは、「左脳」からの指令が延髄の下部で交差し、「右手」に伝わります。

「左手」を動かすときは、「右脳」からの指令が延髄の下部で交差し、「左手」に伝わります。

これは手に限らず、どの部位も同じ仕組みです。

また、外界からの刺激を入力する感覚神経も同様です。

右半身で受けた刺激は「左脳」に入り、左半身で受けた刺激は「右脳」に入ります。

目は少し特殊ですが、右眼・左眼いずれの視覚も、

「右視野」の情報は、視交叉で一部交差して「左脳」に伝わります。

「左視野」の情報は、視交叉で一部交差して「右脳」に伝わります。

この複雑な仕組みによって、ヒトの脳は立体的に物が見える「両眼視」を実現しています(両眼視のないネズミでは、仕組みが少し違います)。

そもそも、なぜこのように脳と体で左右が入れ替わるのでしょうか?

進化上の理由などの説がありますが、それについてははっきりと分かっていないようです。

人格が分裂する!?スペリーの実験

右脳と左脳に関する興味深い実験があります。

それは、1981年にノーベル賞を受賞した、アメリカの神経心理学者ロジャー・スペリーの分離脳実験です。

てんかん治療のため、左右の脳の結合を切断した”分離脳患者”の実験でスペリーは奇妙な現象を見つけました。

左脳と右脳をつないでいる「脳梁」が切断されると、左右の半球間で情報の直接的な伝達ができなくなります。

裏表のイメージすると、「患者の人格が2つに分かれる」という、驚くべき変化がみられたのです!

実験では先に述べた、目の神経が交差する仕組みを利用します。

まず、右視野(左脳)にリンゴの絵を見せ、患者に名前を言ってもらうと「リンゴ」と答えます。

左脳には「言語野」があるため、言葉を使えるからです。

その後、左視野(右脳)にも同じリンゴの絵を見せます。

名前を言ってもらうと、先ほどと違って「何も見えません」と患者は答えます。

右脳には「言語野」がないため、言葉で答えられないからです。

ところが、認識自体には問題がないため、リンゴの実物を左手でつかむことはできました。

このように、同一人物であるにもかかわらず、左右の脳は別人のような挙動をみせるのです。

辻褄を合わせる左脳

また、別の実験では、右脳と左脳の間でさらに奇妙なことが起こります。

今度は、患者の右視野(左脳)にニワトリの写真、左視野(右脳)に雪景色の写真を見せ、「写真に関係する絵を選んでください」と患者に指示します。

先ほどと同じように、左脳の方は見せた「ニワトリ」の絵を正しく選ぶことができます。

一方、右脳の方は「スコップ」の絵を選びました。

雪景色(=雪かき)に関係するからです。

ところが、どうしたことか、「その絵を選んだ理由を答えてください」と尋ねられると、患者は「雪景色に関係するから」と答えることができません。

左右の脳がつながっていないため、情報のやり取りがなされず、言語野のある左脳は「スコップ」を選んだ理由を知らないからです。

結局、苦し紛れに「ニワトリ小屋を掃除するためにスコップを選んだ」と患者は答えました。

左脳は(自分が)見た「ニワトリ」と、なぜか選ばれた「スコップ」を無理やり連結したのです。

こうして「思い込みによって辻褄を合わせる」ことは、誰しも思い当たる節があるかもしれません。

分離脳患者でなくとも、ふだんから左脳はこのような働きをしているのです。

分離脳実験では他にも、「右手と左手がケンカする」など、嘘のような本当の話が伝わっています。

同じ人の中に違う人がいるような、いわば”二重人格”になってしまうことを明らかにした一連の実験によって、右脳と左脳はうまく統一されていることが分かったのです。

「働きの左右差」の起源はいつ?

はてなそもそも、「右脳と左脳で働きに違いが生まれた」理由はどうしてなのでしょうか?

言い換えると、脳の左右差の起源はどこまで遡れるのでしょうか?

これに関する仮説は2つあります。

1つめの仮説はこうです。

ヒトが道具を作り、また使うためには、手の複雑な動きの制御が必要となります。

人類が進化するうち、利き手(右手)がジェスチャーやサイン言語(手振りによるコミュニケーション)を行うようになり、やがて「会話」へと変化します。

右手の動きは「左脳」が制御するため、「左脳が会話(言語)を司るようになった」=「左脳は言語、右脳は非言語に分化した」という仮説です。

この仮説にしたがうと、右利きの進化は「ヒトの祖先がチンパンジーなどの祖先と分岐した後」になります。

すなわち、人類の祖先が道具を作り始めた頃=「約250万年前」が左右差の起源になります。

2つめの仮説は、脊椎動物全体の話です。

ヒト以外の脊椎動物でも、右脳と左脳に分かれています。

イルカや渡り鳥では、右脳と左脳を交互に休ませる「半球睡眠」があることも知られています。

ヒト以外の動物には「働きの左右差はない」と言われてきましたが、「ヒトだけが特殊な進化を遂げてきた」という思い込みを覆す発見が最近なされました。

魚類・両生類・鳥類の脳でも、左右で働きが異なるという発見が相次いだのです。

この仮説によると、左脳が「パターン化した日常的な行動」を、右脳が「天敵に出くわすなど突然の場面での行動」をコントロールするとされます。

つまり、脊椎動物での「左右分業」の起源はかなり古く、左右差の起源は「5億年前」まで遡れることになります。

右脳や左脳を鍛えることは可能?

一時期、「脳トレ」がブームになりました。

100マス計算や暗算、数独やクロスワードなどのパズルやゲームを行うことで、脳全体を活性化させようとする試みです。

脳トレは幼い子どもの知性発達や、認知症予防に効果的という触れ込みがあり、実際に数字パズルが高齢者の認知機能の維持に役立つことを検証した研究も知られています。

考える子供では、「右脳や左脳を鍛えること」は可能なのでしょうか?

一般に、身体器官は過度な負担にならない範囲であれば、使えば使うほど発達します。

したがって、左脳を使えば使うほど、左脳の働きが増して言語能力が上がるでしょう。

逆に、右脳を使えば使うほど右脳の働きが良くなり、空間認知力やイメージ力が向上する可能性もあります。

左手の鍛錬で右脳が活性化!?

前述のように、世の中の大半の人は右利きです。

右利きの人の左脳はふだんから活性化されているため、多いのは「右脳を鍛えたい」というニーズです。

「右脳を鍛えることは可能だろうか?」という多くの人が気になる疑問について、ヒントになるのは脳の血流から活動を調べるfMRI(磁気共鳴機能画像法)装置を使った実験です。

右利きの人を対象にしたある実験では、装置の中で箸を使ってもらうと同時に、あえて左手でも箸を使ってもらいました。

すると、利き手(右手)で箸を使うときは左脳だけが活動したのに対し、左手で箸を使うときは左脳と右脳の両方に活動がみられました。

つまり、右脳も活性化していたことになります。

この訓練を1ヶ月間行ってもらい、再び測定を行うと、左手で箸を使うときの左脳の活動は下がり、右脳の活動がより高まっていました。

すなわち、「利き手でない左手の訓練によって、右脳だけをより鍛えられるようになった」のです。

右脳を鍛える方法

このように、右脳だけを活性化できるわけではないにしろ、「左手を使うことで右脳を鍛える」こと自体はできるようです。

アイデア右脳は「左手を含む体の左側」を支配しているため、左手や左足など左半身を意識的に使うことで、右脳を刺激し、活性化することができます。

鉛筆で字や絵をかく、箸を使う、物を持つ、ボールを投げる、裁縫をする…

何かにつけて、ふだん右でやっていた動作を左に置き換えてみることで、右脳を鍛えることを目指します。

ひとたび意識してみると、多くの作業を無意識のうちに右手でやっていた(左脳で動かしていた)ことに気づくでしょう。

簡単そうにみえて、左手でこれらをこなすのは負荷が高く、案外難しいことがわかると思います。

こうした日々の心がけの積み重ねによって、右脳が活性化され、左利きの人の右脳のように鍛えられることが期待されます。

両手を使うことの効能

一方、左利きの人の右脳は日常的に鍛えられています。

そのため、冒頭に述べたように、左利きの人は「芸術家タイプ」「発明家タイプ」が多いとされます。

とはいえ、全身はくまなくつながっているため、最近では右脳だけでなく「右脳と左脳のバランスが大事」という主張もあります。

「右耳だけを鍛える」「左の肺だけを鍛える」ことは難しいように、右脳と左脳も密接に連絡し合って種々の機能を果たしているため、左右の協同作用こそが大切というわけです。

左脳を刺激するのは右手なので、理想をいえば、両手を同時に使って「右脳」も「左脳」も刺激するのがベストだと言えます。

脳の信号イメージ右脳と左脳の間の情報伝達を促進するのが最も効果的だということです。

一説によると、レオナルド・ダ・ヴィンチは左利きではなく、両利きだったという説もあります。

ところが、両手を同時にバラバラに動かす作業というのは、意外に多くありません。

典型的なのは、ピアノなどの楽器演奏です。

右手と左手を同時に別々に動かすため、「右脳」も「左脳」もいっぺんに活性化できます。

このことは「ピアノが頭脳の発達によい」とされる根拠のひとつです。

同様に、音楽を聴くことも良いとされます。

メロディーを聴くと右脳が活性化されると同時に、歌謡曲の場合、歌詞が左脳も活性化するので一石二鳥です。

また、工作をすることもおすすめです。

どんな作業であれ、考えながら両手を使うことが多いため、やはり両方の脳が刺激されます。

他には、将棋、速読(文章を映像として観るため)、そろばん、絵画、ロボットプログラミングなども右脳の活性化に良いとされています。

まとめ

脳(大脳)は構造的に左右対称ですが、その働きは対称ではありません。

主な違いとして、左脳は言語中枢をもつ一方、右脳は空間認知やイメージに関与することが知られています。

多くの分野で非凡な才能を発揮した人に、少数派であるはずの左利きが多いのは、その状況証拠といえます。

環境が有利にはたらくだけでなく、恒常的な右脳活性化が長所を伸ばすことに結びつくと考えられます。

分離脳患者の研究は、左脳と右脳の働きの違いだけでなく、左右の連絡が統一した人格を形作っていることを示しました。

左右の脳が別々の役割をもった起源は、人類進化の結果であるという説と、さらに古いヒト以外の脊椎動物由来であるとする2つの説があります。

ポイントよって、脳のパフォーマンスを最大限引き出すには、意識的に左半身を使い、普段あまり使わない右脳の活性化を促すことがポイントです。

また、左右の脳のバランス良い発達と協同のためには、両手を巧みに使う楽器演奏や工作、音楽鑑賞などが効果的です。

進化の過程で失われた左右のバランスを取り戻すことによって、脳に秘められたポテンシャルが活かせることでしょう。

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この記事を監修した人

チーム個別指導塾
「大成会」代表:池端 祐次

2013年「合同会社大成会」を設立し、代表を務める。学習塾の運営、教育コンサルティングを主な事業内容とし、札幌市区のチーム個別指導塾「大成会」を運営する。「完璧にできなくても、ただ成りたいものに成れるだけの勉強はできて欲しい。」をモットーに、これまで数多くの生徒さんを志望校の合格へと導いてきた。


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公開日:2022年9月20日
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